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会場:Moscone Convention Center
今年初めてのイベントとなるGame Connection@GDC San Franciscoは2回に分けて行なわれる。メインとなる3月5日と6日は独立系の開発会社104社がブースを展開した。8日と9日には「Game Connection Services」として、下請け会社が出展社となり開発会社やパブリッシャーに向けたブースを展開する予定だ。 本稿では5日と6日に行なわれた開発会社とパブリッシャーとのマッチングの様子をご紹介しつつ、取材した各開発会社とタイトルをご紹介する。タイトルはコンシューマタイトルが中心で、北米でメインストリームを取っているXbox 360に対応したタイトルが多い。日本からでは唯一、株式会社ナウプロダクションが北米向けのDSタイトルを引っ提げ出展した。
開発会社によるゲームの売り込みの裏には各社様々な思惑があり、開発環境を取り巻く事情を知る上で非常に興味深い取材だった。 ■ GSC WORLD PUBLISHING、5年越しの大作PC「S.T.A.L.K.E.R」のPSP版を積極PR
本作に採用されている同社製のゲームエンジン「X-RAY」はNVIDIAの協力のもと、開発初期から東欧発の本格的ゲームエンジンとして注目され、人体モデルのボーン数に制限がないなどUnreal EngineやHalf-Life Engineとは一線を画す演出効果を備えている。 ローンチを間際に控えた本作の話題性もさることながら、今回のGame Connectionでの同社の狙いは本作のPSP版のパブリッシャー探しだ。Windows版でパブリッシング権を持つTHQであるが、PSP版のパブリッシング権までは取得を見送ってしまったというのだ。理由は明かされなかったがCEOのSergiy Grygorvych氏自らが本作をPRしていた。 PSP版「STALKER」は、昨年からWindows版の開発と平行してPSP版の開発も進められ、後8カ月ほどで完成できるとしている。一方で、後2、3カ月でパブリッシャーが決まらなければPSP版「STALKER」の開発は放棄してしまうという。Grygorvych氏によれば、今月発売のWindows版を「STALKER 1」だとするならば、「STALKER 1.5」、「STALKER 2」とシリーズとして開発を継続していく考えで、「STALKER 1」の低位版であるPSP版の発売は至上課題ではないとのことだ。そもそも「本体」であるWin版自体が未発売ということもあり、今回のイベントが「顔見せ」という側面が強い。
取材の中で、Grygorvych氏自らPSP版のデモプレイを披露した。移動時は3人称視点でエイミング中は1人称となる設計で、1人称と3人称の切り替え動作が軽快に表現できている。また、敵への照準はオートエイムを採用し、モバイル環境でもスピード感を損なわない演出がなされている。またアドホック接続を通じ、16人対戦を可能にしているとのこと。Windows版は発売を待たずして話題性十分なだけに、PSP版での展開に名乗りを上げるパブリッシャーが現われることが期待される。
■ 世界各地の開発会社が集う。日本からはナウプロダクションが出展
Game Connectionにパブリッシャー側として事前に申し込むと、出展会社のプロダクトとプロフィールを見ながらミーティングをリクエストすることができる。会期が近づくと、パブリッシャーに向けてリクエストした会社を訪問するための時間割りが送付される。30分を1コマとして次々に開発会社めぐりをしていくのが基本的なスタイルとなっている。 開発会社は多様な背景を元にコンテンツの売り込みを行なっており、先述したGSC WORLD PUBLISHINGのように、提携するパブリッシャーが手を引いてしまったコンテンツを売りに来る会社もあれば、独立系の無名の開発会社が乗り込んでくる例も多い。 日本から唯一の出展となったナウプロダクションは、DS「なぞっておぼえる大人の漢字練習」や、携帯電話向けゲームを手がける開発会社だ。同社は今回、非公開ながらDSタイトル5タイトルを売り込んだ。
デモプレイを行なった1タイトルの言語は英語で、いずれのタイトルも北米向けにまずは展開し、発売後の人気を見ながら日本での展開を考えたいとのことだ。ナウプロダクションが制作したタイトルの海外展開では、D3 PublisherによるPSP「Intelligent License」の例があるが、北米で先行して展開するのは初めてとのことだ。ナウプロダクションは商談の都度NDAを取り交わし、慎重に交渉を進めていた。同社は、8日から予定されているGame Connection Servicesではバイヤー側に立って、アウトソース先を検討するとのことだ。
韓国では露出度の高い女性キャラクタの表現等で成人指定を受けているが、月額課金でもアイテム課金でも対応できるMMORPGという切り口で北米やヨーロッパでのサービスにつなげたい考えだ。同時に、パブリッシャーとしても今回のイベントは興味深いとのことで、韓国での国内展開をにらんだコンテンツ探しもGame Connectionを通じ狙いたい考えだ。
この日は各社それぞれのバックグラウンド、思惑を垣間見ながら10数社と話をすることができた。開発会社の中にはCEOが1人で企画だけの出展をしている光景もあり、玉石混交という印象がある一方、プロダクト化直前のタイトルを出展する能力を持っているスタジオも多かった。同時に、小規模の開発会社が8日からのGame Connection Servicesに参加すると話していたのは興味深かった。質の良いマッチングはGame Connectionの采配にゆだねられるが、こうした輪がさらに広がり、大きなイベントになるよう期待したい。
□Game Developers Conference(英語)のホームページ http://www.gdconf.com/ □Game Developers Conference(日本語)のホームページ http://japan.gdconf.com/ □Game Connectionのホームページ http://www.game-connection.com/ (2007年3月7日) [Reported by 三浦尋一]
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