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「『シムシティDS』一日だけの夢の授業」は、一般公募で選ばれた中学生とその親14組が、発売前の「シムシティDS」を使って世の中の仕組みを理解しようというもの。ゲスト講師として“ヤンキー先生”こと「義家弘介」先生、浅草キッドの水道橋博士と玉袋筋太郎さんが登場する、実に豪華なイベントとなった。
エレクトロニック・アーツは、「シムシティ クラシック」を用いた授業経験をもつ杉並区和田中学校[よのなか]科の協力により、「シムシティDS」をベースにした教育ツール「シムシティDS」コラボレーションキットを作成。3月1日~30日までに応募した小・中学校のなかから抽選で20校に提供するという(詳細は記事末尾を参照)。今回の授業は、このコラボレーションキットを使って行なわれた。
義家先生は「私にとって教育とは、仕事ではなく人生そのもの。これ(教育)に救ってもらわなかったら、たぶん現実社会で生きてさえいなかった。だからこそ、色々な困難もあるけど、そこにすべてをかけて取り組んでいこうと思いながら日々生きている。暗いニュースもありますが、連日若者たちと直接会っていて、そのたびに思うことは“若者たちは終わっていない”ということ。個々の報道だけを見ると“大丈夫か、この国は!?”って思うことは非常に多い。でも一方で、ひとりひとりと真剣に向き合うと、まったくもって彼らは正常。もしかしたら、おかしいのは大人たちのほうなんじゃないかと思うことがしばしばあります」という。 「教育は(する側とされる側が)ともに育つもの。子供たちの成長に責任を持つためには、我々も常に成長し続けていかなければならない。その意味で、今回の『シムシティDS』を私もやってみましたが、非常に考えされられることが多い。それをこの機会に伝えていけたら、と思います」とコメント。 水道橋博士は「ボクは44歳の晩婚。今は3歳児と0歳児の父親になりまして、それまで芸人やってますと“どれだけ非常識に生きるか”っていう方向になるんですけど、子供が生まれた途端“自分自身の常識の無さ”みたいな、子供を教育するうえで自分が教育されていかなきゃいけないっていうことが、凄く良くわかるようになった。今は教育そのものに凄く関心がある。教育再生会議の推移を見守りながら、「お願いします」と(頼りにすると)同時に、もし今のままだったら“自分が子供の先生になろう”みたいな気持ちがあって。学校に行かせない方法はないのか!? とか思っちゃう。そういう意味では、義家先生たちに頑張っていただいて、安心して就学を任せられるようになってほしい」と(浅草キッドのファンにはおなじみなのだが)TVのバラエティやお笑い番組ではあまり見せない“人の親”としての率直な意見を述べた。
玉袋さんは「ボクも一応14歳の倅がいましてですね。俺が(勉強)できなかったんで、勉強のほうはあんまりうるさく言ってなかったら、ホントに成績がガックシ落ちちゃって(笑)、どうなんのかなぁって感じなんですけど。ただ、ボクはこの世界(芸能界)20年やらせていただいて、挨拶だけはシッカリやってこれたかなぁと思ってまして。挨拶だけできれば人間なんとかなる! を実践して(笑)。勉強は、ホントにあんまり強くいえないんですけど……。ゲームばっかりやってる倅で、『シムシティDS』もそのうちいじると思いますんで。挨拶をしっかり、そして『シムシティDS』もしっかりやって、そこから何かを学んで社会に出てもらいたいと思います(笑)」と、それとなく製品情報を織り込みつつ教育に対する独自の観念を披露してくれた。
義家先生は「混迷の時代のなか、机と黒板以外から学ぶべきもの、手に入れなければならないものが一杯ある。そのなかで、今の若者たちに足りないもの。それはまず、イメージする想像力、創っていく創造力。この2点が、過去に比べて落ちてきている。昔だったら、遊ぶ道具も自分たちで作ってきた。だからこそ、教室から飛び出した“学び”ってものをしていかないといけない。徹底的に基礎学力をつけることは大事だけど、それ以上に社会で生きていくために大事な学びというものもある」。 「ここにいる若者たちにも考えて欲しいんですけど、2007年問題がついに始まります。今の時代を、良くも悪くも中心になって創造してきた団塊の世代が定年退職を迎える。そのかわりに社会に入っていくのが、みなさん。つまり、みなさんの世代にとって、2007年は問題ではなく“チャンス”なんです。自分自身を磨いて社会に出たとき、主たる担い手として新しい時代を作っていくことができる。ボーっとしていても、貪欲にしていても同じように時間は過ぎていく。担い手としての力をはぐくんで欲しいと思っています」とコメント。 玉袋さんは「ボクがちょっと感じているのは、今、なんでも当たり前のように手に入っちゃうじゃない? 管理されたところばかりだし。某ランドとか確かに楽しいんだけど、あれって全部作られちゃってて、乗せられちゃってるだけで、それで満足して帰っちゃってる。なんか、そこに“疑い”を持って欲しいなと思うんだよね。だから、どうせならボクは“某ランドよりは健康ランドいけ”っていってるんだよね。健康ランドいってみんなで裸になってね、色々な人がいるわけよ。某ネズミよりも面白いキャラクタとか一杯いるから、お風呂屋さんて(一同笑)。ああいうところで裸で触れ合うことで最低限のマナーを学ぶとか、そういうマニュアルどおりじゃない楽しみ方っていうのかな。そういうのも勉強になると思うんで」。 「うちはそれ実践してて某ランドいってないんだけど……あ、某ランドは素晴らしいとこですよ!?(一同笑) なんか、当たり前に入っちゃってることを疑って欲しいんだよな。出来合いのハンバーガーだとか、ああいうのも安くて美味しいんだけど、なんか疑ったほうがいいんじゃないの? 『あ、私このオモチャにつられてコレ買って食べてるんだわ』とか、向こうの手口? そういうのに、もう気づいてもいいんじゃないかな。乗せられるだけじゃなくて……って思うんですが、いかがでしょうか? 申し訳ございません(笑)」とコメント。皆が玉袋さんの言葉に深く聴き入る様子に気恥ずかしくなったのか、慌ててお笑いのトーンでシメるあたりが、実にらしい。 水道橋博士は「ボクは結構文献から色々入ったりするほうなんで“ゲーム脳”とかの言葉があるように、ゲームの危険性みたいなものを子供ができてから凄く感じて、3歳を過ぎるまで子供にゲームを解禁してなかった。ボク自身もやらなかったし、家のなかにも入れなかった。それが、このイベントだから言うんじゃないですけど(解禁後)DSとWiiを我が家に導入したんです。そうしたら、その気持ちが一変しましたね。たとえば『Wiiスポーツ』であれば、そのスポーツに対する“入る”年齢が凄く早いんです。テニス、野球などのルールとか、シミュレーションを覚えていくっていうのが凄く早い。ゲームも色々ありますけど、アイウエオを学ぶような知育ソフトについて、DSができているレベルは(他に比べて)もっとも高い。ボクは今までゲームに対する偏見があって、みなさんもあるかもしれないですよね。でも“逆だな”って気づいたのは、ソフトが良ければもっと脳を開発できる。『脳トレ』なんかもヒットしたわけだし、メディアを選んで“これは間違ってる”というふうに思い込むんじゃなくて、体験してわかることってあるんで」。 「『シムシティDS』はシミュレーションゲームですけど、今まさにたけし軍団から知事が誕生しまして。今、日本中が宮崎の“シムシティ”をやってる(一同笑)。地方自治は民主主義の学校って言葉があるように、東さんがやることによって、皆が地方自治の問題ってこんなところにあったんだってことが、メディアで報道されてわかるようになった。そういう意味では『シムシティDS』で子供が市長役をやることで、問題に早く触れられる。インフラってどういうものなのかを早く体験できることは、イベントだからとかではなく“正しい”と思っていたところなんです。社会への認識が早くなると思います」とコメント。
主要ハードを揃えているほどゲームが好きな玉袋さんは、息子さんがゲームで遊んでいるときの「口をポカーンとあけている呆けた顔」をデジタルカメラでコッソリ撮影して見せ、驚かせたことがあるという。「俺はゲームをやるのは別にいいんだけど、与えられたもんじゃなくて、ゲームをやっていたら“ゲームを作る側の人間になろう”みたいな気持ちになれよって。どうやって子供に面白く感じさせるのか、どういう人が考えてるんだろう、俺だったらこう作るぜっていうふうに考えてやるんだったらいいけど、そのかわり口ポカーンとあけて流されてやってるんだったらダメだよって言ってる。その点『シムシティDS』は街を作れっていうソフト。街を作るゲームを遊びながら、こういうソフトを作るアタマはどうなんだろう……って考える人になって欲しいなー、なんてね。思っちゃったりして。スイマセン(笑)」とコメント。玉袋さん、どうもマジメ一辺倒でシメるのは苦手のようだ。
目的は“街の人口を増やす”こと。ゲームは初級編のため電気、水などの必要なインフラが整備された状態だが、その重要性などをコメントで補足しつつ授業が進んでいく。最初はおっかなびっくりで操作する親子の姿もチラホラ見受けられたが、先生の教えに従い操作するうち、誰もが要領よく操作できるようになっていく。 住宅地区を設置して、そこから先は何が必要とされるか。まずは道路。住宅地区を道路で囲い、周辺に商業地区などを設置していくと、やがて住宅地区に住宅が建設される。街のデザインが良ければ人が多く移り住んでくるし、悪ければ住人が離れて寄り付かなくなる。現実の考え方が、ほぼそのままゲームでも通用する。 発売記念イベントということで、授業では最優秀市長を決めるゲーム大会が開催された。15分間プレイして、街の人口を一番多くした人が勝ちというルール。電線から5マス以内には電気が供給されるなど、必要な情報をインプットして街づくり開始。ゲスト講師のお三方もゲーム大会に参加。義家先生はいきなり動物園を作るなど、大胆なアプローチで街づくりを披露。水道橋博士に「義家先生だったら、まず学校ですよねぇ! 一番得意なことをやったほうがいいですよ」とつっこまれるも「まずは子供を集めてから(笑)」など、人によって千差万別。 予算は限られているが、初級編のためそれなりに無茶ができるのか、ゲスト講師陣の玉袋さんは「発電所いっぱい作っちゃった!」など、ダイナミックな街作りを実践している様子。参加した14組の親子も、どちらかに任せるのではなく、話し合いながらそれぞれ街作りに専念。なにをどうしたのか、暴動が発生という“お笑い的に美味しい”街作りに成功した親子など、その進捗はさまざま。極めて短い時間内にも関わらず如実に個性が反映されていくあたりは、まさに「シムシティDS」の醍醐味のひとつといえる。 制限時間の15分が経過。ゲスト講師陣の発展具合は、義家先生が1,703人、水道橋博士が5,486人、玉袋さんが4,924人。「ボクは公共事業、箱物行政をやらなかったんで。東さんに学びました(笑)」という水道橋博士の記録を超える参加者はおらず、なんと最高記録は水道橋博士の街ということに。とはいえ、お三方はあくまでもゲスト講師。よって最優秀市長の栄養は5,395人を記録した親子に与えられた。
「ボクちょっと思ったんですけど。この授業そのものが面白いんで、知事が集まる会議ありますよね? あそこでソフトを知事全員に渡して、一時間の制限内に誰が一番低いのか、47都道府県で競わせてみたい。かなり面白いと思いますよ。番組にしようかな!?」と水道橋博士が感心するほど「シムシティDS」を使った授業は盛況のうちに幕を閉じた。
冒頭でも少し触れたが、エレクトロニック・アーツでは[よのなか]科と「シムシティDS」コラボレーションキットを抽選で全国の小・中学校20校へ提供する。キット数は1校につき最大5つまで。本イベントで14組の親子がそうだったように、わかりやすく親しみのあるインターフェイスとソフトを使うことで、社会の仕組みを学び授業の新たな楽しさが喚起できるという。興味がある学校関係者の方は、この機会に応募してみてはいかがだろうか。 ● 応募方法 下記情報を明記のうえ、FAXを[よのなか]科と「シムシティDS」コラボレーションキット事務局宛に送付
【FAX記入項目】
【FAX宛先】
【キット内容】
【応募受付期間】 (C)2007 Electronic Arts Inc. Electronic Arts, EA, the EA logo and SimCity are trademarks or registered trademarks of Electronic Arts Inc. in the U.S. and/or other countries. All Rights Reserved. All other trademarks are the property of their respective owners.
□エレクトロニック・アーツのホームページ (2007年2月21日) [Reported by 豊臣和孝]
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