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3Dゲームファンのための「デル謹製オーバークロック対応のハイエンドゲームスペックパソコン」
~デル「XPS 710 H2C」and ディスプレイ「UltraSharp 2707WFP」~

1月10日 発売

価格:375,060円より

■ カスタマイズオーダー可能なゲームスペックPC

 「XPS 710 H2C」(以下、XPS710H2C)はハイエンドスペックの、しかもゲームユーザー向けに仕様を最適化したPCだ。

 デルらしく、オーダーメイド仕様なので細かく仕様をカスタマイズできるが、ベースポテンシャルが高めに設定されており、ハイエンドスペックPCの割には、コストパフォーマンスも高めだ。

 細かい、オーダー仕様はここのページを参照して欲しいが、ゲームプレイに影響しそうなポイントとなる仕様部分についてチェックポイントを語っておこう。

 まず、CPU。XPS710H2CではCore 2アーキテクチャで最高クロック動作のデュアルコアCore 2 Extreme X6800(4MB L2キャッシュ、2.93GHz、1,066MHz FSB)か、動作クロックこそやや劣るが、新世代クワッドコアの最高位Core 2 Extreme QX6700(8MB L2キャッシュ、2.66GHz、1,066MHz FSB)が選べる。価格的にはクワッドコアのQX6700の方が1万円高になっている。マルチコア最適化が著しいと言われるWindows Vistaを睨むならばQX6700がいいだろう。当面Windows XPを活用するというのであれば、ここ近未来に登場する3Dゲームが並列処理よりも逐次処理に重きを置いたエンジン設計になっていることを踏まえ、動作クロックの高さ重視でX6800の方を選択するのもよいかもしれない。

 3Dゲームパフォーマンスの根幹を担うビデオカード(あるいはグラフィックボード。デル・サイト内ではビデオコントローラと呼称している。カードに搭載されるプロセッサは特にGPUと呼ぶ)はGeForce 7900 GS 256MB、あるいはGeForce 8800 GTX 768MB、そしてさらにそれぞれのそのSLI構成(デュアル動作)が選択できる。

 GeForce 8800 GTXは最新のDirectX 10(Direct3D)/プログラマブルシェーダ4.0(SM4.0)グラフィックステクノロジーに対応した2007年2月現時点では唯一のGPUだ。DirectX 10/SM4.0はWindows Vista環境下でないと活用できないが、GeForce 8800 GTXは、Windows XP環境下のDirectX 9/SM3.0パフォーマンスも現行最高位なので、超ハイエンド構成を狙うならばこれだ。さらに、Windows Vistaへの移行までも考えるならば迷うことなくこちらを選ぶべきだろう。

 もちろん、Windows XP環境下で3Dゲームをそれなりのパフォーマンスで楽しみたいというのであれば、7900 GSでも問題はない。

 採用チップセットはnForce 590 SLIであり、ビデオカードを挿すためのPCI-Express x16スロットはともにリアルx16バス接続。つまりSLI構成においても妥協無しの最高位パフォーマンスが発揮できるのだ。確かに、PCI-Express x16スロットを3基実装した上位モデルのnForce 680i SLIも既に登場している。しかし、現時点では、3基構成のSLI動作はサポートされておらず、SLI動作(2)+1の構成、あるいは3枚のビデオカードをバラバラに利用して6画面出力などを利用する場合などの特殊用途向けという雰囲気が色濃く、ややオーバーキルな仕様という感じもある。「最新CPUと最新GPUを組み合わせたハイスペックマシンを構成する」という意味においてはnForce 590 SLIは性能的に必要十分だろう。

 なお、GeForce 7900 GSのSLI時のパフォーマンスよりもGeForce 8800 GTXシングル時のパフォーマンスの方が圧倒的に高い。価格差は4万円あり、まぁ、およそ、その価格差分の性能はあると考えて差し支えないだろう。

 メインメモリつにいては、標準構成では1GBが選択されているが、メモリ消費の激しいWindows Vistaへの移行までを考えているならば今や2GBは欲しいところ。なお、2GB購入時の選択プランとして4基のメモリスロットを全て使ってしまう512MB×4か、あるいは2基空きスロットを温存しておける1GB×2が選べるようになっているが、将来的な増設を視野に後者を選ぶべき。ちなみに2007年2月現在では、512MB×4と1GB×2の価格差は設けられていない。

 ディスプレイは予算に合わせて適当なものを選択すればいい。もし予算に余裕があったり、あるいは近々薄型テレビの買い替えも視野に入れているならば、市販の液晶テレビなどを選択肢に入れるとよい。最近の液晶テレビはパソコンの接続に対応したものが増えている。特に最新のフルHD(1080p/D5)解像度に対応したものならば、デジタル放送、次世代DVD(HD DVD、BD)、プレイステーション3のフルHD(1080p)ハイビジョン映像をドット間引きなくフル表示化できるし、パソコンのディスプレイとして活用する場合にも1,920×1,080ドットの解像度は不満がない。

 今回の評価機では、CPUはCore 2 DUO QX6700、GPUは現在はオンライン注文はできないGeForce 7950 GX2 1GBのQUAD-SLI構成、メモリは512MB×4、ディスプレイは27インチWUXGA(1,920×1,200ドット)対応のUltraSharp 2707WFPという構成になっていた。

XPS 710 H2Cの本体、付属キーボードとマウス。そしてディスプレイの2707WFP キーボードとマウス


■ XPS710H2Cの拡張性は?

 デスクトップパソコン、それもハイエンドクラスのモデルとなれば、将来性や拡張性も気になるところ。このあたりをチェックしてみよう。

 ケースは正面右側が開くという、一般的なPCとは逆のデザイン。これは採用マザーボードがBTXベースであるため(後述)。

 ケース蓋の開閉はドライバ無しで行なえるが、開閉ハンドルのところを鍵でロックすることも可能で、メンテナンス性とセキュリティ性を両立。なかなかよく考えられている。

 マザーボードはBTXベースの設計で、カードを通常のPC(ATXベース)とは天地逆転して挿すことになるのがちょっと面白い。デザインとしては異端児なかんじだが、PCIスロット×3基、PCI-Express x16スロット×2基というSLI対応マザーボードとしては標準的な仕様にはなっている。

背面パネル 背面パネルアップ

 ケースは218×572×616mm(幅×高さ×奥行き)という大きさも巨大で、まさにアメリカンサイズ。いわゆる一般的なフルタワークラスの1.5倍はある。今回の評価機の仕様では総重量が約20kgもあったので、そのボリューム感たるや尋常ではない。

 ケースが大きいことは悪いことばかりではない。5.25インチドライブベイは4基、3.5インチドライブベイはなんと6基もある。つまり、最大でDVDドライブを4基、ハードディスクを6基を搭載することができるわけだ。今回の評価機ではDVD-R/RWドライブ×1基、500GBハードディスク×2基が搭載されていた。

本体内部(撮影のために一部パーツを取り外しています) 本体ケースのサイズが大きいため、その分、ドライブベイも数が多い

 ケース内には仰々しい“箱”がCPU周辺を囲っているが、これは本体名の由来にもなっている「H2C冷却システム」だ。これは水冷ラジエータを組み合わせた強力な冷却システムで、現行よりもさらに発熱量の多い、将来登場予定の高性能CPUにまで対応する。

 ゲームユーザーということであればビデオカードのアップグレード性も気になるところだろう。もともと、本体設計がGeForce 8800シリーズのSLI動作に対応していることもあり、ビデオカード用6ピン電源供給コネクタも4本実装されている。最新GeForce 8800 GTXでは、シングルカードでも6ピン電源を2本使うので、8800 GTXでSLIを組む場合には6ピン電源4本が必要になるわけだが、XPS710H2Cでは最初からこれに対応しているわけだ。

 電源ユニットの容量は驚きの最大出力1,000W!。GeForce 8800 GTXのSLI動作には700W以上の電源が必要とNVIDIAもアナウンスしているが、XPS710H2Cはこれに余裕で対応する。

 さすがはハイエンド機、総じて見て拡張性は高いといえると思う。

CPUブロックは仰々しい箱に囲われている。これが新H2C冷却システム 評価機にはビデオカードとしてNVIDIA GeForce 7950 GX2が2枚ささっており、QUAD-SLI環境になっていた。2007年2月上旬現在で、既にこの構成は完売している。かわりにGeForce 8800 GTXなどが選べる


■ XPS710H2Cのパフォーマンスは?

 このXPS710H2C、実は有名メーカー製パソコンながら最初からオーバークロック動作に対応している。これはH2C冷却システムに自信があるためだろう。

 やり方は簡単で、起動直後の画面で[F2]キーを押して、BIOSメニューを出し、[PERFORMANCE]-[CPU CLOCK SPEED]の項目にて動作クロックを選択するだけで設定できる。今回の評価機のCPUはCore 2 DUO QX6700で定格2.66GHzだったが、2.93GHz、3.2GHzの動作クロックが選択可能となっていた。

 さらに[PERFORMANCE]-[OVERCLOCKING]の項目で[ON]設定にすると、Windows起動後にNVIDIAサイトから無料提供されているオーバークロッキングソフト「nTune」を活用して、より細かなオーバークロッキングチューニングが行なえる。

 なお、[CPU CLOCK SPEED]も[OVERCLOCKING]のいずれの設定においても、デルは「動作を保証するものではない」という免責を謳っている。まぁ、試しに使ってみて、突然ハングアップしたり、リセットが掛かるようであれば、活用を辞めた方がいい。いちおう、この2つのオーバークロッキング機能はXPS710H2Cのウリの機能でもあるので、一度は使用に挑戦してもらいたいものだが。

 さて、このXPS710H2C、どのくらいの性能を発揮してくれるのだろうか。

 定番のベンチマークソフトを実行し、さらには人気の最近の3Dゲームを実行してみてその体感パフォーマンスを調べてみることにした。

 使用ベンチマークソフトは定番、Futuremarkの「3DMark05」と「06」を、そして3Dゲーム「DOOM3」(id software)、「F.E.A.R.」(MONOLITH)のベンチマークモードを利用した。

「3DMark05」より。基本的にはDirectX 9/SM2.0ベースのテスト 「3DMark06」より。DirectX 9/SM3.0用テスト。同一シーンでも特殊シェーダが積極的に使われているため負荷は高め
「F.E.A.R.」より。シェーダ負荷が高いためにベンチマークテストに用いられるゲームの代表格 「DOOM3」より。意外にもCPU性能に依存したパフォーマンス結果を見せる

 評価機のビデオカードはGeForce 7950 GX2のQUAD-SLI構成だったが、1枚を取り外した通常SLI動作時についても計測した。また、オーバークロッキング機能を活用してCPUのCore 2 DUO QX6700を3.2GHz駆動した場合の結果も測定している。

 さらに、筆者が所有している私物のビデオカードのGeForce 7900 GTX、GeForce 8800 GTXをこのXPS710H2Cに換装した場合についても計測している。注文時のビデオカード選定の際の参考にしてもらえれば幸いだ。

 なお、1点補足を。筆者はGeForce 8800 GTXを2枚所有していたのでGeForce 8800 GTXのSLI構成も試そうと思ったのだが、筆者の所有カードではXPS710H2CにてSLI動作ができなかった(2枚目のGeForce 8800 GTXが正常にドライバを認識してくれなかった)。なお、XPS710H2C発注時にはGeForce 8800 GTXのSLI構成も注文でき、その場合はデル側で動作確認が取れているはずなので動作は保証されていると思う。まぁ、そういうわけで、今回のテストではGeForce 8800 GTX、1枚のテスト結果しかない点はご容赦頂きたい。

【テスト結果】
3DMark05 (1.1.0)
GeForce 7900 GTXGeForce 7950 GX2GeForce 7950 GX2 QSLIGeForce 7950 GX2 QSLI
+ QX6700 OC3.2GHz
GeForce 8800 GTX
1,600×1,200ドット FSAA 4x7,2019,83110,17010,21812,600
1,024×768ドット FSAAなし11,27413,87713,71014,63315,116
3DMark06 (1.3.0)
GeForce 7900 GTXGeForce 7950 GX2GeForce 7950 GX2 QSLIGeForce 7950 GX2 QSLI
+ QX6700 OC3.2GHz
GeForce 8800 GTX
1,600×1,200ドット FSAAなし5,6217,5538,0978,18610,277
1,280×1,024ドット FSAAなし6,6888,9039,3029,49811,633
DOOM 3 (Video Quality:Ultra)
GeForce 7900 GTXGeForce 7950 GX2GeForce 7950 GX2 QSLIGeForce 7950 GX2 QSLI
+ QX6700 OC3.2GHz
GeForce 8800 GTX
1,600×1,200ドット FSAA 4x72.9101.9139.2148.3118.5
1,024×768ドット FSAAなし145.3143.2141.8155.5152.5
F.E.A.R. (FSAA以外最高設定)
GeForce 7900 GTXGeForce 7950 GX2GeForce 7950 GX2 QSLIGeForce 7950 GX2 QSLI
+ QX6700 OC3.2GHz
GeForce 8800 GTX
1,600×1,200ドット FSAA 4x486810610782
1,024×768ドット FSAAなし94116132140142

テスト環境
CPUCore 2 DUO QX6700 2.66GHz
メモリ2GB
OSWindows XP
GeForce 7900 GX2 ドライバ93.71
GeForce 7900 GTX ドライバ93.71
GeForce 8800 GTX ドライバ97.92

 結果はご覧の通り。

 CPUのオーバークロックは、今回の評価機ではあっさりと動作してしまった。全てのテストを行なっても一度もハングアップはしなかった。ただし、ベンチマークソフトはビデオカードにスコアが左右されるので、スコア自体は数%の上昇しか見られず。それでも、追加投資無しでパフォーマンスが向上するのであれば、これを活用しない手はない。

 全体を通して、さすが最新、最上位のGeForce 8800 GTXの優位性が目立つ。今回の評価機のGeForce 7950 GX2のQUAD-SLI構成はGeForce 7900 GT相当のGPUを4基同時にフル可動させているわけだが、それよりもたった1基のGeForce 8800 GTXの方が性能が高いというのは感慨深い。確かにGeForce 7950 GX2の取り扱いが無くなるのもうなづける。

 2004年当時は次世代シューティングゲームといわれた「DOOM3」は今や“クラシック”ともいえ、パフォーマンスが飽和してしまって、新旧GPUでのスコア差が無くなっている。この時代のゲームソフトを楽しむだけならば7900 GTX(あるいはGS?)でも十分だといえる。その代わり3.2GHzにCPUをオーバークロックした環境では格下のGeForce 7950 GX2/QUAD-SLIが、格上のGeForce 8800 GTXのスコアをやや上回っている。「DOOM3」は影生成の際の頂点引き延ばし処理をCPUで処理しており、比較的CPU負荷が高いことが知られている。こうしたタイトルではオーバークロッキング機能は有効に効いてくるようだ。

 シェーダ負荷が高いソフトの代表格となっている「F.E.A.R.」ではGPUランクに応じたスコアを見せている。アンチエイリアス(FSAA)なしでは、圧倒的に強いシングルのGeForce 8800 GTXだが、FSAAありではGeForce 7950 GX2のQUAD-SLI構成時の方がスコアが明確に高い。FSAA処理はGPU→ビデオメモリ帯域を多く消費するが、これが分散できるSLI/QUAD-SLIのメリットが功を奏した結果だ。SLI動作でパフォーマンスが上がらないソフトでも、アンチエイリアスをめいっぱい掛けてジャギーを最大低減させて快適にプレイする……といった楽しみ方があることは覚えておいては損はない。

 この他、ベンチマークソフトではないが、「Age of Empires III : THE WAR CHIEF (AoE3TWC)」と「Microsoft Flight Simulator X」(いずれもマイクロソフト)をプレイしてみたが、かなり快適であった。「AoE3TWC」の方は1,920×1,200ドットのフル解像度で全グラフィックスオプションを最高位にしても30fpsをキープして快適にプレイすることができた。

 かなり高負荷なタイトルとして知られている「Microsoft Flight Simulator X」は、グラフィックスオプションのほぼ全てを最高位に設定した場合、1,920×1,200ドットでは10~20fps前後といったところ。1,024×768ドットでは30fps前後がキープできた。一般的なPCではグラフィックスオプションを全て標準以下にしないと快適なプレイが難しいことを考えると、XPS710H2Cのパフォーマンスはかなり優秀だと言える。

「Age of Empires III」はグラフィックスオプションを最高位にしてなおかつ1,920×1,200ドット解像度でも快適 「Microsoft Flight Simulator X」は1,024×768ドット解像度であればグラフィックス参照モデルオプションを最高位に設定しても30fps前後を維持できる


■ ディスプレイ「UltraSharp 2707WFP」の実力は?

 XPS710H2Cには27V型ディスプレイ「UltraSharp 2707WFP」(以下2707WFP)を選択できる。

2707WFPの解像度1,920×1,200ドットであればこのようにGAME Watchのページも横に並べられるほど広い
 実はこのディスプレイ、いわゆPCユーザーだけでなく、家庭用ゲーム機ユーザーやカジュアルAVマニアの間からも注目されている製品なのだ。というのも、この2707WFPは1,920×1,200ドットの解像度を持っており、しかもDVI-D、アナログRGBといった基本PC入力の他、コンポジットビデオ、Sビデオ、コンポーネントビデオといったアナログビデオ入力にも対応しているため。そう、2707WFPは、PC、ゲーム機、ビデオ機器などのマルチユースに対応したポテンシャルを有し、なおかつフルHD(+α)の解像度を持ちながら、比較的リーズナブルな価格で購入できるディスプレイモニタなのだ。

 本誌はゲーム総合メディアなので、そうした側面からもこのディスプレイを評価してみたいと思う。ちなみに、このディスプレイの先代モデルともいえる24V型の「UltraSharp 2407WFP」(以下2407WFP)は筆者がAV Watchにて連載中の大画面☆マニア第67回にて取りあげたことがある。この製品も同コンセプトで期待されていて、いろんな意味で物議を醸した製品だった。今回は、2407WFPからどう変わったのか……という点も意識して紹介しておく。

 まず、パソコン本体(XPS710H2C)との接続性だが、これにはDVI-D接続端子を用いるのがスタンダードな接続スタイルとなる。1,920×1,200ドット画面をフルに活用したデスクトップはかなり広大で、複数のドキュメントウィンドウを横に並べての操作が快適に行なえる。GAME Watchのトップページならば、サイドのメニューや広告を全て表示した状態でもほぼ2面の表示が行なえるほど広い。

 画面輝度は相当明るい。最大輝度は450cd/m2なので、いわゆる標準的な液晶テレビ並みに明るい。それでいて、黒の締まりはなかなかのもので、黒が灰色に輝いて見える「黒浮き」は結構抑えられている。力強い輝度パワーと閉まった暗部の効果もあってコントラスト感もかなり高めで、液晶テレビに負けていない。実際、公称コントラスト比は1,000:1を謳っている。

 階調性能もなかなか優秀。先代2407WFPは階調能力不足から2色混合グラデーションやモノグラデーションの表現で強い疑似輪郭を出してしまっていたが、これが2707WFPでは改善されている。

 発色も概ね良好。標準設定状態では白は純白に近く、青や緑には伸びを感じる。人肌にも液晶ディスプレイでは時々ありがちな黄み、あるいは青みが強く出るような癖もない。最近の液晶テレビと比べると赤のダイナミックレンジが低い感じはするが、バランスが悪いというほどではない。2407WFPは写真や映像のレタッチや編集に向いたディスプレイではなかったが、2707WFPはそうした用途にも対応できると感じる。

 残像については、目くじらを立てるほどは出ていない。特別な残像低減駆動は行なわれていないので、最新液晶テレビと比較すると一歩及ばないが、尾を引くほどは出ていない。3Dシューティングゲームや3Dカーレースゲームなどをプレイしても、それほど違和感なくプレイできてしまった。ちなみに公称応答速度はグレーtoグレーで6ms、黒to白で16msということになっており、なるほど、実際、そんな感じで、応答速度スペック的には「PCディスプレイとしては標準的な」という評価が適していると思う。

 また、2407WFPの一部のロットで問題となった、モアレや滲みは2707WFPでは確認されていない。2707WFPには高機能型の映像プロセッサは搭載されていないので、基本的には入力された映像画素色に加工を加えるような挙動はない。

 さてさて、多くの2407WFPユーザーが「こうなればいいのに」と切望したアスペクトモードについても触れておこう。

 2407WFPでは、Xbox 360やPS3と接続した場合、アスペクト比が16:10になったり15:10になったり、またはアスペクト比4:3映像がまともに表示できないという痛い仕様制限があった。2707WFPではどう改善されたのか、以下に、筆者が実験した結果を示しておこう。

●DVI-D(HDMI)接続

 2707WFPのDVI-D入力は著作権保護機構のHDCPにも対応しており、市販のHDMI-DVI変換コネクタを用いることでHDMI機器との接続も可能になっている。

 試してみたところ、PS3と2707WFPは1080pにてHDMIの接続が行なえた。アスペクト比も「ディスプレー設定」-「ワイドモード」にて「1:1」設定、あるいは「横縦比」(アスペクト比維持モード)を選択すればちゃんと1,920×1,080ドットのフルHD表示を行なってくれる(上下に未表示領域帯)。また、BDソフトもちゃんとフルHDで再生できることを確認できた。

 DVDビデオソフトは、「1:1」設定、あるいは「横縦比」設定のいずれにおいても記録解像度の720×480ドットのアスペクト比(3:2)で表示してしまおうとするので縦横比がやや縦長になってしまう。

 まとめると、1080pハイビジョンソフト、PS3画面などのネイティブな16:9映像は問題ないが、スクイーズ記録されたDVDビデオ映像を480i/480pのままでHDMI接続で見ることはできなかった。なお、そうしたDVDビデオ映像もプレーヤー側で1,280×720ドット等の正方画素系ワイド解像度にプログレッシブ変換して再生すれば、正しいアスペクト比で表示できる。

このようなDVI-HDMIアダプタを利用することでPS3と2707WFPはデジタル接続できる PS3と2707WFPとHDMI接続してフルHD(1080p)出力したところ。上下に黒帯状の未表示利用域が出てアスペクト比が維持されて表示される

●コンポーネントビデオ接続

 PS3とXbox 360でテストしてみたが、1080p入力は不可、1080i入力は可能だったのでD4(720p/1080i)対応ということになる。

 1080i入力時はI/P変換の品質があまり高くなく、スクロール時にコーミングが出たりする。まぁ、PS3ユーザーは前段で紹介したHDMI接続による1080p接続の方をお勧めする。

 DVDビデオ再生は、コンポーネントビデオ接続ではなぜかPS3、Xbox 360供に480p(D2)以上での表示は不可。480i(D1)での表示、あるいはXbox 360の場合はケーブル側のスライドスイッチをSD出力と設定すると正しい表示が可能になるが、その場合でもレターボックス表示になる。

 繰り返しになるがDVDビデオ映像を2707WFPで一番まともに楽しむには、プレーヤー側で1,280×720ドットあるいは1,920×1,080ドットにアップスケールしてHDMI接続で見る方法になる。

 なお、以上のテスト結果を表にまとめたのが以下の表だ。

2707WFP表示テスト結果 (PS3)
PS3(HDMI:デジタルRGB)
ゲームDVDBD
480p○16:9△3:2△3:2
720p○16:9△3:2△やや縦長
1080i×××
1080p○16:9△3:2○16:9
PS3(コンポーネントビデオ)
ゲームDVDBD
480i○4:3○4:3○4:3
480p○4:3×○4:3
720p○16:9×△やや縦長
1080i○16:9×○16:9
1080p×××

2707WFP表示テスト結果 (Xbox 360)
Xbox 360(VGA:アナログRGB)
ゲームDVD
640×480○4:3○4:3
848×480○16:9○16:9
1,280×720○16:9○16:9
1,360×768○16:9○16:9
1,920×1,080○16:9○16:9
Xbox 360(コンポーネントビデオ)
ゲームDVD
480i○4:3○SD
480p○4:3○SD
720p○16:9○SD
1080i○16:9○SD
1080p××

 ○正常なアスペクト比で表示される
 △表示はされるが正常な縦横比ではない
 ×表示されない


■ まとめ~ハイエンドゲームスペックPCは作るより買った方がいい?

 今では最寄りの街の電気屋さんにもパソコンは売っているが、最新高性能パーツを厳選して組み上げられたハイスペックで最新3Dゲームを快適にプレイできるようなPCはまず売っていない。

 ゲームプレイ向きのPCが欲しいと思ったとき、実は日本だと、意外にその入手が難しい。

 自作PCの知識があるユーザーは、好きなパーツをセレクトし自分で組み立てるところであろうが、そういう知識が無いと、いきなり自作に挑戦するのは怖い。異なるメーカー間でパーツを揃えた場合の相性問題は、未だに少なくないし、特にメモリのデュアルチャネル動作関係の相性は上級自作PCユーザーでもハマる時はハマるほどだ。前述の通り、大手国内有名メーカー製パソコンはPCゲームのことはこれっぽっちも考えてくれていないマシンばかりだが、一部のパソコンショップのオリジナル・ショップ・ブランドPCの中にはそういったマシンを用意しているところもある。とはいえ、そのショップ所在地の近隣に住んでいないと、いざというときのトラブル時に、面倒になりやすい。

 相性が保証されていて、なおかつ、デルのサポート付きというのは、大きなアドバンテージだ。その意味では、デルのXPS710H2Cは、3Dゲームファンのそうしたニッチな要求を満たしてくれる数少ないソリューションといえるかも知れない。

□デルのホームページ
http://www.dell.com/jp/
□製品情報
http://www1.jp.dell.com/content/products/productdetails.aspx/xpsdt_710?c=jp&cs=jpdhs1&l=ja&s=dhs
□関連情報
【1月10日】デル、ハイブリッド冷却システムを搭載したゲーマー向けPC
「XPS 710 H2C エディション」を発売
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070110/dell.htm

(2007年2月14日)

[Reported by トライゼット西川善司]



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