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会場:泉ガーデンギャラリー
発表会では、レッドエンターテインメントとさくらインターネットの2社が「LieVo」プロジェクトに新規参入したことが発表されたほか、レッドエンタテインメントが手がけるビッグタイトル「天外魔境ONLINE」を筆頭に多くの新規タイトルが公開された。本稿では発表会前半に明かされた「LieVo」プロジェクトの2007年度の事業戦略と、新しいパートナーについてお伝えしていく。発表会後半で紹介された「LieVo」コンテンツの具体的な紹介については別稿にてお届けしたい。
■ SNS、WIKI、RSSなどコミュニティ機能を3月31日にいよいよ実装、「LieVo」が目指すプラットフォーム構想とは何か?
その中で「プラットフォームとは何を意味するのか?」、「他社のゲームポータルと何が違うのか?」といった質問も生まれてきているという。確かに「LieVo」には8月に発表された初期構想のうち、上記に該当する機能はほとんど実装されていない。1月時点では、プラットフォーム構想、他ゲームポータルとの差別化共に不十分なのが現状だ。表面をなぞる限りでは、韓国NHNのグローバル戦略ときわめて似通っており、「『Hangame』と争って勝てるのか?」という疑問が生まれても不思議ではない。 こうした疑問に対し安田氏は、「Web上にクリエイターとユーザーによる世界規模のゲーム市場の創造」、「世界中のクリエイター同士の交流とコラボレーションを促進する」という「LieVo」のビジョンを改めて示しつつ、他のゲームポータルとはビジネスモデルからして異なることを強調。その上で安田氏は、「ノウハウ、スキル、顧客基盤をオープンにし、共有化することで参加パートナーが活性化していくことを目指している」とコメント。 安田氏の発言は、8月の「LieVo」構想の発表当時と同じ内容であり、発言内容にまったくぶれがない。安田氏が目指しているのは、オンラインゲーム運営を下支えする共通基盤をオープンプラットフォームとしてサードパーティーに提供し、オンラインゲーム参入への障壁を一気に下げることで正のスパイラルを構築し、結果としてクリエイター(メーカー)とユーザー(ゲームファン)がどんどん集まる仕組みをワールドワイドレベルで構築していくということであり、そのビジネスのコアとなるのが「LieVo」プラットフォームということになる。 「LieVo」プラットフォーム戦略における具体的な動きとなるのが、「ユーザー創造サービス」と「クロスボーダーソリューション」の2つである。「ユーザー創造サービス」の具体的な取り組みとしては、新型SNS、RSS、攻略WIKI、ギルドマップ機能の4つを挙げており、2007年3月31日より順次LieVoの無料サービスのひとつとしてLieVoユーザーに提供していく。 これらのWeb2.0的コミュニティサービスの魅力は、ユーザーとメーカーの双方にメリットをもたらす仕組みが盛り込まれているところだ。ユーザーに対しては、ゲーム内データとの連動を柱とした濃密な情報がやりとりできる独自のコミュニティサービスを提供することで、ユーザー間でよりゲームに直結したコミュニティの構築が可能になり、一方メーカーとしてもユーザーとの距離感が格段に近くなることからユーザーからアイデアを吸収しやすくなり、ロイヤリティの高いユーザーとのコラボレーションも容易になる。オンラインゲームとはいえ、ごく一部のメーカーを除き、ユーザーとクリエイターの距離感は遠いままだ。これらWeb2.0サービスを通じて、オンラインゲームコミュニティにどのような変化が生まれるのか注目したいところだ。 一方、「クロスボーダーソリューション」は、要するに国境やゲームプラットフォームを越えたクロス展開を指しており、参考例として安田氏は昨年11月にテクモがWii向けにリリースした「スイングゴルフパンヤ」を挙げた。同作は「スカッとゴルフ パンヤ」をモチーフに、Wiiならではのインターフェイスを搭載したゴルフゲーム。安田氏によれば、現在3社と同様のアプローチで新規プロジェクトを協議中とのことで、2007年中にも新たなコラボレーションプロジェクトが具体化する予定だという。 「LieVo」の今後の計画について安田氏は、2007年末までに日本、韓国、東南アジア、オセアニア地域へ展開し、コンテンツ数も現在の4タイトルから13タイトルまで増やす計画を明らかにした。日本以外のエリアは、2007年末で4タイトル程度と比較的緩やかな展開になるが、日本は今年一気に9タイトルも増えて13タイトル同時展開となる見込みだ。2008年末までにはさらに5タイトル増えて全18タイトルを提供予定だという。予定通りにいけば、2008年にはオンラインゲームに特化した大規模なゲームポータルが日本に生まれることになる。 ユーザー数の見込みについても8月に発表した2007年末で500万人の計画を700万人まで引き上げると発表。この700万人という数字はワールドワイドでの累計会員数であり、基本プレイ無料のタイトルはこの数字に重みはなく、売り上げに掛かる係数もかなり低くなるが、「LieVo」発表後の各社の反応が良かったためか、安田氏の発言からは絶えず強気の姿勢と自信が感じられたのが印象的だった。
発表会終了後、安田氏にコミュニティサービスの実装が遅れてる理由について訪ねたところ、10月10日の正式サービス以降、ユーザーから「LieVo」について多数の意見が寄せられ、サービスや機能の再開発に時間を割いているためだという。新型SNSとRSSが実装される3月に「LieVo」にどのような変化が起きるのか楽しみだ。
■ LieVo Studio発足、新規パートナーはレッド・エンタテインメントとさくらインターネット
続いて新規パートナーとしてレッド・エンタテインメントが紹介され、代表取締役社長の名越康晃氏が登壇した。名越氏は、「天外魔境」シリーズ、「サクラ大戦」シリーズといったキャラクタオリエンテッドな物作りを20年近くに渡って続けてきた自社の歴史を振り返りつつ、「LieVo」参入第1弾コンテンツとして「ラブネマ」、そして今回の発表会における目玉タイトルとなる「天外魔境ONLINE」を発表した。 「ラブネマ」は、台湾大手ゲームパブリッシャーSoftworldの子会社Chinese Gamerが開発した女性向けのオンラインゲーム。原題は「Love Box Online」で、テクノブラッドが仲介し、レッドエンタテインメントがライセンスを獲得し、日本ではLieVoで配信するという流れになる。具体的なゲーム内容については別稿にてお届けしたい。 「天外魔境ONLINE」は、架空の日本「ジパング」を舞台にしたMMORPG。今回の発表会では、2008年を目処に「LieVo」に投入するという計画しか明らかにされず、タイトルイメージ以外の素材や、ゲームコンセプトなども不明のままだった。開発責任者を務める広井王子氏も欠席していたが、ビデオレターを通じて同作への抱負が述べられた。 広井氏は「ネットワークというのはゲームの究極なんですね。パッケージゲームはプログラマや企画者が思ったとおりにしかゲームを進めないが、オンラインゲームではユーザーさんが自由に物語を紡ぎ上げることができる。いってみれば架空の人生そのものをゲームの中で味わえる。それはとっても素敵なことでおもしろい遊びだと思います。ネットワークの中に『天外』という世界が入り、『LieVo』を通じて世界中の人に配信されるのはとても幸せなことです。ぜひ『天外』をよろしくお願いします」とコメントした。
レッド・エンタテインメントは、オンラインゲームだけ取ってみても、中国のSEGA Networksと共同で進めている「サクラ大戦MMO(仮称)」、ガイアックスのゲームポータルムポー向けに開発している「天晴! からくりボウリング」などすでに複数のオンラインゲームを抱えている。今回さらに2タイトルを追加したことで、オンラインゲームへのシフトがまた一段と進んだ印象だ。
提供コンテンツは、現在正式サービス中の「ダンジョンズ&ドラゴンズ オンライン ストームリーチ」と今春正式サービス予定の「ロード・オブ・ザ・リング・オンライン」の2タイトル。ユーザー情報を移管して「LieVo」独占配信にするというわけではなく、既存の展開スタイルはそのまま維持しつつ、新たな配信先として「LieVo」を選択したという形になる。 さくらインターネットCEOの笹田亮氏は、「ロード・オブ・ザ・リング・オンライン」について、当初の計画通り、今春世界同時発売を目指すと同時に、PCのみならずXbox 360やプレイステーション 3といった家庭用ゲーム機への展開も目指すことを明らかにした。また、マルチプラットフォーム展開については、プレイするハードウェアにかかわらず、プレイサーバーは一箇所にまとめる方針も明らかにした。 LieVoとの事業提携の理由として、特定のプラットフォームに依存していないことや良質なコンテンツを国内外から集めるといったビジネスコンセプトが非常に近いことを挙げた。笹田氏は、現行の「LieVo」コンテンツと自社運営コンテンツとの毛色の違いをふまえ、「相乗効果が期待できるのではないか」と期待を寄せた。 LieVoとさくらインターネットの事業提携は非常にわかりやすい。LieVo側としては日本、韓国のみならず、オンラインゲームの総本山である米国産の良質タイトルを持つことはワールドワイド展開をふまえたブランド形成の面で重要な意味を持つ。一方、さくらインターネットとしては、次期主力タイトルである「ロード・オブ・ザ・リング・オンライン」を日本でマルチプラットフォーム展開する上で、テクモが持つ家庭用ゲーム機展開のノウハウが欲しい。
レッドエンタテインメントとの提携はコンテンツパワーに依存した内容といえるが、さくらインターネットとの提携は、両社のメリットを満たす理想的な事業提携といえる。中でも「ロード・オブ・ザ・リング・オンライン」のコンシューマ展開が現実味を帯びてきたことは、「LieVo」のコンセプトが理解された証拠でもある。特にプレイステーション 3向けにリリースされれば、時期によっては国内初のPS3向けMMORPGということになる。今後もLieVoの動きに期待していきたいところだ。
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□テクモのホームページ (2007年1月31日) [Reported by 中村聖司]
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