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【連載第93回】ゲームライフに役立つグッズをレポート
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接続端子とケーブルで画面はどう変わるのか?
新ハード3機種と出力画面を総当りチェック |
当連載は、ゲームライフに役立つグッズを発掘し、実際に使用してみようという試みをレポートするものである。ネタに困ったときはお休みしてしまうかもしれないので不定期連載である。ちょっとした投資や工夫で、よりよいゲームライフを送っていただけるよう、鋭意努力していく所存である。
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「プレイステーション 3(以下、PS3)」、「Wii」、「Xbox 360」の新型家庭用ゲーム機3機種が出揃った。今回は各機種ごとに使用できる“接続ケーブル”についてまとめていこう。テレビはソニーの「KDL-40X2500」を使用。各接続形式ごとに一眼レフカメラで同じ撮影設定を使い、定位置から撮影した写真を掲載している。全ての接続方法というわけではないが、ほとんどを網羅してみた。また、最後にはDellのHDCP接続対応のPC用モニター「E207WFP」を使い、PS3をHDMI>DVI変換ケーブルで接続してみた。
なお、本稿で主題としているのは、各機種で個別に接続方式や出力解像度の違いによる違いを見てもらおうというもの。同じテレビ、同じ撮影環境を使用しているが、起動させているソフトは機種ごとにもちろん異なっており、機種同士のグラフィックの優劣を比較する対象には到底ならない。この点にはお気をつけ頂きたい。
【12月20日:お詫びと訂正】
初出時、検証に用いたテレビの型番を誤って表記しておりました。お詫びして訂正いたします。
● 「プレイステーション 3」HDMI1.3接続~コンポジット接続まで幅広い接続に対応
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各接続方式の車体エンブレム周辺。エンブレムの鮮明さ、車体文字のにじみなどに優劣がはっきり現われている |
PS3はデジタル信号のHDMI1.3aの接続をはじめ、アナログではD端子、S端子、コンポジット、AVマルチ接続端子を持ち、幅広い接続方式に対応している。テレビへの出力解像度は、1080p、1080i、720p、480p、480iとなる。
使用したソフトはバンダイナムコゲームスの「リッジレーサー7」。撮影中に肉眼で見る限りは、どの接続でも予想以上に綺麗に映るなぁと感じたのだが、やはり静止画撮影をすると差が現われる。
特筆すべきはやはりデジタル信号のHDMI1.3aによる表示。アナログのD端子で1080pを出力しても十二分に綺麗なのだが、見比べるとHDMI1.3aのほうがシャープに映っているように感じた。
右に掲載している画像は、各写真の車体エンブレム周辺を切り出して並べた画像。この周辺の精細さが最も差を感じ取れるはずだ。また、以下には各出力、接続での写真を並べている。480p以下の写真は小さいワイド画面のように写っているが、これは上下に黒帯が入っているためで、実際には4:3の画面だ。縮小画像では違いがわかりにくいが、クリックした先の拡大画像を見比べていただくとよくわかるはず。
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HDMI1.3aで接続した1080p出力の写真。左は全体、右は車体のアップ。 |
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D端子で接続した1080p出力の写真 |
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D端子で接続した1080i出力の写真 |
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D端子で接続した720p出力の写真 |
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D端子で接続した480p出力の写真 |
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D端子で接続した480i出力の写真 |
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S端子で接続した480i出力の写真 |
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コンポジット端子で接続した480i出力の写真 |
● 「Xbox 360」D5接続~コンポジット接続、VGA接続まで
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メーター部を当倍画像から切り出して並べたもの。白い数字もそうだが、赤い色のにじみが比較しやすい |
Xbox 360では、本体同梱の「D端子 HDケーブル」を使用してD5~D2出力、コンポジット端子での480i出力、さらに「HD VGAケーブル」で「KDL-40X2500」のPC接続用D-Sub15ピンに接続してみた。
使用したソフトはTHQジャパンが販売するClimax Brightonの「MotoGP 06」。Xbox 360は、バージョンアップによってD5出力に対応したが、ソフト側では正式に対応したものは、まだ発売されていない。つまり、D4対応までのものしか登場していないため、720pをアップスケーリングした画像出力になっている(はずである)。
写真を見ると、何の遜色も感じさせないD5出力に驚かされる。現状、動いているプレイ中の画面としても、解像度ベースの話としてもD5出力が可能なのであればぜひ使っていきたい。
PS3でも同じことが言えるのだが、難しいのはD4の720pとD3の1080i。動いているときにはインターレースとプログレッシブによるチラつきの差などがわかるのだが、解像度ベースで言うと、1080iのほうが細部が美しい。
D4、D3という数字的にD4のほうが美しいというイメージがあるが、色合いも海外風というか、全体に淡い色調が多いXbox 360のゲームだけに、インターレースのほうが明瞭に見えるという人もいるかもしれない。動きを重視するか、解像度を重視するか。テレビの解像度やD端子の対応によるが、この点は一度ご自身の環境で見比べてみてもいいかもしれない。
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D端子で接続したD5(1080p)出力の写真 |
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D端子で接続したD4(720p)出力の写真 |
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D端子で接続したD3(1080i)出力の写真 |
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D端子で接続したD2(480p)出力の写真 |
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コンポジット端子で接続した480i出力の写真 |
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HD VGAケーブルを使用して1920x1080の解像度を表示した写真 |
● 「Wii」コンポーネント接続~コンポジット接続まで
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コンポーネント、S端子、コンポジットの写真から一部分を切り出した。小さめの解像度がテレビのパネルいっぱいに伸ばされているため、にじみがきつく現われている |
Wiiはグラフィックにあまり注力していない方向性であることもあって、本稿のテーマ的にはおまけ的に扱っている。D端子、コンポーネント端子、S端子、コンポジット端子が使えるが、本稿用の撮影を行なった日はD端子AVケーブルの発売前であった。それゆえD端子AVケーブルの写真がないのでご容赦頂きたい。ちなみにコンポーネント端子はD端子コネクタに変換してテレビと接続している。
出力解像度は480iと480p。解像度的にはどの接続方法でも差が現われないが、それだけにケーブルによって異なる信号のクオリティが如実に現われる。出力解像度が小さめなため、大きなテレビでプレイする際にはさらに顕著に現われるはずだ。
使用したソフトは任天堂の「WiiSports」。映像の輝度信号と色信号が混合されているコンポジットではにじみが強く、それが分離されているS端子に変えるだけでも印象が大きく変わる。コンポーネントではさらに画面がシャープになるが、ピクセル単位の荒さまで見えてくる。そのため、逆にシャープすぎると感じる人もいそうだ。
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コンポーネント端子で接続した480p出力の写真 |
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S端子で接続した480i出力の写真 |
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コンポジット端子で接続した480i出力の写真 |
● 接続方式、各機種の接続ケーブル、映像解像度のまとめ
様々な規格、接続ケーブル、出力解像度が数年のうちに増え、困惑している方も多いのではないだろうか。最後に補足として、各種接続方式と出力解像度などをまとめてみた。
PS3、Xbox 360、Wiiの接続ケーブル |
接続規格 |
対応機種とケーブル仕様 |
PS3 |
Xbox 360 |
Wii |
HDMI1.3a (DeepColor対応) |
HDMIケーブル |
- |
- |
HDMI1.0~1.2a |
VGA |
- |
HD VGAケーブル |
- |
D5端子/D4端子/D3端子 |
D端子ケーブル |
D端子 HDケーブル (本体同梱) |
- |
D2端子/D1端子 |
D端子AVケーブル |
コンポーネント |
コンポーネントAVケーブル |
コンポーネントHD AVケーブル |
コンポーネントAVケーブル |
RGB |
AV MULTIケーブル |
- |
- |
S端子 |
S端子ケーブル |
Sビデオ AVケーブル |
S端子ケーブル |
ビデオ端子 |
AVケーブル (本体同梱) |
AVケーブル (本体同梱) |
AVケーブル (本体同梱) |
・ 各接続方式について
●HDMI……デジタル信号。HDCPコンテンツ保護対応。映像+音声を内部分離しつつ、ケーブルは1本化。規格は下位互換
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HDMI1.3a
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HDMI1.0~1.2
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1080p(1125p)までプログレッシブ出力対応、色数48bitカラー |
1080p(1125p)までプログレッシブ出力対応、色数24bitカラー |
●VGA……アナログ信号。コンテンツ保護機能なし
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本稿では、Xbox 360のHD
VGAケーブルを指す。 PCモニタとのD-sub15ピン接続ができ、1,920×1,080~640x480まで複数の解像度を選択できる
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●D端子……アナログ信号。コンテンツ保護機能なし。規格は下位互換
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D5
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D4 |
D3 |
D2 |
D1 |
1080p(1125p)まで プログレッシブ出力に対応
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-
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- |
- |
- |
1080i(1125i)インターレース、720p(750p)プログレッシブまで対応
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- |
- |
- |
1080i(1125i)インターレース、480p(525p)プログレッシブ まで対応 |
- |
- |
480i(525i)インターレース、480p(525p)プログレッシブまで対応 |
- |
480i(525i)インターレース出力に対応
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●コンポーネント端子……アナログ信号。コンテンツ保護機能なし
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映像の色差信号、輝度信号をそれぞれケーブル別に分離している。 D端子にかなり近い接続方式だが制御信号を持たない。 |
●AV MULTI端子(RGB)……アナログ信号。コンテンツ保護機能なし
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PS、PS2、PS3のアナログ映像出力端子。「PS対応」とうたわれたソニー製テレビにもあるRGB接続端子 480p(525p)出力に対応 ※PS3とAV MULTIのコンポーネント入力に対応したテレビの接続時のみ、接続ケーブルの選択をコンポーネントにすることで720p、1080iなどが出力可能 |
●S端子……アナログ信号。コンテンツ保護機能なし
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480i(525i)の出力に対応。映像の輝度信号と色信号を分離している
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●コンポジット端子……アナログ信号。コンテンツ保護機能なし
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480i(525i)の出力に対応。映像の輝度信号と色信号が混合されている |
■ 何を選ぶか? これからどうするか?
上の各機種の項でご覧頂いたように、大雑把な書き方だが、接続方式による映像クオリティの違いを並べてみると、基本的な優劣は「HDMI > コンポーネント端子 ≒ D端子> S端子 > コンポジット端子」となる。その間に特殊な方法、Xbox 360ならVGA接続、PS3ならAV MULTI接続が入ってくる。
今世代機の中でも、Wiiの場合は、従来使用していたTVでも十分その映像の魅力は伝わるだろうが、それでも最低S端子ケーブルでの接続が望ましい。
前世代のコンソールマシンと、今世代のコンソールマシンの映像出力の大きな違いは、1つは「プログレッシブ」、1つは高解像度がキーワードといえる。とはいえ、別に従来のTVモニタに接続してなんら不具合があるわけでもない。今まではケーブルの違い=色にじみの違いといってもよかったわけだが、これからはそれだけではない。
Xbox 360とPS3に関しては、特に3Dタイトルにおいて、その映像の魅力を引き出すには、最低でも720p対応以上のモニタが必要だと考える。このラインから上の映像は、間違いなく今までの映像とは違ったものが感じられるだろう。480iでの映像で“ゲームができない”ということはないが、遠景の敵などが視認できるかどうかで、ゲームの難易度が変わってしまうのが現実だ。そういった意味でも、D端子、もしくはコンポーネントでの接続がこれからは当たり前になってくるだろう。2011年での地デジ移行をにらんで、TVの買い替えを検討している人は、対応したTVを購入する際、接続ケーブルや端子を含めたチョイスを検討しなおしてみるといいだろう。
また、PS3のHDMI>DVI変換、そしてXbox 360のHD VGAケーブルによる接続で、PC用モニタを転用するという方法もある(PS3の接続に関しては保障外になるが)。今回の「自腹で買ってみました!」コーナーでその1例を挙げているが、部屋の広さの都合などで、大型TVが入れられないという人は、こちらも検討してみるといいだろう。
自腹で買ってみました! |
Dell、HDCP接続対応PC用モニター「E207WFP」
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● HDCP対応モニタに「HDMI>DVI変換ケーブル」を使ってPS3を接続
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DVI端子に接続して720pで出力しているところ |
DellのHDCP接続対応のPC用モニター「E207WFP」を使い、PS3とHDMI>DVI変換ケーブルで接続してみた。HDCPとはデジタル信号を暗号化するコンテンツ保護の技術。DVI端子、HDMI端子に用いられているものだ。家庭用ゲーム機ではPS3が対応しており、変換ケーブルを用いて接続しても、モニタ側がHDCPに対応していなければ、画面は表示されない。
さて、Dellの「E207WFP」は、20.1インチワイド液晶のエントリークラスに含まれる製品。最大解像度は1,680×1,050、輝度は300カンデラ、コントラスト比は800:1、応答速度は5ms(白黒間)となっている。入力端子にはDVI-D(HDCP対応)、D-sub15ピンを1つずつ搭載。価格は同社が行なっているキャンペーンもあって時期によって変動しているが、オンラインでの購入時で税込み約4万円だった。手元に届き使ってみると、明るくコストパフォーマンスとしては十分に感じたが、液晶パネルがTN方式のため、正面以外では変色が起こってしまうのが少々残念。
PS3とHDMI>DVI変換ケーブルを使用して接続してみたところ、PS3側で適切な解像度が選択され、あっさりと画面が表示された。このときの出力解像度は720p。設定を変更して1080p、1080i(480pはデフォルト設定として選択されたまま固定される)を試してみたが、当然いずれも表示されなかった。モニタ側の解像度が足りないという理由で表示されないものと思われる。
バンダイナムコゲームスの「リッジレーサー7」をプレイしてみたが、速いコーナリングなどで多少残像が気になるものの、十分にプレイは楽しめた。ゲーム用途ということなら当然ではあるが、液晶パネルの応答速度は気にしたいところ。ちなみに音声はHDMIから映像信号と共に出力されているものの、DVIに変換した時点で失われている。そのため、別に光デジタル出力で光デジタル入力対応のアンプやヘッドフォンに接続するか、AVケーブルの音声端子をミニジャックなどに変換してスピーカーと接続することになる。
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HDMIからDVIというデジタル信号同士の変換ゆえか劣化なども感じられず、綺麗に出力された |
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PS3でPS2タイトルの「もじぴったん」を起動。上下左右の表示領域が縮められているが、遜色なく画面が写る |
続いて、プレイステーション 2用のソフトを起動させてみた。使用したのはバンダイナムコゲームスの「言葉のパズル もじぴったん」とSCEの「ワンダと巨像」。720pで出力されているホームメニューからそのまま起動したが、特に設定を変更することもなく両ソフトとも起動した。ただし画面いっぱいに表示されるのではなく、上下左右が多少狭められた範囲に表示された。
「もじぴったん」の表示は良好。「ワンダと巨像」では4:3と16:9の比率変更とプログレッシブの切り替えができる。インターレースでも表示はされるが、文字などがぼけた状態になってしまった。チラつきも大きく起こっていたためプログレッシブを使用した。続いて比率を16:9にしてみたが、全体が細長くなり違和感が出てしまった。4:3のプログレッシブが適しているようだ。PC用モニタを変換接続した特殊なケースではあるため、多少の弊害が出ているように思えるが、基本的にはPS3タイトル、PS2タイトル共に問題なくプレイができる。
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「ワンダと巨像」を起動。左が4:3、右が16:9だ。16:9では全体が細長くなってしまい違和感が出た |
このモニタに限らず気をつけたいのは、HDCP対応のモニタであっても、HDMI>DVI変換の接続表示を保障するものではないということ。変換接続での使用を考えて購入するなら、事前に購入者の意見を聞くなり、ネット上の情報を模索するなどして情報を集めてみよう。
変換ケーブル経由の接続も問題ないPCモニタがあれば、PS3とPCで設置場所を共用でき、安価に高精細映像を出力できるという点においてPC用モニタを利用する方法はありだろう。ただ、液晶ゆえの残像に関しては、安価なモニタでは解消されていないことも考慮に入れておきたい。さらに、PCモニタであるため、インターレース表示に対応していないものも多いので、720pや480pといったプログレッシブ表示に設定しないとうまくいかない。
多少コストはかかるが、最近は残像低減処理に工夫されたモニタも多数登場しているので、試してみる価値はありそうだ。
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□ソニー・コンピュータエンタテインメントのホームページ
http://www.jp.playstation.com/
□「Wii」のページ
http://www.nintendo.co.jp/wii/
□Xbox 360のホームページ
http://www.xbox.com/ja-JP/
(2006年12月18日)
[Reported by ゲーム環境向上委員会]
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