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「Angel Love Online」は、レベル制と技法(スキル)制を併せ持つ2DベースのMMORPG。細かく書き込まれた2Dグラフィックスで世界を表現し、ロボットのような乗り物「機甲」やペットシステム、多彩な装備で個性的なキャラクタを表現できる。また、近日台湾ではRvR要素を導入する予定である。 開発元であるUserJoy Technologyは台北市の南側、中和市にある。新興のビジネス街のビルの17階にオフィス、開発スタジオを構え、150人ほどのスタッフを擁している。「幻想三国志」シリーズ、「三国群英伝」シリーズなどのパッケージゲームで人気を博している会社だが、近年では、「三国群英伝Online」や「Twin Heroes」といったオンラインゲームを積極的に展開している。中国にも子会社を設立し、そちらでは30名ほどの社員が働いている。
「Angel Love Online」はデザイナー10名を含む25名のスタッフにより制作されている。日本での展開では、一次ローカライズをUserJoy Technologyが行ない、そこからキューエンタテイメントがより自然なローカライズを行なっていく2段構えのローカライズを行なう。本作はストーリー要素が濃厚で、テキスト量はかなり多く、ローカライズはかなり大変な作業とのことだが、スタッフの日本展開への意気込みに支えられて作業は順調に進められているようだ。
■ 30以上の技法と、服装やペット乗り物などで自分だけのキャラクタを追求
本作の第一の特徴であり、ユーザーの評価が高いのが、その充実した技法システムだ。プレーヤーは武器攻撃技法、魔法技法、攻撃速度が速くなるようなパッシブの技法や、採取や製造といった生産技法、ロボットをうまく使える操縦技法など、30以上の技法から6つを選んでキャラクタの「職業」を決める。初心者向けにはオススメの技法がセットされている14種類のテンプレートが用意されている。 魔法技法には、体力や状態を回復させる「治癒系」、アンデッドモンスターを召喚できる「暗黒系」、呪いにより敵のステータスを下げる「精霊系」、キャラクタの能力をアップさせる「大地系」の4系統が用意されている。技の方は使用する武器によって異なっていく。武器は大別すると刃(刀剣)、槍、斧、弓、盾の5種類がある。採取は採掘や魚取りなど4種類、製造スキルは武器や防具など5種類。魔法戦士といった技法構成も可能だが、移動速度上昇や、最大HP追加などの技法を組み合わせて「接近戦のエキスパート」といった育て方もできる。 技法はレベル制になっており、繰り返し使用していくことでレベルアップしていく。キャラクタはレベル20までは技法を自由に入れ替えることができる。プレーヤーはレベル20までキャラクタを育て上げる間に必要な技法、プレイスタイルを決定し、キャラクタ像を確立させていく。ちなみに、レベル20以降の技法の取り直しは課金アイテムが必要になる。 課金アイテムでキャラクタの枠を増やすことで、プレーヤーは1アカウントにつき、3人までキャラクタを作ることができる。さまざまな方向性を持たせたキャラクタを追求していくのも楽しそうだ。 キャラクタの思い入れを更に深くするのがアバター要素だ。本作には多くの鎧や服が登場する。この装備にはアイテムを使うことで“スロット”を作ることができ、ここに攻撃力アップや属性攻撃、属性抵抗といった性能を持つ宝石をはめ込むことが可能だ。武器や防具にはモンスターからドロップされるレアアイテムや、NPCが販売していないプレーヤーの生産でしか入手できないアイテムもあり、ゲームを進めていくほどに、より強力なアイテムを探す楽しさが増えてくる。 加えて、本作ならではの要素として「ペーパードールシステム」がある。これは非常に特殊なシステムで、キャラクタは通常の装備に加え、“見た目”の装備をつけることが可能になっているのである。騎士の鎧を着込み、高い防御力を持ちながら、見た目はセーラー服の女子高生風、といったギャップのある装備が可能になる。本作は、海賊のコスプレや日本風の着物などユニークな装備も多い。本来の鎧にまったく左右されないが意見を選択可能なシステムは、装備を選ぶ面白さを倍加させるほどのインパクトがある。 「機甲」は、ぱっと見ただけでユーザーをゲーム世界に引き込むほどの魅力を備えた一種の「ロボット」である。この機会の乗り物には、巨大な犬のぬいぐるみのようなものや、招き猫の姿をしたもの、コアラの姿をしたものなど、全体的にかわいらしいものが多い。「運転」の技能や、キャラクタレベルによって制限を受けるが、クエストをクリアしたり、課金アイテムを購入することで搭乗可能だ。 ちなみに、最も初期に乗ることができる乗り物は“樽”に一輪車のタイヤを付けたもの。樽の真ん中に穴があく仕掛けがあって、そこからバネ仕掛けのパンチが飛び出す。機甲は戦闘だけでなく、採掘の効率を上げるといったさまざまな特性を持っている。機甲に乗って戦う場合は、純粋に乗っている機甲の性能に左右される仕組みで、生産職が戦闘に参加するために乗り、普段は採掘用にする、といった使い方も可能だ。 この他に乗り物は、トカゲや巨大なブタなどさまざまなものが用意されている。この乗り物は、各国によって販売されているものが違うという。この乗り物に乗っているプレーヤーは戦闘技法も使うことができる。また、これとは別にプレーヤーの後をついてくる「ペット」が用意されていて、こちらは経験を積むことで姿を変えるほか、レベルが上がることに「攻撃力を上げるか、防御力を上げるか」といった選択に迫られ、それによりより個性的な存在に進化していく。
「Angel Love Online」の世界に入ったユーザーは、その独特な世界に圧倒されることになるだろう。ある人はりりしい鎧を着て、ある人は簡素な鎧に棍棒、ある人は学生服姿で、その横では巨大な猫型ロボットに乗っている人が友達と話をしている。目の前を巨大なトカゲに乗った騎士が駆け抜ける……。「これから先、自分はどんなキャラクタに成長するんだろう」と、ワクワクする気持ちがわき上がってくるだろう。
■ ギルドの頂点を目指し、国の代表として戦いの中心を担うRvR
「Angel Love Online」には4つの国家がある。プレーヤーはこの世界にはびこる悪の元凶と戦うために「エンジェル学院」の天使の元で冒険の基礎を学び、悪と対決するため4つの国に降り立つ。1つ目の国家は秩序を重んじる騎士の国「聖光城」、2つ目は暗黒の神秘を学ぼうとする人々が集う「永夜城」、3つ目は、自然と調和する「和風林」、そして4つ目がテクノロジーに注力した「鉄林堡」である。国家に所属したプレーヤーはその国ならではのクエストに挑戦し、国ごとに張り巡らされた陰謀を解き明かしていくことになる。 来週台湾で実装されるRvR要素では、4つの国家に競争要素をもたらすことになる。1週間に2回、1度に3時間、現在とは違う戦争マップがオープンし、プレーヤー達はここで領土を奪い合うことになる。この新しい戦闘地域には12個のトーテムが設置されている。このトーテムは最初、イベントに先がけて開催されたギルド戦で決定したそれぞれの国の代表ギルド、ベスト3が掌握している。 ある人はギルドのため、ある人は国家のために武器を持ち、この戦闘フィールドに参加することとなるだろう。トーテムの周りはその支配権をめぐって激しい戦いが繰り広げられる。トーテムをある国家が奪った場合、その戦いに貢献したギルドが支配権を獲得することになる。プレーヤー達はまず国内のギルド戦に勝利し、その後にトーテムの支配権を狙う他国の兵士と戦うのである。 このトーテムの奪い合いで活躍するのが生産職だ。トーテムを奪うための破壊工作や、修理は戦闘キャラクタでは対応できず、生産技法を持ったキャラクタだけがそれが可能になっている。戦闘職のプレーヤーがいかに生産職のプレーヤーを守れるかが勝利の鍵となるだろう。また、生産職は防御効果の高い砦を建てることもできるという。 トーテムを維持したギルドは次の戦争まで恩恵が与えられる。それとは別に戦争で活躍したプレーヤーは国家貢献ポイントが付与され、高いプレーヤーは国家での地位が高まる。上位のプレーヤーにはランダムでアイテムが手にはいる福袋などが送られる予定だ。今回話を聞いた限りでは、少しギルドに限定されてしまう恩恵が多い感じで、小さなギルドなどに所属しているプレーヤーが意欲を持って国家戦に挑むかどうかは少し疑問に感じた。実装してどんな反応が出てくるかは注目したいところだ。 この他にも「Angel Love Online」は、大貧民や五目並べが対戦できるようになる課金アイテムや、サーバーを超えて会話をできるシステムなども搭載している。ゲームの説明を聞き、デモプレイを見て、かつ開発スタッフの話を聞いていて伝わってくるのは、「オリジナリティのあるゲームを作りたい」という強い想いだ。
本作は、「プレーヤーが自分だけのキャラクタとして思い入れを込めることができるシステムを構築したかった」というテーマで制作が開始されたという。さまざまなアイデアにより、ある程度そのテーマは実現したといえる。現在はそのキャラクタをより強くし、より活躍できる場所の提供、というフェイズに進んだように感じる。これだけ要素が詰まった「Angel Love Online」が日本でどう受け入れられるか、日本のユーザーのためにキューエンタテインメントがどんなアプローチを行なうか、今後の展開がとても楽しみなタイトルである。
(C) 2006 UserJoy Technology Co., Ltd.
□キューエンタテインメントのホームページ (2006年11月17日) [Reported by 勝田哲也]
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