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会場:韓国国際展示場(KINTEX)
入場料:5,000ウォン(約500円)
NCSoftはいち早く多数の試遊台を設置してプレーヤーをもてなすようなブースの出展方法を提示したメーカーだが、今回もまた、新しい出展イメージを打ち出したといえるだろう。シンプルで洗練されたイメージは、SCEや、MSなどのブースでも見られるが、ゆったりくつろげる、という雰囲気は他のブースにはないものだと感じた。 それでいながら、来場者がその雰囲気やイメージだけに惹かれて訪れる、というわけではない点が印象的だった。ブースを見ていて強く感じるのは、プレーヤー達の「AION」への強い興味である。本作は韓国に先がけてE3で初公開された。韓国のユーザーの前に「AION」が姿を現わすのは、今回が初めてだ。試遊台はどれも常に人がいて、スキルをチェックしたり、武器をチェックしたり、ムービーを腕組みしてずっと見ていたりと、それぞれが思い思いのスタイルで、作品を楽しんでいた。 今回、NCSoftは「AION」の他に、「ATrix」をコーナーを設けて展示しており、こちらも大盛況だった。「ATrix」は最大32人で戦うことができる対戦アクションゲームだ。今回は、主に隣り合ったプレーヤーとの1vs1の対戦や、4 人での対戦を体験できた。 「ATrix」は、5頭身ぐらいのかわいらしいキャラクタが激しいアクションで戦い合うコミカルで楽しい作品だが、筆者には、何よりも戦う舞台が面白かった。漂流する氷の上や、ものすごいスピードで移動するトロッコの上など、見ているだけでもハラハラしてしまう足場でバトルが行なわれている。更にこの場所は一定時間ごとに崩壊したり、巨石が迫ってきたりと、さらにピンチをあおる。 その展開も繰り返されるものではなく、さまざまなバリエーションがあって、思わず驚きの声を上げてしまう。見ているとつい、試遊台に触ってしまいたくなる魅力を持ったゲームなのだ。「AION」とはまったく別なベクトルを持つゲームだが、NCSoftブースのもう1つの目玉として、大きな存在感を示していた。 今回、NCSoftは韓国や台湾メーカーではおなじみの「ステージ」を一切廃し、それでいながら非常にうまくゲームをアピールしていた。グッズを手に入れるためにステージに群がるファンはいなくても、ゲームを体験することを目的としたプレーヤー達が集い、楽しむことでブース全体が大きな活気を持つことを証明して見せたその手腕は、感心させられるものがあった。少数のタイトルで、くつろぐ空間を作るという方向性は日本や海外メーカーでも取っていないアピール方法であると思った。
少し難点があるとすれば、「AION」はE3と同じ、1つのストーリーを体験できる特別バージョンが出展されていたのだが、そのためにプレーヤーが時間を占有する時間が長めで、プレイできないままブースを出て行く来場者も見られたということだ。更に来場者が増える週末、NCSoftのこの新しい試みが、来場者からどのような評価を受けるかは気になるところだ。
■ E3から更に進化し、より豊かで美しい世界を提示した「AION」
キャラクタのクラスは、武器を得意とするソードマン、魔法を得意とするウィザード、弓を使うアーチャー、素早い攻撃をするレンジャーが存在する。今回筆者は試遊台でソードマンとウィザードを体験できた。ソードマンは巨大な杖のような武器を振り回すことも可能で、倒れた敵の脳天に重い杖を振り下ろすなど凝ったアクションが爽快だった。 今回驚かされたのはグラフィックスの進化である。E3のバージョンと比べて世界はよりスムースに表示され、遠くの風景までじっくりと眺めることができる。空を飛ぶ巨大なエイや、地中から突然現われてくるワーム、さらには幻想的なイメージの優雅な曲線を主体とした建物など、プレイ進めていくごとに「AION」の世界へと引き込まれる。E3では移動に少しひっかかるような部分があったが、今回の移動は快適で、密林、岩場、砂浜、溶岩地帯と、イメージが変わっていくのがとても面白かった。 前回との違いに気をつけてプレイして気がついたのは、キャラクタの顔に東洋的なイメージが付与されているところや、キャラクタの描画の細かさ、そして溶岩の吹き出る火口の熱でゆがむ空気の表現などである。グラフィックス面、レスポンスで大きく進化していると感じた。熱心なユーザーは、スキルをタイミング良く押すことでコンボが発生するかどうかを調べていた。敵の体勢を崩して追加攻撃、というところはできたものの、「CABAL Online」などのようにコンボを前面に押し出したシステムとは違ったシステムだと感じた。 「AION」は今回の出展はまだイメージを提示しただけで、実際的なスケジュールは来年の夏近くになるということで、まだテストが行なわれたり、具体的なゲームのシステムが明らかになるのはもう少し先になりそうだ。
E3の説明会では、「AION」は天族、魔族、龍族が3つどもえの戦いを繰り広げる世界が描かれるというコンセプトが提示された。また、プレーヤー達の行動が世界そのものに影響をおよぼすというこういった要素は、今回まだプレーヤーの前に具体的なイメージとしては現われていない。どのようなゲームになるかは、今後も見守っていきたいところだ。
■ めまぐるしく展開する戦場で繰り広げられるドタバタ対戦「ATrix」
「ATrix」のキャラクタは巨大な剣を使う「グラディエーター」、棒術で戦う「ファイター」、2つの剣を使って素早い攻撃を繰り出す「サイファー」の3種類から選択する。ボタンはカーソルキーとA(防御)、S(ジャンプ)、D(攻撃)、W(つかみ)のキーを使って戦う。それぞれのボタンを組み合わせることで特殊攻撃も繰り出すことができる。 それぞれのキャラクタの攻撃方法、駆け引きも魅力的なのだが、それ以上に目を惹くのがステージの変化だ。激走するトロッコの上で戦っていたかと思うと、向こうから巨石が転がってきて、トロッコの端にいる人に大ダメージを与えたり、真ん中を残して足場が崩壊したりと、戦っている内にステージが変化するのだ。 ステージは、スタート地点からゴールまでが設定されており、めまぐるしく戦う場所が移動していく。プレーヤーは地形がもたらすアクシデントをあるときはかわし、ある時は利用して戦う。制限時間中は何度でも復活可能で、最も体力を温存することができたプレーヤーが勝利する。 ゲームは1vs1から、2vs2のチーム戦やバトルロワイヤル、最大で16vs16の32人対戦が可能となる。会場では2vs2までの対戦が楽しめたが、とにかく地形が「まさか」と思うほどに大きく変化するので非常に緊張感があり、見応えがある。また、戦う場所も、雪原、日本の城のような場所、地下のトロッコ、さらには火山地帯など多彩で、ゲームの豊かなイメージに圧倒されてしまう。
キャラクタの駆け引きなどではまだちょっと荒削りな部分は感じるが、豊かなイメージを持ったステージで、ガチャガチャ技を出して殴り合う、という戦いにおいては、技の精度を上げるより、地形をどううまく利用するかという、駆け引きが面白かった。敷居の低い、低年齢層のユーザーにぴったりの対戦ゲームになりそうである。
□G★2006のホームページ (2006年11月10日) [Reported by 勝田哲也]
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