★PCゲームレビュー★
滅び行く地球が究極のバトルフィールドに!!
遙かな未来を舞台にしたBFシリーズ最新作
「BattleField 2142」 |
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「BattleField 2142」(以下「BF2142」)は、EAの代表的なフランチャイズのひとつ「BattleField」シリーズの最新作だ。同シリーズは第二次世界大戦、ベトナム戦争、現代戦の各戦場をオンライン対戦で楽しめる代表的な戦略級のFPSとして知られているが、最新作では1世紀以上先の地球を舞台にした未来戦争を描いている。
ストーリーは、温暖化の影響でもたらされた深刻な環境破壊は、やがて氷河期の到来を招き、生活圏と資源の確保を巡りヨーロッパが主導するEU軍とロシア・アジア主導のPAC軍という2つの大勢力による地球規模の戦争へ発展、プレーヤーはどちらかの陣営に属し、敵対勢力を駆逐するという内容。現代より進化した装備と兵器が今までのBattleFieldシリーズとの決定的な違いだ。
歴史的な戦場や紛争が絶えない中東やアジアを舞台にした現代戦などを巧みに取り入れたデザインと「BattleField 1942」から脈々と受け継がれてきた優秀なゲームシステムが今作にどのようか形で受け継がれているのかをチェックしてみたい。
■ 新ゲームモード“タイタン”と未来戦争ならではの兵器が特徴
基本的なゲームシステムは、マスターサーバーによるプレーヤー兵士の管理、ランキングシステムやアワード、昇進による新装備の追加など前作「BattleField 2」の特徴を踏襲しつつ、未来戦争に相応しい架空兵器が多数登場する。もともとオンライン対戦メインのシリーズではあったが、今作よりゲーム起動時にオンライン認証が必須となり、より一層オンラインFPSとしての色合いが濃くなった。
「BF2142」において「BF2」との差異や新規に実装された機能を挙げると、まずプレーヤーの選べる兵科が見直され、「BF2」の7種類から4種類に削減された。エンジニアやメディックなどサポート系の兵科が持っていた専門能力は、残された兵科に統合されている。これには全ての兵士が前線に出て戦うことが本作のゲームデザインの前提としてあるためと解釈できる。
新規に実装された機能としては、ゲームモードが1種類追加され、BFシリーズにもともとあった「コンクエスト」に加えて新たに「タイタン」が追加された。
1、コンクエスト
BFシリーズおなじみのゲームモード。「チケット」と呼ばれる点数が両軍に与えられ、マップ中に点在する拠点を制圧したり、敵兵を倒すことによって敵軍のチケットを減らしていき、自軍より先に0にすれば勝利となるルールだ。チームワークも大事だが兵士個々の技量が自軍の勝利を左右する伝統的なゲームモードと言って良い。
2、タイタン
両軍に1隻づつ配備されている“空中空母タイタン”をどちらが先に破壊できるか競う新しいゲームモード。「Counter Strike」のようなルールを踏襲しているが、勝利を確定的にするまでにはプロセスが大きく3段階に分けられており、戦略性の高いゲームを楽しめる。
タイタン破壊までのプロセスとしては、
1、地上に点在するミサイルサイロを占拠する
タイタンの厚い装甲を守る全周囲バリアを破るにはミサイルサイロから発射される弾道ミサイルを連続して当てていくしかない。また、バリアを破った後もミサイルをタイタンに直撃させることができるので、ゲーム序盤~終盤までサイロの奪い合いが行なわれる。
2、計4つのジェネレーター制御コンソールを破壊する
バリアが破れると、敵軍タイタンの艦内に突入できるようになる。航空機やポッドを使ってタイタンに乗りつけ、艦内で迎え撃つ敵を対処しつつ4つのジェネレーターを制御するコンソールを破壊する。
3、原子炉を破壊する
4つの制御コンソールを破壊すると、タイタンを稼動させる源である原子炉への道が開ける。原子炉を破壊することで敵タイタンに決定的なダメージを与えることができる。
以上3つのプロセスで、敵タイタンの完全破壊を目指す。地上のミサイルサイロを確保(防衛)するチーム、タイタンを直接攻撃するチーム、あるいは味方タイタンを防衛するチームなど役割分担とチームワークが勝利の決め手になる「BF2142」の目玉ゲームモードだ。
登場兵器は戦車・装甲車・航空機のほか、新たにバトルウォーカーという二足歩行兵器が登場する。性能としては火力が増した戦車に近く、移動速度が遅いのと上下に激しく揺れるため3D酔いしやすいのが難点だ。
未来兵器らしく各兵器には一定時間攻撃を防げるバリアーやスピードを一時的にアップできるブースト、ポッドを射出し同乗者を目標物に投下するなどの機能が備わっており、それぞれSF世界ではおなじみの武器や機能が用意されている。
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新兵器バトルウォーカーは強力な火力を持つ |
ミサイルサイロからタイタンへ向けてミサイルが発射される |
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空中空母タイタン、倒すにはまずバリアを剥がす必要がある |
下から見上げるとタイタンの大きさがわかる |
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拠点を奪い合うおなじみのコンクエストモードも用意 |
最大64人までの本格的な市街戦も楽しめる |
■ プレーヤー管理は「BattleField 2」のシステムをそのまま踏襲
プレーヤーはアカウントを作成すると、最低一人以上の兵士を作成する。兵士の戦績や階級、取得したアンロックアイテムや褒賞、世界中のプレーヤーを対象としたランキングなどは、全てBFHQと呼ばれるメニュー画面で参照することが可能だ。このBFHQ画面上から対戦に参加したり、プレーヤーの現状確認や最新情報の入手などを行なう。
戦闘や各種戦闘支援を行なうことで得られるキャリアポイントを一定の得点分得ると昇進し階級が上がる。階級は新兵から総司令官まで44段階に分かれている。昇進すると各兵科の新装備を1つずつアンロックすることができ、新装備を手に入れることでスッピン状態の兵士よりも強力な火力と防御力を得ることが可能になる。どの兵科を強化して戦場に参加したいのか、プレーヤー好みのカスタマイズを施すことができる。
蛇足だが新兵が真っ先にアンロックすべき武器は手榴弾だ。兵士の戦いには欠かせないアイテムで、あると無いとでは戦闘力にかなりの差が出るだろう。
アワードは戦闘中に条件を達成することで獲得できる褒賞で、バッジ・リボン・ピン・メダルの4種類とそれぞれの褒賞が複数存在する。褒賞条件は様々だがバッジとリボンは兵士1人につき1つだけ、ピンは1ステージ中条件を満たせば複数個、メダルは1ステージ中に1個獲得することができる。アワードを得るとより多くのキャリアポイントを得れるため、プレイ中はアワード獲得を目指して頑張りたいところだ。
「BF2142」では、キャリアポイントとランキングというプレーヤースコアをマスターサーバー側で管理することで、「BF1942」時代に多くいたわざと仲間を殺すような行為を繰り返したり、チームワークを乱す行為を続ける悪質なプレーヤーに対してサーバー追放というその場しのぎの方法とは別に「ゲーム自体を根本的に面白くなくさせる」という手段を確立させている。
これら要素は「BF2」の時点で既に実装されていたが、BF2142でも引き続き採用されている。BFユーザーにとって馴染みやすいインターフェイスが引き続き提供されることにより、ゲームへのとっつきやすさを確保していると言って良いだろう。
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プレーヤーの階級と最新のアワードなどが表示される |
シングルプレイモードは5つのマップでAIと対戦が可能 |
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特定条件を満たすとアワードを得ることができる |
昇進で得たアンロックアイテムを装備して参戦 |
■ 「BF2142」の魅力はタイタンにあり!! チームワークがゲーム攻略の要
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地上からタイタンに攻撃を仕掛けてダメージを与える事もできる |
ゲームプレイはEU軍もしくはPAC軍のいずれかに所属して戦うことになる。各陣営に用意されている兵器の種類は共通だが、性能が異なるため、両軍の兵器特性を早く覚えることが必要だ。プレーヤーの兵科は偵察兵・突撃兵・工兵・援護兵の4種類からなり、それぞれの装備が異なる以外に、工兵は被弾した兵器を修理できたり、援護兵は弾薬補充できたりと兵科ごとに専門能力が備わっている。
前述の通り「BF2」からエンジニア、メディックなどのサポート系兵科の専門能力が削減されてしまい、直接戦闘に参加しないでサポートに回るという、戦場で戦う雰囲気を間接的に満喫するようなBFシリーズならではの楽しみ方が若干薄くなってしまった。
今回は、タイタンモードのように全員で攻め込むスタイルのゲームデザインを取っているため、いたし方のない感はするが、アンロックアイテムは大幅に増えているが、分量的には単純に減った兵科の分が他所に回されただけだったり、今回の措置は微妙に感じる部分もある。
筆者はタイタンモードをメインにプレイをしたが、このゲームモードは「BF2」以上にチームワークを重視したつくりになっていると感じた。タイタンモードは、ひとりのプレーヤーのヒロイックな活躍ではどうにもならない部分があり、司令官のタイタン移動のうまさ、ミサイルサイロの迅速な奪取、タイタン突入時のタイミング、タイタン突入中に敵にサイロを奪われないように拠点を防御するなど、役割分担のバランスが程よくわかっているプレーヤーが多いチームが、ほぼ間違いなく勝利をつかんでいる。チーム同士による真剣な対決が楽しめる。
また、最後の最後まで勝負がわからない緊迫感もたまらない。たとえ自軍タイタンのジェネレーターコンソールを全て破壊されて、あとは耐久力が0になるのを待つのみという状況で逆に自軍の兵士が敵タイタンの突入に成功して原子炉を破壊するという一発逆転もありえるため、最後の瞬間まで繰り広げられる必死の攻防戦がタイタンをプレイする醍醐味と言える。
兵器類は、直感的なインターフェイスを採用しているため、一通り乗り込んでみれば操作方法などは理解できるだろう。操縦以外にも銃座などに着けば支援攻撃も可能だ。戦車やバトルウォーカーはバリアーを短時間張れるため、しぶとく敵に対抗する戦い方も編み出せそうだ。タイタンにも空対空のガトリング砲や、対地攻撃兵器が備わっており、タイタンその物も大きな兵器として扱える。
ちなみに「BF2142」で一番ユニークな兵器はポッドだろう。兵士一人を搭載したポッドは射出されると放物線を描いて地上に落下する。落下位置を操作して目標に単騎で突っ込むという一種の特攻兵器だ。タイタンや装甲車(APC)に装備されており、タイタンに直接乗り込む際には欠かせない。操作が慣れるまでは若干難しいが、バトルウォーカー以上に「BF2142」らしい兵器と言えるだろう。
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兵科は4種類から選択することができる |
一部兵器はバリアをはって攻撃をしのぐ事が可能だ |
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兵器のコンピュータを一定時間フリーズさせる武器も存在する |
破壊されてしまったコンソール。敵の攻撃から守らねば!! |
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タイタン内の攻撃システム。地上や対空防御兵器を使用可能 |
ポッドで直接敵のタイタンに乗り込めるのは斬新だ |
■ 要求スペック以外にも回線環境と国内サーバーの整備が重要
前作「BF2」でも動作要求スペックの高さがPCゲームファンの中で話題となったが、「BF2142」も同じエンジンを使用しているので要求されるスペックは高く、むしろ推奨スペックはアップしている。もっとも、グラフィックス周りのオプションは充実しているため、描画関係の機能を調整していけば、最適な環境に近づけることは可能だ。
「BF2142」は基本的にネット対戦で楽しむゲームなので、PC環境と同時にネット接続環境(ゲームサーバー環境)も非常に重要だ。お互いのバランスがうまくとれていないと、例えばタイタンモードで敵タイタンの内部に侵入した際など、多くのプレーヤーが入り乱れるようなシーンでは露骨にパフォーマンスが下がり、うまく戦えなくなる。
ゲーム発売当初、日本のプレーヤーは、先行して立ち上がっていた回線状態の悪い海外サーバーに頼らざるを得なかったが、日本でも秘密基地Gamesが日本国内における公式ランクサーバーと、ゲームの発売元エレクトロニック・アーツの公式サーバーが立ち上がり、通信環境面で快適にプレイできる環境が整い始めている。「BF2142」のプレーヤーが増えるにつれてサーバーの増加は更に進むと思われる。
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筆者の環境では1,024×768ドット表示が限界なのが悲しい |
タイタン攻防戦での負荷増大は致命的だ |
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国内ゲームサーバーも段々と充実してきている |
ビデオオプションにはプリセットも用意されている |
■ 更なるゲーム進化による未来戦争絵巻に期待したい
本作のプレイ意義は、タイタンモードに尽きると言って良いだろう。タイタンは非常に良く出来たゲームモードであり、「BF2」から受け継がれた優秀なシステムとゲームデザイン上とあいまってプレーヤーにチーム単位による攻防戦の面白さを改めて実感させてくれる。筆者はこのモードをプレイしていて同じくEAの「Command & Conquer Renegade」のマルチプレイモードを思い出してしまった。ルールは微妙に異なるが、戦略性の高さと組織力こそ勝利の要という点で、同じ志向を感じる。
タイタンモードばかり推しているが、従来のコンクエストモードも64人対戦サーバーで市街戦マップなどをプレイすると、そこらじゅうのビルで攻撃が行なわれ壮絶なサバイバル戦が展開され、なかなか白熱したプレイが楽しめる。
熱心なBFユーザーであれば既に飛びついている事と思われるが、現状では豊富なエクスパンションキットが発売され、様々な新要素が追加されている「BF2」の方が総合的な完成度は高い。「BF2142」は現状タイタン以外にこれといった要素がなく、用意されているマップも少ないため、どうしても「BF2」には見劣りをしてしまう。
しかし、BFシリーズは常にエクスパンションキットによって戦場や兵器を追加し、完成度を高めてきた経緯がある。当然本作でもエクスパンションによる全体的なボリュームアップが待ち望まれる。タイタンに匹敵するような面白いゲームモードや、未来兵器らしい強力かつ凶悪な兵器や戦場となるマップの追加など更なる完成度向上に期待したい。
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大型兵器同士の戦いは迫力がある |
原子炉が破壊されれば勝敗が決する |
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タイタンが破壊される瞬間 |
チームワークがゲーム勝利の決め手だ |
(C) 2006 Digital Illusions CE AB. All rights reserved. Battlefield 2142 is a trademark of Digital Illusions CE AB. Electronic Arts, EA and the EA logo are trademarks or registered trademarks of Electronic Arts Inc. in the U.S. and/or other countries. SoundBlaster and the X-Fi logo are registered trademarks of Creative Technology Ltd. in the United States and/or other countries.
【BattleField 2142】
- CPU:Pentium 4 1.7GHz以上(同 3.0GHz以上を推奨)
- HDD:2.2GB以上
- メモリ:512MB以上(2GB以上を推奨)
- ビデオカード:128MB以上(256MB以上を推奨)
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□「バトルフィールド 2142」のページ
http://www.japan.ea.com/battlefield/2142/
□関連情報
【10月11日】EA、「バトルフィールド」シリーズ最新作
WIN「バトルフィールド 2142」10月20日発売決定
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20061011/bf.htm
【3月23日】エレクトロニック・アーツ、人気FPSシリーズ「Battlefield」最新作
PC版「Battlefield 2142」をこの秋に全世界で発売予定
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20060323/bf2142.htm
(2006年11月2日)
[Reported by GameDude]
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