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テーブルトークの「D&D」の場合、高レベルのキャラクタを育て上げるのは難しい。コンピュータゲームと違い、その場に人が集まり、個人が考えたシナリオをプレイするため、継続してプレイし続けること自体が難しい上に、キャラクタがもし死んでしまえば永久にゲームから消え去ってしまう。テーブルトークの「感触」を活かしたことでコアなファンから絶賛された「DDO」だが、このまま「高レベルキャラクタ向け」に進化していくとしたら、その世界はテーブルトークとは全く異なるものになっていくのではないだろうか。また、現在日本ではかなりコアなユーザーが本作をプレイしているように感じる。米国で本作はどのような受け取られ方をしたのだろうか? 「The Lord of the Rings Online(以下、「LOTRO」)」はトールキンの「指輪物語」を原作としたMMORPGである。「ファンタジー世界での冒険」という概念を生みだしたこの古典作品は、映画化で一気に日本での知名度を上げた。実はこの物語のオンラインゲーム化は映画化以前いくつかのメーカーが検討していたのだが、今までそれをなしえたメーカーはなかった。今回、Turbineは「DDO」と同じゲームエンジンを使い、開発に取り組んでいる。米国ではすでにクローズドβテストが行なわれたということで、ファンが待ち望んだ作品がようやく具体的な姿を現わしてくれることになった。 発表会では、原作を忠実に再現したこと、ゲームの中で実際に物語が体験できること、そして悪の帝王サウロンの軍勢としてもプレイできることなどがアナウンスされた。夢が広がる一方で、「一体具体的にはどのようなゲームなのか」は少し伝わりにくかった。原作ではフロドは伝説の指輪にまつわる大きな試練に立ち向かい、やがて「中つ国」を巻き込む大戦争に発展する。プレーヤーはその中でどんな役割を果たすことになるのだろうか。 そして、ゲームのシステムはどうなるのか。MMO+MOという「DDO」とまったく同じものになるのか、それとも違うのか。善と悪の大群がぶつかり合う映画のクライマックスシーンのような場面は是非とも体験してみたい。「LOTRO」ではそれが可能なのだろうか? さらに悪の軍勢として善のプレーヤーと立ち向かう場合、どういったバランスになるのか。今回は、こういった疑問をぶつけてみたいと思う。
■ プレーヤーの意見を取り入れて様々な要素を充実させていく「DDO」
Anderson氏: 2006年2月28日からローンチをしましたが、大変好評です。アメリカでは30万本のパッケージが販売されましたし、300万以上のキャラクタが作成されています。現在世界では、175万人以上のユーザーがこの作品をプレイしています。 編: アメリカのユーザーは「D&D」を知っているような比較的コアなプレーヤーが多いのでしょうか。それとも、MMORPG初心者ユーザーがこの作品でオンラインに触れた、というケースが多かったのでしょうか。 Anderson氏: 「D&D」ファンが多いです。「EverQuest」や「World of Warcraft」とは少しゲーム性が違うので、MMOに慣れ親しんだユーザーでもとまどわれた方もいたようです。「DDO」は今までのMMORPGと比べると、アクション性が高いこと、レベル上げの概念が少し違うこと、様々なテーマを持ったダンジョンに挑戦できることなどの特徴があります。 今までとは違ったオンラインゲームである、というところで受け入れられたと思っています。韓国など従来のMMORPGが盛んな国では、少し飽きがきているということもあり、「DDO」のような新しいタイトルは歓迎されると思っています。しかしこの作品は“カジュアルゲーム”とは言えないので、万人に遊んでもらえる作品ではないと思います。MMORPGファンに向けた作品ですね。 編: アメリカのユーザーがTurbineに寄せる意見としては、どんなものがあるでしょうか。 Anderson氏: リストにすると限りがないですよ(笑)。掲示板での意見や、CSに寄せられる意見、私たちがイベントなどでリサーチすることもあります。「ソロプレイをもっと増やして欲しい」ということ。これらはすでに拡張パック「トワイライトフォージ」で実現しています。 他にはもっと冒険の舞台を増やして欲しいという意見も多いです。こちらは拡張パック「フォーサケン・ランド」でダンジョン以外のオープンフィールドでの冒険が大きく増えます。今後の課題としてはPvP要素です。ソロプレイ、ランドスケープ(景観)、PvP要素、この3つが要望として大きかったものです。 編: ゲームのデザインやグラフィックスに関しての要望はありますか。 Anderson氏: 色をもっとはっきりして欲しいという声もあります。これは中国からの要望の声が大きかったです。「トワイライトフォージ」ではそういったことにも気をつけてみました。全体的に茶色がかった渋い色使いだったので、もう少し色鮮やかなフィールドを増やしています。もっとレベルの上限を増やして欲しいとか、もっとダンジョンを増やして欲しいという要望も強いですね。他にも、ゲーム内でのミニゲーム要素や、オークションハウスなども望まれています。 編: テーブルトークの「D&D」ではレベルの上がったキャラクタは神のように世界すら変えてしまう力を獲得しますが、このままレベルの上限が上がっていくと、「DDO」でもプレーヤーはそのような強大な存在になっていくのでしょうか。 Anderson氏: その答えは「No」です。オリジナルのゲームルールはできるだけ踏襲していくのですが、「DDO」はMMORPGですので、プレーヤーが神になってしまうことはありません。 編: PvP要素の場合、今までの対モンスターとはバランス、ルールが異なっていくと思うのですが、どういった点が変わってくるでしょうか。 Anderson氏: キャラクタによってはPvPに向かない職業もあります。バランスに関してはじっくり各要素を検討しています。そのため少し時間がかかりましたが、今後は皆さんに提示できると思います。そこの調整は細心の注意を払って行なっています。
■ 原作の足跡をたどって広がる「LOTRO」の世界。悪の側でもプレイ可能に
Anderson氏: 「LOTRO」は、ポスト「World of Warcraft」を目指した、次世代のMMORPGであり、「DDO」とはゲーム性が異なります。「DDO」はインスタンスダンジョンに焦点を絞り、パーティーやリアルタイムコンバットを前面に押し出しました。「LOTRO」は広大なフィールドで、ソロプレイも、パーティープレイも楽しめる作品となっています。かなり方向性の違った作品になります。 編: 日本語版プロデューサーの上田浩氏は、作品の概念として、「DDO」は「ウィザードリー」であり、「LOTRO」は「ウルティマ」的側面を持つ、と表現していましたが。 Anderson氏: なかなか良い例えだと思いますね。「DDO」はゲームプレイに関しては、FPSの様な要素もあると思っています。私は実は以前Electronic Artsにいたことがあって、「ウルティマ」シリーズに関わったこともあるんです。「LOTRO」は「DDO」とは全く異なる方向性を目指して作られているMMORPGです。 編: 「LOTRO」では、「悪の種族」でプレイできるのが大きな魅力ですが、このシステムをもう少し具体的に教えてください。 Anderson氏: この作品では、まず、人間、エルフ、ホビット、ドワーフという善の種族でゲームを進めることができます。そのゲーム性は、経験値を積み、レベルを上げ、スキルを獲得し、キャラクタを強化していくという従来のMMORPGを踏襲したものになります。 一方、モンスター側のプレイは全く異なります。「タイプチェンジ」という形でプレーヤーキャラクタは強化されていきます。スパイダーからオークへ、オークからウルク=ハイへ、というようにどんどん強力なモンスターに変わっていくのです。キャラクターが変わっていくことで強力な存在へとなっていきます。最終的にはバルログのような強大な存在にまで成長することができるのです。 次に実際のプレイですが、冒険をしていく世界「中つ国」はいくつものフィールドにわかれています。各フィールドでモンスターと善の種族が戦いを繰り広げるのですが、例えばフィールドによっては入口で「ここにはたくさんのオークがいるぞ、本当に入りたいのか?」といった警告を発してきます。 フィールドには善の種族で入ることも、“モンスターポイント”がある水準に達していればモンスターとしてフィールドに入ることもできます。「他の人は善の種族として入るけど、僕はウルク=ハイとして入ろう」ということができるわけです。フィールドには対象レベルが設定されていて、モンスターとしてフィールドに入る場合は、そのフィールドに適した種族、そして強さを持ったモンスターしか選択できないようになっています。 モンスター用のクエストも用意されていて、プレーヤーはそこでクエストをクリアすることでポイントを獲得し、より強力なモンスターになることができますが、フィールドの制限は受けることになります。強力なモンスターとなって初期のキャラクタのいるフィールドに行く、ということはできません。 モンスターのクエストの内容は「ホビットの村に行って15人のホビットを殺せ」といったかなりダークなものが用意されています。フィールドにいる善の種族のプレーヤーを倒すことでもモンスターポイントは獲得できます。善の種族でプレイをしているプレーヤーは狩りをしているとき、プレーヤーの操るモンスターを警戒しなくてはいけません。充分なモンスターポイントを稼ぐことができれば、別のフィールドでより強力なモンスターとしてプレイし、より強い善のプレーヤーと戦うことができるのです。 あるフィールドでは、ワーグ、ワーグリーダー、オークとしてプレイできますが、別のフィールドではウルク=ハイ、ホブゴブリン、トロールといった種族でプレイできます。モンスターは「棲息地域」が設定されているというイメージです。 編: 「LOTRO」はかなりPvP要素が強い作品といえるでしょうか。 Anderson氏: その通りです。ローンチまでには3つの要素を予定しています。「モンスターのクエスト」、「PKバトルができる」そして「インスタンスのフィールドによるヒーロー40人と、モンスター40体のプレーヤー同士の大規模PvP」この3つを実現できればと思っています。この作品ではギルドのことを「キンシップ」と呼びますが、ギルドによる「攻城戦」も楽しめるようにしたいと思っています。 編: 原作である「指輪物語」では、主人公のフロドが任務を終えることで物語は大団円を迎えますが、「LOTRO」では物語の時間軸はどのように表現されるのでしょうか。 Anderson氏: その質問に答えるためには、ゲームのタイムラインとランドスケープの配置を説明しなくてはなりません。「指輪物語」の地図はご存じだと思いますが、すべてのフィールドを一度に実装するのではなく、よりディテールにこだわって各地域を再現し、サービスを続けながら徐々に実装していこうと決めました。ゴンドールやローハンといった地域は小説がその舞台をふくらませていくのと同じように実装していきます。 シャイア(フロドの故郷であるホビット庄)から物語とゲームマップが始まりますが、すべての道筋を再現するのではなく、物語の劇的な部分をスナップショットのように取り出し、物語の舞台に実際に立っているかのような感覚をプレーヤーに体験してもらえればと思っています。物語は大きな流れとして進行していきますが、プレーヤーそれぞれの時間軸に合わせてNPCの台詞が変わっていきます。地域が増え、全体の物語が進行したとしても、プレーヤーが体験している物語の先をNPCがしゃべってしまうと言うことはありません。 エリアドール、ローハン、そしてモルドールと物語はすすみ、そしてフロドの冒険は終わりを告げる日が来ます。その時、フロドは故郷に帰りますが、シャイアはすでに以前のシャイアではありません。ゲームもまた指輪戦争後の世界も描く予定です。サウロンは復活を阻止されましたが、彼の闇の軍勢、そして悪の勢力がなくなってはいないことは、物語の中でも語られているからです。こういった要素もゲームの中で表現できたらな、と思っています。ただ、そこに行くまでは何年もかかるでしょうけど(笑)。すべてのマップを再現できた時には、私たちは老人になってしまうかもしれませんね。 編: プレーヤー達もゲームの中でフロドの足跡をたどっていくようになるのでしょうか。 Anderson氏: そうですね、第1巻、第2巻と進行していく原作の物語を追体験していきます。 編: 最後に、日本のファンに対してメッセージをお願いします。
Anderson氏: 「LOTRO」は世界的に有名なファンタジー小説を原作とするゲームです。より詩的な世界を体験してもらえるように心がけています。こだわりのキャラクタで「中つ国」を隅々まで体験してください。そのためには高い技術力と、美しいデザインを最善を尽くして投入していきたいと思っています。
□Turbineのホームページ (2006年9月27日) [Reported by 勝田哲也]
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