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会場:幕張メッセ 国際会議場
今年のゲーム業界のデータを引き合いに、依然としてゲーム業界が成長基調であることを示し、今後はゲーム業界が第2ステージに進まなければならないと示唆。これまでの業界動向、技術動向、ビジネスモデルなどを振り返りながら「これまでもゲーム産業は問題を乗り越えてきた」と説明。 次世代機への移行でコストが高騰するという指摘については、CD-ROMメディアが登場する直前も同様の状況であったと指摘。マスクロムからCD-ROMに移行することで、納期が短くなり在庫ロスが少なくなったり、プレスが早く行なえることにより納品の短縮で販売の機会損失が減少するなど、様々なイノベーションで乗り切ってきたと和田氏は説明する。「ここ20年で3兆円規模の産業に育つためには、ひとつではなく複合したイノベーションがおこらなければ発展しない」とした。 和田氏は「これまではリッチコンテンツへの単一進化だった。この問いしかなく、この問の答えを出すためになにをするかという方向しかなかった。しかしこれからは多様化していく。リッチコンテンツがダメなのではなく、それとは違う問いがあると言うこと。これまでと同じことをやっていればコストはかさむかもしれないが、ビジネスモデルが変わればチャンスはあると言うこと」と今後はドラスティックな変化が起こることが逆にチャンスともとらえられると示した。 ここで、CEDECでの基調講演と同様に、質的変換を行なうためのヒントを和田氏が列挙。たとえばこれまでのゲームのプラットフォームはゲーム機だけだったが、すでに携帯電話はもとより、携帯型音楽プレーヤーにもゲームは配信されている。和田氏は「面白いかどうかはわからないが、電子レンジの液晶画面でゲームをプレイするという発想もある。家電店に置いてある全ての商品がゲームの対象となるという考え方もできる」という。このほかにもインターフェイスの多様化、これまではディスプレイだけだったが、アウトプットデバイスの進化等も挙げていく。 ネットワークゲームについては「ゲームを定義すると、“あるルールに基づいたコミュニケーション”といえるだろう。この20年程だけ、その相手がコンピュータだった。そう言った意味ではネットワークゲームで、ゲームの本質に戻るのかもしれない」と和田氏らしい見方を示した。ゲームの制作については、完璧なものをリリースしてきたが、ネットワークになることで、データをユーザーが創ったり、サービス業へのシフトチェンジなど、これまでの発想とは違ったゲームの制作の仕方を模索しなければならないと提案している。 このほかにもビジネスモデルの変化にも触れた。これまでのパッケージモデルには物理的な流通が必要だった。しかし、ネットワークでの流通に変化することで少額課金などのシステムも導入されることで、様々なコンテンツを流通させることもできる。和田氏は「これまではメーカーの希望小売価格があった。そのソフトに感動して10万円支払ってもいいと思っても、6,800円以上は払えない。逆にソフトを遊びたいと思っても5,000円しか払う気のない人にとっては選択範疇外となる。そこにはアイテム課金など様々なビジネスモデルの変化によってこれまでとは違ったチャンスがある」と説明した。
和田氏は最後に「今後10年でゲーム産業が第3ステージへのさらなる進化を遂げるために、第2ステージへの質的転換が大切」と改めて強調。「第2ステージはチャンスであふれている」とエールを送るコメントで基調講演を締めくくった。 □東京ゲームショウのホームページ http://tgs.cesa.or.jp/ □TGSフォーラム http://expo.nikkeibp.co.jp/tgs/2006/business/ □関連情報 【8月30日】CESA、ゲーム開発者を対象としたカンファレンス「CEDEC 2006」開催 和田洋一CESA会長基調講演「ゲーム産業は第2ステージへ」 http://game.watch.impress.co.jp/docs/20060830/cedec.htm (2006年9月22日) [Reported by 船津稔]
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