|
会場:キャメロット本社
カジュアルゲームは、MMORPGのような大きな初期投資を必要とせず、開発費や開発期間もそれほど必要ではないことから、韓国ではすでに無数の新作が乱発されるような、一種の粗製濫造状態になっている。当然のことながら、その中で成功するのはごくわずかであり、ほとんどは日本に来ることもなく、鳴かず飛ばずで終わっている。成功するためには、圧倒的なオリジナリティと日々のプレイに耐えうる優秀なゲームデザイン、そして定期的なアップデートを支える開発力などが必要になってくる。こうした事情は、日本でも同様どころか、目の肥えた無数のゲームファンの存在により、より厳しい状態にあるといっていい。 そうした中、8月1日にイレブンアップから発表された「ゴルフだいすき!」は、久々の純国産の大作カジュアルゲームとして、ユーザーから高い注目を集めているタイトルだ。開発は、初代「みんなのGOLF」や「マリオゴルフ」シリーズを手がけてきたキャメロットが担当。ゴルフゲームの分野では、名実ともに国内最高峰の開発チームが、カジュアルゲームの中でも最激戦区であるオンラインゴルフゲームに参入するという、願ってもない展開である。 今回は、キャメロットのエンターテインメントプロジェクト「Gプラネット構想」と、そのフラッグシップコンテンツである「ゴルフだいすき!」について、開発総指揮を執るキャメロット代表取締役社長 高橋宏之氏と、代表取締役副社長 高橋秀五氏のおふたりに、 プロジェクト全体の構想と今後の展開について話をお伺いした。 前編では、主にオンラインゲーム市場への参入の理由と、Gプラネット構想について。後編ではGプラネット構想の第1弾タイトルとなる「ゴルフだいすき!」について話を伺っている。
■ イレブンアップとタッグを組むに至るまでの長い長い経緯
高橋宏之氏: やっと言えるなと(笑)。皆さんから「次は任天堂さんですよね」、「ゴルフですか?」、「テニスですか?」と聞かれ続けてきましたけど、違うとはいえないじゃないですか。 高橋秀五氏: 今までも散々「最近キャメロットは何をやっているんだ?」といわれてきましたから。「いやそれはもうイロイロと」としか答えられなくて(笑)。 宏之氏: 秀五がよく言うのですけど、僕らは今までセガさん、ソニーさん、任天堂さんのハードでやってきましたが、僕らが動いた先って、その後がどんどん良くなっていったんですよね。で、「キャメロットさんって、うまいよね」などと言われたりするんですけど、いやいや僕ら商売上手じゃないですから(笑)。 たとえばプレイステーションの時なんて、ソニーさんが立ち上げられた当初は、名の通ったメーカーさんがほとんど手を上げていなかったですから。そんなときに、ソニーさんから「ゲームというのはハードがあってソフトがあるのではなくて、ソフトがあるからハードを買う。本来そういうものであるべきだし、それを正すためにプレイステーションを作ったんです」といったお話を頂いたんですよね。 当時、私はセガさんと合弁会社(株式会社ソニック)の社長をやってました。それなのに「高橋さん、プレイステーションを見に来ませんか?」って言うんですよ。志は立派に感じましたけど、内情を聞くと、まだ当時は大手メーカーが誰も手を挙げていなかったみたいでして。それで僕らが最初に手を挙げたことで、その後大手も含め、ソフトの調達が楽になったみたいですけどね。そういう意味では、意外と先走っちゃうタイプ。今回もそうなのかもしれませんね。 編: 個人的にキャメロットさんは、プラットフォームを勝たせてきたメーカーという印象を持っています。その意味ではELEVEN-UP(イレブンアップ)、大枠でのWindows、あるいはPCプラットフォームを勝たせるクリエイターがついに来たかとワクワクしています。 宏之氏: いまって、ネットワークインフラとハードがものすごく進化していますが、「それをどうやって使うの?」という提案が無いと思うんですよ。僕らは仕事でもプライベートでもパソコンを持っているわけです。でも、そこにはまだ、偏った使い道しかない。それなのに、ブロードバンド回線が普及してきたら「これからはインターネットです」と通信インフラメーカーさんは言われるわけです。でも、本当にそのとおりになったのかと疑問に感じる部分がありまして。 いまはどこかユーザーだけが踊らされている面がすごく強いのですよね。シェアで勝つとか負けるとか言うよりも、そもそもパソコンとかインターネットの世界は、このままでいいのかと思ったんです。一方で、今ここでなんとかすれば、このマーケットのユーザーの方々が将来満足してもらえる環境が作れるんじゃないかとも思えたんです。そして、それは僕らだったらできるのにな、というのがかれこれ3、4年くらい前からあったんです。 一昨年前、韓国でゲームのフォーラムがありましてね、そこで基調講演をさせていただいたことがあるんです。そのとき、僕らはまだそれほどオンラインゲームに興味は無かったのですが、実際それがどういう遊び方をされているのか、どういうソフトが作られているかには興味があったんです。で、僕らだったらこういうやり方をするよなというのを革新できたんですね。 2001年に、任天堂さんがゲームボーイカラーを使ったモバイルシステムを出したとき、ウチにネットワークゲームを作ってくれないかと打診があって、僕らは「モバイルゴルフ」を作ったんです。「モバイルゴルフ」はやり取りできるデータ量が少ないけれど、その少ないデータ量の中でどんなことができるかを試してみたんですね。実験材料としても面白いなと思って作ったんです。だけど、当時僕らが考えていたことは、まだまだオンラインゲームで実現されていないんですよ。 そういう意味でも、オンラインゲーム業界ってそこからあまり進化してないように感じるんです。そんなところに、去年の2月頃、イレブンアップさんからお話がありまして。僕らもいろいろ考えていた時期でもあったんです。その時点でいろんな方面から、たとえばスポーツゲームを作ってくれとか、ハリウッドで映画とコラボレーションとか、たくさんのオファーは頂いていたのですが、僕らは単なる続編を作ったりもしないし、あまり商売上手でもないですから。それで、まずは僕のまわりで起こっている現象と照らし合わせて、僕らが持っているノウハウでこれからの時代に何ができるのかなと思ったときに、次のターゲットとしてパソコンというものがクローズアップされてきたんです。たとえば、変な話ですけど、いま「脳トレ」が流行っているじゃないですか。でも、あれって少なくとも僕らが作らなければならないテリトリーではないなと。 編: なるほど(笑)。私は勝手に、今後もキャメロットさんは任天堂のゲームを作られていくのだろうとばかり思っていました。そしたら発表会では、PC向けオンラインゲームを発表し、当分それに専念するという。「なぜなのか?」というの疑問が、まだ私の方で綺麗になっていないところがあります。 秀五氏: 同じ質問を社内からもされました。ある人からは「発作」と言われたりもしました。どうも、6年おきぐらいに起きてるというか(笑) 宏之氏: でも、僕らのことを結構知っている人たちからは、僕ららしいという感じで言う人もいるのですよね。キタキタみたいな(笑)。 秀五氏: 真面目な話をすると、初代「みんなのGOLF」を作ったとき、僕らには使命感みたいなものがあったんです。あの当時って、グラフィックスが良くなければゲームじゃないというような風潮があったじゃないですか。だけど、僕らにしてみれば、ゲームというのは絵を見せるものではないでしょ。ゲーム性を遊んでもらうものでしょう、と。極論ですが、絵なんてチープでもいい。ゲーム性、コンセプトに合っていればそれでいいと思うんです。 宏之氏: 当時はゲームのマーケットが凄くコアな方向に行きそうだったんですが、僕らはもっと自由にゲームを作って、いいものが売れていく健全なマーケットを作りたかったんですね。だけど実際は、ムービーが沢山入っているゲームは、プラットフォームメーカーが広告を入れるけど、ムービーが入ってないゲームには広告も打ちませんから、みたいなマーケットになっちゃったんですね。 編: つまり、業界に対するアンチテーゼとしての「みんなのGOLF」だったと? 宏之氏: ゲーム市場がコアなユーザーのものになってしまおうとしていたんです。だから、当時も「ゴルフゲームは5万本しか売れませんよ。MAXでも8万本ですから」と言われたものです。僕らからすると「何をいっているのだ!」と。「ゴルフのプレーヤーは1,000万人もいるんだ!!」と。僕らは5万人のためにゲームを作っているのではなくて、ゲームをやってないゴルフファン1,000万人のためのゲームを作りたいんですといって作り始めたんですね。 秀五氏: 実際は完成するまで契約もしてもらえませんでしたけどね(笑)。 宏之氏: 今回に関しては、インターネットに接続している人間が日本に7,000万人いる。そのうちの推定4,000万人くらいが何もやっていない。Yahoo!と楽天のユーザー数が、インターネットを有効活用している数だという推計があったのです。それが大体3,000万人。残る4,000万人は、あまりやることがないでいる。極論すると、Yahoo!や楽天のユーザー以外の人たちに、僕達がやることができたなと思ったわけです。
■ オンラインゲーム市場本格参入に対する抱負
宏之氏: 特にアジア圏のオンラインゲームに対しての意見なのですけど、ほとんど「ゲーム」になっていなくて、「コミュニティ」ですよね。「ゲーム」と呼べる内容になっていない。僕らはあるハードル以上のものじゃないとゲームだと思っていませんが、それをクリアしているものはぜんぜんないなと。 編: 高橋さんが「これは良いね」と感じるオンラインゲームというのは、たとえばどんなものでしょうか。 宏之氏: シューティングゲームみたいなもの(編注:FPSを指す)は欧米でよくありますよね。ああいうジャンルを僕らが実際に作るかどうかは別にして、まずは手間を掛けて作られているし、ちゃんと考えて作ってあるな、とは感じます。 僕らとしては、取っ付きの良さというのは大事だと思っています。そういう意味で、ユーザーインターフェイスというのは、ものすごく重要だと思ってまして、僕自身ユーザーインターフェイスがダメなものはダメなんですよ。「まずは使い方を覚えてね」といっている間に僕は撃沈するタイプなので(笑)、まずは僕が撃沈しないというのが最低条件なのですね。 編: そういう意味では、Wiiのコントローラはキャメロットさんとしてすごく刺激されるものがあったのではないかと思いますが。 宏之氏: そうです(笑)。 編: それを捨ててあえてマウスで勝負するというシナリオじゃないですか。PCプラットフォームだと、マウスとキーボードが基本的なインターフェイスとなりますが、それについてはどのようにお考えですか? 宏之氏: いや、ものすごくチャレンジャブルですよ。新しいインターフェイスにチャレンジしているわけですから。 編: ゴルフゲームですと、スウィングひとつとっても、ダブルクリックだったり、引いたりなどマウスならではのインターインターフェイスがありますが、今回はインターフェイスレベルで新しい試みというのはあるのでしょうか。 宏之氏: 基本的には今までのコントローラと一緒で、必ずしもマウスが最高だから選んだというわけではないのですよ。たとえば、マウスとキーボードって、まだまだ使い方が研究されていないだけで、まだまだやりようがある。新しいインターフェイスでチャレンジをするのは、僕らにとって義務だと思っていますし、新しい試みも今後いろいろやっていくつもりです。 編: 今回プロジェクトはかなり大きなものとなっていますが、その中でお二人の間での役割分担はどのようになっているのでしょうか。 宏之氏: 私が大きな絵を描いて、秀五氏にあとは収拾つけてね、という感じでしょうか。プロデューサーとディレクターという感じです。 秀五氏: やっていることは禅問答みたいなものですがね。いつも他の人には来会できないような話をしているようなのですが。 編: 海外展開というのはどの程度視野に入れているのでしょうか? 宏之氏: 僕らのゲームはいつも海外で受けがいいので、今回も海外のプレーヤーにも喜んでいただけるのではないかと思っています。 秀五氏: 僕らは、今までどこかの国を意識してゲームを作ったということはありません。よく「ターゲットはどちらですか?」と聞かれるのですが、「オールターゲットですよ」というのが僕らのいつもの答えなので。それは今回も同じです。 宏之氏: やってくれるすべてのユーザーさんに対して作らなければいけない気持ちがいつもあって、たとえば、「マリオゴルフ」は、初代「みんなのGOLF」の反省も入っていたので、ファミリーに喜んでもらえたと信じていたんですが、違っていたんです。 忘れもしないですよ。「マリオゴルフ」が発売された年末に、子供と一緒にデパートに行ったんです。「マリオゴルフ」がディスプレイされていて、小学校に入るか入らないかぐらいのお子さんが見ていたんです。で、「こういう子に遊んで欲しいな」と思っていたら、その子がコントローラを持って遊びだして、ショットバーを動かして、パワーを決めて、「次はインパクトだー」と思ってみていると、その子はインパクトの時にボタンを押さなかったんです。チョロするのです。何度やってもチョロする。これを見てね、僕はダメなゲームを作ってしまったなと思ったんです。子供にとって、ボタンを3回押すというのは、難しいんだなとわかったんですね。 それで、次にゲーム作るときはあの子が面白い! と思えるゲームを作ろうと思ったんです。それが「マリオテニス」だったんですね。その次の年に、郊外店のおもちゃ屋さんに行ったら「マリオテニス」がディスプレイされていて、子供が見ているわけです。その子はさらに1歳くらい若い幼稚園児くらい。前の年のトラウマがあったからおそるおそる見てたら、その子が一発目からサーブが打てたんです。だけど打ち返してきたら打てない。「やっぱりこのくらいの子ではダメなのかな」と思いましたが、4回か5回くらいやってるうちに帰ってきたボールを打ち返したんですよ。試合には負けたんですけど、1ゲームを最後までやってくれたんです。去年の子は1ホールも終わらないで行ってしまったわけですから。1ゲームとりあえず負けたけどやってくれたなと。でも、次のゲームに挑戦したらね、サーブ打って打ち返してポイント取ったんですよ。そしたら、その子がガッツポーズをして。僕も心の中でガッツポーズしてましたね(笑)。 編: 今回オールユーザーで国籍も問わないということですが、コンシューマですとどうしても物理的に展開していない地域、たとえばアジア地域などが展開できていませんが、今回PCですと本当にワールドワイドですよね。私の感触では、東南アジア地域、中国、香港、シンガポールといった地域でかなり評価されるのではないかという印象を持ちました。 宏之氏: とりあえず僕らはコンシューマゲームを作っているチームのトップクラスの1つだと思っているのですが、そういう人間達が作ったゲームというのを彼らはまだ遊んだことないと思うんですよ。だから、そういう人達にも是非遊んでもらいたいですね。そのときに彼らがどう感じるのかはとても楽しみです。 編: その一方でオンラインゲームというのは急速に発展したこともありまして、法整備の問題、RMT、不正行為など、いろいろな意味でカオスだといわれています。そういった事象に対してどのように取り組んでいかれるつもりですか? 宏之氏: 僕らとしては、気分的にコンシューマゲームを作っているという感覚がめちゃめちゃ強いんですね。いいもの作ったらユーザーは応えてくれると信じて。ただ、マーケットが違うというのは確かなので、その辺は慎重にならなくてはいけないと思っています。 秀五氏: コンシューマはコンシューマで特有なものがあるし。オンラインの世界にもいろいろなものがあるとは思うのですが、我々は、残念ながら肌ではまだその辺について感じていないわけです。ですから、実際やってみないとわからないということはあります。ただ、分かっている中でクリアできるものは技術的にはクリアしていきます。現在、BOTを動かしてどのくらいサーバーが耐えられるかをテストしているのですけれども、技術的な手応えは感じています。ただし、その辺に関しては、これからいろいろ勉強させていただくことになると思います。
■ 同時接続500万人!! 「Gプラネット」構想について
宏之氏: インターネットってどうあるべきなのだろう、インターネットがあることによって語れるエンターテイメントって何なのだろう? ということを自問自答していたのですよ。それこそ孫正義さんがブロードバンド時代が来ると言っていた時代に、何言っているんだ、実態がないではないかと。実態がないではないかといいながら、さて、俺にはあるのかと(笑)。じゃあ、それって一体何なんだろうと考えた結論が、今回のGプラネット構想だ、ということが言えます。 編: 私としてはキャメロットさんは、生粋のゲーム屋だと思っていたので、いわゆるポータル事業に乗り出すというのはちょっと意外な感じがしました。 宏之氏: いえ、ポータルというイメージは全然ないのですよ。 秀五氏: ポータルなのですねといわれて、「あ、こういうのがポータルって言うのか」というくらいの感覚です。 編: 確かにGプラネットというのはポータルという言葉では語りきれない高いポテンシャルを感じさせますよね。 宏之氏: ゲームというのは将来どうなるのだろうという視点から考えていったら、こうなったということでしょうか。たとえば、コミュニケーションの面白さを具現化したのが「みんなのGOLF」から以降のスポーツの世界なのです。わざわざ隣にいるのに応援メッセージとかやる人いないじゃないですか。でも、あえてテロップで出すことによって面白さが出たりする。わざわざそこを作りこんでいく面白さ、それを使う面白さですよね。 ですから、ネットワークゲームというジャンルそのものが、過去に僕らが面白がって作っていたことの後追いという感じがするのですよね。スポーツゲームを遊ばせるためにどうすればいいかということを考えていくと、やっぱりプレーヤー同士で対戦するのが楽しいよねと。協力もできたらいいよねと。ダブルスとかで協力プレイで4人対戦できたりとか、遊び方というのは実はどんどん進化させていっているわけです。その進化していっている姿の向こう側にGプラネットの形がおぼろげながら見えてきたんです。 編: オープンスペースの物理的な広さはどれ程度の規模を想定しているのでしょうか? 「ドラゴンクエスト」の街程度なのか、それともバーチャル世界のような途方もない空間なのか。 宏之氏: 発表会の時にも申しましたが、オープンスペースは半永久的に完成しない。どんどん広がっていく世界です。最初は「ドラゴンクエスト」だったのが「II」、「III」になって地下世界ができて天空世界ができてというような形で広がっていくのではないかと思います。 編: それは一種のMMORPGのようになりませんか? 宏之氏: 僕はMMORPGの実態がよくわかりません。だけど、MMORPGの中で起きている事象というのはものすごくチープなものに感じるんですね。僕らが今までに開発してきたRPGで起こしているものは、ものすごく高度なものです。オープンスペースの初期のイメージとしては、世界のサイズが「黄金の太陽」の後編くらいで、「ドラゴンクエスト」をやっている感じでしょうか。 編: ただ、オンラインゲームになりますと、無限のサイズというわけにはいきませんよね。サーバーという物理的な制約に加えて、ネットワークの帯域の問題もあります。もちろん規模が大きくなるほど、維持費もふくれあがります。MMORPGの同時接続者数が数千人規模、1エリア数百人規模に抑えられているのはそれなりの合理的な理由があります。一方でその少なさから真の意味でMMOではないという批判もある。そこでキャメロットさんは、1つのサーバー単位で何人くらいの同時接続を考えていらっしゃるのかな凄く楽しみにしているのですが。 宏之氏: 数を言ったら、おそらく「You are crazy」といわれると思いますね(笑)。 秀五氏: その辺は我々の持つ技術との勝負になってくると思いますね。入れるものだったら、入れるだけ詰め込みたいのが本音です。 宏之氏: 正義さんには全部言ったのですけれども、中身は今はまだいえないのですが、ある面白いアイデアがあって、その構想の中で1,000万人を同時に遊ばせたいって言ったのですよ。そしたら正義さんが関根勤みたいに体をよじらせて、「天才!!」って言ったのですよ。あの孫正義にそこまで言わせたのだから、たぶん面白いんだと思いますよ(笑)。その辺は今後のお楽しみにということで。 編: 発表会では日立製のブレードサーバーの採用も発表されました。通常のゲームポータルとカジュアルゲームを運営すると考えると、リッチ過ぎるほどの環境を用意されることになります。これは相当デッカイことを考えているのだなということは想像ができたのですが、なんと1,000万人ですか(笑) 片山氏: イレブンアップとしては目標500万人ということにしています。 秀五氏: 最初言っていたのはYahoo! BBの会員が500万プラスαですから、まずはその人達には全員会員になってもらいましょうねという考え方です。僕らは結構マジなのですけれどもね。 編: Gプラネットで、大事なのはコミュニティ機能だと思いますが、どういった構想をお持ちですか。 秀五氏: 僕らは、オンラインゲームを作っているメーカーとはまったく出生が違うメーカーですからね。コンシューマという畑で培ってきた僕らの集大成を載せようと思っているので、“そういうもの”を見せることができるのではないかなと思っています。すごく抽象的で申し訳ないですけど。 宏之氏: 私はコミュニケーションで一番大事なのはインターフェイスだと思います。それがもっとも今まであったものと違う部分だと思います。 編: 今までですとキーボードによるチャットが中心ですが、そこがハードルであり、そこを変えていくと? 秀五氏: 人によって感じ方はいろいろあるかと思うのですが、ユーザーインターフェイスが良くないと、一定以上先に進むのは嫌な気分になっちゃう。そういう風にならない、入ったら面白そうだなと思わせるユーザーインターフェイスというのは絶対あると思うのです。 編: PCというのは無限の可能性があります。たとえばカメラをつけたりですとか、ヘッドセットを付けたりですとか、Xbox 360ですとボイスチャットを使えば、FPSをやりながらコミュニケーションが取れるという非常にシームレスなコミュニケーションシステムを取り入れています。キャメロットさんは何をやるのでしょうか? 秀五氏: 今の時点で何をやるとは言えませんが、それとはちょっと違いますね。 宏之氏: あまりハイエンド側ではないですね。むしろ手軽で、親しみやすいという。「笑顔あふれる」という今回のキャッチフレーズではないですけど、僕らの持っているコンセプトがもともとそっちよりなんです。たとえば、最先端のグラフィックスを使ったゲームに我々が対応できないわけではない。でもそれは全てのユーザーが求めていることなのかと。もしくは潜在ユーザーの7割がそれを求めているのかと考えると、僕はノーだと思うのです。 たとえば「ドラゴンクエスト III」や「IV」レベルのグラフィックスのゲームはダメなのか、ゲームファンとして許せないのか。あのグラフィックスでいいというゲームってあるのではないかと思うんです。ユーザーに新しいモチベーションを与えるだけのゲーム性や内容を有しているかどうか、むしろそっちがポイントなのではないかと思っています。僕は、現在ゲーム離れが進んでいるのは、ユーザーの無言の抵抗なのではないかと思っているのです。どれをやっても一緒、絵が違うだけ、1本やればわかったよと。コンピュータゲーム業界、ビデオゲームの、特に日本のマーケットの問題点ではないかと勝手に想像しています。 そうではなくて「ゲームは楽しいものですよ」というのを、僕なりにゲームというものについて、潜在ユーザーを含め、問うてみたいということです。「ゴルフだいすき!」にしても、パソコンに乗せるから横滑りの移植版でいいなんて思わない。なぜ僕らがパソコンでゴルフゲームを作るのか、ということが入っていなければ作る必要ないわけですからね。
以下、後編へ
□イレブンアップのホームページ (2006年8月24日) [Reported by 中村聖司]
また、弊誌に掲載された写真、文章の転載、使用に関しましては一切お断わりいたします ウォッチ編集部内GAME Watch担当game-watch@impress.co.jp Copyright (c) 2006 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved. |
|