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会場:COEX太平洋ホール
入場料:無料
■ アニメファンにもアピールするキャラタ性、ストーリー性の強いMMORPG
さらに歴史上の人物を仲間に加え、より強いパーティーを編成することが可能だ。MMORPGでありながらプレーヤーは1人で最大6人のキャラクタを操作することができ、ソロプレイでシナリオを進めることもできる。 Gravity Festival 2006では本作を実際にプレイすることもできた。パーティーはすでに様々な時代の人物が編入されていて、日本刀を持った武士や、青龍偃月刀のような長柄の武器を持った中国の武将などが確認できた。一方、主人公はライフルを持っていて、時代設定のごちゃ混ぜぶりが本作の世界観を端的に現わしているようで、楽しい。 キャラクタの操作は移動地点をポインタで指定し、そのまま攻撃するオーソドックスなもの。RTSのように、左クリックでドラッグすることで範囲を指定し、パーティーメンバーを選択し、まとめて移動させることができた。マウスのホイールで操作をするキャラクタを瞬時に変更可能だが、主人公を中心に画面がスクロールするため、他のキャラクタでは長距離を移動できない。キャラクタ、フィールド共に2Dグラフィックスで描かれていて、画面の回転、拡大縮小はない。 戦闘ではそれぞれ攻撃の射程が違い、慣れるとライフルで敵を引き寄せ日本刀を持ったメンバーが接近する、といった戦いができそうだ。敵の中には範囲の広い爆弾を使うものもいたり、移動と攻撃をうまく工夫することでもっとうまく立ち回れるように感じた。6人いるメンバーをどう使いこなすかが楽しい作品である。スキルは主人公に関連するものと、パーティーメンバーが使用するものがまとめてショートカットに登録できる。主人公に比べ仲間のスキルは数が少ないようで、有効なスキルを持っている、というのも仲間の選択には重要なポイントとなりそうだ。
ゲーム部分以外で印象に残ったのは本作の「キャラクタ性の重視」の方向性である。特にアニメーションで描かれたオープニングムービーは、キャラクタがよく動き、楽しい。神秘的な雰囲気を持った敵キャラクタや、笑顔を振りまくヒロイン、「るろうに剣心」や「BLEACH」のような少し線の細い幕末の志士たち、といったキャラクタがめまぐるしく登場し、見ているだけでストーリーの概要が把握できる。ゲーム内や公式ページでもふんだんにイラストが使われており、韓国の「アニメファン」に強くアピールしている作品だと強く感じさせられた。
■ 「Time・N・Tales」開発者インタビュー ・ 坂本龍馬やアーサー王が登場する、歴史を題材にしたストーリーライン
Peter氏: JP.Jungは総合的なプロジェクトマネージャーを担当しています。私はディレクターとして全体の管理をしています。 編: 最初に「Time・N・Tales」以下、(TNT)はどのような特徴を持ったゲームであるか教えてください。 Peter氏: やはり、1人のユーザーが6人のキャラクタを使うことができる「ワンマンパーティーシステム」という点が他のゲームと比べて大きく異なっている点だと思います。そしてもう1つの特徴が、歴史上で実際に存在していた人物を自分のパーティーにくわえることができるということ。ストーリーごとに、ゲームのテーマ、雰囲気もまったく変わっていくオムニバス形式のシナリオも大きな特徴です。 編: 現在、テーマとしているストーリーはいくつぐらいあるのでしょうか。 Peter氏: 韓国、日本、イギリス、中国です。これらの国のある時代をプレーヤーは旅をしていきます。歴史を変えようとする悪者を追って、彼らを阻止するためにプレーヤーは過去に旅立つことになるのです。 編: ストーリーはプレーヤーごとに変化するような選択肢、分岐点はありますか。 Peter氏: ストーリーの分岐要素は存在していません。プレーヤーはゲームを進めることで様々なストーリーを体験していくのです。4つの時代のストーリーも順番は決まっていて、韓国のストーリーは低レベルキャラクタ向け、それをクリアすると日本、イギリス、といった展開になります。 編: ゲームを実際にスタートしてみて、手応えとしてはどうでしょうか。 Peter氏: ユーザーからは「今までのMMORPGとは違って、気軽にプレイができていい」という意見が多いです。ゲームのハードルが低い、易しいゲームだという点が評価されています。現在のMMORPGはパーティーメンバーを集めないと冒険が始められないというゲームが多いです。「TNT」は1人でもプレイができるようにすることで、手軽に進めることができるようにしました。 編: 「TNT」は、ずっとソロプレイだけで進める、というのは可能なのでしょうか。 Peter氏: できないわけではないですが、パーティープレイをすることでシナリオを進めやすい場面もあります。 編: 6人のキャラクタを操ってゲームが進められるとのことですが、6人分のキャラクタをいきなりプレーヤーが作成し、ゲームを進めることはできますか。 Peter氏: 可能です。その後ゲームを進めることで歴史上の人物を「傭兵」としてプレーヤーの仲間にすることができますが、彼らを仲間にする条件は厳しく、努力が必要となります。 編: 歴史上の人物とは、どういった人たちが登場しますか。どのキャラクタに人気が集まっているでしょうか。 Peter氏: 日本だと「坂本龍馬」、イギリスだと「アーサー王」、中国だと「劉備」などの三国志の英雄達です。プレーヤーはゲームの中で有名な歴史の一場面に居合わすこととなります。今のところゲームは8月から正式サービスをスタートしたばかりなので、まだ誰が一番人気、というところのデータは出ていません。 編: スタートしたばかりとなると、現在の所一番新しい中国までストーリーを進めたプレーヤーは少ないですか。 Peter氏: 全体の3%といったところですね。現在はまだ韓国編をプレイしている人が多いです。「TNT」は韓国でサービスを行なっているため、韓国編が最初ですが、日本でサービスを行なうときは、日本編を最初にすることを考えています。せっかく日本でのサービスなのに、そのシナリオを体験できるのがずっと後じゃつまらないと思いますし。 編: 日本編を先にするというと、韓国で現在サービスされているものとはまったく異なるゲームバランスになるということでしょうか。 Peter氏: 大きくは変わらないと思います。サービスをする国に合わせてストーリーを組み替えることが可能なように作っています。これは、最初からグローバルな展開を視野に入れて制作をしていたからです。なによりも、様々な国、様々な時代を題材にすることは、ゲームの中の世界に幅が生まれました。これは大きなメリットだったと思っています。
・ 歴史上の人物を仲間にできる「傭兵」システム
Peter氏: 豪華なパッケージは、主にGravityの戦略で発売されたものです。最近の韓国のトレンドといえる手法ですね。ソロプレイで進めることも含めて、「TNT」はパッケージゲームを意識しています。今までのMMORPGとは違ったゲームを出してみたかったのです。 韓国にも、「ドラゴンクエスト」や、「ファイナルファンタジー」といった、RPGのファンは多いのです。MMORPGのファンにも、オフラインのRPGを好きだ、という人は多いです。「TNT」はそういった人たちを意識して、オンラインゲームでありながらコンソールゲームのような感触を持ったゲームとして制作しました。 編: 「TNT」の制作者の中には、パッケージゲームを手がけた方も参加しているのでしょうか。 Peter氏: 実は私も、JPももう15年以上もゲーム業界で仕事をしているのですが、5年前まではパッケージゲームの仕事が中心でした。私達は、今まではシステム中心のオンラインゲームを作ってきました。しかし、「TNT」ではストーリーを中心に置いたゲームを作っています。 私達は以前「戦略シミュレーションゲーム」を手がけたこともあります。「TNT」ではその経験を活かし、A.Iを工夫することで歯ごたえのある敵キャラを用意しました。最初はかなり複雑な戦略も駆使する、なかなか強い敵だったのですが、ユーザーから「難しすぎる」という意見が多く、現在はもうすこし弱く、誰でもプレイできるようにしています。 常にユーザーを意識して、ゲームの内容を変化させていくというのは、パッケージゲームとは違う、オンラインゲームならではの部分ですね。 編: ゲームバランス以外に、オンラインゲームを展開してみて、パッケージゲームと違うと感じさせられたところはどこでしょうか。 Peter氏: やはりコミュニティですね。ユーザーが自主的にコミュニティを作って大きくしていく。そして活気が生まれ、ゲームの社会も活性化していく部分は、とても良い物だと感じさせられました。 編: 現在のユーザーからの要望はどんなものが多いですか。 Peter氏: 自分の好きな「傭兵」を強くしてほしいという要望が大きいですね、傭兵のバランスに関する意見は多いです。もっとストーリーを増やしてほしい、という意見も多いです。まだストーリーを最後までプレイしている人は全体の3%ですが、最後が見えると寂しい、という意見も多く、もっと増やしてほしいという意見が多いです。 編: 本作は、非常に2Dのグラフィックス、そしてイラストに注力している、という印象を受けます。 Peter氏: 最近のMMORPGは3Dグラフイックスが主流ですが、「TNT」は、“人のにおいのする”2Dグラフィックスを追求して制作しました。この部分は特にこだわっています。ユーザーの中にも2Dグラフィックスが好きな人はいます。「TNT」はそういったユーザーのためのゲームなのです。 編: 課金アイテムは、どのようなものがありますか。 Peter氏: 人気があるのは、傭兵を使うためのアイテムです。傭兵を雇うためのアイテムは全部が有料というわけではなく、あくまで一部です。これからストーリーが増えることでどんどん傭兵も増えてくるので、有料アイテムもたくさんの種類が出てくると思います。 編: 傭兵を雇うシステムをもう少し詳しく教えてください。 Peter氏: 傭兵は召喚という形で呼び出されます。召喚には呪文と、触媒となる材料が必要です。これを合わせると傭兵は「カード」という形でプレーヤーの元に現われます。このカードを使うと、カードは消滅し、プレーヤーに協力してくれる傭兵が現われるのです。傭兵は一度カードを使うと、その後はずっとプレーヤーと共に居続けます。傭兵が倒れてしまうことがあっても、消えることなく、復活させることが可能です。 材料を手に入れることで、傭兵を仲間にすることができます。強い傭兵ほど材料が入手しにくく、難易度が上がります。召喚された傭兵は、プレーヤーキャラクタと同じように経験を積み、より強力なキャラクタへと成長していくのです。傭兵は様々な種類が存在しますが、喚びだしたときは全て1レベルです。プレーヤーと共に冒険し、成長していくのです。
・ オンラインゲームとして、より一層のコミュニティの充実を図る 編: 今後のアップデートプランを教えてください。 Peter氏: 2カ月に1度、ストーリーの追加を行なっています。今後は、更にストーリーと時代を追加し、それに合わせて傭兵の追加も行なっていきます。また、ギルドシステムを追加し、機能を充実させていきます。 編: 最近、PvPシステムを追加しましたよね。 Peter氏: 対人戦システムはまだ導入したばかりで、未完成です。まだまだ改良していかなくてはならないと感じています。既存のMMORPGのPvPの場合、装備のいいユーザー、レベルの高いユーザーが絶対的に強かったのですが、「TNT」の場合、傭兵の組み合わせによって、相性が大きく変わっていきます。より戦略的に楽しめるPvPシステムを目指しています。 編: ユーザーから「ソロプレイも良いけど、パーティープレイも楽しみたい」という意見もあるようですね。PvPやパーティーシステム、コミュニティなどは、「TNT」の、“既存のMMORPGとは違った方向性を目指す”という方向性とは違うもののようにも感じます。いわば、「普通のMMORPGと同じものを入れてほしい」というような、要求がユーザーから寄せられることは予想していましたか。 Peter氏: 「TNT」は、最大3人までのパーティーシステムを実装しています。「TNT」はパッケージゲームのような感触を持ったゲームですが、あくまでオンラインゲームなので、シナリオを楽しんだ後は、コミュニティによる人の繋がりや、他のプレーヤーとの冒険、PvPを楽しんでくれれば、と思っています。これからは、そういうユーザーがもっと楽しめる要素を追加していこうと思っています。 編: 「TNT」ならではのオンライン要素、「TNT」ならではのコミュニティとはどのようなものでしょうか。 Peter氏: 「TNT」のコミュニティで鍵となるのは、やはり「傭兵」です。もっと強力な、お目当ての傭兵を手に入れるため、プレーヤーは助け合っています。強い傭兵を手に入れる目的のために、ギルドを作るユーザーも多いです。共通の目的を持ったユーザーの結束力は強く、ゲームを活気あふれるものにしてくれています、ここはとても感謝している部分です。 編: ゲームの中に日本を登場させたのは、やはり日本の市場を意識した部分があるのでしょうか。 Peter氏: 日本は大事なマーケットです。私達は日本市場進出を目的としてGravityと提携した、という所もあります。それに韓国のユーザー自身、隣の国ということで興味を持っている部分も大きいです。遠い国ではなく、日本や中国といった国を題材にする方が、ユーザーも親しみやすいですよね。 編: 最後に、「TNT」で一番気に入っている部分はどこでしょうか? そしして、日本のユーザーへメッセージをお願いします。 Peter氏: 私はやはりシナリオが気に入っています。面白さと、充実ぶりには自信があります。私は、年少の頃より日本のゲームをプレイしていました。「TNT」はそのころに学んだゲームの楽しさを、どうやって現代のオンラインゲームに活かすことができるか、ということを追求した作品です。 もし、このゲームが日本で展開して、良い評価をもらうことができれば、それは世界中で受け入れられるゲームを作れるのではないか、という期待があります。レベルの高い日本のユーザーに受け入れられるような作品を目指していきたいと思います。 JP氏: 私も日本のストーリー性の高いゲームに触れて、感動したことがたくさんあります。「TNT」はそういった感動を自分たちの手で生み出せないか、と思って作っているゲームです。よろしくお願いします。
□Gravityのホームページ (2006年8月14日) [Reported by 勝田哲也]
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