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会場:ハンビットユビキタスエンターテインメント本社
「ネオ・スチーム」はスチームパンクをテーマにした大規模PvP(RvR)が楽しめるMMORPGだ。開発元はHanbit Soft。かつてこの世界には、優れた科学力で栄えていた古代文明が存在していたが、ある災厄により滅んでしまう。現在この世界では、蒸気技術によって再興した技術国家「ログウェル共和国」と、魔法に長けた神秘国家「エリアッド王国」、そして自然と調和した国家「タクシャン連合」(現在未実装)の3つの国がぶつかり合っている。プレーヤーは国家に所属し、他国家のプレーヤーと戦っていく。蒸気文明と魔法技術が融合した独特の世界観が本作の大きな魅力だ。 今回は発表会のために来日したHanbit Softの「ネオ・スチーム」開発チームから、本作のプロデューサーでありチームリーダーであるホン・チャンファ氏と、企画パートのリーダーであるホン・ソンファ氏に話を伺った。2人は実の兄弟で、チャンファ氏がお兄さんだ。インタビューでは、本作ならではの特徴と、より具体的なゲームの目的、今後のアップデート要素などを伺った。
■ 万能のエネルギー“ネオスチーム”を巡って争う2つの国家
チャンファ氏: 私はチームリーダーであり、プロデューサーです。全体的な総括をすると共に、プログラミング的な部分も直接見ています。 ソンファ氏: 私は企画パートのリーダーです。ゲーム内のバランスや色々なシステムの企画をしています。 編: 「ネオ・スチーム」のコンセプトを教えてください。 ソンファ氏: 「スチームパンク」というキーワードを元にコンセプトを組み立てていきました。“蒸気時代”という枠を作って、かつて古代には「ネオスチーム」というエネルギーを使って様々な機械を作る文明があったのですが、それがある大災害により一度滅んでしまった。世界はバラバラになり、3つの大きな国家ができます。1つは機械文明、1つは魔法文明、1つは自然との調和を原動力としています。 3つの国家は最初は関わることがなかったのですが、発展していくことで中立地帯となっている場所で出会うことになります。そこで3つどもえの戦いを繰り広げることになるのです。「ネオスチーム」はゲームのタイトルだけではなく、ゲーム内での重要な資源として登場します。3つの国家は、このエネルギーを巡って戦っていくのです。 編: 韓国のユーザーは、「ネオ・スチーム」のどのような部分に魅力を感じていますか? ソンファ氏: スチームパンクを題材にしたオリジナリティーの部分での評価が高かったです。後はキャラクタ性です。かわいいキャラクタデザインが気に入ってもらえたようです。そして、パッケージゲームに匹敵するくらい、細かい部分での作り込みができている、という評価ももらえました。 編: ビジネスモデルはアイテム課金とのことですが、課金アイテムにはどのようなものがあるのでしょうか? チャンファ氏: ゲーム内で販売されているアイテムより効率の良い回復アイテム、デスペナルティを軽減してくれるアイテム、生産の効率や、取得経験値を増やすアイテムなどがあります。 編: 韓国の一般的なユーザーは、アイテム課金制のオンラインゲームで大体一月にどれぐらいのお金を使っていますか? チャンファ氏: 大体、20,000ウォン(約2,400円)以下です。 編: たくさんのMMORPGが制作される現状で、差別化を心がけた部分はどこでしょうか。 チャンファ氏: 韓国のMMORPGは、背景や職業、キャラクタなどが非常に似ているゲームが多いと感じていました。「ネオ・スチーム」はそういったゲームとは一線を画すようにデザインし、キャラクタはもちろん、特にフィールドに独特の雰囲気を持たせるように努力しました。 ソンファ氏: 例を挙げると、「テラウェルダンジョン」という場所がとてもユニークです。このダンジョンは実は巨大な魔物のおなかの中なのです。プレーヤーは内臓の中を進んでいきます。「ネオ・スチーム」にはこういった独特のフィールドを数多く用意しています。そして、“ネオスチーム”というエネルギーの存在ですね。これは各プレーヤーに分け与えられるエネルギーなのですが、これを使って様々なことができます。 このエネルギーは様々な移動機械を使うためのエネルギーになったり、アイテムの製造、スキルの使用などに使います。ゲーム内には、通貨やキャラクタの強さといった価値観が存在しますが、「ネオ・スチーム」ではこのエネルギーをどう使うか? という新しい要素をもたらすことができたと思っています。 編: ネオスチームは発掘などを通じて得られるものなのでしょうか。それともすべてのプレーヤーにいきなりもたらされるものなのですか? ソンファ氏: ネオスチームは一定量が1時間に一度“配給”されることになっていて、レベルによって配給量が決まっています。現在は2つの国家のプレーヤーに等しくエネルギーが与えられていますが、本来は中立地帯である交戦地域を支配することで、国に所属しているプレーヤーにもたらされる量が増減する予定です。今後のシステムで、支配地域が増えることでより多くのネオスチームが陣営にもたらされることになります。 編: ネオスチームは、プレーヤー間で取引ができるのでしょうか。また、貯めておくことは可能ですか。 ソンファ氏: 取引はできませんし、1時間で“更新”されます。貯めることはできません。1時間に1度与えられるエネルギーをどう使うかが重要になるのです。 編: ネオスチームの使い方をもう少し細かく教えてください。 ソンファ氏: たくさんの使い方があります。この作品では「スチームマシン」というアイテムを武器や防具にセットすることでスキルを使うことができるのですが、ネオスチームはこのエネルギーになります。さらにスキル強化にも使うことができます。そして気球や飛行船などの移動機械に乗るためにも必要です。生産、アイテムのアップグレードにも使います。
■ プレーヤーの目的をRvRに集約していくゲームシステム
ソンファ氏: 実際のゲームでは、プレーヤーは多くのクエストを進行させてキャラクタを育成していきます。序盤のクエストはこの世界に馴れ、基本的な操作を学ぶものですが、レベルが上がっていくと、RvRへユーザーを誘導する性格を帯びていきます。プレーヤーはクエストを重ねることで敵国と戦う理由を見つけ、自発的にRvRに参加していくようになっています。 編: 敵を意識するというのは、例えばどんなクエストなのでしょうか? チャンファ氏: 例えば20レベルで、敵国におもむき、重要な地位にあるNPCを暗殺に行く、というクエストが与えられます。クエストを重ねることで、自分の国は敵国と戦争状態であることを徐々に認識するようになるのです。また、中立地帯では、PvPも自由になっていて、大規模な戦闘が可能になっています。 編: 通常プレーヤーは、お互いの国家を自由に行き来できるのでしょうか。 チャンファ氏: できます。ただ、敵国に入ったプレーヤーは先制攻撃で敵国のキャラクタを攻撃できません。向こうから攻撃されたときのみ反撃が可能になります。 編: そうなると、クエストをクリアするために低いレベルで敵国に入ってくるプレーヤーを、待ち伏せして倒す高レベルの敵国プレーヤーも出てくるのではないでしょうか。 ソンファ氏: フィールドはレベル上げが効率的になるように、レベルごとに細かく分けてあるため、高レベルのプレーヤーが低レベルキャラクタ向けのクエスト地域にいるメリットがあまりないようになっています。韓国の他に中国でも「ネオ・スチーム」は展開していますが、そういったプレーヤーがいる、という意見は出てきませんね。同じくらいのレベルの人がぶつかり合えるような工夫をしているつもりです。 編: PvP地帯(中立地域)では、どんな戦いが繰り広げられるのでしょうか。 チャンファ氏: まだ実装されていませんが、いくつかのチェックポイントを奪い合う、攻城戦のような仕組みを考えています。この攻城戦は、年内実装の予定ですが、今までのMMORPGの攻城戦は1つの城を取り合うための時間が設定されていました。「ネオ・スチーム」では、ある一定の時間に中立地帯のすべてのチェックポイントが交戦可能になるという、全面的な国家戦争を行なえるシステムを考えています。 編: では、現在の「ネオ・スチーム」では、大規模な国家戦というのは行なわれていないのでしょうか。 ソンファ氏: 今は、ユーザーが自発的に呼びかけ、PvPゾーンで大規模な国家戦を行なっている感じです。 チャンファ氏: 現在、「ソウルクリスタル」というアイテムが、PvPゾーンで敵国プレーヤーを倒すと手に入ります。これは「アイテムリフォーム」を可能にするアイテムで、これを得るために、プレーヤーはPvPを行なっているのです。クエストにもソウルクリスタルが必要なものが用意されています。システム的に、PvPへプレーヤーを誘導しているのです。 編: アイテムリフォームとはどんなシステムですか。 ソンファ氏: 「ネオ・スチーム」では装備品などを入手した場合、様々なオプションがついています。ステータスアップやダメージ増加などオプションの種類は多いのですが、アイテムリフォームを使うことでこれを変更できます。その確率はランダムで、性能が上がることもあれば、下がる場合もあります。 アイテムリフォームは韓国のユーザーに人気が高く、ハマっているユーザーも多いです。アイテムリフォームにはお金も必要となりますが、これに多くのお金を使うユーザーがとても多いです。
■ 第3の国家と、今後実装する予定のアイデアは? 日本を意識した要素も
ソンファ氏: 当初3つの国家の構想があって、まず技術国家と魔法国家という対立する存在を考えました。3つめはどんな国にするのか、実は今悩んでいるところなんです。今後改めて紹介したいと思いますが、今までとは全く違う国家を提供したいと思っています。 編: 現在2つの国家がありますが、プレーヤーキャラクタの選択できる種族と職業は同じですね。どういった違いがあるでしょうか。 ソンファ氏: 種族と職業は完全には一致していません。獣の姿をした種族は技術国家では虎をモチーフにした「タルン」ですが、魔法国家では狼をモチーフにした「ルイフ」となっています。職業も転職によって明確な違いが出てきます。最終的には、70%は両国共通のスキルですが、30%はそれぞれの国家独自のスキルとなっています。 編: 発表会ではペットや召喚獣の存在も紹介されましたが、これらの存在も2つの国で違ってくるのでしょうか。 ソンファ氏: ペットは外見、性能とも両国で全く違います。召喚獣も、技術国家の場合は“マシン”を呼び出すことができます。魔法国家の場合は、ファンタジーに出てくるようなドラゴンなどで、完全に雰囲気の違うものになります。 職業の特色も違ってきます。魔法国家の場合は、召喚獣を使役できる職業が複数あって、戦士でありながら召喚もできる、という職業も存在します。技術国家の場合は、戦士で回復魔法も得意、という職業もあって、上級職はそれぞれの国家の違いが強く出るようになっています。 編: ペットはすべての職業で所有できるのですか。 ソンファ氏: 基本的に1キャラクタあたり1匹のペットを所有できます。それをどう成長させるかによって差が出てきます。 編: 生産系のキャラクタはどんなものを作ることができるのでしょうか。ゲーム内のすべてのアイテムを製作できたりするのでしょうか? ソンファ氏: すべてのアイテムを、というわけではないのですが、生産でしかできないもの、プレーヤーが作った方が性能が良いものがあり、生産者の役割は重要になっています。 編: 今後追加していく要素で、日本オリジナルのものはあるのでしょうか。 チャンファ氏: 日本だけ、というわけではなく、韓国や中国にも取り入れていく要素ですが、「ネオ・スチーム」にはジプシーというか、様々な場所を放浪する劇団がいて、これに日本風の雰囲気を取り入れていきます。このキャラバンでは様々なミニゲームを楽しむことができます。ミニゲームにはニンテンドーDSの「脳を鍛える大人のDSトレーニング」の様な要素を取り入れていく予定です。他にも、ペットに日本的な要素を取り入れたものを新しく追加しようと思っています。 編: この他に実装予定のアイデアは、どのようなものがありますか。 チャンファ氏: 国家への貢献度システム、自分がどのくらい国家に貢献しているかを計るシステムが韓国では8月に実装されます。先ほどの攻城戦システムも年内実装を目指しています。現在、「ネオ・スチーム」は99レベルまでのレベルアップが可能になっていて、キャラクタ育成などの“縦の方向”ともいうべき要素は実装されています。今後はゲームの幅を広げる、“横の方向”の要素を実装していきたいと思っています。 編: 「ネオ・スチーム」でお2人が特に気に入っているところを教えてください。最後に日本のユーザーへのメッセージを。 チャンファ氏: やはり独特の世界観を作り上げることができた、という自負はあります。キャラクタはかわいらしく、親しみやすく、それでいながらプレイをしてもらえれば深いゲーム性と、細かいところまで作り込んでいるのをわかっていただけると思います。日本のユーザーさんにも是非プレイしていただきたいです。 ソンファ氏: 「ネオ・スチーム」はオリジナリティーを感じさせる要素に富んだ作品です。日本のユーザーさんにはそこを感じてもらいたいです。 (C) 2004-2006 Hanbitsoft Inc. Studio Mars All Rights Reserved. Published by Hanbit Ubiquitous Entertainment Inc.
□ハンビットユビキタスエンターテインメントのホームページ (2006年8月3日) [Reported by 勝田哲也]]
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