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■ 独特のセンスに彩られた「アニス&フリッキー」の世界
パリド博士はそれを阻止するためにプロテクトプログラムを発動。しかし、クールディングが作ったシステムと博士のプログラムがぶつかった結果、キューブスペース全体がバグで汚染されてしまう。キューブスペースをバグから救い、新たなキューブスペースを建設するために白羽の矢が立てられたのが、泣き虫の男の子「アニス」といたずらっ子の女の子「フリッキー」である。バグとして2人の前に立ちはだかるモンスターは変異した「キューブスペース」の住人達だ。アニスとフリッキーは、キューブスペースに平和をもたらすことができるのだろうか……。 「アニス&フリッキー」では、POPな色合いのキューブスペース、そしてちょっと意地悪そうな、独特な“濃い”キャラクタが魅力のMMORPGだ。街の看板やNPC達はカラフルで、ストリート系とSFが融合したようなセンスで統一されている。フィールド空間であるキューブスペースはその名の通り四角い空間になっていて、プレーヤーが縁に近付くとぐるっと回転する。グラフィックは美しく、非常に魅力的な「電脳空間」を表現していると感じた。 プレーヤーは男のキャラクタを選べばアニス、女のキャラクタを選べばフリッキーとなる。MMORPGである本作は、ゲームを始めると仮想空間であるキューブスペースには、たくさんのアニスとフリッキーが闊歩するようになる。本作は多くの装備品が用意されているようで、今回のデモプレイでは様々な格好をしているキャラクタを見ることができた。
巨大なハンマーや、動物の頭の形をしたヘルメット、装甲服のような鎧、光るナイフ……。さらによく見るとカセットコンロや、給水器、大きな乾電池の形をしたバックパックなどもあって面白い。組み合わせることで個性的なファッションも追求できそうである。
■ 様々な仕掛けを突破していく、3Dアクションゲームとしての楽しさ
アニスとフリッキーが戦闘を行なうのは、ロビーとなっているキューブスペースから移動する別のスペースだ。現在、用意されているフィールドは3つで、「神殿」をモチーフにしたものと、「未来世界」をモチーフにしたもの、そしてGMが管理する特別なイベントスペースである。 「アニス&フリッキー」ではプレーヤーキャラクタは戦闘スペースでバグ(モンスター)を倒すことで経験値を獲得し、レベルアップを果たすことでキャラクタを成長させることができる。スペースはいくつものフィールド、階層にわかれていて、多くのバグがプレーヤーを待ち受けている。 本作は、必ずしも戦闘だけがキャラクタを成長させる要素ではない。フィールドのあちこちにトンキーというNPCがいて、彼と話すことで「トンキーレース」を開始することができる。レースではゴールまで設定したタイム内にたどり着けると、経験値やアイテムを得ることができる。設定タイムは数種類あり、短いタイムに挑戦し、見事ゴールできればたくさんの経験値を入手できるのだ。 フィールドを駆け抜けるのは純粋な3Dアクションゲームとなる。動く床や炎を吹き出すとラップ、トゲが飛び出るタイルや、一定時間で消えてしまう床、乗っかると大きくジャンプできるトランポリン……。日本のユーザーにも馴染み深い様々な仕掛けがフィールドに設置されている。プレーヤーはタイミングを計り、何度も試行錯誤を繰り返して、広大なフィールドを走破していくこととなる。 アクション要素はトンキーレースだけでなく、フィールドの奥へ進む場合も重要となる。戦闘用スペースは次第にフィールドが複雑になり、仕掛けも凝ったものになっていく。空中の足場を何度もジャンプして先に進み、迷路を解き明かしていく必要がある。失敗しないように時には慎重に、消える足場を飛び越すためには大胆にキャラクタを操作する感触は、筆者を始めとした日本人プレーヤーにはなじみ深く、懐かしい記憶がよみがえる。 後半のステージでは目もくらむような高さまで登り、一度足場を踏み外すと一発で死んでしまうような所もあるが、中盤までは足場やはしごなどの救済措置もある。フィールドとフィールドの間にはセーブポイントのような中継地点があり、次回はそこから再挑戦できる。 また、ユニークなポイントとしてはキャラクタのスキルに「復活点」を設定できる技能があることだ。リングをフィールドに設置しておけばそこから復活できる。苦手なジャンプポイントの前に設置しておけば、フィールド攻略に有利になるだろう。 すぐ前のプレーヤーが足場に乗ったおかげで、自分が飛び移ろうとした時にそこが消えてしまったり、前を行くプレーヤーを追い抜いたときに爽快感がこみ上げたりと、他のプレーヤーとフィールドを走破していくのは新鮮だった。ジャンプの感触や、キーのレスポンスなども良好で、アクションゲームとしての完成度も高く感じた。
少し残念なのは、本作は現時点ではゲームパッドに対応していないところ。これだけアクション性が高いゲームなのに、もったいないという気がする。日本でのサービス時には是非とも対応してもらいたい。
■ 役割分担をして戦う、アクション性の高い戦闘
フィールドには同じ姿でも様々なレベルの敵がいて、プレーヤーの姿を見つけると襲いかかってくるアクティブモンスターもいるので注意が必要だ。キャラクタのレベルが高くなり、モンスターとのレベル差が大きくなるとモンスターは自分から攻撃してこなくなる。レースを何度もして経験値を稼ぐプレイスタイルを取る場合、フィールドのモンスターが襲ってこない程度までにあらかじめ上げておくのも有効だと思った。 キャラクタがあるレベルまで成長すると、プレーヤーはキャラクタを“サブ職業”につけることが可能になる。前衛としてパーティーの盾になる「フォーサー」。トラップを仕掛けて敵に大ダメージを与える「トラッパー」。楽器を演奏し、仲間の力を増幅する「バード」、仲間を治療できる「ダンサー」。4つの役割を持つことで、戦闘に戦略性が生まれる。 スタッフのデモプレイで、ボスとパーティーの戦いを見せてもらったのだが、フォーサーが前衛で頑張っている隙にトラッパーが罠を仕掛け、モンスターに踏ませるために引っ張る。ダンサーは周囲で回復を行ない、バードは様々な曲でパーティーをバックアップする。職業特性を活かした連携をきちんと行なえる本作のリアルタイム性には感心させられた。 どのスキルも派手で見応えがある。特にバードがノリノリでギターをかき鳴らすモーションは本作の雰囲気にマッチしていて面白かった。サブ職業に就くためのレベルまでは、現在のバランスで熱心なプレーヤーならば4~5日ということで、どうやらそこからが本作の本当のスタートという印象も持った。本作のアクション性は、サブ職業の特性を活かした連携を可能にしてくれる。よりのめり込める戦闘を実現してくれそうだ。 「アニス&フリッキー」では、「死の道」と呼ばれるより難しいコースが用意されていたり、GMが主催するイベントスペースでは大人数による競争や、○×クイズなども楽しめる。筆者が触れることができた「アニス&フリッキー」は韓国で行なわれたクローズドβテストバージョンのもので、今月の下旬には韓国でアップデートされた内容でオープンβテストが開始されるという。新しいコンセプトの戦闘用スペースも登場する予定だ。他にも今後はパーティーだけが参加できるプライベートフィールドも用意されるという。 日本には現在まで脈々と受け継がれるアクションゲームの系譜がある。その中には、「ちょっとジャンプが足りなくても、壁にしがみついてよじ登る」、「キャラクタと移動するブロックの位置の目安となる壁のライン」などなどプレーヤーの要望で生まれた様々な“決まり事”がある。「アニス&フリッキー」は日本のアクションゲームと比べると、まだまだ煮詰め方が足りないと感じる部分もあった。
ただ、「アニス&フリッキー」は、韓国でもまだオープンβテストも行なわれていない“これから”のタイトルである。「アクションゲーム」という新しい挑戦をしたスタッフに、筆者は心からのエールを送りたい。「アニス&フリッキー」の今後の展開に期待したいと思う。
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□GMO Gamesのホームページ (2006年7月13日) [Reported by 勝田哲也]
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