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丸の内ピカデリー2ほか劇場で全国ロードショー
配給:松竹
映画「サイレントヒル」は、KONAMIの人気ゲームシリーズ「サイレントヒル」をベースに映画化したもの。「サイレントヒル」の第1作目は'99年にプレイステーション用ソフトとして発売され、その後2作目からはプラットフォームをプレイステーション 2、Xboxに移し、シリーズ4作目までリリースされている。同社によれば全世界累計530万本を記録しており、人気シリーズとなっている。 映画は、悪夢に悩む娘“シャロン”を救うべく旅に出た母親の“ローズ”が、深い霧の中「サイレントヒル」にたどり着いたところからスタートする。「サイレントヒル」で姿を消したシャロンの影を追いさまようのだが、この街は現実と異世界が交わり合う地獄のような場所だった。この街に隠された謎とは? ……といった物語となっている。監督は「ジェヴォーダンの獣」のクリストフ・ガンズ氏。出演はラダ・ミッチェル氏、ショーン・ビーン氏など。日本版イメージソングは土屋アンナさんの「Lovin' you」。 ゲームの映画化というと、完全に映画の制作サイドに任せっきりとなることもあるが、この作品はシリーズの全ての音楽を手がけ、シリーズ3・4作目のプロデュースを手がけた山岡 晃氏が映画のエグゼクティブプロデューサーも担当。監督のガンズ氏と緊密に連絡を取り合い制作されたという。山岡氏によれば映画の完成までに30回から40回は観て、様々なディスカッションを行なったという。監督のガンズ氏は、ゲーム「サイレントヒル」の大ファンであり、様々なアイディアを山岡氏側に提案してきたという。そういった経緯から制作されたこともあり、ゲームの雰囲気をバッチリと再現している。 映像について山岡氏は「全部CGではなく、比較的実際の人間を使ったシーンが多いんです。最近は全てCGで済ますことも多いのですが、この映画ではCGと実際の人が演じる部分が混じり合うことで、妙に生々しいというか、いままでにない怖さが出ているかと思います」と語り、「怖い映画ですが、クリーチャーを始め、世界観やストーリーなど、カッコイイ映画だと思うので、怖いのはいやだという人にも観ていただきたい」とアピールした。 山岡氏は、映画化にあたって気をつけた点として「ゲームを知らない人でも『サイレントヒル』作品を映画として楽しんでもらえるようにするという点」を挙げ、「ゲームをそのまま映像化するのではなく、きちんと映画として楽しめるようにしたかった」という。ゲームファン以外へのアプローチとしては「わかりやすさ」を心がけたと言う山岡氏。「ゲームは精神世界というか、奥がすごく深いんです。そう言ったところを、もっとわかりやすく、映画としてみんなが楽しめるものにしたかった」とする一方で、ゲームファンに向けては「すごくたくさんのオマージュというか、ゲームでプレイしたようなシーンやストーリーがたくさん入っているんです。そう言ったところを探し出すおもしろさもありますね」とコメント。 さらに細かい部分としては「単にゲームにも出たクリーチャーが登場するだけではなく、カメラのアングルとか光や影、そう言ったところがうまく映画に取り入れられてますね。ゲームのまんまという感じです」と表層部分だけではないこだわりが映画の中に取り込まれているようだ。ゲームはすでに4作目までリリースされているが、「シリーズのどの作品もうまく取り込まれています」と言うことなので楽しみなところ。山岡氏自身としても気に入っているようで「映画の続編に期待したい」と語っていた。 通常はゲームのプロデューサーとして活躍している山岡氏だが「ゲームはインタラクティブですが、映画は受動的じゃないですか。追われたりとかそういった受動的な映像の中にも、ゲームらしい感覚を織り込むように考えました」とゲーム制作者らしい視点での映画の映像制作に務めたという。 山岡氏によれば「『サイレントヒル』と言うゲームは若干マニアックな所もあって、ゲームをプレイしている人からすればもっとコアな表現とか求められるかもしれないけど、映画としての『サイレントヒル』を考えたらそういったものは必要ないと僕は思ったので、映画としての『サイレントヒル』は、これ以外に考えられないと思う」とイメージ通りの仕上がりになったようだ。ちなみに監督についても「色々アイディアを提案してもらったけど、それが的はずれではなかったし、ほかにも映画に関しては様々なオファーをもらったけど、クリストフ・ガンズ氏以外での映画化は無理だったと思う」と絶賛した。
オープニングイベントのトークショーにはグラビアタレントの磯山さやかさんも登場。磯山さんは映画について「とにかく恐かったです! 恐かったのですが、ストーリーの謎解きの部分があちこちに仕掛けられていて、最後まで目が離せませんでした」と感想を述べた。主人公が女性と言うこともあり「がんばれローズという感じで、強いお母さんだなと思いました」と共感を持つシーンも多々あったようだ。 恐ろしいクリーチャーが多数登場するが、磯山さんは「出てきたときに驚いたのは、頭がピラミッドの形をして剣を持った“レッドピラミッド”というクリーチャーですね。でも、印象深かったのは、少ししか登場しないのですが、“ダークナース”が不思議な動きをしていて不気味でした」とコメントした。 そして、この映画の公開に合わせて新宿歌舞伎町のシネシティ広場 (コマ劇場前) に設置されたのが「サイレントヒル ショッキングハウス」。入場は無料となっているので、基本的に誰でもはいることができる。期間は7月2日まで。こちらの監修にも山岡氏は関わっており、「映画を観る前に少しでも『サイレントヒル』の世界を楽しんでもらいたい」と言う意向から設置されたという。 今回のイベントではトークショーに参加した磯山さんが体験することに。これまで生まれてこの方お化け屋敷に1度しか入ったことがないと言う磯山さん。すでに入るところから逃げ腰に。磯山さんは入ってから1分ほどで、半べそ状態で飛び出してきた。興奮醒めやらぬなか「ピラミッドのヤツが、ヤツが襲ってきました~」とまくし立て、「本当に逃げ場がありません。道がわからないんですよどこだか」かなり怖かった様子。
「ショッキングハウス」の監修について山岡氏は、(インタラクティブに恐がらせるという点で) ゲームの制作に近いものがあったと言い「お化け屋敷とは少し違うようにしたかったので、鏡張りにしたり、ここで恐がらせて等色々と考えました」と満足いく仕上がりになったという。 最後に山岡氏に次世代機時代におけるゲームの制作について伺ってみた。プレイステーション 3やXbox 360時代におけるホラーゲームはどう変わっていくと考えているのか伺ったところ「次世代機と言っても、Wiiであればコントローラ、PS3やXbox 360であればネットワークやオンラインといった特徴がありますよね。普通に『次世代機でホラーってどうですか?』と問われれば『オンラインじゃないですか』で終わってしまうかもしれない。でも、僕はそれだけじゃなく、プレーヤーがストーリーを体感したりといったファミコン時代からこれまでまったく変わっていないゲームの枠を変えられる予感がありますね。それが、Wiiのコントローラを使って何かさせると言ったことかもしれないし、PS3のクオリティをつかって表現できるものかもしれないけれど、新しいゲームにしたいという発想でホラーゲームを作りたいなと思いますね」と語ってくれた。 つまり、次世代機それぞれに特徴はあり違ったものではあるが、ゲームを変える予感を感じさせるパワーが次世代機にあると言うことだという。山岡氏は「単純に映像が良いとか、ハイデフになったからどうのこうのという事じゃなくて、ユーザー層も変わってきているように感じますし、ゲームじゃない遊びやエンターテインメントをホラーでできそうな気がしますね」と締めくくってくれた。「クリエイターとしてはホラー以外にガラッと違ったものも手がけてみたい」ということで、次回作がどんな作品になるかはわからないが、楽しみなところだ。
□松竹のホームページ (2006年6月22日) [Reported by 船津稔]
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