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Electronic Entertainment Expo 2006現地レポート

Mythic Entertainmentブースレポート
すべての要素をRvRへと集約する、力強さと独特のユーモアに満ちたMMORPG
「WARHAMMER ONLINE: AGE OF RECKONING」

5月10~12日開催

会場:Los Angeles Convention Center

 「Dark Age of Camelot」などを開発・運営するMythic EntertainmentはE3ではプライベートブースにて現在開発中のMMORPG「WARHAMMER ONLINE: AGE OF RECKONING」の紹介を行なった。今回明らかになったこのMMORPGのコンセプトを紹介したい。


■ プレーヤーの目的をRvRに集約するユニークなゲームシステム

 「WARHAMMER」は、英Games Workshopが23年以上前に生み出したミニチュア(メタルフィギュア)で遊ぶゲームである。Games Workshopはこの作品の世界観を更に掘り下げ、テーブルトークRPGや、ボードゲーム、カードゲームなどを展開し、多くのファンを生み出した。「WARHAMMER ONLINE」はMythic EntertainmentがGames Workshopから作品に対する権利を取得し、密接な協力関係によって制作されるMMORPGである。作品の時代背景はオリジナルと密接な関係をもちながらも、「AGE OF RECKONING」という独自の時代背景を設定している。

ProducerのLance Robertson氏。本作を「Dark Age of Camelot」の様なユーザーが長く楽しんでくれるような作品にしていきたいとのこと
酔っぱらいのジャイアント。千鳥足で歩いてたかと思うと突然座り込んだりする。さらにビールを飲ませることで頼もしい味方に
 「WARHAMMER ONLINE」では光と闇の種族が絶え間ない戦いを続けていくMMORPGである。プレーヤーはドワーフやエルフといった光の勢力か、ゴブリンやオークという闇の勢力のどちらかに所属し、敵対勢力と戦いを繰り広げていく。本作の最大のテーマはこの光と闇の戦いを描くことであり、プレーヤーのすべての目的は「レルムvsレルム(RvR)」に集約されていく。

 光と闇の勢力は首都から出た多くのフィールドで激突する。フィールドはいくつかのゾーンに区切られているが首都を別としたすべてのゾーンにPvEだけではなく、PvPのゾーンが設定されている。「Dark Age of Camelot 」ではPvPゾーンに入るにはプレーヤーは長い距離を移動をしなくてはならなかったが、本作では誰でもすぐに敵対勢力と戦うことができる。

 また、PvPの様子を観戦できる安全地帯も設定されていて、ここでプレーヤー達の戦いを観戦することも可能になる。高レベルのプレーヤー向けのゾーンは完全にPvPエリアとなっており、このゾーンではそれぞれが勢力範囲を広げるべく激しくぶつかり合うこととなる。

 ゲームのクエストは「グリーン」、「イエロー」、「レッド」の3つに分かれていて、「グリーン」はPvEのみのクエスト、イエローはPvP地区に進入する、場合によっては敵対プレーヤーから襲われる可能性のあるクエスト、そしてレッドは敵対プレーヤーと直接刃を交わすクエストとなっている。クエストとして敵対プレーヤーを倒すというコンセプトは今までのMMORPGにはないものである。レッドクエストはスタッフが最も力を入れて考えている要素だという。

 面白いのは、多くのクエストがPvPに関係していくことだ。グリーンスキーンズの領土にはへべれけになって千鳥足で歩いているジャイアントがいる。このジャイアントに大量のビールを飲ませると、酔っぱらったジャイアントはPvPエリアに突進し、光の種族に襲いかかっていく。弱いキャラクタもこのようにクエストを通じて味方を支援をすることができるのだ。

 クエストには危険度を示す分類の他にもいくつかのタイプが設定されている。「パブリッククエスト」はそのゾーンに入ったすべてのプレーヤーに与えられるクエストでジャイアントのクエストはこれに分類される。「コンフリクトクエスト」は光と闇の勢力に同時に相反する使命が与えられるクエスト。光の種族には傷ついたドワーフを救うように命令が来て、闇の種族はこのドワーフを殺そうとする。クエストがきっかけとなって激しい戦いが生まれるだろう。

 この他に「クリスマスクエスト」というものがある。このクエストは簡単な使命をこなすことで大きな報酬がもらえる“おいしい”クエストなのだが、これを遂行するには広いマップの隅々まで歩く必要がある。「ここにクエストをくれるNPCがいたよ」といった仲間との情報交換が重要になってくる。

 フィールドで一般的に行なわれる遭遇戦の他RvRにも様々なタイプがある。「バトルフィールド」と呼ばれるゾーンでは建物などを自勢力のものにするために戦うこととなる。「シナリオ」と呼ばれるRvRでは両方の勢力で参加プレーヤーを募ってインスタンスなフィールドで行なわれる対戦方式。もしどちらかの勢力が人数的に少なければNPCが参加してバランスを調整する。この他にも様々なアイデアでよりRvRを面白くしていくという。


■ 「WARHAMMER」ならではの力強さとユーモアを持った世界を再現

 本作の最大の魅力はメタルフィギュアやテーブルトーク、小説などで構築された「WARHAMMER」ならではの世界観にある。どのキャラクタも歯をむき出しにして、全身で力を誇示しているような“濃い”世界は、日本人には馴染みが薄いかもしれないが、独特の魅力がある。

Associate ProducerのJoshua Drescher氏。日本のファンに向けて「War is everywhere(戦争はどこにでもある)」とメッセージを
巨大なノコギリの回転する処刑場のように見える製材所
 オークは力強いが「洗練」という言葉からかけ離れた種族で、建物は今にも倒壊しそうな不安定なものだ。木を切る製材所に背丈の数倍もある巨大ノコギリをつけたりと、実用性よりも迫力を重視するような価値観があり、彼らの村には思わず笑ってしまうような大げさな装飾がされた建物が数多く存在する。

 ドワーフはSF的な味付けをされていて、エンジニアはサングラスにライフルを装備していたりする。彼らは装甲で覆われた戦車や船を持っているが、車輪が無駄に大きくてこちらも迫力満点だ。この“タガの外れたカリカチュア”とでも表現すべきユーモアセンスは、本作の世界全体に共通するものである。ProducerのLance Robertson氏は、「作品のそこかしこに見える“ブリティッシュユーモア”にも注目してほしい」と語る。

 メタルフィギュアを並べるゲームからスタートした「WARHAMMER」のキャラクタはどのキャラクタも様々な装飾品に飾り立てられている。オークはドワーフの髭を切り取って自分の鎧につけたりもするという。「WARHAMMER ONLINE」でもこのルールは活用されており、自分のキャラクタの外見はフィギュアを改造するようにカスタマイズできる。また、ファンならば世界を歩くと「これは小説に出てきたな」といったように気がつくと思わずうれしくなってしまうオブジェクトが多数存在しているという。

 ダークで濃い世界観を持つ本作は、「ゲームのすべてがRvRへ向けられている」という殺伐としたゲームシステムに非常にマッチしているように感じた。スタッフは「WARHAMMER」の世界観の再現と共に、よりRvRの楽しさを膨らませるようなアイデアを意欲的に盛り込んでいくという。

 現在の開発状況は25%ということで、今後エルフなどの種族を追加し、光と闇は3種族ずつで構成されるようになる。北米では2006年度中にβテストを開始し、2007年秋に正式サービスを開始する予定だ。今回、Mythic Entertainmentはメディアに積極的に働きかけ、日本語や韓国語などのリリースも用意するなど、アジア市場に対しても意欲的な姿勢を見せた。個人的にも是非プレイしてみたいタイトルである。日本での展開にも期待したい。

【スクリーンショット】
カラフルなフィギュアをそのままCG化したようなオーク こちらはドワーフ。盾につけられたハンマーのマークが面白い ドワーフはSF的なテクノロジーを持っている
オークやゴブリンの建造物は粗野で荒っぽい ゴブリンのシャーマン彼らも闇の軍勢である ドワーフは髭に強いこだわりを持つ種族だ

【コンセプトアート】

□Mythic Entertainmentのホームページ
http://www.mythicentertainment.com/
□「WARHAMMER ONLINE: AGE OF RECKONING」のホームページ
http://www.warhammeronline.com/

(2006年5月14日)

[Reported by 勝田哲也]



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