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会場:Los Angeles Convention Center
Ubisoftブースの出展タイトルも、プレイステーション 3やXbox 360、そしてWindows Vista向けのラインナップがメインになっており、大手ゲームパブリッシャーとしてはすがすがしいほど次世代プラットフォームへの完全移行を果たしていた。 これは、2005年のホリデーシーズンまでにXbox 360の出荷が思うように進まず、期待したほど売り上げが伸ばせなかった反動から、今回のE3でPCプラットフォームへの回帰傾向が伺えたElectronic Artsとは対照的で、UbisoftにはPCオンリーのタイトルはほとんどなかった。中でも「Far Cry」で名をはせたCrytekの次回作「Crysis」が、Ubisoftではなく、Electronic Artsから発売されるところなどは実に象徴的である。 それでは、次世代対応を果たしたUbisoftの新作タイトル群を紹介していきたい。なお、記載している発売時期はすべて欧米の予定なので、あくまで参考程度に考えていただきたい。
■ 「Prince of Persia」の開発チームが放つPS3独占タイトル「Assassin's Creed」
主人公の目的は中近東地帯の平和の維持にあり、十字軍、イスラム軍、いずれを敵とすることもいとわない。主人公が何者なのかはスタート時点では謎であり、物語を進めていくうちにいずれ明らかになるという。 基本的なゲームデザインは、「Prince of Persia」スタイルの3人称視点の3Dアクション。大きな違いは、「Prince of Persia」が、目の前に出現する敵を倒しながら進んでいくステージクリア型のゲームデザインであるのに対し、「Assassin's Creed」は、ターゲットの潜む街と、オブジェクトのみがあり、後の行動はプレーヤーの裁量に任されているところだ。IO Interactiveの「Hitman」シリーズに近いゲームデザインというとわかりやすいだろうか。 ゲーム性も「Prince of Persia」と似通っており、石造りの建物や城壁など、でこぼこのある壁なら基本的にすべてよじ登ることができる。屋上を跳び渡れるほどの軽快なジャンプアクション、クロスボウと手に隠し持つダガーで兵士と戦うアサシン的アクションなど、アクション性も高い。プレーヤーは、出っ張った木片やロープを伝い、建物の屋上を密かに移動しつつ、徐々にターゲットに近づいていくことになる。 驚くべきは、あたかも3DのRPGのように、街には“雑踏”と呼んでいいぐらい大勢の住民たちが生活しているところだ。その雑踏をあえて無理に動こうものなら、周囲の住民たちはみな主人公のほうを向き、警備兵の注意を引きつけてしまう。加えて、全NPCには現実世界同等の物理衝突判定があり、逃走時には一種の“障害物”として立ちはだかる。もっとも、この雑踏を逆利用して、修道士の後列に並んで修道士の振りをしてターゲットに近づいたり、敵をまくのに利用したりといった同作ならではのテクニックも活用できる。 暗殺対象がどこにいるのかという情報は、第六感を使って調べることができる。第六感を使うと、視界がモノトーン調となり、視界内にターゲットがいれば、その人物が光り輝いて見える仕組みだ。ターゲットをしとめた後は、門が閉じられ、無数の警備兵に追われる身となる。あらかじめ想定した逃走経路から素早く離脱し、無事生還すればステージクリアとなる。 今回見ることができたデモでは、ターゲットの暗殺は比較的容易だったが、大勢の目の前でナイフを持って殺害した直後に、警備兵に包囲され、あっという間になます斬りにされてしまった。ターゲットの殺害よりむしろ、逃走経路の確保が肝要というゲームデザインが新鮮な印象だ。 繰り返しになるが、発売プラットフォームはプレイステーション 3。発売時期は2007年を予定している。
■ 「Rainbow Six」シリーズがついに次世代機デビュー~「Rainbow Six Vegas」
「Rainbow Six Vegas」は、派手なネオンと人間の欲望が渦巻く人工都市ラスベガスを舞台に、テロリスト達を相手にさまざまな任務を遂行していくタクティカルアクションシューティング。小隊単位で任務を遂行していくシングルプレイキャンペーンと、オリジナルキャラで参戦できるというマルチプレイモードを搭載する。 前作「Rockdown」は、プレイステーション 2、Xbox、ゲームキューブ、PCの4プラットフォームに対応していたが、プレイステーション 3とXbox 360の2プラットフォーム展開となる。開発スタジオは前作同様、Ubisoft Montrealが担当しているが、開発チームは、シリーズ中でも高い評価を受けている第3作目「Rainbow Six 3: Raven Shield」のチームが担当。2作ぶりに、グラフィックスエンジンが一新することになる。 Ubisoftブースでは、ラスベガスをイメージした特設ブースを構え、リアルタイムデモを行なっていた。カジノフロアでの銃撃戦シーンで、Xbox 360版「Ghost Recon 2」と同等か、やや上回るフォトリアルなグラフィックスと、そつのない味方の動き、強化されたキャラクタモーション。「Rainbow Six」シリーズファンが期待する正常進化を遂げていた。 デモでは見ることができなかったが、ロープでの降下、窓からの突入、威嚇射撃など、新たなアクションが可能になる。そのほか、新たな隊員達も加わる。リーダー兼偵察のスペシャリストLogan Keller、重火器と破壊工作のスペシャリストMichael Walter、スナイパー兼エレクトロニクススペシャリストのJung Parkの3人である。 発売時期は2006年第4四半期を予定。今のところPCへの対応は予定されていないが、DirectX 10(Windows Vista)世代のスペックがあれば、PCでも動作可能だと思われる。PCの展開如何は、PS3の動向次第といったところだろうか。
■ 二重スパイをテーマにしたマルチシナリオシステムが新しい~「Splinter Cell Double Agent」
サム・フィッシャーは有能な二重スパイとして、時には相反するオブジェクトに対して、自分なりの決断を下していかなければならない。「Splinter Cell Double Agent」は、このサム・フィッシャーの決断によって、シナリオが変化し、それ以降のストーリーに影響していく、インタラクティブエンターテインメントらしいマルチシナリオシステムが最大の売りになっている。 サム・フィッシャーのポジションは、JBAに所属するNSAの二重スパイ。今回は、「Splinter Cell」名物のスニーキングスーツに暗視ゴーグル、多機能ライフルといったスパイ装備だけでなく、テロリストらしいラフな格好でミッションを遂行するケースも多い。時にはNSA側、時にはJBA側、異なるふたつの立場からコンゴ、ロシア、上海など世界中を舞台にさまざまなミッションに挑んでいくことになる。 グラフィックスは、基本的に前作「Splinter Cell Chaos Theory」プラスαといった感じで、上記2つのタイトルほど際だった印象はない。ただ、シリーズ初の昼間のミッションが導入され、かつサム・フィッシャーの装いも一新していることから、新作としての新鮮味は十分だ。HDRレンダリングを駆使した昼のアフリカの灼熱感、砂埃がただようほこりっぽい空気感などは実に見事。ぜひXbox 360でプレイしたいところだ。 デモでは、輸送機からの空挺降下シーンや、潜水状態から氷をぶち破って、氷の上を歩く歩哨を引きずり込む、あるいは砂中に身を隠し、近くを通りかかった歩哨にいきなり襲いかかるなど、相変わらず無茶なアクションが満載で楽しめた。 発売プラットフォームは、Xbox 360のほかは、Xbox、PC、PS2、GCと現世代機が中心となっている。グラフィックスはそれほど進化は見られないが、マルチストーリーが楽しみである。詳細は不明ながら、マルチプレイも新しくなるようで、ファン期待の新作となりそうだ。
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□Ubisoft Entertainmentのホームページ(英語) (2006年5月14日) [Reported by 中村聖司]
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