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Electronic Entertainment Expo 2006現地レポート

Sony Online Entertainmentブースレポート
「Vanguard」など新作タイトルを多数出展
MMORPGメーカーとして勢いを取り戻し始めたSOE

5月10~12日開催

会場:Los Angeles Convention Center

 Sony Online Entertainment(SOE)は大きなクローズドブースを構え、タイトルの説明はその中でのみ行なうというのが例年のスタイルだが、今年は積極的にブースの外側に試遊台を設置し、タイトルのアピールを行なっていた。しかし、残念なことに試遊台に説明のためのスタッフを配置していないため、初めてタイトルに触れるユーザーはグラフィックスをチェックしては去ってしまう人が多かった。

MicrosoftからSOEでのパブリッシングが行なわれることになった「Vanguard: Saga of Heroes」
 ブース前面に設置された巨大モニターに「Ever Quest II(「EQII」)」や、「Star Wars Galaxies」といったタイトルが画面に映し出されると、多くの来場者は足を止めモニターを見つめる。SOEの作品は多くのユーザーに注目されている。もう少し多くの人に向けてタイトルの情報を公開して欲しいと感じた。

 SOEの最近の注目タイトルといえばなんといってもSigil Games Onlineの開発するMMORPG「Vanguard: Saga of Heroes」。本作はMicrosoftからパブリッシングが予定されていたが、5月6日にSOEでのパブリッシングが発表された。ブースでも大きなコーナーを設置しユーザーの注目を集めていた。

 もう1つ今回のSOEブースで力が入れられていたタイトルがローマ神話を題材にしたMMORPG「Gods and Heroes: Rome Rising」だ。本作はUBIの「スプリンターセル」シリーズを手がけたチームによって制作されたタイトルで、ブースでもローマ風のセットを設置し来場者にタイトルをアピールしていた。特にゲームに登場する蛇の髪を持つモンスター、メデューサの姿をしたモデルは人気で「Ever Quest」のハイエルフ達と共に来場者のカメラの前でポーズをとっていた。

 SOEは日本では「Star Wars Galaxies」や「EQII」の撤退などネガティブなニュースが続き、サポートの悪さも指摘されており、近頃かなり“MMORPGメーカーとしての勢い”を失っていたように思えた。しかし今回のE3で「Vanguard」そして「Gods and Heroes: Rome Rising」によってMMORPGメーカーとしての力を取り戻しつつある印象を受けた。

 今回は出展タイトルの内、「Ever Quest II」の第3の拡張パック「Echoes of Faydwer」、新しいアドベンチャーパック「The Fallen Dynasty」、「Vanguard: Saga Of Heroes」、「Gods and Heroes: Rome Rising」の4つのタイトルを紹介したい。

コスチュームを身にまとったコンパニオン達はカメラの前で次々とポーズを撮っていた クローズドブース内では様々なタイトルの説明を開発者から聞くことができる この他にもPS3の「Untold Legends Dark Kingdom」やPSPの「Field Commander」といったタイトルが出展されていた


■ もう1つの大陸の姿が明らかに「EQII」拡張パック「Echoes of Faydwer」

 2006年の11月に発売を予定している拡張パック「Echoes of Faydwer」はトレーラームービーという形で出展を行なった。今回の拡張パックでは、森の中に作られた美しい街「Kelethin」をはじめとした20以上のゾーン、40以上の新しいクリーチャーが追加される。

妖精の姿をした新種族Faeのイメージイラスト
 「Faydwer」、「Kelethin」といった名前は「Ever Quest」をプレイしていた人にとってなじみ深い名前だろう。FaydwerはFreeportやQyenosといった都市のあるantonica大陸とは別の大陸の名前で、主にエルフやドワーフ、そしてノームの故郷だったところだ。Kelethinはエルフの住む樹上都市で、「Ever Quest」の時のエルフのプレーヤーの故郷として人気の高かった場所である。「EQII」は「EQ」から500年後の世界であり、2つの大陸はこの500年でまったく断絶してしまった状態になっていた。今回の拡張パックで今まで語られなかったFaydwerの歴史が明らかになるのだ。antonica大陸とはまったく別な歴史を歩んだこの大陸はどのような変化を遂げているのだろうか。

 KelethinはFreeportやQyenosと同じように新しいスタートポイントとなる。Faydwerは上級者向けフィールドだけでなく、初心者がレベル1からプレイすることも可能な場所となっているのだ。またプレーヤーキャラクタとして選択できる新種族「Fae」が追加される。蝶のような羽を持つ小柄な種族である。

 ムービーでは金属でできた恐竜がプレーヤーを襲うシーンも確認できた。「EQ」のノームはロボットを制作するなど独自の機械文明を持っていたが、彼らの製作したものだろうか。システム面ではPvPに関して新しいシステムが追加されるという。今回はFaeのゲーム内で動く姿も戦闘システムなどのまだ詳細は明らかにならなかった。今後の情報に期待したい。

【Echoes of Faydwer】


■ 東洋的な要素を取り入れる「EQII」アドベンチャーパック「The Fallen Dynasty」

 ダウンロード販売という形で配信される、「The Fallen Dynasty」は東洋的な要素をふんだんに取り入れている。台湾のスタジオで製作されている本作は、7つの新しい冒険エリアと様々な新しいアイテムを「EQII」にもたらす。

 「The Fallen Dynasty」は“見捨てられた都市”と呼ばれるTanaanがある島が冒険の舞台となる。Tanaanは水滸伝のような昔の中国風の文化を持つ人々の住む街で師匠の指導の元、太極拳を修行している人々がいたり、郊外には田園が広がっている。彼らはGunthakという海賊達に生活を脅かされており、村の人々を守るクエストも用意されている。

 また、この島には女性の上半身と蛇の下半身を持つモンスター達が住む洞窟があり、高レベル冒険者の挑戦を待ち受けている。彼女たちとの戦いは激しいものになりそうだ。中国風の片手剣や日本刀、ギザギザの刃がついた両手剣など今までになかった装備もたくさん登場する。2006年6月にリース予定だ。

【The Fallen Dynasty】


■ より密接なプレーヤー達のつながりを目指すMMORPG「Vanguard: Saga Of Heroes」

 MicrosoftからSOEにパブリッシャーが変わった「Vanguard: Saga of Heroes」。制作スタッフはその経緯について「Sigil Games Onlineが望む方向性とMicrosoftが望む方向性の違い、Xbox 360などのコンテンツを多彩な方向へ展開するよりも、MMORPGメーカーとしての目指したい方向性があったためです」と語った。

 「Vanguard」は「Ever Quest」を手がけたスタッフによって設立されたたSigil Games Onlineが開発しているMMORPG。ブースでは特に本作の「ソーシャルシステム」に関しての説明が行なわれた。本作はMMORPGの「プレーヤー同士が協力する」という要素に最も注意を払ってシステム構築を行なっているという。パーティープレイでは戦士と魔法使いが協力してスキルを使うとより強い効果が生まれるなど「合体技」を多く取り入れ、1人より2人、そして3人の方が強くなるというバランスになっている。

 パーティー内だけではなく他のパーティーと力を合わせるシステムも考えられており、パーティーリーダー同士の会話を全メンバーが閲覧できるシステムなど独特のインターフェイスを取り入れていく。また、「キャラバン」というパーティーともギルドとも違う特別なグループシステムが用意されていて、一度キャラバンを組むとゲームを中断してもその繋がりは継続され、再度ログインしたとき瞬時にキャラバンリーダーの元に移動することができるようになっている。

 「Ever Quest」ではパーティー必須のゲームシステムであったために、メンバー集めに苦労し、待ち時間が生まれてしまうという問題も生まれた。このため後続のMMORPGの多くははソロプレイ要素を取り入れていった。その流れの中で「Vanguard」はパーティープレイ、プレーヤー達の協力にこだわり作品を作っていくという。携帯電話と連動しゲーム内にいなくてもメッセージを交換できる機能も実装予定である。様々なシステムで協力プレイを推奨していく。

 スタッフの提示する協力プレイが必須の冒険とはどんなものになるか、期待したいところだ。「Vanguard」は現在2度目のクローズドβを行なっている今年の冬に正式サービスを開始する予定だ。課金形態は月額課金を予定している。

【Vanguard: Saga Of Heroes】


■ 軍団を率いて神話のモンスターと戦うMMORPG「Gods and Heroes: Rome Rising」

 「DiabloII」のリードデザイナーを務めたStieg Hedlund氏が制作する「Gods and Heroes: Rome Rising」ではプレーヤーはローマの栄光をカルタゴやガリアといった他の国に広げるため戦っていくことになる。

 「Gods and Heroes: Rome Rising」の世界は蛇女のメデューサや牛の頭を持つミノタウロス、いくつもの頭を持つ大蛇ヒドラなどローマの神話に登場する多くの怪物達が闊歩している。プレーヤー達は協力して彼らと戦う。様々なクエストを完了し、それを神に捧げることでプレーヤーは髪からの恩恵を得ることができる。その神からの力は戦闘において大きな威力を発揮する。

 戦闘はアクション性を持った激しいものになる。プレーヤースキルが上がっていけば強力なモンスターとも渡り合えるようになるだろう。また、闘技場で他のプレーヤーと戦いを繰り広げることも可能だ。ローマのコロッセオで剣闘士として刃を交えるのはモンスターと戦うのとは別な興奮を体験できそうである。

 また、本作ではプレーヤーが最大8人のローマ軍の兵士のNPCを引き連れることができる。パーティーの上限は5人となっていて、NPCプレーヤーを含めると最大で45人の大部隊を結成することができる。プレーヤー達はこの大部隊で迷宮などに挑戦することができるのだ。紹介ムービーではメデューサとその眷属が住む神殿に突撃をしていく様子が描かれた。

 グラフィックスは美しく、ローマ神話の幻想的な世界観を再現していると感じた。ローマ神話、そしてこの時代に詳しいプレーヤーならばよりのめり込んでプレイできるタイトルとなりそうだ。本作は2006年の冬にリリース予定で、月額課金制を予定している。

【Gods and Heroes: Rome Rising】

□Sony Online Entertainmentのホームページ
http://www.station.sony.com/en/

(2006年5月14日)

[Reported by 勝田哲也]



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