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Electronic Entertainment Expo 2006 現地レポート

「Enemy Territory: QUAKE Wars」プレビュー
「Wolfenstein: Enemy Territory」のゲームシステムを踏襲
「Quake 4」の世界観を取り入れたタクティカルFPS

5月10~12日開催

会場:Los Angeles Convention Center

 Acitivisionが出展した「Enemy Territory: QUAKE Wars」は地球に侵略してきたストログ(異星人)軍とGDF(地球防衛軍)の戦いをテーマにしたマルチプレイ専用FPSだ。ゲームシステムは、各種の兵科を選択し、攻守に分かれて目標を達成していくFPS「Wolfenstein: Enemy Territory」の発展型である。

 Acitivisionブースでは「Enemy Territory: QUAKE Wars」の12対12の24人同時対戦を行なうことができる試遊台を設置、本作ならではの対戦が楽しめた。多くの来場者が対戦を希望し、1時間待ちの列ができる大盛況となった。開発元のsplashdamageや本作をプロデュースしたid Softwareの開発者達は、ゲームのインストラクターとして会場で来場者を出迎え、ゲームの内容について話し合ったりもしていた。本稿ではブース内で撮影したプレイ画面と共に、「Enemy Territory: QUAKE Wars」のファーストインプレッションをお伝えしたい。


■ 戦場で様々な役割を楽しむことができる快適さが魅力の新時代FPS

 プレイを開始して一番初めに驚いたことは大人数のプレイでの軽快さだ。本作のゲームエンジンは「DOOM 3」エンジンで、同エンジンを用いた「Quake 4」ではハードウェアへの負荷から、マルチプレイサーバーにジョインできるプレーヤー数は10人前後が上限というのが主流だ。

id SoftwareリードデザイナーのTim Willits氏。今回はお目にかかれなかったがテクニカルディレクターのJohn Carmack氏も開発に参加したとのこと
 しかし、今回プレイした「Enemy Territory:QUAKE Wars」は、24人での同時プレイを快適な環境で実現していた。開発者によると最大24人という人数設定は、「これくらいの人数で遊ぶのが望ましいのではないか」ということで、抑えて設定された数字とのことだ。ゲームのスペックとしては32人や、64人での対戦プレイも十分可能だという。このような、大人数対戦をサポートできる環境が整ったのは、ゲームエンジンやネットコードなどをマルチプレイに特化して大幅に改善させたためである。美しいグラフィックで大人数のマルチプレイを楽しみたいユーザーには吉報である。

 今回対戦に使用されたマップは、ストログに占領されたダム施設と周辺地域をGDFが奪還を計るというストーリーとなっている。GDF軍のプレーヤーはストログの支配地域を徐々に制圧し、最後に汚染施設を破壊することで勝利となる。体験プレイではGDFチームの1員としてゲームに参加した。マップ右下の拠点にパラシュートで降下するシーンからスタートとなった。

 本作の大きな特徴は広大なマップと、乗り物のバリエーションにある。カーゴから飛び降りると一人乗りの小型バギーや大型戦車、兵員輸送車といった乗り物が並び、眼下に広がるマップに飛び出したいという気持ちに駆られる。さらに先のチェックポイントではプロペラの無い近未来的なヘリコプターや、6人ほど人が乗れる輸送ヘリといった空中移動用の乗り物に乗ることができる。また、ストログチームからは巨大なロボットが繰り出してきたり、ジャイロをつけたプレーヤーが飛んでくるなど各チームのテクノロジーを駆使した戦闘を楽しめた。

 兵科はソルジャー、メディック、エンジニア、フィールドオプス、カバードオプスの5種類があって、エンジニアは橋脚などオブジェクトの修復、カバードオプスは施設のハッキングを行いうことができる。また、エンジニア、フィールドオプス、カバードオプスが自勢力下の開けた土地にさまざまな簡易設備を設置できる。エンジニアは敵が近づくと自動攻撃するターレット、フィールドオプスは砲台、カバードオプスはレーダーを建てることができる。双眼鏡で施設を置く場所や向き、種類を指定すると上空に輸送用カーゴが飛来して施設を投下してくれる。

 FPSファンとして嬉しかったのは、「Quake 4」では採用されなかった左右へ体を折って覗き込む動作(lean)も実装されたことだ。さらにlean状態で銃撃もできる。カバードオプスはリモートカメラが設置でき、離れた場所から周辺の様子を探ることができるなど「Wolfenstein」シリーズ初となる戦術的な要素が大幅に盛りこまれている事が確認できた。

 筆者が参加したゲームは20分ほどのプレイで、GDFチームがマップの半分ほどを制圧して終了した。小型バイクに跨り敵プレーヤーに体当たりしたり、メディックで倒れている味方を復活させて回ったり、フィールドオプスで敵の巨大ロボットに向けて空爆を要請したりと、様々な活躍をすることができ、短い時間ながら「Enemy Territory:QUAKE Wars」の世界を堪能できた。筆者が見たE3 2006で発表されたFPSのタイトルで最も面白いと感じた作品だった。

「Enemy Territory:QUAKE Wars」コーナーではプレイ前インストラクションムービーを見せた上で、開発者達をインストラクターに多数配置し、初心者でもゲームを楽しめるようにしていた
戦闘ヘリや戦車以外は輸送用の兵器が多く、相手チームとの接触後の歩兵の戦いが戦況を大きく左右する。テクスチャの美しさも素晴らしい
砲台を設置する。自陣の空き地に向きと種類を指定すると上空から砲台が投下される。この後はじめてフィールドオプスは砲撃要請ができる方式に変更された
各チームとも兵科の性質は大まかに同じだ。レーダーを設置すると戦略マップ上に敵が表示される
カバードオプスの遠隔カメラ、小型レーダーになっている他にリモート爆弾としても使えるスグレモノだ。物陰から隠れての銃撃戦ができるようになり、スピード感の裏でより戦術的なゲーム展開となっている

□Activisionのホームページ
http://www.gamecity.ne.jp/
□Electronic Entertainment Expoのホームページ(英語)
http://www.e3expo.com/

(2006年5月14日)

[Reported by 三浦尋一]



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