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会場:Los Angeles Convention Center
今回のプレスプレビューは、日本メディアよりむしろ、E3に取材に訪れている中国、韓国、台湾などのアジア圏のメディアを対象に行なわれたものだが、日本でもいよいよ5月下旬より、「テクニカルテスト」と称したクローズドβテストが始まる。いわば開戦前夜のオンラインタイトルである。今回、「テクニカルテスト」バージョンを実際に触れられただけでなく、「真・三國無双BB」プロデューサーの松原健二氏を筆頭とする開発スタッフにも直接話を伺うことができた。
■ 瓢箪を集めて力を蓄えていく「無双BB」オリジナルのバトルデザイン
デモプレイは、まずは自宅からスタートした。自宅はプライベートスペースになっており、がらんとした広い空間の中に、質素なベッドと机、そして自分と、自分に所属する副将がいるだけの状態である。今後、正式サービスに向けて、ビジュアル要素と機能的な要素が、順次拡充されていくようだ。 自宅の門を出ると街に出る。街は当然、所属勢力によって異なる。今回、劉備陣営は幽州、曹操陣営は陳留だった。街は市場に武器屋がおり、詳しくは後述するがここで武器の鍛錬をすることができる。 街の周囲には、城門が複数の方角に開かれており、ここから各方面の戦場へ赴くことができる。城門を叩くと、いわゆるセッション画面に移行する。まず最初に「戦場選択」で自分がいる都市から行ける戦場を選ぶ。戦場を選ぶと、次に自分がホスト側なら、マップタイプを選択(平原、湖沼、川島、渓谷)し、待ち時間やCOM(NPC勢力)排除の有無、格の設定、パーティー限定などを行なう。あとは敵味方、双方の勢力のユーザーがセッションに参加するのを待つことになる。 「真・三國無双BB」では、ロビーとしての機能を備えたMMO型の街と、セッション型のMOとの機能に分かれて戦いが行なわれるため、現実的に考えるとちょっとおかしなことになるが、同一の戦場でさまざまなマップタイプのセッションが同時並行して行なわれることになる。このため、単一の戦い(つまり4対4のワンセッション)では、戦場の支配権の獲得までには至らず、特定のタイミングを持って行なわれる決戦によって確定する。個々のセッションはそのための前哨戦という扱いになっている。 さて、今回は戦場マップは白馬、マップタイプは平原を選択。相手がすぐ隣にいるので、待ち時間を消化せずにすぐセッションが成立。数十秒のローディングの後、戦いがスタートした。勝利条件は、制限時間内に敵の拠点を制圧すること。これは敵にとっても同じで、10分や20分といった一定の制限時間が終わっても決着が付かない場合は、双方の総撃破数によって勝敗が決まる。 戦いはマップの端にある自陣営の砦からスタートした。序盤の展開は「真・三國無双」シリーズと同じ感じで、駆け出すやいなや、わらわらと攻め寄せてくるNPC兵を、連撃攻撃でバッタバッタとねじ伏せていく。ゲーム性が変わるのはその後で、ときおり敵を倒すとひょうたんの形をした「仙箪」をドロップする。この一種のパワーアップアイテムを取得し、戦場でどんどん手持ち武器の強化を図っていく。ここが「真・三國無双BB」オリジナルの要素だ。 強化カテゴリには、「攻撃強化」、「防御強化」、「体力強化」、「破壊強化」、「無双強化」、「副将強化」、「連撃強化」の7種類があり、武器の種類によって、1から7の優先順位が付く。優先順位が高いほど、少ない数の仙箪で強化を図ることができる。1なら1つ、7なら7つの仙箪が必要となる。たとえば、「剛直槍」は、1が無双強化、2が攻撃強化、3が防御強化といった具合になっている。無双をはじめとした攻撃性能が上がりやすい一方で、体力やサポート役の副将の強化は、多くの仙箪を必要とする。剛直槍は、攻撃特化型の武器として性格づけられているわけだ。 戦場には、一般兵のほか、NPC武将、NPC副将、無双武将などがおり、これら強さに比例して、仙箪をドロップする確率、個数も増えてくる。戦いの最終的な目的は、PC武将を撃破した上で、砦を制圧することにあるから、これらNPC武将たちをうまく撃破して、効率よく仙箪を集め、自勢力のキャラクタを敵勢力より早い段階で強くしていくことが必要不可欠になる。 戦場で倒されてしまうと、間近の砦で復活できるが、強化ポイントはリセットされ、一から仙箪集めのやり直しになってしまう。このペナルティは非常に大きく、必然的に最前線で戦う能力を失ってしまう。しかし、仲間がいれば、ドロップした仙箪を融通し合うことも可能。この仙箪の仕様は、ゲームデザインとしては、内政のあるリアルタイムストラテジーに非常に近い。
これは、開発スタッフのひとりにRTSコアゲーマーの越後谷和広氏がいることと無縁ではないようで、今回、実際にデモを受けてみて「なるほど」と思わされた。越後谷氏は、「Wacraft」、「Starcraft」、「Age of Empires」など、RTS初期の頃からのRTSファンであり、かつ筋金入りの対戦ユーザーである。当時よく私も対戦したから間違いない。「真・三國無双BB」が、「真・三國無双」ファンのみならず、RTSファンにも訴求できる要素を備えているのは嬉しい誤算だった。
■ サーバーごとに異なるシナリオ、サーバーを定期的にリフレッシュするシステムなどオンライン独自の仕掛けが満載
まずゲームの最終目標は「全国制覇」。全国制覇があるということは勢力滅亡もある。いずれかの勢力が全国制覇を達成すると、サーバーがリセットされ、いわゆる「2周目」に入る。全国制覇のスパンは最大で半年程度を考えており、半年を過ぎても膠着状態が続く場合は、システム側で強制的にリセットを行なう。これにより、だらだらとしたゲームプレイが永続することを避ける。2周目の具体的な仕様は不明だが、キャラクタデータはそのまま残り、キャラクタの強さの源泉である武器のみ初期化されるようだ。 そして「真・三國無双BB」のオンラインゲームとして革新的な要素が、サーバー単位ごとに異なるシナリオを提供するところだ。「三国志」は年代によって活躍する武将が異なり、プレーヤーによって好みの年代も異なる。「だったら、複数のシナリオを同時に提供してユーザーに選ばせよう」というのがこのシステムの基本的な考え方であり、現状、もっとも期待される要素のひとつだ。 具体的なシナリオ名、年代については「それは始まってからのお楽しみです(松原氏)」とのことだが、董卓の時代から、三国鼎立あたりまで、歴代の「三國志」シリーズの中でも定評の高いシナリオをベースに、5本前後のシナリオを導入する。シナリオの導入タイミングは、同時ではなく、少しずつずらしていく。そうすることで、プレーヤーがどの時期に始めても、成熟度の浅い、言い方を変えればビギナーにも活躍の余地が残されている真新しいサーバーを選ぶことができる。ユーザー側の視点に立った、非常に素晴らしい考え方だ。 自勢力として選択できるのは、董卓、曹操、劉備など名のある5勢力程度。他の勢力はNPCが担当することになり、「三國志」シリーズと同様、空白地の概念もある。領土の広さに応じて所属ユーザーに対して給与が支払われる。このお金は、主に武器の鍛錬や特効性のあるアイテムを購入するために使うことになる。たとえば董卓の時代であれば、おそらく董卓は不人気勢力になるが、領土が広いため、給与が高く、他勢力に比べて有利な状況で全国制覇を進めていける。方や、曹操や劉備といった勢力は人気が高くなるが、領土は狭いため、給与が低く、武器鍛錬がしにくい。このあたりも人数的なバランスの是正を念頭においたシステムといえる。
ビジネスモデルは、従量制をベースに複数のパターンを検討中だという。従量制とひとくちにいっても、アーケードゲームの1回100円から、携帯電話の料金まですべて包括するあいまいな表現であり、何が飛び出てくるのかは、正直なところわからない。願わくば、子供でも気軽に遊べるように、できるだけミニマムな課金システムが望ましいし、1回いくら、何分いくらのいわゆる従量制の王道を選択するのなら、「パケホーダイ」のようなセイフティネットもほしい。いずれにせよ、まずはテクニカルテストのスタートを待ちたいところだ。
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□コーエーのホームページ (2006年5月13日) [Reported by 中村聖司]
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