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会場:Los Angeles Marriott Downtown
今回の発表会で特に印象に残ったのは、「次世代機向け」を強くアピールした2つのスケードボードのゲーム「Tony Hawk's Downhill Jam」、「Tony Hawk's Project 8」だ。「Tony Hawk's Downhill Jam」は任天堂の新ハード「Wii」ならではの機能を活かし、コントローラを傾けたり、振ることで直感的にキャラクタを操作することを可能にしている。 一方、プレイステーション 3用ソフトとして発売される「Tony Hawk's Project 8」は物理エンジンやキャラクタモデル、グラフィックスなど全てを一新し、キャラクタの細かいモデリングや、体重移動の仕草、ジャンプの角度によって変化する姿勢など、全てを細かくリアルに再現する。発表会ではPS3によるデモ映像が紹介されたが、グラフィックス、そしてコースを走るキャラクタの動きなどから次世代ハードのパワーが伝わってきた。
ハードの性能と特性を各メーカーがどうゲームに活かしていくかは、今回のE3の見所である。この2つのタイトルは非常にわかりやすい形で次の世代のゲームの方向性を示しているように感じた。
■ 20人以上のスーパーヒーローがチームを組んで戦う「Marvel:Ultimate Alliance」 「Marvel:Ultimate Alliance」はウルヴァリンをはじめとしたXーMENメンバーやスパイダーマン、キャプテンアメリカなどマーヴルコミックスで活躍するヒーローが集結するアクションRPGである。ヒーローの中から4人を選択、チームを結成させて戦っていく。プレーヤーは4人の内1人を操作し、他のキャラクタはAIで行動する。いつでも瞬時に操作するキャラクタを切り替えることができ、各キャラクタの能力を活かしながらステージを突破していく。 デモプレイではスパイダーマンが敵を蜘蛛の糸でつり上げ身動きできなくし、他のヒーローが一斉に殴るなどヒーロー達が連係攻撃を行なうシーンも見られた。また、数10メートルの大きさの巨大な敵が登場し、ヒーロー達はその敵から逃げながら反撃していった。敵は口からエネルギーをはき出し爆発を起こしたり、手を伸ばしてヒーローを握りつぶそうとする。敵に掴まれた場合はボタンを連打すると掴まれたヒーローが指をこじ開け脱出したりと、コミックスの一場面のようなシーンが展開した。
「Marvel:Ultimate Alliance」ではゲームを進めることで使用するキャラクタは増えていき、最終的には20人以上のヒーローを操作可能になるという。デモプレイの後に流されたムービーでは堅物なキャプテンアメリカや、強引に突き進み敵を引き裂くウルヴァリン、ずっと愚痴っているスパイダーマンなど各キャラクタの特徴をうまく表現していた。敵味方合わせると140ものヒーローと悪役が登場するとのことで、彼らの特徴がゲーム内でどう再現されるかが注目である。
■ Wiiならではの機能を活かしキャラクタと一体化できる「Tony Hawk's Downhill Jam」 「Tony Hawk's Downhill Jam」はシミュレーション要素の強い従来の「Tony Hawk's 」シリーズとは違い、スケートボードに乗って様々な仕掛けのあるコースを高速で滑り降りていくレースゲームとなっている。
ゲームの展開は、コースによっては壁をぶち破ったり、林を飛び越えたりと派手で、リアルさよりもエンターテイメント性を強調した作品になるようだ。デモプレイの後流されたムービーでは子供のプレーヤーがソファーの上でコントローラを傾け、ついには対戦プレーヤーを実際に肩で突き飛ばしてしまったりと、体全体でプレイをしている様子が紹介された。
「Tony Hawk's Downhill Jam」はDS、GBAでの発売も予定されている。GBAは「まわるメイドインワリオ」などゲーム機を傾けてプレイするタイトルも発売されているが、本作も同様の機能によって本作ならではの操作感を実現するのだろうか? 今後の情報に期待したい。
■ 全てを一新しよりリアルな表現を目指す「Tony Hawk's Project 8」 「Tony Hawk's Project 8」はActivisionの人気シリーズであるスケードボードシミュレーションシリーズの最新作である。グラフィックス、物理エンジンを一新し、最新のハードの性能を実感できる作品を目指して制作されている。 ゲームに登場するキャラクタは実際のプロ選手からスキャンした輪郭データ、写真を元にしたものを使用し、トリックなどは専用のモーションキャプチャー設備を用意し、実際のプレイを取り込んでいる。ボードの傾きに選手達がどのように対応しているか、バランスの取り方なども細かく再現している。
物理エンジンによってジャンプ台の角度と進入スピードによってジャンプの高さ、プレーヤーの姿勢を再現し、よりリアルな接地感、生じる衝撃などを表現している。デモプレイやムービーからはアスファルトや木の屋根、トタンやガラスのはめ込まれた窓など、滑る場所でのボードに伝わる感触の違いまできちんと再現しているのが伝わってきた。
■ スタント、特撮シーンが可能に「The Movies:Stunts & Effects Expansion Pack」 先日、日本語版が発売された「The Movies」の追加パックが「The Movies:Stunts & Effects Expansion Pack」である。「The Movies」は映画産業の成立と進化の過程を描くシミュレーションゲームで、プレーヤーは映画会社のオーナーとなり、役者や監督を育て上げ、様々な作品を作り上げていく。 今回の追加パックによって、「ミニチュアセット」といった施設の建造が可能になった。また、映画スタッフとして新しくスタントマンを育成することもできるようになった。ミニチュアセットでは、UFOが都市を襲撃するシーンなど役者がいないシーンも撮影が可能。背景がスクロールする舞台によって落下シーンを再現したり、CGを合成したりと時代に合わせた特殊効果を可能にする施設も紹介された。 スタントマンは役者と同じように成長するスタッフで、経験が浅いと大けがをしたりする。スタントマンの起用は配役の時点でスターにスタントマンを設定することで行なう。火事のビルの窓から飛び出したり、衝突した車から投げ出されるようなスタントシーンも可能になった。更に天候を変化させたり、カメラの移動を設定したりと、シーンのカスタマイズもより細かくできるようになった。
様々な機能の追加により、「ゴジラ」を思わせる怪獣映画の撮影も可能になり、より自由度が増した。プレーヤー達がこれらの機能を使ってどんな作品を作るのか、楽しみである。
■ 近未来の世界を舞台にしたオンラインアクション「Enemy Territory: QUAKE Wars」 「Enemy Territory: QUAKE Wars」は近未来の世界を舞台に他のプレーヤーと協力して敵部隊と戦っていくオンラインアクションゲームだ。今作の開発元であるid Softwareが開発したフリーソフト「Wolfenstein: Enemy Territory」をベースに、「QUAKE」シリーズの“2065年”の世界を舞台に設定した作品だ。プレーヤーキャラクタはロケットランチャーやマシンガンなど数々の武器を携行し、バイクやヘリコプター、戦車などフィールドにある乗り物に乗って敵と戦う。デモプレイからはEAの「Battlefield 2」に似ている印象を受けた。 キャラクタにはいくつかのタイプがあるのだが、特に本作では「工兵」の役割が重要になっており、彼らが協力をすることで崩れた橋を直したり、対空砲を設置できるようになる。工兵をいかに支援するかも重要な駆け引きとなりそうである。 世界観も非常に魅力的だ。「Enemy Territory: QUAKE Wars」の戦場は近未来である。ホバーで進む戦車や歩行戦車、ローターを機体内に内蔵したヘリコプターなど登場するメカのデザインは凝っている。ジェットパックの様な物を装備して飛び回る敵もいたりと、戦場には独特の空気がある。ヘリからロケットランチャーで敵を破壊したり、パラシュートで飛び降りたりすることもでき、歩兵の装備も充実している印象を受けた。
デモプレイのグラフィックスは美しく、来場者から「どのくらいのスペックで動くのか」という質問があったが、「Geforce 7900は買っておいた方が良いかもしれない」というコメントのみで、詳細は明らかにされなかった。「Wolfenstein: Enemy Territory」は制作に時間がかかりすぎ、結局製品化されずフリーソフトとして公開したという経緯がある。世界観、システム、グラフィックスを進化させた今作はファンの待ち望んだ作品といえるだろう。
■ プロ達の仕草まで再現した「World Series of Poker:Tournament of Champions」 「World Series of Poker:Tournament of Champions」はラスベガスのプロのギャンブラー達とポーカーを楽しむことができる作品。細かいキャラクタモデルによって細部までギャンブラー達を再現、いい手が来た時の表情や、感情を押し殺す姿などを再現し、本当にプロ達とテーブルを囲んでいるかのような臨場感を味わう事ができる。 プレイ中に実際のテーブルにいるかのように視点を動かし、細かいところまで他プレーヤーを観察できる。プロのギャンブラー達の思考ルーチンを再現したAIは手強く、そして表情はなかなか手札を読ませない。ポーカーフェイスを保っていたギャンブラーが、勝った瞬間大きくガッツポーズをとる所など、ギャンブラーの性格が出ていてニヤリとさせられる。
PS発売の初期には3Dのキャラクタが麻雀を行なう「麻神」など、次世代機での向上したグラフィックス技術を演出に使い、ゲーム自体はシンプルな作品が登場するが、本作もその系譜に連なる作品であるかのような印象を持った。しかし、過剰な演出ではなくギャンブラー達の表情の再現に注力するというのは、スタッフのこだわりを感じさせる。ユーザーの間でどんな評価を受ける作品になるか、興味のあるところだ。
□Activisionのホームページ (2006年5月11日) [Reported by 勝田哲也]
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