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会場:The Hollywood Palladium
■ 3つのラインナップで同時進行する「ファイナルファンタジー XIII」フランチャイズ“FABULA NOVA CRYSTALLIS”プロジェクト
映像は明らかに次世代機向けとわかるハイデフ映像で、列車が空中を走る未来都市に、機械化したモンスターや武装した兵士などが点描され、映像のスピード感とオーバーラップして主人公が疾走していく。主人公が男か女かすら定かではないが、ところどころ挿入されたインゲームムービーでボーイッシュなヒロインであることがわかる。ヒロインは、ウェポンを自在に変形させて銃撃したり、剣で敵をなぎ払ったり、手からサイオニックパワーのようなエネルギーを放って敵の包囲網を突破していく。 一見して、SFの世界観であることがわかるが、しかし、これが「ファイナルファンタジー」シリーズの最新作、ましてや「XIII」だとは、タイトルが表示されるまで確信が持てなかった。映像の最後に「ファイナルファンタジー XIII」のタイトルロゴが表示されると、会場は大きな歓声に包まれた。 短いインゲームムービーで見た限りでは、バトルシステムは「FF XI」、「FF XII」の流れを踏襲するリアルタイムバトルを採用している。ただし、ジャンプ攻撃や体術のたぐいなど、純粋なアクションゲームと言っても通用するほどアクション性が高く、「FF XI」、「FF XII」とはまったくの別物、新世代の「ファイナルファンタジー」となっている。 さて、映像終了後、橋本氏は、「ファイナルファンタジー XIII」の制作発表を宣言すると同時に、提供プラットフォームをプレイステーション 3としたことを発表した。主要スタッフは、プロデューサーは「FF X」を担当した北瀬佳範氏、ディレクターは「FF X-2」を担当した鳥山求氏、キャラクターデザイナーは野村哲也氏、コンポーザーは浜渦正志氏、テーマソング作曲は植松伸夫氏と、「FF X」チームを主力とした万全の体制が整えられている。 橋本氏に紹介されて壇上に上がった「FF XIII」プロデューサーの北瀬佳範氏によれば、「ファイナルファンタジー XIII」はもともとPS2向けに開発していたという。昨年のE3で公開した「FF VII テクニカルデモ」の開発を契機に、次世代機の洗礼を受けてすべて破棄し、次世代機向けに新生「ファイナルファンタジー XIII」の開発をスタートさせたという。開発にあたっては、専門のテクニカルチームを編成し、描画エンジン、物理演算、モーション、シネマティックス、エフェクト、サウンドなどの基本ライブラリをすべて0から作り直し、基本ライブラリの集合体である“White Engine”をベースにPS3向けに一から新しく作り直しているという。北瀬氏は、「FFの名を冠する以上、対応ハードの性能を極限まで使い切ることを命題に、今後、さらなるクオリティアップへの挑戦を続けていきますのでどうぞご期待ください」と抱負を述べた。
続いて壇上に上がったディレクターの鳥山求氏は、「ファイナルファンタジー XIII」の基本概要を紹介。「ファイナルファンタジー XIII」は、FFシリーズの中でももっとも文明度が進んだ未来の世界を舞台にしており、クリスタルが導く、魔法とテクノロジーが融合し、進化した誰も見たことのない未来世界。そこで生きる人間たちの物語がベースになっている。舞台設定を未来にしたのは、ただ単に世界観が未来というだけでなく、「PS3という未知の次元のハードウェアで遊べる新しいFFの誕生」という意味も含めており、シリーズを通して高い評価を受けている映像表現だけでなく、「バトルシステムやストーリー、プレイスタイルにおいても進化を遂げつつある」と抱負を語った。
「ファイナルファンタジー ヴェルサス XIII」は、「キングダムハーツII」と「FF VII アドベントチルドレン」の開発チームが担当し、プロデューサーは橋本真司氏、ディレクターは野村哲也氏が担当する。“ヴェルサス”とはラテン語で“向きを変える”の意。対応プラットフォームは、「FF XIII」本編と同様、プレイステーション 3となっている。 ひときわ大きな拍手で壇上に迎えられた野村哲也氏は、ゲーム内容については、「アクション要素の高いものを考えている」と報告。「世界観は現代的、物語としては絆をテーマとした痛みを感じるリアルなキャラクタを描いていくつもりです。今回の作品は、これまで自分たちが積み上げてきた作品性のひとつの完成形になると思っている」と抱負を語った。野村氏によれば、プリレンダームービーは「アドベントチルドレン」チーム、ゲーム部分は「キングダムハーツ」チームが担当するということで、「ファイナルファンタジー XIII」本編に勝るとも劣らぬクオリティの大作になることが予想される。こちらも要注目のタイトルだ。 「ファイナルファンタジー アギト XIII」は、次世代携帯電話向けに開発が進められているモバイルゲームで、オンラインプレイに対応する。“アギト”はラテン語で“行動を起こすこと”の意。ディレクターは、「BEFORE CRISIS FINAL FANTASY VII」を担当した田畑端氏。田畑氏によれば、アギトそのものが開発コンセプトを示しており、新しいタイプのオンラインゲームを目指しているという。 また、携帯電話ならではのシステムも意欲的に取り入れていくという。例として、ロケーションフリーな通信性を活かしたパーティープレイを挙げた。イメージとしては、その場その場でパーティーを組み、敵と戦うようなシステムだという。そのほかにも携帯電話の技術進化に対応した新システムも盛り込んでいくという。
こうした「ファイナルファンタジー XIII」フランチャイズは、共通したひとつの神話を下敷きとしており、このベースから自由にインスピレーションを広げ、独自の作品として展開していく。橋本氏によれば、この新しいコンピレーションプロジェクトをラテン語で“新しいクリスタルの物語”を意味する“FABULA NOVA CRYSTALLIS(ファブラ ノヴァ クリスタリス)”と呼び、今後、平行する複数のタイトル群をもってプロジェクト構成していくということだ。
■ 「ドラゴンクエストソード 仮面の女王と鏡の塔」は任天堂次世代機“Wii”に独占供給
1本目は、「ドラゴンクエスト」シリーズ最新作「ドラゴンクエストソード 仮面の女王と鏡の塔」。発表内容は、“Wii”のローンチタイトルであることと、“Wii”のアナログコントローラの性能を活かしたイメージ映像のみ。イメージ映像では、おなじみのメインテーマをバックに、Wiiのコントローラを剣に見立てて、ゴーレムに斬りつけるシーンなどがあり、2003年に発売した体感ゲーム「剣神ドラゴンクエスト 甦りし伝説の剣」の路線を継承したものと見られる。 エグゼクティブプロデューサーを務める三宅有氏は、「任天堂の新型機“Wii”は、『ドラゴンクエスト』の魅力であるわかりやすさ、自分が主人公に、という点で究極の形で表現することを可能にしてくれました」と、特異な形状、独創的な性能を備えたWiiのアナログコントローラの持ち味を最大限に活かしたゲームであると紹介。「『ドラゴンクエストソード』では、自分が主人公になるということに加え、体感する物語を実現します。“Wii”と同時発売を目指して頑張っております。ご期待ください」と抱負を述べた。 「ドラゴンクエストソード 仮面の女王と鏡の塔」は、期待されたナンバータイトルではないものの、シナリオ・ゲームデザインは堀井雄二氏、キャラクタデザインは鳥山明氏、音楽はすぎやまこういち氏とおなじみの顔ぶれが揃っている。また、欧米人が多くを占める会場でも大きな拍手に包まれた。「ドラゴンクエストソード」は、日本人以上に、欧米人が好むゲームデザインのRPGと言えるかもしれない。 2本目のWiiタイトルが「ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル」シリーズ最新作「ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル クリスタルベアラーズ(仮称)」。また、ニンテンドーDS向けにも「ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル リング・オブ・フェイト(仮称)」を投入する。 「ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル クリスタルベアラーズ」に関しては、エグゼクティブディレクターは河津秋敏氏、ディレクターは板鼻利幸氏が担当。登壇した板鼻氏は、「任天堂の革新的なハード“Wii”を手に入れた私たちは、RPGの伝統を継承しながらも、斬新なゲーム性と、ライブ感覚あふれるグラフィックスで再現される、まさに次世代のファイナルファンタジーを目指して制作を進めております」と挨拶。 残念ながら具体的なゲーム要素については触れなかったが、「遊ぶこと、楽しむことはそのままに、ゲームのあり方をがらりと変えることをお約束します」と力強くコメント。こちらも「ドラゴンクエストソード」と同様にWiiのコントローラの新機能に着想を得た新しいタイプのRPGになるようだ。
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□スクウェア・エニックスのホームページ (2006年5月9日) [Reported by 中村聖司]
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