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★PS2ゲームレビュー★

アーケード版を越えるEXキャラの面白さ
「GUILTY GEAR XX SLASH」



条件を満たし、キャラクタ選択画面でスタートボタンを押すと特殊キャラを選択可能
 一発決めれば試合に決着がつく「一撃必殺技」などの革新的なシステムと既存の格闘ゲームとは一線を画すハイセンスなデザインで一世を風靡したプレイステーション版「GUILTY GEAR」が発売されたのは'98年のこと。2000年、アーケードに「GUILTY GEAR X」が登場し、人気を博した「GUILTY GEAR X」シリーズはコンシューマとアーケードで数年ごとに続編をリリース。特に2003年の春にアーケードゲームで発売された「GUILTY GEAR XX #RELOAD(以下、#RELOAD)」は、対戦バランスの調整が優秀な作品で、長期間アーケードゲームプレーヤーの支持を受けてきた。

 その「#RELOAD」に再調整し新キャラを追加した作品が、2005年9月に全国ゲームセンターで稼働開始した「GUILTY GEAR XX SLASH(以下、SLASH)」である。この度、株式会社セガから発売されたPS2版「SLASH」は、アーケード版の内容を移植したことはもちろんのこと、トレーニングやサバイバルといったコンシューマ版専用モードを実装したタイトルである。「SLASH」の登場キャラクタは総勢23名、キャラのグラフィックは4月13日の記事で確認していただきたい。

 早速アーケード版のCPU対戦を移植した「ARCADE MODE」をプレイしてみたが、ステージ開始前のロード時間は短く画面が処理落ちすることもほとんどない(CPUのEXチップが連続で瞬間移動するときくらいだろうか)。一部のフォントなどは読みやすいものに変更されているが(オプションモードでアーケード版のフォントに変更可能)、アーケード版「SLASH」の持ち味である疾走感溢れる攻防の本質は問題なく再現されている。また、プログレッシブ出力にも対応している。

 PS2版の「SLASH」の追加要素の目玉は、既存のキャラクタに新グラフィックの技を加えた「EXキャラ」と、前作の「#RELOAD」仕様のキャラクタが使用可能になったことだ。

 「EXキャラ」は企画段階で没になった技を導入するなど、従来のキャラを大胆な発想でアレンジしているのが特徴。使ってみるまで「EXキャラ」は「少し派手な技を付け足しただだけのマイナーチェンジキャラ?」というイメージを持っていたのだが、実際に動かしてみると「SLASH」仕様のキャラとは移動速度から通常技の多くまで、操作感覚が大幅に変更されていることがわかる。中にはEXのアバや聖騎士団ソルのように、まるで新キャラかと思うほど操作が楽しくなった「EXキャラ」まで追加されていた。

 筆者個人の感想だが、アーケード版のアバは輸血パックによるモードチェンジ、聖騎士団ソルはチャージという固有システムがあり、それらはあまりにも突飛なシステムだったために既存のファンから少々理解されにくいキャラだったと思う。その点PS2版の「EXキャラ」はモードチェンジやチャージが撤廃されていて、「これがアーケード版にいればなあ……」と思いたくなるほどわかりやすいキャラに変貌していた。アーケード版でアバと聖騎士団ソルを使っていた人は、ぜひPS2版「SLASH」の「EXキャラ」で遊んでほしいと思う。

「SLASH」の新キャラ「アバ」の「EXキャラ」は新技「過失」を使用。武器の鍵によじ登り、降りるモーションで蹴りつける
聖騎士団ソルの「EXキャラ」は通常のソルが使う「ガンブレイズ」などを使用可能。コマンドリストもEX専用の物が表示される


 「#RELOAD」キャラは、上述した通り「SLASH」のベースとなった「#RELOAD」の時点の性能のキャラが登場する。格闘ゲームの大半は、続編開発時に前作のキャラのパワーバランスを考慮し、強すぎる(弱すぎる)技に調整が加えられる。これは当然歓迎すべきことではあるのだが、いろんな事情があるとはいえ、弱く調整されてしまったキャラの使用者は残念な思いをすることが多い。そんなプレーヤーも、PS2版で「#RELOAD」キャラを使うことでキャラへの愛と在りし日の対戦熱が蘇るのではないだろうか?

 ただし、「SLASH」を購入した時点で即座に「EX」と「#RELOAD」のキャラは使用できない。特殊キャラなどを使用可能にするには、「ARCADE」、「MISSION」、「SURVIVAL」のいずれかのモードを一定以上進める必要がある。特殊キャラを解禁するために長時間のプレイを強制されるのは少々時代錯誤な感もあるが、キャラのコンプリートもコンシューマ版の貴重なやり込み要素の1つということで納得したい。


■ マイルドな難易度に落ち着いた「MISSION MODE」

 プレーヤーキャラの体力がスリップしていく、必殺技を封じられるといった条件付けの中で闘うモードが「MISSION MODE」である。「MISSION MODE」は通常の対戦のラウンド制ではなく、ステージクリア方式になっている。任意のキャラクタを選択し、ランダムで出題される特殊条件を課せられた上で勝利条件を満たせばステージクリア。前作のように100ミッションあるわけではないが、それなりのボリュームはある。ミッションレベルは1~3まであり、それぞれが4ステージ構成、つまり1キャラにつき12ステージが用意されている。レベルをクリアした情報はメモリーカードに記録されるが、1-2や2-3といったステージ途中での記録はできない。

各キャラによって特殊条件が変化するわけではない クリアすると、ご褒美の画像が閲覧可能になったりする もしかすると、特殊キャラの使用条件になっているかもしれない


 「MISSION MODE」は一定の条件が課せられることで、通常の対戦では体験できないバトルが堪能できる。例えば、特殊条件で必殺技を封じられた場合、プレーヤーは必死でシステム面を理解しようとする。筆者も「ポチョムキンバスターのないポチョムキンって何やねん」と頭を抱えたが、そのおかげで通常技のガトリングコンビネーション、足払いやダストアタックといったシステムに対する理解が一層深まった。

プレーヤーの体力ゲージがスリップダメージを受けていく特殊条件。開始から30カウント弱で体力が1ドットになる 体力ゲージは無限だが、残りタイムが32秒という苦しい特殊条件。火力のないキャラは苦労することだろう

 また、特殊条件が固定でなくランダムな点も評価できる。条件が固定の場合、例えば「3HIT以上でダメージが適用される」などの特殊条件が出現すると、連続技が苦手なユーザーはそこが越せずに停滞することだろう。しかし、ランダムに条件が出題される今作はゲーム中のポーズからミッションセレクトを選び直すことで、特殊条件の変更が可能。自分に有利な特殊条件が出るまで何度でも選択し直せるのは親切な仕様だと感じた。

 「MISSION MODE」の難を挙げるとすれば、ミッションの勝利条件が少ないというところだろう。全キャラの2レベルまでをクリアしてみたが、勝利条件はすべて相手に勝利する(制限時間内に~、など多少の変化はある)ことであった。特殊条件にしてもキャラ限定条件などがあるわけではなく、捻りもそれほど効いていない(わかりやすい条件、という評価もできるが)。隠しミッションがあるというなら話は全く別だが、デフォルトで用意されているミッションモードは正直なところバリエーションに乏しい。これだけでミッションモード全クリアへのモチベーションが続くかというと首を捻らざるを得ない気がする。


■ 達成感がやり込みの価値を高める「SURVIVAL MODE」

画面右上に表示されているのが現在のレベル
 コンシューマ版の定番となった「SURVIVAL MODE」。これはCPUのキャラクタを連続して倒し、到達レベルを競うモード。バトルで減少した体力はステージクリアでわずかに回復し、1ステージ負けた時点で即ゲームオーバー、コンティニューはできないという勝ち抜き戦となる。

 このモードでは、相手にダメージを与えるたびに経験値がたまり(経験値は画面に表示されない)、一定の経験値の取得でレベルが上昇する。レベル上昇と比例するのがCPUの難易度。レベルが低い内は歩くだけだったCPUが強力な連続技をたたき込んでくるなど、次第にCPUのアルゴリズムが強化されていく。

 これも前作をやっていた人にはおなじみの事なのだが、特定のレベルに到達するとボスクラスのCPUキャラクタが乱入してくる。1人用のモードで遊んでいるのに、ゲームセンターでの対戦乱入のように「HERE COME DAREDEVIL」画面がカットインされる演出は何度見ても驚かされてしまう。

レベル20、40のようにキリの良い数字にレベルが到達すると、対戦中でも乱入者が割り込んでくる。レベル20の刺客はEXポチョムキン(BLACK)

 一発勝負の「SURVIVAL MODE」は、到達レベルが自己記録を更新した時の達成感が大きい。一定間隔で登場するボス的存在など流れに起伏もあり、まるでアーケードゲームのような感覚を兼ね備えたモードだ。コンシューマ版のやり込み要素の中では、「SURVIVAL MODE」が一番熱中度の持続するモードといえるだろう。


■ キャラ限定コンボの練習もできる「TRAINIG MODE」

ダメージ、トータルダメージの表示で連続技の効果を確認できる
 「TRAINIG MODE」も対戦格闘タイトルであれば必須といえるモードだろう。体力ゲージやテンションゲージ(覚醒必殺技という強力な技の発動などに使用)もINFINITYに設定することで無限にできる。時間も無制限のため、基本操作はもちろん高度な連続技の開発・練習に役立つモードだ。

 このモードで一番役に立つのは、「ARCADE MODE」では表示されないキー入力情報や技のダメージ数が画面に出ることだろう。当たり判定の情報表示などがあると尚のこと良かったが、データを重視するプレーヤーにとってはありがたい機能だ。

 また、今作では「TRAINIG MODE」中の対戦相手の状態を詳細に設定できるようになった。「STATE」では対戦相手を立ち、しゃがみ、ジャンプ、攻撃状態に設定させることができる。PS2版「GUILTY GEAR XX」のトレーニングモードは状況設定がなく、しゃがみ状態の対戦相手に技が当たるかどうかを1人で調べるためにコントローラーの方向キーをテープで止めていた記憶がある。今作の「TRAINIG MODE」では、そんなアナログな苦労からも解放されるというわけだ。

 その他、カウンターヒットや対戦相手の受け身を取る早さのタイミングの設定など、対戦シーンで頻繁に見られるシチュエーションをも簡単に組むことができる。ソルの特殊状態ドラゴンインストールを常にキープさせるという具合に、キャラ限定の設定も自由自在。

 コアな「ギルティ」プレーヤーにとって、技の入力タイミング、連続技の精度を高めるために最高のトレーニング機能が用意されたといえるだろう。


■ 良質の対戦格闘を楽しみたいユーザーへ

オープニングはアーケード版と同じアニメーションが流れる
 CPU戦、家庭用専用モードは優秀なコンテンツがそろっている「SLASH」だが、ストーリー周りはどうだろうか? 今作はPS2「#RELOAD」と同じくストーリーモードが無く、「ARCADE MODE」のエンディングは一枚絵が表示されるのみ。中間デモや対話シーンなども無く、ゲーム内の物語は「#RELOAD」からほとんど発展がないため、ストーリー周りへの過度の期待は禁物といえるだろう。

 総合的に判断して、このゲームは対戦2D格闘ゲーム経験者と、「SLASH」を極めようとする人に薦めたい。どうしても「間口が広い」、「初心者でも大丈夫」と言い切れない理由は、「フォルトレスディフェンス」や「フォースロマンキャンセル」といった複雑なギルティのシステムを理解できるようになるためのチュートリアルモードが実装されていないことが大きい。

 トレーニングモードを用意して「思う存分練習してください!」と謳うのは簡単だが、ビギナーにとっては「優先して練習するシステムは何か、使うタイミングは?」といった基本システムが一番つかみにくい部分。キャラクタの掛け合いで説明させるでも、システムの動画を流すだけでもいい、初心者をサポートするためのモードが欲しかった。

 現役の「ギルティ」ファン、対戦格闘マニアはすでに購入していると思うが、「GUILTY GEAR」、「GUILTY GEAR X」の頃にハマって、それ以後2D対戦格闘ジャンルはご無沙汰というユーザーはぜひ一度手にとってリハビリを始めてほしい。2D対戦格闘の最先端シリーズを遊ぶことで、変わらぬ対戦の面白さを確認していただきたい。

(C) SEGA Corporation,2006 / 1998-2006 ARC SYSTEM WORKS Co.,Ltd.

□セガのホームページ
http://sega.jp/
□アークシステムワークスのホームページ
http://www.arcsy.co.jp/
□「ギルティギア ゼクス」シリーズ公式サイト
http://www.guiltygearx.com/
□関連情報
【4月17日】セガ、PS2「GUILTY GEAR XX SLASH」店頭体験&ゲーム大会を開催
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20060417/ggx.htm
【4月13日】セガ、2D対戦格闘ゲームの人気作品を移植したPS2「GUILTY GEAR XX SLASH」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20060413/ggxxs.htm
【3月20日】セガ、「ギルティギア イグゼクス スラッシュ」の全国大会を開催
優勝キャラは「チップ・ザナフ」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20060320/slash.htm
【1月10日】セガ、AC「三国志大戦」、「ギルティギア イグゼクス スラッシュ」 全国大会を開催
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20060110/segaam.htm

(2006年4月26日)

[Reported by 福田柵太郎]



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