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★オンラインゲームファーストインプレッション★

美しい古代中国の世界を舞台に
バランスの良い戦いが楽しめる武侠MMORPG

「英雄オンライン」

  • ジャンル:MMORPG
  • 開発元:mgame
  • 運営元:エムゲームジャパン
  • 課金形態:アイテム課金を予定
  • 対応OS:Windows 2000/XP
  • 発売日:4月7日よりオープンβテスト実施



  •  「英雄オンライン」は、韓国mgameが開発、日本ではエムゲームジャパンが運営するMMORPGである。“武侠”をテーマに、プレーヤーは武侠の達人である「侠客」となって活躍していく。4月7日よりオープンβテストが開始され、現在、たくさんのプレーヤー達が参加している。今回はその模様を早速お伝えしたい。


    ■ 武侠映画のようなリアルな世界で冒険が楽しめるMMORPG

     「英雄オンライン」は、かつて中国全土に混乱をもたらしたという「十二天魔」という存在が物語の鍵となる。大宋帝国が衰亡に向かおうとする今日、彼らが復活しようとしていた。北では新国家「金」が興り、宋を圧迫している、人々は十二天魔に立ち向かう英雄の出現を待ち望んでいた。プレーヤーは英雄を目指し、立ち上がることとなる。

    4人のキャラクタから1人を選択。髪型などでのカスタマイズ要素もない思い切ったゲームデザインである
    盗賊や野生動物が敵として登場する。レベルが上がるにつれ妖怪などの化け物が登場する
     本作は「十二天魔との戦い」というファンタジー的なバックストーリーを持ちながらも、広がる世界には“リアル”な感触がある。中国風の建物、水墨画のような風景、危険な場所での休憩所は「旅館」となっているし、序盤のモンスターはオオカミやイノシシ、熊などの野生動物と、盗賊や刺客などの無法者達だ。

     過度な装飾をしたオリジナルモンスターや架空のファンタジー世界がいきなり広がるのではなく、「水滸伝」や「三国志演義」のような、実際の世界に即した中国の世界をきちんと表現しようとしているところに好感を持った。レベルが高くなるにつれ、モンスターもアジア神話に出てくるようなおどろおどろしいものになってくる。展開するストーリーも舞台に合わせ、スケールアップしていく。現実から異界へシフトしていくダイナミズムを体験できる作品である。

     プレーヤーはまず、刀や弓を使う精悍な男“乾坤一剣”、刀と手裏剣を使うかわいい女の子“普陀剣后”、斧と槍を使う厳つい老人“大力覇王”、槍と格闘武器で戦う色っぽいお姉さん“医仙”の4人のキャラクタから1人を選択する。

     日本語版では、乾坤一剣に置鮎龍太郎、普陀剣后に桑島法子、医仙に久川綾、大力覇王に銀河万丈と、アニメや映画でおなじみの声優達が声を当てている。思い入れのある人は、声優でキャラクタを選ぶのも良いだろう。

     キャラクタを作るとゲームが始まる。まずは街の外のモンスターと戦っていく。キャラクタを選択すると名前の横にレベルが表示される。最初は1レベルの敵としか戦えない。ここで少し注意をしたいのは、「英雄オンライン」では1レベルのキャラクタは武器を装備できないという点である。まず最初は素手で戦ってから、武器を手にとって戦えるようになるのである。

     キャラクタはレベルアップすることでボーナスポイントを獲得し、プレーヤーは任意にこの数値を力、敏捷性、知力に割り振っていく。使用する武器には必要な能力値が決まっているので、これを最優先にしていきたい。レベルが10に達するとキャラクタは“武人”、“医人”、“猟人”、“刺客”という4つの職業の内どれかに転職する。武人は戦士系、医人は回復などの支援系スキルを持つ、刺客は隠れ身などで他プレーヤーの目を欺くことが可能になり、猟人は霊獣(ペット)捕獲の他、武器や防具を強化する強化石を作ることもできる職業だ。更にレベル50になると、より専門的なスキルを持つ職業に転職できる。

     ユニークなのは、職業のスキルと、各キャラクタの武器スキルが独立していること。医人に転職したとしても、武器スキルを集中的に上げたキャラクタに成長させることが可能なのである。装備の制限もキャラクタに依存しているため、特別に防御力が劣るなどの違いはない。

    スタート地点となる長沙の天龍城。行き交うプレーヤー達も多く、にぎやかだ レベル10~20のプレーヤー達が集う岳陽。熊や赤猿、盗賊達がプレーヤーを待ち受ける オープンβテストを記念としたイベントも行なわれている。ゲーム内での討伐イベントから特別アイテムまで多彩である
    一定の確率で発生するクリティカルヒット。声優達のかけ声が聞ける 野生動物や人型の敵などモンスターのデザインはリアルさがあって好感が持てる クエストはドロップアイテムの収集が中心、もう少しバリエーションが欲しいところだ


    ■ 戦闘をより楽しく、快適さを求める方向に進化しているゲーム性

     「英雄オンライン」は、韓国産MMORPGとしては極めてオーソドックスな作りをしている。左クリックで移動し、ダブルクリックで攻撃するインターフェイス、レベル帯に合わせて移動していく戦場、「何を何匹倒してこい」というシンプルなクエスト、回復薬を大量に消費していく狩り、強化石による武器強化、エスカレーター式に定められている武器防具。システム面での目新しさはない。

    槍を使うことで複数の敵に攻撃できるが、ダメージは低い。状況に応じて集中攻撃ができる斧と使い分ける
    一定数敵を倒すとおみくじがひける。狩りにアクセントを加えてくれる要素だ。ボーナス経験値は特にうれしいご褒美
     ただ、ちょっと違うのは、レベル上げの快適さだ。対応するレベル帯が広く、ちょっと強いかなと思う敵とも渡り合える。回復アイテムの消費ペースもそれほど速くなく、自分のペースでひたすら狩りをしていられる。敵を数体倒したらひたすら安全地帯で休まなくてはならなかったり、ぎりぎりの戦いを続けなくてはまともな経験値が入らないような厳しいバランスのゲームが多い中、本作のレベル上げはかなりバランスを考えられていると感じた。

     HPが0になっても、安全地帯や街に強制的に戻らされるのではなく、その場で復活ができるのも嬉しい。本作の場合、復活した瞬間回復アイテムを連打すればほとんど問題なく戦線に復帰できる。

     各キャラクタは同時に2つの武器を装備し、Wキーを押すことで瞬時に持ち替えることができる。遠距離攻撃で敵を引きつけ近接武器に持ち替えて叩く、といった方法も有効だ。筆者は主に大力覇王でプレイしたのだが、1体に対して大きな攻撃力を持つ斧と、複数の敵を同時に攻撃できる槍の2つを状況に合わせて使い分けるのは面白かった。

     “オマケ要素”にも注目したい。同じモンスターを繰り返し倒していくと、「おみくじ」が引けるようになっている。狩りを続けていると突然ボックスが開きくじを引けるのだが経験値や回復アイテムを取得できるなど様々なボーナスがあり、単調になりがちな狩りのアクセントになっている。また、突然「心眼視空」というタイトルで算数の問題が出されるのもびっくりする。問題そのものはとても単純だが、戦闘中なため軽いパニックに陥ることもあった。狩りを続けているだけでボーナスが得られるのはうれしい仕様である。

     また、霊獣と戦うことができるのも本作の楽しいポイントだ。レベル10を超えると、プレーヤーは霊獣を従える事が可能になる。霊獣は猟人が捕獲してくれた物を購入すればどの職業でも使うことができる。回復アイテムが自分用と霊獣用の2つが必要になるが、大量に用意しておけば問題ない。霊獣はプレーヤーと同じように成長していく。根気よく育てればより強力な存在になりそうである。

     プレーヤーのレベルが上がると更に多くの種類の霊獣が飼えるようになるので、最初からずっと冒険を共にした霊獣を育てるか、それとも新しい霊獣を飼うかは悩みどころだろう。馬の他、虎や獅子など騎乗しながら戦うことができる霊獣も登場する。

     おみくじや霊獣といった要素は単調になりがちな狩りにアクセントを与えてくれる存在だ。そこにはレベルアップを楽しくしようというスタッフの主張が見て取れる。個人的にはパーティーを組まなくても経験値が得やすく、自分のペースで狩りができるというのもありがたかった。韓国では多くのMMORPGが生まれているが、この快適さは1つの進化の形だと感じられた。

    突然出される算数問題「心眼視空」。スロットキーがきかなくなってしまい回復できなくなってやや焦る レベル10になると可能になる転職。1度決めると変更できないので慎重に判断したい 猟人は一部のモンスターを捕獲することができる。捕獲の仕方はヘルプを参照しないとわからない。もう少しゲーム内で説明してもらいたかった
    霊獣と共に攻撃。体力回復薬の心配も倍になるが、霊獣との狩りは1人の時よりも心強く、楽しい レベル20からは馬に乗ることもできる。騎乗動物は乗って戦っているだけで成長する 敵がドロップする宝石を使って武器強化。失敗すると武器そのものがなくなってしまう
    レベルの高いプレーヤーは強そうなペットをつれている。その姿に憧れてレベルアップに一層の熱が入る 街で見かける強そうな装備も大きく興味を惹かれる。ハイレベルのプレーヤー達はすでに2次転職(50レベル以上)に届いているようである 商売をするための専用スペースとなっている市場。現在はまだ街の倉庫前の方が人気が高いようだ


    ■ ストーリー、キャラクタは全体的に演出不足、今後は対人戦に注目

     「英雄オンライン」のクエストは本作のセールスポイントとして大きくアナウンスされている要素だ。韓国の武侠小説家が書き下ろしたシナリオとして「十二天魔」との戦いと、悲しい恋の物語を体験できるという。しかし、レベル20くらいでは、まだどんなストーリーかが見えてこないというのが正直なところ。それというのも、「モンスターを10匹倒してこい」など、討伐クエストが中心な上に、対象レベルも厳密に決められているため、結果として話が細切れになってしまい繋がりが見えにくいのである。

    ストーリークエストの始まりを告げるイラスト。ストーリーはかなり小出しに展開し、対応レベルが細かく区切られているので、全体を把握しにくい。無理に進めず、後半までとっておいた方がいいのだろうか。演出にもっと趣向を凝らしてもらいたいところだ
    ゲーム内で参照できるヘルプ。モンスターの分布図などは攻略サイトいらずで便利であるが、基本知識はもう少しきちんとゲーム内で説明してもらいたい
     本作のシナリオやキャラクタ表現は、日本のRPGに比べて「まだまだだな」と思わせる。クエストに絡むキャラクタはただそこに立っているだけで、バックボーンとなるストーリーがほとんど用意されていない。

     クエストの前振りとして多少身の上話をすることもあるが、NPCやストーリーに感情移入できるところまでは至らない。キャラクタの感情表現コマンドは用意されているのに、クエスト時にもNPCがそれらすら使わずただ立っているだけというのは寂しい。

     もっとストーリーに対しての感情移入を高める方法はあるはず。キャラクタ性を活かした魅力的なエピソードを入れるとか、キャラクタの台詞と仕草を工夫させるなど様々な方法はある。日本のRPGを研究して学んでもらいたいと思ったポイントだった。また、せっかくの声優の起用もクリティカルヒット時のかけ声か、感情表現の時の簡単なセリフに留まっているのが残念だ。もっともっと喋らせてほしい。

     翻訳の上での不具合も少し気になった。武器スキルに関する部分で言葉の統一ができておらず、斧が「棒/槍」と表記されていたり、「武人を訪ねろ」と言われてその対象が武士だったりと、迷ってしまう部分での単語の間違いが多かった。修正は行なわれると思うが、今後の要素でも気をつけて欲しいと感じた。

     オープンβテストで対人戦要素も取り入れられた。対人戦を始めるには門派(ギルド)に入るのが条件だが、まだ門派を設立するプレーヤーそのものが少ない状態だ。門派設立が可能になるレベル40に達したプレーヤーがまだ少ないのも1因だとは思うが、対人戦そのものが活発でない印象を受ける。その理由は現在ではまだ対人戦のメリットが明確になっていないからではないだろうか。

     門派には正派と邪派があり、門派戦だけではなく、正邪に分かれた戦いもできるとのことだが、その勝敗の結果が世界にどう影響するかはまだアナウンスされていない。「RFオンライン」や「タントラ」などのように大規模PvPそのものがゲームの目的になっているというようでもなく、攻城戦などのようなイベント要素の強い対戦もまだ実現していない。つまり、今のところ、何のために対人戦をするのかよくわからない状態になっている。本作の対人戦はまだまだこれからといった印象だが、その時には是非「観戦機能」も実装して欲しい。

     少し注文ばかりになってしまったが、レベル上げのバランスの秀逸さ、中国の世界観を積極的に取り入れている姿勢、ストーリーを導入しようという試み、派手で華麗なスキルなど本作の根幹的な部分は評価できる。プレイをしていて素直に楽しいと思えるゲームである。

     だからこそ、より情感たっぷりなストーリーが体験できたり、エキサイティングな大規模PvPが楽しめたり、起用している声優ならではのキャラクタ像を確立させたりと、本作ならではの「プレイする理由」をもっともっと強化してもらいたいと思う。今後のアップデートに期待したいところだ。

    街のNPCがそのままクエストの依頼人になる。予備知識なしにクイズ問題があったりと、唐突感が感じられるケースが多い。ストーリーが進むと危険な場所にいるNPCに話を聞きに行ったりと、物語も展開してきて楽しくなる
    マップは巨大なボスが出現したり、危険なダンジョンがあったりと冒険する楽しさを感じさせてくれる
    野生動物中心だった敵も次第におどろおどろしくなってくる。新寧では燃えている集落がある。どんなストーリーが展開するか気になるところだ
    冒険の舞台は湖南省から四川省へ。レベル40以上を対象にした高レベルマップであるが、すでに何人ものプレーヤーが挑戦していた

    (C) 2006 MGAME JAPAN Corp. All Rights Reserved.


    【英雄オンライン】
    • CPU:Pentium III 650MHz以上(Pentium 4 1.8GHz以上推奨)
    • メモリ:256MB以上(384MB以上推奨)
    • HDD:インストール時:2GB以上の空き容量
    • ビデオカード:VRAM 16MB以上(64MB以上推奨)


    □エムゲームジャパンのホームページ
    http://corp.mgame.jp/
    □「英雄オンライン」のページ
    http://hero.mgame.jp/
    □関連情報
    【4月6日】エムゲームジャパン、MMORPG「英雄オンライン」
    オープンβテストにあわせてアップデートを実施 http://game.watch.impress.co.jp/docs/20060407/hero.htm
    【4月6日】エムゲームジャパン、MMORPG「英雄オンライン」
    オープンβテスト開始記念イベントを実施
    http://game.watch.impress.co.jp/docs/20060406/hero.htm
    【3月31日】エムゲームジャパン、MMORPG「英雄オンライン」
    オープンβテスト4月7日より開始
    http://game.watch.impress.co.jp/docs/20060331/hero.htm
    【3月27日】エムゲームジャパン、MMORPG「英雄オンライン」
    「普陀剣后」の声に桑島法子さんを起用
    http://game.watch.impress.co.jp/docs/20060327/hero.htm
    【3月17日】エムゲームジャパン、MMORPG「英雄オンライン」
    弊誌枠として500名の第2次クローズドβテスターを募集!
    http://game.watch.impress.co.jp/docs/20060317/hero.htm
    【3月10日】エムゲームジャパン、MMORPG「英雄オンライン」
    第3次までのクローズドβテストのスケジュールを公開
    http://game.watch.impress.co.jp/docs/20060310/hero.htm
    【3月1日】エムゲームジャパン、MMORPG「英雄オンライン」
    クローズドβテスターの募集を開始
    http://game.watch.impress.co.jp/docs/20060301/hero.htm

    (2006年4月14日)

    [Reported by 勝田哲也]



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