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★PCゲームレビュー★

“魅せる”プレイにこだわりたくなる
シリーズの血脈を確かに受け継ぐSTG

「雷電III」

  • ジャンル:縦スクロールシューティング
  • 開発元:moss
  • 販売元:サイバーフロント
  • 価格:オープンプライス(実売:6,800円程度)
  • 対応OS:Windows 2000/XP
  • 発売日:3月17日発売予定



  •  「雷電III」は、アーケードゲームや携帯電話向けコンテンツを手がけるmossが開発し、タイトーがアーケードで展開した、「雷電」シリーズの最新作である。大量の弾を避け、強力な攻撃をたたき込んで巨大なボスを倒す。本作は縦スクロールシューティングが育んできた歴史をもう一度見直し、本質に立ち返ろうというスタッフの強い主張が感じられる作品となっている。

     アーケードで、コンシューマで、ひたすらスコアを稼ぐため、ボスを倒すために熱くなっていた、あの興奮が本作には間違いなく息づいている。シューティングゲームが持つ「原点」は、オールドゲームファンはもちろん、新しいユーザーも魅了してくれるだろう。本作の魅力を紹介したいと思う。


    ■ ストイックなまでに「原点回帰」を目指した、破壊と弾避けが楽しめる作品

     複数のショットと破壊力絶大のボムを武器に、雨のように降り注ぐ敵弾をかいくぐって戦う、「東亜プラン系シューティング」と呼ばれたジャンルがある。'90年にセイブ開発よりアーケード版として発売された「雷電」もまたそのジャンルに分類される作品である。当時、「東亜プラン系」の作品の多くは、プレーヤーに挑戦するかのように難易度を上げ、初心者を敬遠させるような難易度の高いものになっていた。

    降り注ぐ敵弾をかわし、大量の弾をたたき込む。「雷電III」はシューティングゲームの楽しさをきちんと受け継ぐ作品だ
    画面上の弾を消し、大ダメージを与えるボム。得点を稼ぐためにも使い所を工夫したい
     「雷電」は序盤のステージの難易度を下げ間口を広くし、多数の敵を破壊する爽快感が受け、多くのプレーヤーを獲得。PCエンジンやメガドライブ、スーパーファミコンといった家庭用ゲーム機にも移植され、大ヒットとなった。

     「雷電III」はシリーズ最新作となる作品で、2005年の春からアーケードで稼働し、2005年9月22日にはPS2版が発売された。「雷電III」は初代「雷電」を思わせるシンプルな構成で、弾をよけ、敵を破壊していく。スタート時点から3方向に広がるバルカンが装備されており、序盤から敵をまとめて破壊できる。このタイプのシューティングをプレイしていた人はもちろん、初心者もすぐにルールを把握できるだろう。

     ショットは広範囲に広がるバルカン、前方に強いレーザー、レバーを向けた方に光線が伸びる特殊なプロトンレーザーの3種類。アイテムキャリアを破壊すると出現するパワーアップアイテムをとり続けることで5段階までパワーアップできる。サブウエポンは前方に強いニュークリアミサイル、自機に一番近い敵を追うホーミングミサイル、前方にいる敵をロックオンするレーダーミサイルの3種類、こちらもパワーアップしていくことで発射数が増える。

     シューティングゲームにおいて「ハイスコア」は大きな目標だ。「雷電III」は敵を早く倒すほどスコアが稼げるという「フラッシュショットシステム」を搭載して、攻略意欲を刺激している。いかに敵の出る場所を覚え、それを早く倒すか。それを目指すことでスコアは変わってくる。

     いかに出現パターンを覚えて、早く倒すか、アイテムのパワーアップ方法……本作のプレイの感触は、かつて「雷電」をプレイし、「東亜プラン系」をプレイしてきた人にとっては、“懐かしい”と感じるものだろう。本作は最新タイトルでありながら、無理に新要素を詰め込まず、ストイックなまでに「基本」を追求した作品であると感じた。初心者はもちろん、「久しぶりにシューティングでもやってみるか」というユーザーにもお勧めしたいタイトルである。

    広範囲に広がるバルカン。初心者にもオススメのオールラウンドで有効な武器 前方に大きな攻撃力を持つレーザー。敵の出現パターンを覚えれば、より得点を稼げるだろう 方向ボタンを押した方に曲がるプロトンレーザー。ちょっと使い勝手が難しい上級者向けの武器だ
    パワーアップアイテムは色を変えつつ画面を浮遊する。アイテムを取る時に敵の弾に当たらないように気をつけたい 敵を早く倒すと得点倍率が上がる「フラッシュショットシステム」。敵の出現パターンを覚えると高得点を稼げる 武器は5段階にパワーアップする。最初は細いレーザーもどんどん太く強くなっていく


    ■ 難易度調整やゲームモードで自分にあった「雷電III」を追求

     「雷電III」ではプレーヤーは全7面のステージに挑戦する。画面の比率はアーケードに準じたもの、モニター向けに横の比率を変えたもの、更にモニターを横置きするものにも対応している。シューティングゲームの移植版には定番とも言える要素ではあるが、こだわりのシューティングゲームファンには大事なことである。

    一度7面までクリアすると(難易度はどれでもOK)各メニューが選択可能になる
    横画面にすることで、アーケード気分の比率でプレイできる
     ゲームの難易度は「PRACTICE」から「VERY HARD」までの7段階。「PRACTICE」では敵が弾自体を撃たない。「VERY EASY」では敵弾の多くが破壊できる、というように腕に合わせて挑戦できる。「VERY EASY」でもボスの攻撃は強烈で、弾をすり抜ける楽しさを体験できる。コンティニューは無制限なのでボムを使いまくれば誰でもクリアは可能だろう。

     「VERY HARD」はまさにシューティングゲームファンに向けた“鬼”の難易度だ。敵の弾は速くしかも大量に自機を狙って放たれる。本作は機体に比べて当たり判定が小さく、機体の中央に当たらない限りやられることはない。とても通れないような弾幕をくぐり抜けるのはたまらない爽快感がある。

     難易度に関しては、筆者にとって「ARCADE(HARDとNOMALの間)」はやはり敷居が高く、すぐやられてしまう。しかし、その難しさが挑戦意欲をかき立てる。難しいからこそ、偶然うまくいったとき、爽快な気分が味わえる。「EASY」とはまた違う、これこそシューティングだと実感する。画面全部を覆うような弾幕をくぐり抜け、敵をがんがん破壊する、自分のプレイに酔える、シューティングゲームが持つ醍醐味は、やはり難易度を上げた方が体験できると感じた。

     一度7面をクリアすれば様々なモードがプレイ可能になる。「SCORE ATTACK」では各ステージごとのハイスコアに挑戦でき、「BOSS RUSH」では次々と登場するボスと戦う。「SCORE TRIAL」ではインターネットランキングに参加できる。

     各ステージ、ボスだけを取り出してプレイする各モードは、本編とはまた違った感触がある。筆者は特に「SCORE ATTACK」がお気に入りだ。フラッシュショットシステムをフルに使って敵の出現位置を覚えれば、どのくらいのスコアが稼げるのだろうか。1つのステージを集中的にやり込むプレイは、全ステージをプレイするのとは別の集中力を生む。つい何度もやってしまう手軽さが面白かった。

    LEVEL1(1面)では崩壊した都市が戦場になる LEVEL3は港に待ち受ける敵と戦う。敵の攻撃はどんどん激しくなる LEVEL4ではついに宇宙へ。隕石群を抜けると多数の戦闘機が襲いかかってくる
    「PRACTICE」では敵が弾を打たない。本当に初心者向けだ 難易度が低いと敵の弾の多くが破壊可能になる。ステージの攻略は難易度によってずいぶん変わってくる 「VERY HARD」では敵の弾の数よりもそのスピードが脅威だ。反射神経と集中力が試される
    ステージ選択の場合は、最初に武器が選択できる。パワーアップ状態は最強でスタートできる 「SCORE ATTACK」は通常プレイとはまた違った集中力が必要となる 次々と現われる「BOSS RUSH」。ボムをどんどん使って力押しで進めるのも良いし、ひたすら弾を避ける求道者的なプレイも楽しそうだ


    ■ 高レベルプレーヤーの戦いが鑑賞できるお手本プレイ

     本作にはリプレイをセーブする機能がある。敵の出現パターンや自分の苦手な場所などをじっくり研究できるだろう。更にリプレイには「お手本プレイ」が収録されている。敵を的確に倒し、武器をうまく変え、ボスを倒していくプレイは見応えがある。

    「REPLAY & GALLERY」モードではイラストやゲームに登場する機体の3Dモデルを見ることができる
     「ここで点を稼ぐのか」、「今よく避けたなあ」、「安全地帯はここだったのか」。お手本プレイを見ながら思わず声を上げてしまうだろう。そして、こんなプレイをしたいと心の中から強い感情が湧き上がってくる。

     シューティングゲームのコアプレーヤーはかつて“ゲームセンター”のヒーローだった。「Dance Dance Revolution」を初めとした音楽ゲームや格闘ゲームほどギャラリーを集めなかったとしても、彼らが黙々と、そして楽しそうに雨のような弾を避け、巨大なボスを撃破していく姿には、確かな格好良さがあった。

     現在も数は減ったとはいえ継続してシューティングゲームがリリースされているのは、その「格好良さ」に対する憧れからだろう。制作者の挑戦をレバーさばきでかわしていく、その反射神経と攻略のための情熱は、今でもコアプレーヤー達の心には消えずに残っていると思う。

     本作には「インターネットランキング」が設定されているが、可能ならばインターネットを通じて超絶プレーヤーの腕前も見てみたい。アーケードゲーマーはその常人離れした反射神経と攻略熱を「披露」できるからこそ、その腕を鍛えていったのだと思う。プレイが披露できるならばよりこだわりのプレイをしてくれるのではないか。

     それと共に、ゲームセンターでのシューティングゲームの存在も消えて欲しくない。コアプレーヤー達の背中で息をのんだり、友達と「こいつ、すげえ」という会話を交わす。直接ではなくても、それは、ゲームセンターならではの“交流”だろう。「見ているだけでも楽しい」、シューティングゲームはそういった魅力を持ったジャンルだと言うことを「雷電III」をプレイして再認識した。久し振りにゲームセンターに行ってみたくなる作品である。

    お手本プレイは、ハイスコアを出すためにとても参考になる。何度も見ることでよりスマートな方法を見いだせるかもしれない

    (C)2005,2006 MOSS LTD ALL RIGHTS RESERVED. Licensed by SEIBU KAIHATSU INC.
    (C)2006 CYBERFRONT


    【雷電III】
    • CPU:Pentium4 1.7Gz/Celeron 2.0GHz以上
    • メモリ:512MB以上
    • HDD:500MB以上
    • ビデオカード:VRAM 64MB以上(128MB以上推奨)


    □サイバーフロントのホームページ
    http://www.cyberfront.co.jp/
    □「雷電III」のホームページ
    http://raiden.mossjp.co.jp/pc/index.htm
    □関連情報
    【1月26日】サイバーフロント、AC版と同じモデルで忠実に移植WIN「雷電III」
    http://game.watch.impress.co.jp/docs/20060126/raiden.htm

    (2006年3月14日)

    [Reported by 勝田哲也]



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