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★PSPゲームレビュー★

実時間と連動したモンスター強化法が魅力
「モンスターキングダム・ジュエルサモナー」



 SCEJがリリースしたPSP「モンスターキングダム・ジュエルサモナー」は、主人公が捕獲したモンスターをジュエルから“晶換”し、敵モンスターを撃破してストーリーを進めていくという完全新作のロールプレイングゲーム。

 「真・女神転生」などを手懸けた岡田耕始氏(株式会社ガイア)がプロデュースしたタイトルということで筆者も岡田氏の関わった作品であることを意識しつつ遊んでみたが、「○○○○みたいな作品ではないか」という期待は良い意味で裏切られた。実時間の経過でモンスターを育てるという特殊な育成パートが独特で、携帯機で遊ぶことの意義を成立させた良作RPGに仕上がっている。

 今作のストーリーや世界観、キャラ設定などは先日の記事でお伝えした通り。今回はRPGの要である「戦闘」と、モンスター強化法「練成」について詳細をお伝えしたい。

フルボイスではないが、キャラクタはよく喋る。2名のサポートメンバーを選び、主人公のパーティーは3人編成となる



■ 相手を封殺することも可能な戦闘

 戦闘は人間ではなく、敵3体と味方3体の最大6体のモンスターが参加。相手モンスターをすべて倒せば戦闘に勝利となる。戦況によって行動順番が入れ替わる「フレキシブル・ターン・システム」を採用。行動順番を示すアイコンが画面下に表示され、味方のモンスターの順番が回ってきたときに攻撃手段の「アビリティ」や「アイテム」コマンドを入力する。

 今作の戦闘は「火、水、氷、風、土、雷、光、闇」の8つの属性が大きく左右する。なぜなら属性差は単なるダメージ量の増減にとどまらず、属性攻撃を利用することで相手のターンを吹き飛ばし味方の攻撃を当て続けることが可能だからだ。

PSPの横長画面を意識して構成されたバトル画面のレイアウト。弱らせたモンスターはアイテムで捕獲できるのもバトルの醍醐味


 「後退」は苦手とする属性の攻撃を当てた敵の行動順番を遅延させること、「割り込み」は特定の攻撃を使うことで相手の行動順番に割り込み、早く行動ができるようになる。

 「後退」と「割り込み」を交互に使用すれば、完全に相手のターンが回ってこなくなる。その防止策として用意されているのが「怒り」状態だ。「後退」を受け続けたモンスターは「怒り」状態になり、「後退」を受け付けなくなる。

 また、戦闘に参加するモンスターを1つの属性に絞ってしまうと、苦手とする属性の敵と出会ったときは一方的にダメージを受け続けてしまい危険だ。戦闘に参加させる味方モンスターは異なる属性の3体をバランスよく用意し、なおかつどの属性のモンスターにも対応できるように複数の属性アビリティを後述の「融合」練成で付加していくのがベターだろう。

 戦闘は「後退」や「割り込み」を駆使することで、ある程度のレベル差を埋めることができるのが良い。一方的にダメージを与えられ続ける「詰み」な状況が作り出せるのも個人的には歓迎だ。ただ、対人戦である「NETWORK」の VS.バトルの時、手持ちモンスターの属性に片寄りがあると苦手属性のモンスターやアビリティにはまってイチコロなので、くどいようだが参加するモンスターの属性は臨機応変に対応できるよう様々な属性・アビリティを用意してから臨みたい。特に、対戦時においては、汎用性が高く、かつ強いモンスター編成&装備アビリティを探すのも本作の醍醐味といえるだろう。


■ 枕元にPSP……実時間と連動した「練成」

 「真・女神転生」をプロデュースした岡田氏の手がけた作品という先入観で「練成とは、捕獲したモンスター同士を合成するシステムなのか?」と勘違いしていたが、プレイしたらまったく違う方法だった。

 「練成」は、プレイ中に得られる水晶(クオーツ)をモンスターの封じ込められたジュエルと合成することでモンスターを強化していくシステム。1つや2つクオーツを練成しただけではそう変わりはないが、何度も練成を繰り返し、何十個もクオーツを合成していくことで強化モンスターを生み出すことができる。

「練成」の依頼は主人公の所属する修道会の練成工房で、マイスターと呼ばれるジェロウとミカエラに依頼する


 「練成」の作業の完了までには、実時間の経過が必要。例えば、属性などにも左右されるが、クオーツ1個の練成なら実時間で30分、クオーツ3個の練成なら1時間が必要、といった具合だ。練成の時間はゲームを終了し、PSPの電源をオフにしていても経過する。

 練成を仕込んだ後は練成終了時間まで待つ。もちろん、待ち時間にゲームを進めることも可能(ダンジョンの中でも練成の進行度が確認できる)。筆者の場合は待ち時間も“できあがりはまだか?”と気になってしまい、PSPの電源をオフにしていても、ついついPSPを立ち上げて練成の進行度をチェックしてしまった。この見守る楽しみのある練成は、就寝時でも移動中でも手元に置いておけるPSPというハードに適したシステムといえるだろう。

 さらに、強化したいジュエルモンスターとクオーツ(クオーツはある程度ゲームを進めると店売りされている)を選択・合成して、モンスターを進化させることも可能だ。特にリスクはないので、工房が空いていたらガンガン融合練成するくらいで構わない。

特定のクオーツの組み合わせでモンスターは進化(グラフィックと能力が変わる)


 火属性のモンスターに火のクオーツのように、同属性の融合は短時間で終了する。相反する水属性のアビリティを覚えさせて弱点をサポートさせることも可能。だが、このように相性の悪い属性の融合には終了までに長時間を要する。

 融合後にはモンスターに新アビリティが定着される。新アビリティは加えるクオーツによって異なり、融合前に予想結果を確認できる。様々な属性のクオーツの組み合わせを試し、確実に欲しいアビリティをゲットしよう。

 ジェロウ(じいさん)とミカエラという2人のマイスターがいるのだが、ジェロウはアビリティの定着によく失敗する困ったお方。6時間もかけた練成が終了したときに「ありゃ、定着に失敗してもうたわい」と言われた日にはPSPも空を飛ぼうというものだ。まあ、そのドキドキ感も楽しみでもあるのだが……。

 「強化練成」は戦闘などで入手できるアルケミーパワー(AP)を使用して攻撃力や防御力といったパラメーターをアップする練成。こちらは時間はかからず、その場で練成の効果が現われる。「融合」と「強化」を絶え間なく繰り返すことが、最強のモンスターを作り出す秘訣だ。


 本作は、ディスクメディアを採用したPSPというハードながら、戦闘時やキャラクタが話すときのロード時間はシームレスかと思わせるほど短い。イベントシーンにおいても、会話を早送り可能なので、全般的に快適に遊べる環境が整っているといえる。

 通信周りはタイトルから「BROWSER(SCEのサイトへジャンプする)」と「NETWORK」がある。「NETWORK」はPSPのワイヤレスLAN機能(アドホックモード)を利用して、プレーヤー同士の対戦やモンスター交換を行なうというもの。モンスター交換の「ジュエルトレード」、対戦モードの「VSバトル」が用意されている。

 仕事や学業が忙しくゲーム時間が確保できないプレーヤーにとって、戦闘の繰り返しによる成長ではなく、放置による「ながら育成」が行なえる「練成」は歓迎される育成システムではないだろうか。PSPタイトルで長期に渡りやり込みができるタイトルを探しているプレーヤーに、本作をぜひ一度トライしてほしい。

(C) 2006 Sony Computer Entertainment Inc.

□プレイステーションのホームページ
http://www.playstation.jp/
□「モンスターキングダム・ジュエルサモナー」のページ
http://www.playstation.jp/scej/title/js/
□関連情報
【2月15日】SCEJ、発売まで1週間となった話題作
PSP「モンスターキングダム・ジュエルサモナー」の魅力を徹底紹介
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20060215/js.htm
【2005年10月24日】SCEJ、「秋葉原エンタまつり」でクリエイターズセッション開催
「ワンダと巨像」からは上田氏、海道氏、「モンスターキングダム」からは岡田氏
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20051024/scej.htm

(2006年3月1日)

[Reported by 福田柵太郎]



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