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会場:台北世界貿易中心
試遊台の置き方、タイトルのアピールは洗練されていて、手慣れた印象がある。さらに台湾ならではの特色をきちんと出しているところも興味深い。今回は、両社のブースの特色や、今後の展開、そして出展されたタイトルの感触をお伝えしたい。
■ ゲームにちなんだイベントを展開したNC Taiwan、最新作「Dungeon Runners」の姿も
2004年のTaipei Game Showで「天堂II(Lineage II)」を前面に押し出したNC Taiwanは、Gamania Digital Entertainmentとの合弁会社である。2年ぶりとなる今回は、参加メーカー中で最大規模のブースを構え、力の入れた出展を行なっていた。
「Lineage II」は会員数200万人、同時接続者数で10万人を超す台湾でも大きな人気を誇っているタイトルである。2月21日に最新のアップデート「クロニクル4」が実装される。ブースで目をひいたのが、描かれていたイラストである。韓国や日本で使われているものとは少しテイストの違う、台湾独特の雰囲気がある。 「Guild Wars」は2月7日に正式サービスに移行したばかり。会員は50万人を記録した。日本と違い月額課金制はなく、ダウンロードか、パッケージによる一括でコンテンツを購入する方式で展開している。価格は1,280台湾ドル(約5,120円)と、日本より少し安い。台湾では特にパッケージの売れ行きが好評だという。パッケージ版の人気が高かったが、この背景には、台湾はまだ回線速度が遅く、クライアントのダウンロードが難しいという状況もあるという。 まだ正式サービスを開始したばかりのためか、ユーザーの注目度が非常に高く、友達と数人で試遊台に集まり、画面に向かって言葉を交わすユーザーも多かった。また、世界選抜に勝ち残った欧米のギルドメンバーを招待していて、ステージで彼らの戦いぶりを観戦することもできた。 また「Smash Star」も人気が高かった。面白かったのは、失敗したり、うまくいったときに気合いの入った声を上げる“熱い”プレーヤーが多かったことだ。台湾で正式サービスをしたら、高い人気を獲得しそうである。「G★2005」のバージョンに比べて、銀髪で黒いコートをまとったニヒルなキャラクタと、ゴスロリ風の衣装をまとったキャラクタが登場していた。ラリーが続くとボールがスピードアップしたり、チャンスには強いショットを打つためのヒントが点滅したりと、完成度が上がっている。少しだけボールを拾う判定が厳しくなった印象もあるが、誰でもすぐにラリーが楽しめる間口の広さはそのままで、誰とでも気軽に楽しめるタイトルだ。 「Exteel」はグラフィックスのクオリティがアップし、メカニックの表現に磨きがかかっていた。ブーストをふかして敵に接近したり、ジャンプをしながらビームサーベルやバズーカでひたすら戦うという展開は楽しいのだが、現時点では、移動が少しもっさりしすぎていて、相手に近寄られると離れられず、接近戦がずいぶん有利に感じた。 「Smash Star」と「Exteel」は日本のプレーヤーの立場から言わせてもらえれば、やはりジョイスティックでプレイをしたいところである。ちなみに「City of Heroes」、「Smash Star」、「Exteel」、「Dungeon Runners」の4タイトルは、まだ日本同様台湾でもサービス時期が決まっていない。他のタイトルを見比べてもスケジュールは日本の後になりそうだ。 NC Taiwanによると、これらのタイトルの他、中国・台湾市場をターゲットにしたオリエンタル要素を強調したオリジナルタイトルを制作しているという。こちらの作品の正式な発表はまだ少し先になりそうだが、これまで韓国のNCSOFTが出してきたタイトルとは、少し毛色の違った作品となりそうである。 ブースの特徴としては、試遊台を使うものではなく、実際に体を使う“イベント”を積極的に取り入れているところがユニークだった。「Lineage II」のコーナーには新要素である釣りにちなんだゲームにしたり、「Smash Star」ではキャラクタを配置した大きなゲーム台を用意するなど、なかなか凝っている。 また、NC Taiwanは今回の目玉の1つとして、「コスプレをしたコンパニオンと写真が撮れる」をプッシュしていて、これも人気を集めていた。キャラクタに囲まれて、来場者は得意のポーズをカメラに向かって極める。台湾でも日本と同じようにコンパニオンの写真を撮りたがる人が増えているが、コンパニオンと写真を撮りたがる人も多いという。
コンテンツのほとんどは昨年韓国で開催された「G★2005」と同じものだったが、サービス前のタイトルは完成度が上がっており、新タイトル、そして台湾ならではのイベントを展開していて、強い印象を残すブースだった。
■ 「SUN」を皮切りに飛躍する今年のWebzen Taiwan Webzenは「ミュー 奇蹟の大地」を制作した韓国メーカーで、これまで台湾、中国、アメリカに展開をしている。台湾はWebzenが海外の進出するための最初の拠点として2004年7月に設立された。Webzenが台湾を選んだ理由は、広大な中国大陸へのスタートポイントとしての役割を担わせるためだという。
ブースでは、試遊台を多く設置しユーザーにゲームを体験してもらい、イベントブースでは新作のムービーと共にゲームを紹介、集まった来場者に向かってグッズを投げるという、どちらかというとオーソドックスな方式での出展だったが、タイトルごとに広いスペースを確保し、じっくりプレイできるようにしていたのが印象的だった。 個人的に残念だったのは、「APB」、「HUXLEY」、「Wiki」の映像出展タイトルである。昨年のE3に公開されたムービーと全く変わっていない。「APB」はアメリカの都市を舞台にならず者と警官が車に乗りながら銃撃戦を行なう。「HUXLEY」は醜悪な形をしたエイリアンと、重武装の機械服に身を包んだ兵士達が激しく殺伐とした戦いを繰り広げるというものだが、ゲーム画面は全くなく、どんなゲームかもわからない。 「Wiki」はかわいらしいキャラクタ達が仲間と共に戦ったり、挨拶をしたり、戦うと埃が出て一瞬キャラクタが見えなくなったり、巨大なピエロのモンスターがが大量の小さなピエロに分身したりと、ゲームの雰囲気は伝わってくる。しかし、結局ムービーだけではインパクトに欠けたようで、初日の後半からは台がモニタの前に置かれ、コンパニオンがプレゼントを配るためのフィールドになってしまっていた。 今回紹介されたタイトルの中で、現在Webzen Taiwanが展開しているタイトルは「ミュー 奇蹟の大地」1本のみ。台湾国内の会員数は150万人、同時接続者数は4万人と好調ではあるが、他のタイトルの展開が遅すぎるのではないかと思ってしまう。ちなみに、「SUN」は韓国で来月オープンβテストに移行し、台湾では4月以降にテストがスタートする予定だ。 Webzen Taiwanはこれから期待しているタイトルとして、「Wiki」を挙げる。台湾と韓国のユーザーの傾向は似ている部分が多いが、台湾ユーザーは特に“かわいいキャラクタ”が好きだそうである。この理由として、韓国は「Lineage」と「Lineage II」が大きくヒットをして、MMORPGといえば、ハードな雰囲気を持つファンタジー世界、というイメージがある。 台湾では、「Lineage」と「ラグナロクオンライン」が大きなヒットとなった。ユーザーの割合としては50:50くらいで、さらに台湾のユーザーは韓国の人たちに比べて日本風のキャラクタにも親しんでいる。「Wiki」のかわいらしいデザインは特に台湾のユーザーに受け入れられるのではないか、とのことだ。 また、「一騎當千」は上海のスタッフによって制作されており、ひょっとしたら、韓国よりも先に台湾と中国で展開する可能性もあるという。このタイトルはより台湾中国を意識した作品であるだけに、Webzen Taiwanはこちらのタイトルにも期待を寄せている。
Webzenにとって2005年は「クオリティーを上げる年だった」という。メーカー自体がまだ若いため、タイトルを発表したものの、作品の品質を向上させるためには、どうしてもこれだけの期間が必要だったという。しかし、これからはそれが結実していく。「SUN」を皮切りに、これからはどんどんタイトルが形になっていくとのことだ。
□Taipei Game Showのホームページ (2006年2月17日) [Reported by 勝田哲也]
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