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Taipei Game Show 2006現地レポート

来場者を楽しませる工夫を凝らした韓国メーカー
NC Taiwan、Webzen Taiwanブースレポート

2月16日~20日 開催

会場:台北世界貿易中心



 最大の規模で出展したNC TaiwanはTaipei Game Showで間違いなく一番目立っていたメーカーだろう。Webzen Taiwanもまた大きなブースを出展、その存在感をアピールしていた。両社の親会社である韓国メーカー、NC Soft、Webzenは韓国でのゲームショウ「G★2005」のみならず、E3やChina Digital Entertainment Expo等にも出展している。

 試遊台の置き方、タイトルのアピールは洗練されていて、手慣れた印象がある。さらに台湾ならではの特色をきちんと出しているところも興味深い。今回は、両社のブースの特色や、今後の展開、そして出展されたタイトルの感触をお伝えしたい。


■ ゲームにちなんだイベントを展開したNC Taiwan、最新作「Dungeon Runners」の姿も

 2004年のTaipei Game Showで「天堂II(Lineage II)」を前面に押し出したNC Taiwanは、Gamania Digital Entertainmentとの合弁会社である。2年ぶりとなる今回は、参加メーカー中で最大規模のブースを構え、力の入れた出展を行なっていた。

オープニングイベントでファンに対し、感謝のメッセージを送った韓国NCSOFT CEO キム・テクジン氏
クロニクル4で追加される新要素にちなんだ「釣りゲーム」
新キャラクタが追加されていた「Smash Star」。日本でも人気が出そうなタイトルだ
 今回のNC Taiwanは「Lineage II」と「激戦(Guild Wars)」でそれぞれ20台近い試遊台を設置して大規模に展示。さらに「City of Heroes」の他、PlayNCタイトルとして「Smash Star」、「Exteel」、そして初公開となる「Dungeon Runners」を出展していた。

 「Lineage II」は会員数200万人、同時接続者数で10万人を超す台湾でも大きな人気を誇っているタイトルである。2月21日に最新のアップデート「クロニクル4」が実装される。ブースで目をひいたのが、描かれていたイラストである。韓国や日本で使われているものとは少しテイストの違う、台湾独特の雰囲気がある。

 「Guild Wars」は2月7日に正式サービスに移行したばかり。会員は50万人を記録した。日本と違い月額課金制はなく、ダウンロードか、パッケージによる一括でコンテンツを購入する方式で展開している。価格は1,280台湾ドル(約5,120円)と、日本より少し安い。台湾では特にパッケージの売れ行きが好評だという。パッケージ版の人気が高かったが、この背景には、台湾はまだ回線速度が遅く、クライアントのダウンロードが難しいという状況もあるという。

 まだ正式サービスを開始したばかりのためか、ユーザーの注目度が非常に高く、友達と数人で試遊台に集まり、画面に向かって言葉を交わすユーザーも多かった。また、世界選抜に勝ち残った欧米のギルドメンバーを招待していて、ステージで彼らの戦いぶりを観戦することもできた。

 また「Smash Star」も人気が高かった。面白かったのは、失敗したり、うまくいったときに気合いの入った声を上げる“熱い”プレーヤーが多かったことだ。台湾で正式サービスをしたら、高い人気を獲得しそうである。「G★2005」のバージョンに比べて、銀髪で黒いコートをまとったニヒルなキャラクタと、ゴスロリ風の衣装をまとったキャラクタが登場していた。ラリーが続くとボールがスピードアップしたり、チャンスには強いショットを打つためのヒントが点滅したりと、完成度が上がっている。少しだけボールを拾う判定が厳しくなった印象もあるが、誰でもすぐにラリーが楽しめる間口の広さはそのままで、誰とでも気軽に楽しめるタイトルだ。

 「Exteel」はグラフィックスのクオリティがアップし、メカニックの表現に磨きがかかっていた。ブーストをふかして敵に接近したり、ジャンプをしながらビームサーベルやバズーカでひたすら戦うという展開は楽しいのだが、現時点では、移動が少しもっさりしすぎていて、相手に近寄られると離れられず、接近戦がずいぶん有利に感じた。

 「Smash Star」と「Exteel」は日本のプレーヤーの立場から言わせてもらえれば、やはりジョイスティックでプレイをしたいところである。ちなみに「City of Heroes」、「Smash Star」、「Exteel」、「Dungeon Runners」の4タイトルは、まだ日本同様台湾でもサービス時期が決まっていない。他のタイトルを見比べてもスケジュールは日本の後になりそうだ。

 NC Taiwanによると、これらのタイトルの他、中国・台湾市場をターゲットにしたオリエンタル要素を強調したオリジナルタイトルを制作しているという。こちらの作品の正式な発表はまだ少し先になりそうだが、これまで韓国のNCSOFTが出してきたタイトルとは、少し毛色の違った作品となりそうである。

 ブースの特徴としては、試遊台を使うものではなく、実際に体を使う“イベント”を積極的に取り入れているところがユニークだった。「Lineage II」のコーナーには新要素である釣りにちなんだゲームにしたり、「Smash Star」ではキャラクタを配置した大きなゲーム台を用意するなど、なかなか凝っている。

 また、NC Taiwanは今回の目玉の1つとして、「コスプレをしたコンパニオンと写真が撮れる」をプッシュしていて、これも人気を集めていた。キャラクタに囲まれて、来場者は得意のポーズをカメラに向かって極める。台湾でも日本と同じようにコンパニオンの写真を撮りたがる人が増えているが、コンパニオンと写真を撮りたがる人も多いという。

 コンテンツのほとんどは昨年韓国で開催された「G★2005」と同じものだったが、サービス前のタイトルは完成度が上がっており、新タイトル、そして台湾ならではのイベントを展開していて、強い印象を残すブースだった。

【Dungeon Runners】
 現在韓国でクローズドβテスト中のMMORPG。キャラクタの装備画面やゲーム性に「Diablo」の影響が強く伺える。まだ公開されていないが、制作は欧米のメーカーである。試遊台では、ある村からスタートするが、キャラクタのレスポンスがイマイチで、あまり快適に操作できず、なかなか敵のいるフィールドにたどり着けなかった。

 現在の状態ではまだまだ未完成だと感じた。しかし、街の描き込みなどは非常に細かく、住人達の生活感もあって、世界観はしっかりしたものを感じさせられた。試遊台のクライアントのメッセージは、すべて英語であった。

イベントブースではダンスショーの他、「Guild Wars」の主題歌なども紹介された コスプレをしたコンパニオンとの撮影会。「City of Heroes」のごついヒーローも登場していた 「Guild Wars」は特に熱心なプレーヤーが多かった
「Smash Star」では、友達と声を上げてプレイする人も 台湾では試遊台に女性の姿も目立つが、「Exteel」は見事に男性だけだった 新タイトルの「Dungeon Runners」はいささか地味な出展だった
独特のセンスを感じさせられる少し“濃い”「Lineage II」のイラスト 実装に先がけて「Lineage II」の新要素を体験 「Smash Star」のキャラクタをきちんと再現したテニスゲーム
欧米からの実力のあるギルドを招いて開催された「Guild Wars」の対戦イベント。トッププレーヤー達の生の戦いを観戦できた。特にチームによる連携がうまく、味方を的確にサポート、実力は拮抗していて、回復を優先させるためなかなか勝負がつかず、戦いは1時間近くも続いた。

 NC Taiwanはこれを気にしてか、戦いが行なわれている真っ最中にいきなりチアガールをステージに登場させてみたり、観客にインタビューをしたりして会場を盛り上げようとしていた。もう少し観戦に集中させてもらいたかったところである。


■ 「SUN」を皮切りに飛躍する今年のWebzen Taiwan

 Webzenは「ミュー 奇蹟の大地」を制作した韓国メーカーで、これまで台湾、中国、アメリカに展開をしている。台湾はWebzenが海外の進出するための最初の拠点として2004年7月に設立された。Webzenが台湾を選んだ理由は、広大な中国大陸へのスタートポイントとしての役割を担わせるためだという。

Webzenブースは「ミュー 奇蹟の大地」と「一騎當千」が特に注目を集めていた
ステージの上から、「イー・アル・サン!」のかけ声でグッズを来場者に投げる。Taipei Game Showでおなじみの光景だ
 今回Webzen Taiwanは、「MU(ミュー 奇蹟の大地)」と、ダークな雰囲気を持ったファンタジーMMORPG「SUN(Soul of the Ultimate Nation)」、三国志の世界観を活かしたMMORPG「一騎當千」を試遊台でアピール。さらにかわいらしいキャラクタが活躍するMMORPG「Wiki」、GTAスタッフが制作する「APB(ALL-POINTS-BULLETIN)」、MMORPGの手法を取り入れたFPS「HUXLEY」というを映像出展していた。

 ブースでは、試遊台を多く設置しユーザーにゲームを体験してもらい、イベントブースでは新作のムービーと共にゲームを紹介、集まった来場者に向かってグッズを投げるという、どちらかというとオーソドックスな方式での出展だったが、タイトルごとに広いスペースを確保し、じっくりプレイできるようにしていたのが印象的だった。

 個人的に残念だったのは、「APB」、「HUXLEY」、「Wiki」の映像出展タイトルである。昨年のE3に公開されたムービーと全く変わっていない。「APB」はアメリカの都市を舞台にならず者と警官が車に乗りながら銃撃戦を行なう。「HUXLEY」は醜悪な形をしたエイリアンと、重武装の機械服に身を包んだ兵士達が激しく殺伐とした戦いを繰り広げるというものだが、ゲーム画面は全くなく、どんなゲームかもわからない。

 「Wiki」はかわいらしいキャラクタ達が仲間と共に戦ったり、挨拶をしたり、戦うと埃が出て一瞬キャラクタが見えなくなったり、巨大なピエロのモンスターがが大量の小さなピエロに分身したりと、ゲームの雰囲気は伝わってくる。しかし、結局ムービーだけではインパクトに欠けたようで、初日の後半からは台がモニタの前に置かれ、コンパニオンがプレゼントを配るためのフィールドになってしまっていた。

 今回紹介されたタイトルの中で、現在Webzen Taiwanが展開しているタイトルは「ミュー 奇蹟の大地」1本のみ。台湾国内の会員数は150万人、同時接続者数は4万人と好調ではあるが、他のタイトルの展開が遅すぎるのではないかと思ってしまう。ちなみに、「SUN」は韓国で来月オープンβテストに移行し、台湾では4月以降にテストがスタートする予定だ。

 Webzen Taiwanはこれから期待しているタイトルとして、「Wiki」を挙げる。台湾と韓国のユーザーの傾向は似ている部分が多いが、台湾ユーザーは特に“かわいいキャラクタ”が好きだそうである。この理由として、韓国は「Lineage」と「Lineage II」が大きくヒットをして、MMORPGといえば、ハードな雰囲気を持つファンタジー世界、というイメージがある。

 台湾では、「Lineage」と「ラグナロクオンライン」が大きなヒットとなった。ユーザーの割合としては50:50くらいで、さらに台湾のユーザーは韓国の人たちに比べて日本風のキャラクタにも親しんでいる。「Wiki」のかわいらしいデザインは特に台湾のユーザーに受け入れられるのではないか、とのことだ。

 また、「一騎當千」は上海のスタッフによって制作されており、ひょっとしたら、韓国よりも先に台湾と中国で展開する可能性もあるという。このタイトルはより台湾中国を意識した作品であるだけに、Webzen Taiwanはこちらのタイトルにも期待を寄せている。

 Webzenにとって2005年は「クオリティーを上げる年だった」という。メーカー自体がまだ若いため、タイトルを発表したものの、作品の品質を向上させるためには、どうしてもこれだけの期間が必要だったという。しかし、これからはそれが結実していく。「SUN」を皮切りに、これからはどんどんタイトルが形になっていくとのことだ。

「一騎當千」は「三国志」をテーマにした作品だけあって、ブースで一番人気だった 「SUN」はその美しいグラフィックスに興味を持つユーザーも多かった E3と同じ映像出展のみだった「Wiki」。敵と戦うと激しい埃が巻き起こるなど漫画的な表現を取り入れている

【SUN(Soul of the Ultimate Nation)】
 ダークな雰囲気を持ったファンタジーRPG。試遊台では戦闘部分をプレイできた。遠くまで見渡せるフィールドは荒廃していて、ダークな雰囲気がある。敵キャラクタは全身を大きく動かしながらプレーヤーに接近してきて、なかなか迫力がある。キャラクタは派手なスキルをいくつも持っており、隕石を降らしたり、巨大な槍を天空から飛来させたりと、派手なものがそろっている。

 戦士が分身をして敵をメッタ斬りにするスキルなどは使用していて楽しいが、アクションゲームのようにフィールドと敵の配置がしっかり決まっていないためか、もう少し戦闘のリズムに緩急が欲しいと感じた。本作は映画「Lord of the Rings」、「King Kong」の音楽を手がけているHoward Shore氏が音楽を担当しているが、試遊台では残念ながら周りの音に消されてしまっていた。ヘッドホンを用意してもらいたかったところだ。

【一騎當千】
 Webzen Taiwanで一番人気を集めていた「一騎當千」。試遊台では街から直接戦闘地域へテレポートするという形で、プレーヤーに戦闘部分を体験させていた。ショートカットキーでスキルを選び、右クリックで発動させる。群がってくる敵の兵士を体を回転させた竜巻ではじき飛ばしたり、矛を振り回してなぎ払ったりして倒すことができる。スキルのモーションや敵との駆け引きが大味な所なども「真・三國無双」を思わせるところがある。

 グラフィックの質感としては1世代前のものを感じさせるが、中国風の街並みや砦などのオブジェクトも細かく書き込まれていて、好感が持てる。ムービーでは、馬に乗り集団で敵の城に攻め入る攻城戦のシーンなども流れた。オンラインで多数のユーザーと遊ぶとき、どういった感触をもたらすかが楽しみだ。



□Taipei Game Showのホームページ
http://tgs.tca.org.tw/

(2006年2月17日)

[Reported by 勝田哲也]



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