|
会場:日本教育会館
マイクロソフトはXbox発売当初から販売台数に関してもワールドワイドの数値しか発表せず、各種数値をあまり公開していないが、今回のセッションではXbox Liveに関する一部データを示しながら説明が行なわれた。講演内容にまったく新しい内容というのは見られなかったが、Xbox Liveの仕組みを系統立てて説明する機会が少なかったため、そういった意味では聴講生に対してアピールする機会になったといえるだろう。 Xbox LiveはXbox 360で初めて実装されたわけではなく、Xbox発売当時からあるシステムだが、Xbox 360に移行するにあたって鶴淵氏は「ゲームで対戦するだけのコミュニケーションではなく、もう少し広範囲にわたるコミュニティ作り」のためのツールへと進化しているという。そのために、シルバーメンバーシップとゴールドメンバーシップの2段階性にしたことや、クレジットカードが無くても楽しめ少額決済も可能とするシステム作りなど、様々な作り込みがなされている。 Xbox 360発売以降のXbox Liveへの加入率は46%~47%で、ほぼ半数。これは日本だけでなく、ワールドワイドでもほぼ同等の数字だという。 シルバーとゴールドの違いについては「どのゲームでも対戦するためにはゴールドメンバーにならなければならないが、90%……ほとんどはシルバーメンバーで楽しめることができる」と説明。ちなみにゴールドの期限が切れてもシルバーに自動的に変更されるだけで、Xbox Liveを楽しめなくなるわけではない。つまり、対戦が楽しみたいと思えばゴールドメンバーとして課金すればよく、対戦をしたくなければその間はシルバーメンバーでいても十分楽しめると言うこととなる。 鶴淵氏によるXbox Liveのアピールポイントのひとつは、コミュニケーションを取るために公開される情報の豊富さと、参照する時の手軽さがあげられる。Xbox Liveではゲーマープロフィールというものを登録することになる。そこには“評判”や“ゲームスコア”、そしてユーザーのゲームに対する趣向が登録されている。 この趣向というのは、気軽に楽しみたければ「レクリエーション」を選択。このほかにも「勝負にこだわる」のか? 「ファミリータイプ」なのか? などなどユーザーの考え方を登録するわけだ。この趣向はゲームにおけるマッチング時にもこのデータを読み込んで判別される。気軽に楽しみたい人がガチンコユーザーといきなり当たり、コテンパンにやられて嫌になることもあり得るが、そう言ったことを起こりにくくする目的もある。 この登録されたゲーマープロフィールはだれでも見ることができる。これまでのXboxでは相手がどういった趣味趣向かは知ることができず、鶴淵氏によればそもそもゲーマータグを交換するきっかけも少なかったという。そしてゲームで対戦を重ねるうちに何となく相手の趣向がわかり、コミュニティを形成するにいたる。この長い道のりの部分を、新しいXbox Liveではゲーマープロフィールに集約し、ここを見るだけで相手の趣向を知り、コミュニティの形成を促進させようという狙いがある。 さらに、相手がどのようなゲームをどのくらいプレイしているかも見ることができる。たとえばコミュニティが形成されれば、相手が遊んでいるゲームリストを見たとき、自分が買おうかどうか迷っているゲームを相手がプレイしていれば、「このゲームどう?」と聞くこともできる。
このゲーマープロフィールの参照は、たとえばプレイしているゲームからも可能だ。自分のプレイしているゲームで、スコアに表示されたゲーマーからダイレクトにプロフィールにアクセスできる。そこからそのゲーマーのプロフィールやゲームリストを参照にして自分と合うかを判断することもできるわけだ。これまでゲームの横の繋がりは希薄だったわけで、そういった意味ではゲームに関したコミュニティ作りを促進するために、インターフェイスの土台から、きめ細かい配慮がなされているといえる。 鶴淵氏によるXbox Liveのアピールポイントのふたつめは「マーケットプレイス」だ。鶴淵氏によればこれは「パッケージのオンライン販売化ではなく、パッケージを販売したら終わりではなく、関連コンテンツの売り上げを継続的に期待できることになる」システムといえる。車のデータやコース、ダンジョンやキャラクタなどを追加で配信することで、より長くゲームを楽しめるきっかけをユーザーに提供するだけでなく、メーカー側としても売り上げを期待できるわけだ。 現在、追加データのほかにもデモ版などの関連コンテンツの配信が行なわれている。さらにはXboxのブレードと呼ばれる共通インターフェイス部分のスキンも変更することができるが、このスキンの販売なども行なわれている。ゲームや映画の予告編をダウンロードして楽しむことも可能。しかし、現状ではストリーミング配信には対応しておらずダウンロードして楽しむしかない。
すでに言われていることだが、Xbox 360の大きな武器であるXbox Liveは問題点を抱えていながらも、任天堂がネットワークゲームに対するひとつの回答として「Wi-Fiコネクション」を打ち出し成功しているように、マイクロソフトからのネットワークに対する回答としてユーザーにとっては魅力的なシステムだ。最も問題なのはこの魅力がユーザーに伝わっていないことで、多くのメーカーが垣根を越えてこのシステムを採用してもユーザーの母数が増えなければ、残念な結果となる可能性がある。Xbox Liveを広げるためにユーザーにアピールしていく努力も、これまで以上にマイクロソフトには求められているのではないだろうか。 □ブロードバンド推進協議会のホームページ http://www.bba.or.jp/ □「AOGC 2005」のページ http://www.bba.or.jp/AOGC2006/ □Xboxのホームページ http://www.xbox.com/ja-jp/ (2006年2月10日) [Reported by 船津稔]
また、弊誌に掲載された写真、文章の転載、使用に関しましては一切お断わりいたします ウォッチ編集部内GAME Watch担当game-watch@impress.co.jp Copyright (c) 2006 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved. |
|