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★PCゲームパーツレビュー★

質実剛健のゲーミングキーボードが登場
「RealForce」の牙城は突き崩せるのか!?

Steel Keys 6G

  • ジャンル:ゲーミングキーボード
  • 開発元:Soft Trading
  • 発売元:GDEX
  • 価格:実売16,000円前後
  • 対応OS:Windows 98/Me/2000/XP
  • 発売日:発売中


 近年、高性能化と多様化が進むPC用入力デバイス市場の一角として、「ゲーマー向け」というカテゴリがすっかり定着してきたようだ。この流れの中で、特にマウスの高性能化・多様化には目を見張るものがあるが、一足遅れてキーボードの世界にもゲーマー御用達製品が登場するようになってきたことは喜ばしい。本稿では、2005年末に発売された最新のゲーマー向け高性能キーボード「Steel Keys 6G」をご紹介しよう。


■ ゲーム用キーボードに求められる性能とは何か?

これが今回紹介する「Steel Keys 6G」。質実剛健な高性能キーボードだ
 ゲーマーが入力デバイスに求める性能というものは、概して高い水準にあることは確かだ。しかし、複数の製品を比較検討する際に、客観的に評価できる「基準」を設定可能なものでなければ、結局は各個人の好みや先入観以外に判断材料を得られず、製品を正当に評価することが難しい。この点、ゲーミングマウスは、形状や重量、DPIや反応速度、ドライバの出来不出来といった複数の客観的な基準を設定できるので、製品の評価を伝えやすい。

 しかしキーボードはそれがなかなか難しい。これほど各人の主観で結論が変わってしまいがちなデバイスは他に無いのではないか。ゲーマーがキーボードに求める確固たる性能基準は何か? と改めて考えてみると、キーの同時押下可能数の多さ、つまり、FPSをプレイするときに「しゃがみながら斜め前に移動しつつジャンプとフラッシュライトの点灯を同時に行なっても正しく反応してくれる」くらいしか思いつかない。

 それさえ満たされていれば、あとはキーのタッチ感、配列、形状、重量、色、値段など、これらはもう好みとか信念とか、お財布の問題であり、優劣を競っても仕方がない。メカニカルスイッチのキーボードを使用している集団は、そうでない集団に比べてK/Dレシオが0.125高いというたぐいの統計データがあるわけでもなく、客観的な基準を得られないからである。

 したがって、一定の水準を満たしているキーボードの良し悪しを「ゲーマー的な基準で客観的に評価」することはとても難しい。それでもなお、今回紹介するキーボード「Steel Keys 6G」を評価する上で重要な要素を示すのであれば、以下の点について議論が可能だろう。

・同時押下キー許容数:
個人的に重要視したいのはこれである。少なくとも5~6キー以上の同時押しに正しく反応しなければ、ゲーム用途のキーボードとして致命的だ。おもにキーボードの搭載チップによってこの性能が決まる。

・反応性
キーを押した時の反応性にばらつきのある劣悪なキーボードは問題外だ。また、ゲーマーとしては「押そうと考える」段階から「押した結果が出る」までのタイムラグを最小限に抑えたい。スイッチの方式および回路の出来によって左右されるだろう。

・耐久性
1カ月や2カ月で物理的・電子的にガタがくるようなキーボードは、そもそもゲーム用途でなくても手にしたくないものだ。ゲーム用途ならば特に酷使するが、それでも数年は安定した性能を発揮してほしいところ。

・重量
あまり軽いキーボードは接地性が悪く、FPSなどでの激しい使用では接地位置がずれたりガタついたりする。打鍵用としてもゲーム用としても安定するだけの重量がほしい。

・感触
良質なスイッチを持つキーボードは触れているだけで気持ちの良いものだ。スイッチのタイプは好みに左右されるところが多いが、客観的な基準としては「ひっかかり」や「ゆらぎ」がほとんどない、あるいはまったくないことがゲーム用途の最低基準になるだろう。

 ゲームにも使用できるキーボードについての単純な議論であれば、上に挙げた基準のうち「同時押下キー許容数」が一定の基準を満たしていれば充分だ。しかし以下の議論ではもう少し突っ込んだ観察をし、上に挙げた基準を念頭に置きながら本製品「Steel Keys 6G」に対する評価をおこなってみたい。


■ Steel Keys 6Gはまさに「鉄板」。飾り気のない質実剛健さと高性能スイッチが光る

レイアウトは標準的な109日本語配列。ゲーム専用の機能などは搭載せず、実にオーソドックスな外観を有する
キーは列ごとに階段状に立体配置されている。標準的なキーボードに比べ、数字キーの列の段差が少し大きく見える
 本キーボード「Steel Keys 6G」は、「Cherry黒軸スイッチ」を採用している点で特色ある製品だ。

 Cherry黒軸スイッチというのは、ドイツのメーカーCherryのスイッチ仕様のひとつで、キーを押し下げる距離に比例してなめらかに圧力が上がっていくタイプのキースイッチ。クリック感がなくリニアな感触で、押下途中でキーが反応するので最下部まで押下してガチャガチャと打鍵音を出す必要がない。安定した打鍵が可能ということで業務端末にも採用されているようだ。

 キーの配列は典型的な109キー。写真を見てのとおり実にシンプルなデザインで、ゲーマーに好まれる質実剛健さを漂わせている。右上に「professional gaming keyboard」のプリントが無ければ業務用のキーボードであるとしても違和感はないほどだ。筆者個人としては、Windowsキー不要派、さらにテンキーすら要らない派なので若干不満が残るものの、標準配列を愛する者としては、奇をてらったヘンテコな配列で「ゲーム用」と謳う他の製品とは比較にならないほどの安定感がある。重量はかなり重い部類で、物理的な安定感も抜群である。

 横から見ると、キーの配置に特徴があることがわかる。手元から離れるにしたがって各キー列が階段状に配置されており、指がホームポジションから各キーに最短距離で到達できるようになっている。これは通常のタインピング用途でも非常に使いやすい。

 こういった質実剛健派のキーボードとして必ずライバルになる製品が東プレ「RealForce」シリーズだ。「RealForce」シリーズは静電容量方式と呼ばれるスイッチを採用している高価なキーボードで、同系統の製品が業務用としても利用されている点では本製品と肩を並べる高性能品。キー押下の圧倒的な軽さがゲーマーにも受けているようだ。「RealForce」は筆者も愛用しているが、ちなみに「Counter-Strike」の有名チーム「4dN.psymin」でも「RealForce」を使用しているのだそうだ。

 さて、本製品「Steel Keys 6G」のキートップは非常に安定しておりほとんどぐらつかない。キータッチは「RealForce」に比べると非常に重たく感じられ、一般的なキーボードの感覚からいっても重めのほうだと言っていいだろう。感触もまた、Cherry黒軸スイッチ特有のリニアな押下感と重めの抵抗設定のため独特だ。実際にタイピングしてみると「モチモチしている」といった表現が適当だろうか。

 高速な反応が必要とされるゲーム用途では、この重めの抵抗設定がアダとなり、「ゲーム用途には向かないのではないか?」と考える向きも多いのではないだろうか。ところが、このCherry黒軸スイッチは「押下途中で反応する」特性があり、本製品は実際にはフルストロークの1/3程度押下した時点でキー入力が発生する。つまり、キーを押し切るずっと手前でキーが反応するので、「押そうと考えて」、「指に力を入れて」、「キーが反応する」という一連のプロセスが非常に速い印象を受ける。なんだかキーが先行して反応している感じで、初めて使用したときは反応の良さに驚いたものだ。

 結論としてこのCherry黒軸スイッチは、薄型キーボードに匹敵する実ストロークの浅さと、高級スイッチのリッチな打鍵感を両立しているのだ。この点、キー圧力の非常な軽さをウリにしている「Realforce」と趣は異なるものの、性能的な面では優劣つけがたい出来だ。

 このスイッチは耐久性にも定評がある(業務用としては必須の特性)。スペックシート上ではキー寿命は6,000万回とのことで、これは一般的なメンブレンスイッチの約6倍。「Realforce」で採用されている静電容量スイッチのおよそ2倍の耐久性だ。FPSゲーマーが酷使する一部のキーだけがヘタレてしまうような状況はほとんどありえないだろう。本製品はキーボードとして高価な部類に入るが、寿命による買い替えも含めたコストパフォーマンスを考えるなら、メンブレンスイッチを採用する安価なキーボードより良い選択といえるかもしれない。

 また、本製品は9キーまでの同時押下に対応するので、複雑な操作が必要となるFPS系ゲームでの使用においてもまったく問題ない。安価なキーボードの中にはこれが3キー程度のものがあったりして、たとえば[SHIFT]と[W]と[S]を押して「斜めに歩き」、そこで[SPACE]を押して「ジャンプする」と、以前から押されていた3つのキーのいずれかが離された状態になって「斜めに歩いていたつもりが、直進している」ような状況になってしまう。人間の指には限りがあるので本製品の9キー同時押下対応は少々やりすぎな気もするが、ゲーム用途のハードな使用でも誤動作しないという安心感は非常にありがたい。

LEDはブルーで落ち着いた雰囲気だ。「professional gaming keyboard」のプリントが、ゲーム用途であることをささやかに主張している 鍵盤底部までのストロークは深いのだが、写真の程度だけ押下すればキーが反応するため、反応性が非常によく感じられる


■ 性能は申し分なし。独特のキータッチを好むか否かが選択の決め手

 最後にまとめとして、「Steel Keys 6G」の評価点を列挙しよう。

・同時押下キー許容数: 9キー。同時押下による誤動作はない。

・反応性: 良。押下途中に反応するため実感覚よりクイックな印象。

・耐久性: 良。キー寿命6,000万回。一般的なメンブレンスイッチ(1,000万回)のそれを大幅に上回る。

・重量: 重い。激しい動きにもビクともしない安定感あり。

・感触: キータッチは比較的重め。モチモチした感触。

 本製品はゲーム用途としても申し分ないが、オーソドックスな配列、ゲーム用の特殊機能などがいっさい無いことなどから、一般的なタイピング用途においてもハイレベルな製品であるといえる。

 今日日のゲーマーは、単にFPSで撃ち合ったりするだけでなく、チャットしたり、メールしたり、ブログを書いたりといったキーボードによる入力作業を人並みはずれて行なうものなので、本製品の普通のキーボードとしてのトータルな高性能ぶりは充分にゲーミングライフに貢献することだろう。ゲームをそれほどプレイしない人でも、高級キーボードの選択のひとつとして充分に価値のある製品だ。

 本製品を他の高級キーボードと区別する最大のポイントは、やはり、Cherry黒軸スイッチによる独特のキータッチ感だ。この重くモチモチした感触と独特の反応性の良さ。こればかりは良し悪しを客観的に判別できるものではないので、実際に店頭で感触を確かめてから購入を判断していただきたいところだ。

 最後に、本稿は実際に「Steel Keys 6G」を使用して執筆したものだが、筆者が常時使用している「RealForce 89」に比べても遜色の無い生産性を発揮してくれたことを記しておきたい。


□製品情報
Soft Trading「Steel Keys 6G」
http://www.steelseries.com/

(2006年1月11日)

[Reported by kaf@ukeru.jp]



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