|
発売中(12月8日)
価格:7,140円
副題に「5大ボンビー登場!の巻」とあるように、本作品には「桃鉄」シリーズでおなじみの「キングボンビー」をはじめとする歴代の凶悪ボンビーたちが総登場。そのほかにも数々の悪事を働く怪獣などが多数出現するので、今回もまたプレーヤーたちをおおいに楽しませてくれることだろう。 今回「桃鉄15」の発売にあたり、「桃鉄」シリーズの生みの親であるゲーム監督のさくまあきら氏をはじめ、イラストレーターの土居孝幸氏、そして発売元のハドソンからは高橋名人こと高橋利幸氏に直撃インタビューを敢行、最新作の魅力や開発中のエピソードなどを語っていただいた。
■ 「桃鉄15」はボンビーたちの「ファイナルウォーズ」!? ――まずは今回のタイトルに「五大ボンビー集結」とありますが、このタイトルに込められた意味などを聞かせてください
土居孝幸氏(以下、土居): それからこれも怪獣映画みたいですけど、今回は日本列島が真っ二つになる(!)なんてイベントも入っていますので、それをゲームでぜひやってみたかった、というのも背景としてありましたしね。
さくま: それと、やっぱりお客さんから「もっといろいろボンビーを出してくれ!」という要望が多かったというのがありますね。以前にも「桃鉄USA」で3種類のボンビーを登場させたんだけど、案の定そういう意見が随分寄せられたのでじゃあやるしかないよな、と。
さくま: そうですね。例えば「ハリケーンボンビー」なんてメチャクチャ酷いこと(周辺にいるプレーヤーの持っている物件まで吹き飛ばす)をするのに、逆にそれが面白いから「サミットカード」を使って他のプレーヤーをみんな集めて巻き添え食らわしてやろうか、なんて遊び方をしてみんな楽しんでくれますしね(笑)。
さくま: 今回だと「ミサイルボンビー」なんかは本当に酷いやつで、「桃鉄」シリーズ史上初めてテストプレーヤーを本気で怒らせたほどですからね(一同爆笑)。 高橋利幸氏(以下、高橋): 僕なんかこの間「桃鉄G」を移動中に遊んでいたら、「スリの銀次」に10兆8千億円も一気に取られちゃいましたよ(またまた爆笑)! もちろん悔しいんですけど、やっぱりこういうネタは他人についつい話をしたくなりますよね。 ■ 充実の内容! 1人でも楽しめる要素満載 ――毎回「桃鉄」シリーズでは、それぞれの土地にちなんだ数々のユニークな物件やイベントなどが登場するのも特徴のひとつですが、これらのネタは実際に現地へ旅に出て取材などをされたりするのでしょうか? さくま: ええ、あちこちに出かけていろいろと調べてきました。今回新たに登場するところでは千曲や横須賀などの駅がそうですね。それから江差や小浜、門司港のように、ゲーム開始時は存在せずに途中から追加されるような場所もあります。
土居: 実を言うと、さくまさんのホームページで日記を読むとだいたいどこに行ったのかがわかっちゃうんですよ。それを見ると、次回作はどこの地名が登場するのかが想像できちゃうと。熱心なファンにとっては、それもまた楽しみのひとつかなあ、なんて(笑)……。
高橋: 例えば「鉄器怪獣 アイアンナンブ」なんかの場合、この怪獣が「貧乏神」と戦って勝つと「貧乏神」がしばらくの間気絶してしまうんですよ(笑)。 さくま: それとデザイン以外にもいろいろとひょうきんなところがありまして、例えば帰るときにプレーヤーに向かってバイバイしたりするキャラとかがいます。「さんざん酷いことして“バイバイ”はないだろう!」みたいな、わかりやすくツッコミながら楽しめるようにしてあります。 土居: 当初はこちらの怪獣をメインにしようかという話になっていたので、全部で30体ぐらいのデザインを考えました。ですが作ってみたらちょっと数が多すぎたので、スタッフ間で人気があるものを厳選していこうかということになりまして、最終的には9体が採用されるかたちになりました。 さくま: 実はエンディング画面で全種類の「名産怪獣」が紹介されるようになっているのですが、実際は全部の怪獣と遭遇するのはかなりたいへんなんです。中にはもの凄く低い確率でしか出現しないものもいますから、頑張って挑戦してみてください! ――「激闘! さくま城」が今回また復活しましたが、その意図するところは何でしょうか? さくま: 今回はCOMキャラたちの設定を大幅に変えましたので、これらの特徴を生かした楽しみ方を提供できるのはやはり「さくま城」かな、と考えてのことです。それぞれのCOMキャラには実はこんな特徴や個性があるんだよ、ということをハッキリ伝えたかったんですよ。 高橋: 例えば「風神」は風の神様ですから、絶好調になると「ぶっとびカード」を使っていきなり目的地に入ったりする大技を使ってきますしね。それとCOMキャラで「さくま鉄人」を選べるようにするためには、実は「激闘!さくま城」を完全攻略することが必要なんです。「桃鉄」の本編をやりつつ、こちらにもぜひトライしてほしいですね。
さくま: 特に最後は「さくま鉄人」が3人同時に出てくるのでメチャクチャ難しいです! しかも絶好調の状態でいつもスタートするので、サイコロをいっぺんに5個振るなんてことは序の口ですから、1年目なんて目的地にすら入らせてもらえないでしょうね……。それ以外にも、「あしゅら」なんかはいきなり1ターンで3回サイコロを振って行動しちゃいますしねえ。多分、このモードが発売と同時に一番非難がくるんじゃないかなあ(笑)。
土居: わかる人が聞けば思わず嬉しくなるような曲がいっぱい入っていますしね。元々さくまさんはBGMにはもの凄くこだわりますから! 高橋: 特に絶好調時の曲は明るくてノリノリのものが多いですね。もちろん、プレーヤー自身が絶好調になったときも変わりますから、こちらもぜひ注目して聞いてみてください。 さくま: 音楽は今回もサザンオールスターズの関口君(関口和之氏)に頼んでいますけど、毎回本当にいい曲を作ってくれますね。彼とはファミコンの「桃太郎伝説」以来からの長い付き合いで、最初は「後で北海道まで連れて行ってカニを食わせてやるから手伝ってよ!」と言って誘ったのがきっかけでしたね(笑)。以前に彼が病気でバンドを休んでいる間も、実は僕らのゲーム向けの仕事だけはコッソリやってもらっていて、「病人がこんな明るい曲を書けるのか?」なんてみんなで驚いたりしましたね(一同爆笑)。 それからここでハッキリ言っておきますけど、彼の名前をただ入れただけで実際には参加していないのでは、なんてことが昔ウワサされていたようですが、そんなことは一切ありませんよ! ――今回もまた「タンス・ニ・ゴーン社長」や「最北端動物園」などのように、話題のネタを取り入れたイベントやキャラクタがいろいろと入っていますね。 さくま: 特に「タンス・ニ・ゴーン」は、初め土居ちゃんには何もイメージを伝えないでデザインを頼んだんですけど、イラストが出来上がったときはもうみんなで大爆笑したっけなあ……。 土居: キャラクタのイラストをどうするか、というやりとりには毎回一番時間をかけますね。イラストがちょっと変わるだけで、その後に続くセリフの言い回しとかもまったく変わってしまいますから、ここの部分はいつも綿密に打ち合わせをしています。 さくま: そうそう、攻撃の方法やメッセージとかをちょっと変えただけでまったくイメージが違ってしまうので、完成したときには最初のラフの段階とは全然違う絵になっていることもよくあります。 ――これだけいろいろなキャラクタが出てくると、ゲームのバランス調整もたいへんなご苦労があるものとお察ししますが? さくま: 例えば30年ぐらいゲームを進めて僕がトップを独走している状態にしておいてから、その時点で最下位になっているプレーヤーと入れ換わっても逆転勝ちできるかどうかをちゃんと証明してみせる、などと考えながらじっくり調整をしています。 また、プレーヤーの実力でのみ差がつくようにするだけでなく、素人さんがプレーしても状況次第では麻雀でいうところの「ドラ」が乗って大逆転できる要素もほしいな、という思いもあるんです。後でみんなから、「オマエが勝ったのは運に恵まれただけで単なるマグレだ!」なんて言い合ったりしながら楽しめるようにしたいですしね。 高橋: ゲームの制作自体はかなり進行が早くて、実は今年の6月には(プログラムが)もうほとんど出来上がっている状態になっていたんですよ。ですから後の残った時間はずっとテストプレーをしていたことになりますね。 土居: ここは「桃鉄」では一番のキモになる部分ですから、毎回一番時間を割くところですよね、ハイ。
さくま: 今回みたいに「日本列島真っ二つ」みたいな思い切ったことをやってしまうと、バランスを調整するのは見た目以上に本当にたいへんなんですよ!
高橋: 彼はCMの撮影現場でも、あいさつの他には「桃鉄」の話だけしかしないほどの「桃鉄」大好き人間ですよ! ここ最近は「(「桃鉄15」の)製品版はいつ送ってくれるんですか?」って毎日のように催促の連絡がきましたからね(笑)。
さくま: 実はですね、ここ最近のシリーズ作品には吉本の芸人さんたちがデバッグにも参加しているんです! しかも仕事でお願いしているわけじゃないからギャラは一切出ないんですけど(笑)、テレビ局とかの会議室を借りて何人かの芸人さんに声をかけると大勢集まってくれるんです。東京で番組の収録がない日でも、これだけのためにわざわざ大阪から来る人もいますよ。 ■ 「桃鉄」のオンライン化の可能性は? ――「桃鉄」シリーズの今後の展開についてお尋ねします。現在では携帯電話用コンテンツとしても配信されていますが、例えば将来的にはオンライン対戦化なども視野に入れているのでしょうか? 高橋: 今のところは携帯コンテンツ版でもCOMキャラだけの対戦だけしかできないのですが、確かにオンラインで遠く離れたユーザー同士で対戦したいという人もいるでしょうね。ですが、現時点ではそこまでの展開をするかどうかはまだ未定です。ただ獲得した資産の合計額とか、お金を取られた回数などを競う「おもしろランキング」などの全国ランキングを集計して楽しめるようには今の段階でもなっています。 さくま: 詳しいことは言えないのですが、実はまだまだ温めているネタが本当はいっぱいあるんですよ。企画段階でお蔵入りしてしまった物の中にも面白いネタがいろいろと残っていますので、しばらく寝かせておいてからそのうちタイミングを見計らって出そうかなとは思っています。今回の「ボンビー」たちも相当に酷いことをしますが、もっと凄いネタも用意してあります(笑)。 土居: キャラクタのイラスト自体が丸ごとお蔵入りしているのもまだありますしね。それと余談ですが、このシリーズの作品もかなりの数になりましたので、スタッフのみんなが冗談で「ライバルは『ファイナルファンタジー』だ!」なんて言ってます(笑)。同じスタッフでずっとひとつのシリーズをこれだけ作り続けているのは「桃鉄」以外にはおそらく存在しないですしね……。 ――それでは、皆さんから全国の「桃鉄」ファンにメッセージをお願いします! さくま: とにもかくにも、99年モードでぜひプレーしてください! ゲームのスピードがとにかく早くなっていて、途中から一部のメッセージが表示されなくなったりイベントを短縮したりするようになっているので、長時間でも快適に遊べますよ。順調に進めば、だいたい30時間を切るぐらいで終わるのではないでしょうか。もちろん、「日本列島真っ二つ」のシーンもぜひ見てほしいですね。 それから99年モードの場合、物件が「デビルカード」を食らっても平気になったり、またIT企業を買うとワクチンを開発してくれてウイルスの効果が無効になるなど、RPG的な戦略性とかもいろいろと存在するので面白いですよ! 土居: 「名産怪獣」の動き方にもぜひ注目してください。それぞれ登場の仕方とかのアクションがみんな可愛らしくできていますので、頑張って全種類を見てほしいですね。場面によっては、何十回も書き直したシーンとかもありますから……。 高橋: 今回の「桃鉄」は99年モードでプレーしたほうが一番楽しめるように調整してあります。途中で黄色いマスの所がカード売り場になったり、新しい空路なんかも出てきたりして、マップの様子などがどんどん変化していきますよ。 ――本日はお忙しいところどうもありがとうございました!
今回のインタビューを終えて最も印象に残ったのは、さくま氏をはじめ、それぞれのスタッフがみんな楽しんで仕事をしながら「桃鉄」を作っているのだな、ということ。事実、さくま氏自らが「今回は最初から最後までずっと楽しく作れたし、スタッフの充実度は今が一番高いと思う」と言っておられたほどなので、これならゲームの出来も自ずと期待が持てるというものだ。
またテストプレーにもタップリと時間をかけているとのことなので、途中で凶悪な「ボンビー」たちによって壊滅的な被害を受けてしまっても、さまざまなカードの使い方を工夫するなどしていけば終盤でアッと驚く大逆転、なんてこともできておおいに盛り上がることだろう。来る年末年始の休みなどを利用して、シリーズのファンならずともぜひ一度「桃鉄15」をお試しあれ!
□ハドソンのホームページ (2005年12月9日) [Reported by 鴫原盛之/佐伯憲司]
また、弊誌に掲載された写真、文章の転載、使用に関しましては一切お断わりいたします ウォッチ編集部内GAME Watch担当game-watch@impress.co.jp Copyright (c)2005 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved. |
|