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会場:セガ本社1号館
「COPA VENCEDORES WCCF The 1st」は「WCCF EC」最強プレーヤーを決める対戦イベント。9月から順次実施されてきた予選大会(全国11エリア、約180店舗)の参加者は、総勢5,000名以上におよぶ大規模なもの。「WCCF EC」では対応リーグが「4カ国に拡大したことから、大会名称が従来の「WCCF CUP WINNER'S CUP」から「COPA VENCEDORES WCCF」に改められたが、実質的には第5回目の全国大会となる。 本大会では、WCCFシリーズ全国大会初となる「JAPAN WINNWR’S CHANPIONSHIP」最強監督決定戦が午前中に行なわれた。最強監督決定戦は、WCCF ECの新要素“ネットワーク全国大会「JAPAN WINNER'S CHAMPIONSHIP」”の優勝経験者だけが参加資格を持つリーグ戦。「JAPAN WINNER'S CHAMPIONSHIP」は、毎週日曜日に優勝チームが決まる仕組みで、正式稼動から本日(全国決勝大会)までに19人のプレーヤーが参加資格を保有していたことになる。 最強監督決定戦を制した監督には、午後から行なわれる「COPA VENCEDORES WCCF」決勝大会の特別出場枠が与えられる。賞品としてはとても美味しい……のだが、やはり公式サイトに明記された「現地までの交通費、当日の宿泊費等は各自ご負担いただきます」の注意書きが重くのしかかったのだろうか。最強監督決定戦に名乗りをあげたのは、第1回、2回、4回、5回優勝チーム監督の計4名。稼動初期から熱心にプレイしている監督たちが揃って名乗りをあげたというのが象徴的で、人数は少ないながらもそれぞれ熱い戦いを披露してくれた。
激戦を制したのは、第1回優勝チーム「ギュウタンウマイヨ仙台」監督。司会進行氏から“癒し系”とアナウンスされる人柄の持主らしく、ギャラリーからも「いよっ! ギュウターン!!」という声援が投げかけられるなど人気も上々。これで、全国決勝大会に参加する計32名の監督たちが出揃ったことになる。
「COPA VENCEDORES WCCF The 1st」がこれまでの決勝大会と大きく異なるのは、大会レギュレーションが「U-5」から「5R」に変更されたこと。U-5は、レアまたはスペシャル選手カードが計5枚までで、それ以外はすべてレギュラー選手カードで構成されたチーム。5Rは、チーム内にレアカードとスペシャルカードが計6枚以上あり、そのうちレアカードは5枚以内というもの。ちなみに、レアカードが6枚以上含まれるチームは「フリー」に分別される。 正直、開催概要の発表直後は「5Rになったら、レアカードと重複するスペシャルカードだけで固めてくるチームばかりにならないかなぁ」と心配していた筆者だが、現実には杞憂で終わった。というのも、中核をなす選手こそ多少似通ってはいるが、決勝大会に進出したチームの半数以上が「U-5」をベースにしていたからだ。完全なU-5準拠は10チームだが、それ以外でもU-5から要所を入替えてキッチリ仕上げてきたと思わしきチームが多数見受けられた。参考までに、以下に決勝リーグ進出チーム全選手の使用率(枚数)をレアリティ別に列挙しておこう。
13枚 … アンリ
10枚 … マルディーニ
12枚 … トゥーレ
参加チームのフォーメーション、戦術の傾向は、やはり“左サイドアタック”の一言に尽きる。決勝大会という負けが許されない舞台で戦うとなれば、この強力な戦術オプションを利用しない手はない。もはやセオリーを通り越して「勝ちたいなら左サイド」といったWCCF EC的格言レベルにまで到達した感のある左サイドアタックだが、さすがに自他ともに徹底してくるとなれば対応策も相応に洗練されていく。 実際、決勝リーグでは、左サイドアタック対策がきちんと講じられているか否かで得失点差が大きく異なる様子が見受けられた。お互いに対策ができている状況でサイドアタック中心に攻撃を組み立てると、多くの場合“中盤での潰しあい”から決定的なパスが出ることが多い。だが、きちんと対応できていないチームは、ふとした瞬間に戦術ボタンの指示一発でサイドアタッカーやセンターフォワードにパスを通されてしまう。細部の違いはあるものの、参加チームの大半が4-3-3を採用し、要所にトップクラスの人材を配している。にも関わらず、潰しあいによる僅差と、一方的な失点による大敗といった両極端な結果が出るのはなぜだろうか。 大敗したチームをチェックすると“中盤と最終ラインが妙に間延びしている”ケースが目立つ。本誌WCCF EC連載記事「SIDE-B 第7回」で石井氏が指摘しているとおり、中盤3人でフラットラインを形成すると、サイドアタックに対しパスコースを限定しやすいという利点がある。パスが出しにくくなり仕方なくドリブルで上がってきた相手に対し、守備的MFを一気に押上げて瞬間的な数的優位を作ることにより決定的なパスをアタッカーに供給するわけだ。 だが、このとき中盤と最終ラインが間延びしていると、そこに致命的なスペースが生じてしまうことが多い。なぜスペースが生じるかといえば、サイドアタック対策として最終ラインを極端に低くしているチームが多いから、ということになる。威嚇するようにせり出してくるサイドアタッカーに対して、つい必要以上に下げたくなってしまう最終ライン。その状態でセンターライン付近にフラットラインを築こうものなら、それを飛び越して背後のスペースを突かれるのは自明の理。プレス点灯のタイミングを間違える、もしくは理解できていないのなら、危険度はさらに増す。 ネットワーク全国大会にもいえることだが、中盤のフラットラインがディフェンダー側に寄った4-3-0-3ともいうべき微妙なフォーメーションは、左サイドアタックの優位性とその対策から自然発生した“ある種のカタチ”といえる。ただ、ここで注意すべきは、最終ラインを含め“引きすぎると逆効果”ということ。一見どっ引き陣形はそれだけで堅いように見えるが、逆説的には「バイタルエリアで押し込まれやすい」という不利な面を併せもつ。選手能力に差があるとき、不利なチームが仕方なくやるならともかく、トップクラスの守備的人材を要所に配置しているなら、必要以上に引くとバイタルエリアで攻撃側に勝負根性を発揮されてしまい、せっかくの高い守備能力がスポイルされてしまうといった状況に陥りかねない。
カード1枚あるいは半分といった“さじ加減”が、本来互角に渡り合えたはずの試合を台無しにしてしまうことは珍しくない。サイドアタックひとつとっても、ボールを奪ったら即戦術ボタン左を点灯させるのではなく、センターラインより上までビルドアップしてから“選択肢のひとつ”として使いわけるだけで、成功率や結果がグンと違ってくる。後日セガ アミューズメント情報サイトに本大会の動画がアップロードされるはずなので、興味がある人はこのあたりに注意しつつ動画を閲覧してみてはいかがだろうか。きっと、何か新しい発見があるはずだ。
決勝トーナメントに進出したのは、「フィヨルドFC」、「ザ・モンスターFC」、「ドSRラーメンm」、「マルセユ・SAYU」、「ラ・ブルー・アンサンブ」、「W/G ヌエボ・トリデンテ」、「ZAP U5 WRE」、「クリスタルリッキー*TM」の8チーム。 “癒し系”こと「ギュウタンウマイヨ仙台」や、前回優勝チーム「Rハリケーン<C・K>」改め「CLUB:K<1>」、さらにはWCCF全国大会常連となった「ナンカツ*若松*」など、注目チームが次々と予選敗退。そんななか、決勝戦に進出してきたのは、関西勢同士の準決勝対決を制した「W/G ヌエボ・トリデンテ」監督と、東京A1位「ザ・モンスターズFC」を打ち破ってきた東海地区「ラ・ブルー・アンサンブ」監督のふたりだ。 【W/G ヌエボ・トリデンテ】
シェフチェンコ(MVP)、ロッベン(WSA)、ジェラード(WCN)、ヴィエラ(WCN)、プジョル(WDF) 《スペシャル》 ジウベルト、ネスタ、ガラ、I・コルドバ、キューウェル、スタンコビッチ、モンテーロ 《レギュラー》 ジャンピエレッティ、ヂダ、C・ルカレッリ、マメーデ
ブラン(ATLE)、デサイー(LE)、デシャン(ATLE)、ジダン(LE)、アンリ(LE) 《スペシャル》 マケレレ、トレゼゲ、ヴィエラ、テュラム、ガラ、フレイ、ピレス 《レギュラー》 シセ、ダボ、シルヴェストル、ジェトゥー
「W/G ヌエボ・トリデンテ」は、センターにシェフチェンコ、左にロッベン、右にランパード。かたや「ラ・ブルー・アンサンブ」は、センターにトレゼゲ、左にアンリ、右にジダンといった具合。中央に典型的なストライカー、左に突破力のあるサイドアタッカー、右はキープ力に卓越した攻撃的MFと、選手こそ違うがタイプが酷似している点が面白い。左サイド対策も、テュラム、I・コルドバとそれぞれ見事なまでに徹底している。 キックオフは「W/G ヌエボ・トリデンテ」。ワンタッチからの左サイド狙いは直後にインターセプトされるが、押し上げたジウベルトがボール奪取に成功してランパートに素早いフィード。こぼれたボールにシェフチェンコが反応し会場内が一気にヒートアップするも堅い守備に阻まれて攻守交替。中盤での潰しあいから17分頃に「W/G ヌエボ・トリデンテ」ロッベンが突破に成功。クロスを上げるもファーサイドのランパートに合わず応援団から大きなため息が漏れる。 だが、まだ「W/G ヌエボ・トリデンテ」の攻撃は終わらない。ボールを持ったままアンリがタッチラインを割ってしまい、直後の攻防から「W/G ヌエボ・トリデンテ」がコーナーキックをゲット。キッカーはランパード。この決定的な状況で「ラ・ブルー・アンサンブ」のフレイは素早い飛び出しからキャッチに成功。ゴールを確信していた応援団は信じられないといった雰囲気。以後は両チームともに左サイドがらみの潰しあいに終始し、ハーフタイムへと突入する。 ハーフタイムの選手交代は両チームともに無し。後半最初のチャンスを掴んだのは「ラ・ブルー・アンサンブ」。左サイドを突破しかけたアンリが、切り込こんだ直後に中央のわずかなスペースに浮きダマのショートクロス。疾風のごとく詰めるトレゼゲだが、DFと接触して体制を崩しキーパーにキャッチされてしまう。ゴールキックからのボールは中盤を経由してランパードに渡る。怒涛の突破から上げたクロスは、弾き返されるもこぼれ玉をシェフチェンコが強引にシュート。パンチングではじき出されたボールはゴールラインを割る。 仁王立ちするジェラード。「二度目はないよなぁ……」恐らくは誰もが同じことを思ったであろう、そのとき。餓えた獣のように襲い掛かる相手チームの誰よりも早く、高速で宙を舞うターゲットにフレイが手を伸ばす。ファーサイドに向かったボールをキャッチして、クールにフィードするフレイ。時計は後半33分。両監督のオペレーションから、着実に“焦り”が伝わってくる。終了間際の38分、相手ゴールライン際まで突破を図るロッベンだが、紙一重でデサイーが追いつき、ここでタイムアップ。勝負は、決勝戦初のPK戦へと持ち込まれた。 PK戦は、「W/G ヌエボ・トリデンテ」シェフチェンコのボールをフレイがセーブする派手な幕開け。だが、「ラ・ブルー・アンサンブ」の2番手マケレレ、4番手デサイーが外し、3-2の状態で「W/G ヌエボ・トリデンテ」5番手のロッベンを迎える。これを決めれば「W/G ヌエボ・トリデンテ」の優勝が確定する。 一瞬で決まるという、たとえようのない強烈なプレッシャー。だが、フレイは驚異的な読みでロッベンの弾丸シュートをセーブ! 「ラ・ブルー・アンサンブ」5番手ヴィエラも「これを入れなければ負け」という状況でキッチリ大仕事を成し遂げる。状況はイーブン。一寸前まで、果たして誰がこの状況を予見していただろうか。 悪い流れといえばそれまでだが「W/G ヌエボ・トリデンテ」6番手プジョルが放ったシュートは、当たりまくりのフレイが神懸りのパンチングで払いのけてしまう。「ラ・ブルー・アンサンブ」6番手はジダン。新たなる将軍が躊躇なくゴールネットにボールを押し込み、ここで試合終了。文字どおりの大逆転劇で、見事「ラ・ブルー・アンサンブ」が「COPA VENCEDORES WCCF The 1st」優勝の栄誉を勝ち取った。 優勝した「ラ・ブルー・アンサンブ」監督には、恒例となった優勝カップ、WCCF選手カードのコンプリートセットにくわえて、先日リリース1千万枚(!)を突破したというICカード全種類入りの額縁がプレゼントされた。また、大会を盛り上げてくれたキーパーソンとして、「ギュウタンウマイヨ仙台」監督には小野伸ニ選手のサイン入り「子供用スパイク」が進呈された。
プロデューサーの土屋氏は「5Rという初めてのレギュレーションで不安だったんですが、みんなシッカリ鍛えてここまで上がってきてくれました。物凄い選手が集まりました。本当にありがとうございます」とコメント。次の機会が与えられるなら、本日集まった監督たちは更なる上の戦いを見せてくれることだろう。
□セガのホームページ (2005年11月14日) [Reported by 北村孝和]
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