【Watch記事検索】
最新ニュース
【11月30日】
【11月29日】
【11月28日】
【11月27日】
【11月26日】

G★ 2005現地レポート

Nexonは新旧織り交ぜた多様な出展でファンにアピール
超人気カートレース「Cart Rider」、大作MMO「ZerA」など

11月10日~13日開催(現地時間)

会場:韓国国際展示場(KINTEX)

入場料:5,000ウォン(約500円)
子供3,000ウォン(約300円)


 韓国大手のNexonは、新作タイトルと既存のラインナップを織り交ぜ、全8タイトルを出展。中でもクローズドβテストの当選確率が1/5000という人気ぶりが話題のMMORPG「ZarA」は、メインブースの外に独立した専用のシアターを設けるなど、韓国での勢いをそのまま具現化したような出展内容だった。


■ Nexon最強のカジュアルオンラインゲーム「Cart Rider」に見る韓国ゲーム事情

常時多くのファンで賑わっていた大人気だった「Cart Rider」出展コーナー
メインステージでは「Cart Rider」の対戦大会をたびたび行なっていた
「Cart Rider」のゲーム画面。コンシューマライクな、まさにカジュアルゲームとしてピッタリのレースゲームだ
現在オープンβテストの「War Rock」。オリジナルエンジンを採用したアイテム課金制のアクションシューティングだ
 G★ 2005の傾向として、メーカーの大小を問わず、ほぼ全社が様々なカジュアルオンラインゲームを出展し、まさにカジュアルオンラインゲーム全盛時代といった印象が強い。しかし、冷静に観察すると、そのほとんどは開発途上であったり、βテスト中であったり、言い換えると、まだ利益を生み出しているわけではない。

 Nexonは、カジュアルオンラインゲーム分野においては先駆的メーカーで、一大ムーブメントを巻き起こした「Maple Story」や「BnB」、そして2005年のトレンドである「Cart Rider」に至るまで、すべてカジュアルオンラインゲームである。他社が2006年度に焦点を当てて、新作カジュアルゲームを投入してきたのに対し、Nexonは、すでに毎月数十億ウォン(数億円)という莫大な利益を生み出し続けている。MMORPG分野に関しては、いまだにNCsoftの一強時代が続いているが、ことにカジュアルオンラインゲーム分野においては、Nexonは他社の1歩も2歩も先を行っている感がある。

 中でもNexonの勢いの原動力となっているのが「Cart Rider」である。「BnB」のキャラクタを使ったオンラインカートレースゲームで、アバターおよびカートの圧倒的なカスタマイズ性と、レース中にランダムポップするアイテムによるスリリングなゲーム性が評価されて、累計登録会員数1,300万人、同時接続者数20万人という圧倒的な成功を収めている。

 アイテム課金制を採る「Cart Rider」では、キャラクタのほか、カートそのものも購入対象で、リアに飾る風船やマフラーといったアクセサリのほか、色を変えるスプレー、個性を演出するナンバープレートなど、実に細かく購入アイテムが用意されている。カートで値段は最上級で9800ウォン(約980円)といったところで、月の売り上げは50億ウォン以上(5億円)以上というから凄い。

 現在、韓国のカジュアルオンラインゲーム市場は、Nexonの「Cart Rider」(カートレース)、JC Entertainmentの「Free Style」(ストリートバスケ)、Neowizの「Special Force」(FPS)の3強時代で、遙か後方にHanbitsoftの「スカッとゴルフ パンヤ」(ゴルフ)、Windysoftの「Get Amped」(アクション)、Nexonの「War Rock」(FPS)などが続く、といった感じだ。これは実際にメーカー担当者に話を聞き、さらに複数のPC房(ネットカフェ)に足を踏み入れて確認した私なりの実感である。

 特に上位3タイトルは、「リネージュ」、「リネージュ II」、「World of Warcraft」といった韓国のメインストリーム系MMORPGのシェアを完全に上回っており、G★の出展模様を見る限りにおいても、今後、シェアの再逆転は起こりそうにない印象である。

 「Cart Racing」は、老若男女を問わず、誰からも親しまれているのが特徴で、名実共に「リネージュ」に変わる新たな国民的ゲームになっている。Nexonの社員も、半ばプレイを義務づけられており、昼食後に一勝負というのが当たり前だという。ブースではひっきりなしに「Cart Racing」のゲーム大会イベントを開催し、常に多くの来場者が集まっていた。純粋にゲームコンテンツの魅力で来場者の足を向かせる吸引力は、Nexonが一番といった印象だ。

 気になる海外展開については、韓国の次に来春を目処に中国に展開し、次いで日本が予定されている。日本への展開時期は、日本法人が決めることなので改めて発表を待たなければならないが、本社サイドでは来夏以降になるだろう、とのことだ。

【Cart Rider】
「Cart Rider」は、いわゆるお邪魔アイテムを使うことで一発逆転が可能なところがポイント。いくらリアルマネーを使っても常勝できないところが、人気の秘密だ

【War Rock】
現在オープンβテスト中のアイテム課金制を採用したアクションシューティング「War Rock」。すでに有料化されている「Special Force」が「Counter-Strike」ライクなゲームデザインを採用しているのに対し、「War Rock」は「Battlefield 2」ライクな大規模な野外戦を堪能できる。乗り物のたぐいは、マップに付随するが、強力な銃器は別途購入する必要がある。地対空ミサイル“スティンガー”のような特殊兵器も課金対象。お金がかかりそうなFPSだ

【Big Shot】
こちらもオープンβテスト中のアイテム課金制を採用した横スクロールアクションゲーム「Big Shot」。昔のコンシューマゲームを彷彿とさせるプリミティブなゲームデザインで、簡単なマウス操作で誰でも楽しめる。3対3の対戦が可能で、「ポトリス」のリアルタイムアクションのようなものと考えるとわかりやすいだろうか。この横スクロールアクションモノは、韓国カジュアルオンラインゲームのトレンドのひとつだ


■ 重厚なグラフィックスに手軽さをミックスさせた大作MMORPG「ZerA: Imperan Intrigue」

別ブースで出展していたNexonの新作MMORPG「ZerA: Imperan Intrigue」
MMORPGとしては珍しくキャラクタイメージを全面に押し出している
「ZerA: Imperan Intrigue」シアター。ハイクオリティのプロモーションムービーを流していた
スタイリッシュなキャラ選択画面。デモ用に4スロットすべて埋めている。キャラにカーソルを当てるとアニメーションが再生される。なかなか格好いい演出だ
 「ZerA: Imperan Intrigue」は、今年6月に韓国で正式発表されたNexon自社開発のファンタジーMMORPG。これまで「風の王国」、「アスガルド」、「マビノギ」といった親しみやすさを重視したライト系MMORPGをリリースしてきた同社としては初となるリアル系の3Dグラフィックスを採用している。

 パッと目につくのは、独自のこだわりの世界観と、イメージ先行型のキャラクタ性、韓国ならではのよくこなれたキーボード&マウスインターフェイスといったところだろうか。武器の構えやモーションなどは実に凝っており、剣技が描く曲線が美しい。女ウォリアーはスカートをふわりとさせながらくるりと一回転して剣を振るう。日本でも支持されそうな、ディテールに凝ったMMORPGだ。

 直接のライバルとなりそうなのは「リネージュ II」、「グラナドエスパダ」、「World of Warcraft」といった本格MMORPGタイトルだが、実際のゲーム性は両作とも異なる部分があり、試遊した限りでは「Diablo II」や「Hellgate: London」といったBlizzard Entertainment路線を彷彿とさせる、スピーディーかつ爽快感の高いゲームプレイが印象に残った。

 通常攻撃で複数の敵を同時に攻撃できたり、雑魚モンスターをバッサバッサと薙ぎ倒していく感覚はMMORPGというよりアクションRPGの感覚そのままで、インターフェイスなどを見ても、「Diablo II」や「World of Warcraft」といったBlizzardタイトルをよく学んだ形跡が伺える。

 職業は、ウォリアー、レンジャー、ウィザード、サモナーの4種類が用意され、それぞれ男女があり、計8種類のバリエーションが用意されている。ウォリアーは剣と盾もしくは両手武器、レンジャーはシミターの二刀流もしくはクロスボウといった具合にそれぞれ複数の攻撃手段が用意されている。ウィザードは攻撃魔法、サモナーは召喚魔法を得意とする。

 グラフィックスは、ライティングとシャドウまわりをすべてリアルタイムに行なう「EverQuest II」の水準には及ばないが、フェイシャルモーションやクロスシミュレーションなど細部の演出にもこだわりが見られ、「リネージュ II」や「グラナドエスパダ」などを上回っている。まずまず韓国最高水準といっていいだろう。必要スペックが、Pentium 4 2GHz以上ということからも、グラフィックスのクオリティの高さは想像できる。

 スタッフに話を聞いた限りでは、ゲームの全体像については不透明な部分が多いが、エレメントとしては、ゲーム世界には「デミプレーン」と呼ばれる無数の自動生成ダンジョンがあり、ソロやパーティーを組んで、デミプレーンを制覇していく展開になるだろうとのこと。

 これらデミプレーンはインスタンス扱いになっており、自分と仲間の力だけが頼りになる。デミプレーンでは各種の仕掛けが設けられたダンジョンを巡り、石造の護衛、時間内にすべての敵を倒すといったタイムアタック、特定のボスの撃破など、明示された目標を達成していく。コンシューマライクな遊びやすそうなゲームデザインだ。

 「ZerA」は、現在第3次クローズドβテストが終わった段階で、年内にオープンβテストに移行する予定だが、正式サービス開始時期は現時点ではまったく見えないという。開発上のトラブルを抱えているのか、まだ出来てない部分が多いのかは不明だが、実際プレイ中も、画面内のテクスチャが全部剥げたり、クライアントが落ちたりして、まだまだ不安定だった。完成にはもうしばらく時間がかかりそうな印象だ。

【ZerA: Imperan Intrigue】
「ZerA」のプレイ中の映像。左に移っているのは女レンジャー。二刀流でバッサバッサと敵を斬り倒していく。雑魚をすべて倒すと、巨大なボスモンスターが登場。キャラのサイズと比較すればその大きさがわかるだろう

「ZerA」のスクリーンショット。様々な野外フィールドが存在することがわかる。その中にはいわゆるハイファンタジーを意識した幻想的な空間も広がっている

【Lunia戦記】
こちらは映像出展のみだった「Lunia戦記」。いかにもNexonらしいカジュアル路線のMMORPGで、2Dクォータビューというコンシューマライクなゲームデザインを採用。キャラクタ、モンスターとも可愛らしく、会話イベント、コンボシステムなど、日本ファルコムのRPGを彷彿とさせる

□G★ 2005のホームページ
http://www.gstar.or.kr/

(2005年11月12日)

[Reported by 中村聖司]


Q&A、ゲームの攻略などに関する質問はお受けしておりません
また、弊誌に掲載された写真、文章の転載、使用に関しましては一切お断わりいたします

ウォッチ編集部内GAME Watch担当game-watch@impress.co.jp

Copyright (c)2005 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.