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SCEJ、クリエイターを発掘するオーディションを開催
SCEJシニアバイスプレジデント桐田富和氏が開催経緯を解説

募集期間:11月15日~2006年2月28日

応募方法:同社特設Webサイトにて(11月1日オープン)

 株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメントの国内ビジネスを担当するソニー・コンピュータエンタテインメントジャパン (SCEJ) は、クリエイターの発掘オーディション「ゲームやろうぜ! 2006」を開催する。募集期間は11月15日から2006年2月28日まで。

 「ゲームやろうぜ!」は'95年に、プレイステーション用ソフトの制作にあたって斬新なアイディアを持つクリエイターの卵に、ソフトウェアの制作環境の支援・提供を行なう事を目的として開催されたオーディション。'99年までの期間中に約3,000人から1,200件の応募があり、「どこでもいっしょ」シリーズや「XI[sai]」などのヒットソフトを生み出した。

 6年を経たいま、プレイステーション 2、携帯ゲーム機として1,000万台を記録したPSP、来春の発売が予定されているプレイステーション 3などプラットフォームが多様化する中、同社としては「斬新なコンテンツを生み出す可能性を持つ、意欲あるクリエイター」を必要とすることからプロ・アマ問わず幅広く募集することとなった。

 オーディションに合格すると、ソフト制作における広範囲な環境支援が行なわれる。この“環境支援”には制作費、開発機材、スタッフの人的支援、ソフトの無償貸与などにはじまり、事務所の開設、必要経費、生活費に至るまで、ゲーム制作に関わるおおよそ全てのことについてバックアップしてくれる。

 オーディション職種はプランナー、シナリオライター、プログラマー、スクリプター、CGデザイナー、サウンドクリエイターなど。しかし、基本的に限定するものではなく、デジタルエンタテインメントコンテンツ制作に必要なスキルであれば総合的にオーディションの対象とする。開発経験は問われず、応募資格としては18歳以上 (未成年者は保護者の同意に基づく) で国籍は問われないが、日本在住であることが条件となっている。もちろんチーム・法人で応募可能。合格後、支援を受けて完成・発売されたソフトの権利はSCEJが有することになる。フリーで制作を行なったり会社設立などを支援し、業務委託といった関係を結び、売上本数に応じて印税を払い出すシステムを取る予定。こういった点は話し合いで決定することになる。

【ゲームやろうぜ! 過去実績】
【ゲームやろうぜ! 2006】
「ゲームやろうぜ! 2006」の開催意図とポイントを示したスライド。合格すれば世界を舞台に活躍でき、夢の印税生活に突入できるとアピール 応募要項を示したスライド。合格すれば、ゲーム制作における様々な支援を受けることができる
オーディション対象者や応募作品、審査基準についてのスライド。とにかく敷居は低く、門戸は果てしなく広い
応募方法はネットのみ。エントリーすることで、応募内容のデジタルデータをアップロードするアドレスが送られてくる 審査の手順。これぞと思われた企画、作品に対して、SCEJのスタッフが面談に向かうのだという。つまり、地方都市から応募してきた人に対し、地方にまで出向くという スケジュール。11月15日から応募期間となるが、選考も平行して行なわれる。SCEJがイイと判断した企画はすぐにでもスタートさせたいというのが本音


 今回の発表に合わせ、「秋葉原エンタまつり」会場のひとつ「デジタルハリウッド大学 秋葉原キャンパス」において、SCEJシニアバイスプレジデント桐田富和氏、SCEJスタジオ第1制作部山本正美氏を招いて「ゲームやろうぜ! 2006」特別講義が開催された。

 桐田富和氏は「ゲームやろうぜ!」が'95年にスタートした時を振り返り、当時ソニー・ミュージックがSCEJに50%出資していたことを挙げ、「当時、ソニー・ミュージックは『バンドやろうぜ』といった企画で若い才能を発掘していた。我々も新しくゲームを始めるにあたって才能の発掘と言うことで企画した」と語った。しかし、開始から4年から6年が経過した頃から、SCEJ側の考え方も変わりはじめ、応募も少なくなったことから休むことに。

 それから6年経過し、なぜいま復活したのかと言えば、「社会的にプレイステーション 3、Xbox 360、レボリューションと次世代機が登場し関心が集まりゲームの話題が再燃しつつある。そこでこういった試みをしようと考えた」と説明。一方でゲーム業界に対する危機感も隠さず「ここ数年、消費者の消費行動に変化が見られる。メーカー側も変化に対応していると思うが、ターゲットが見える商品作りとなっている。過去に同じソフトを買ったお客さんがいる、マンガや映画といったメディアに興味を持っている人をターゲットとする (キャラクタ商売など)、シリーズ物などを安定供給している」とし、「消費者がゲームに飽きてきていたり、新しい感動に巡り会っていないため他のエンターテインメントに気が移っているのではないだろうか。そういったことから消費動向が変わっているのでは」と分析。

 そういった危機感をバックに「新しいニーズを生む……このゲームがやりたいからハードも買ってしまおうか……といった消費を喚起させるソフトを制作すれば、ゲームに回帰させ、またゲームを初めてやる人を増やすことになる」と続けた。

 とはいえ、ゲームを制作するには時間もかかるし、面白いアイディアを持っていても企業内ではなかなかゲームの制作につなげることは難しい。桐田氏は「修行するという意味では大手のゲームメーカーに就職するのは正しい。しかし、我々としては個人、フリーとして企業を設立したり、我々と業務委託を結んでもらってやって欲しい。そこにはある意味リスクを取ってもらうことになるが、リターンもある。学生でもできます」とアピールし、前回の「ゲームやろうぜ!」で「XI[sai]」を制作したShiftは学生による起業であることを明かした。

 桐田氏はゲームクリエイターの楽しさを「ゲーム作りの楽しさは、クリエイターが勝手にルールを作り、それに従ってオーディエンス(プレーヤー)がプレイすることで時間を消費する点。オーディエンスが多ければ多いほど醍醐味がある」と語った。また、次世代機についても「プレイステーション 3は10年スパンのハードウェア設計となっている。ポテンシャルもあるハードで、チャレンジできるハード」と、クリエイターにとって挑戦すべきタイミングであることを示した。

 SCEJスタジオ第1制作部の山本正美氏は「自分がリスペクトしているゲーム制作者は10年前から変わっていない。それを考えると20歳代の成功者を作らなければ、年齢層が上がり続け、ロートルばかりになってしまう」と別の意味でも危機感を抱えていると吐露した。桐田氏は「新しい才能を持つものが出てこなければ新しいものは生まれない。それを生み出す環境がなければならない」とし、その環境こそが「ゲームやろうぜ!」であるとした。桐田氏にしてみればかなりせっぱ詰まっていると言うことで、「今すぐにでもそういった才能と出会いたい」ということらしい。

 「ゲームやろうぜ!」で応募企画にGOサインを出すというのは「その人の未来に投資する」ということだとし、キーポイントは「この人と仕事をしたいなぁ」と思わせることだという。「面白ければゲームであるかどうかは問わない」という審査基準からもわかるとおり、間口を広げることで色々な人と出会い、新しいものを生み出す人たちを発掘しようというこの企画。我こそはという人は是非参加してみて欲しい。

【講義の出席者】
司会進行を担当した「電撃PlayStation」編集長の倉西誠一氏 (左) と「ゲームやろうぜ!」を担当しているSCEJスタジオ第1制作部の山本正美氏 (右) SCEJのソフト制作を仕切るシニアバイスプレジデント桐田富和氏 「法人でもイイということなので、デジタルハリウッド大学で参加するというのもアリ」と意気込みを見せた杉山知之学校長


□ソニー・コンピュータエンタテインメントのホームページ
http://www.scei.co.jp/
□プレイステーションのホームページ
http://www.playstation.jp/
□ニュースリリース
http://www.playstation.jp/news/2005/pr_051025_gy.html

(2005年10月26日)

[Reported by 船津稔]



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