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【編集部より】

発売日から日が経ってもまだまだ売れ続けるソフト、売れ続けてほしいソフト……そんなライターの思いを込めたレビューを「発掘レビュー」としてお届けします。掛け値なしでオススメするこのレビュー、買い忘れていた人はぜひチェックしてみてください。

通信対戦ゲームとしての完成度も秀逸
「麻雀格闘倶楽部(マージャンファイトクラブ)」

  • ジャンル:麻雀
  • 発売元:コナミ株式会社
  • 価格:5,040円
  • プラットフォーム:プレイステーション・ポータブル
  • 発売日:発売中(2004年12月12日)



 広い年齢層が落ち着いて遊べるジャンルということで、麻雀ソフトは家庭用ゲーム機各種に必須のタイトルという感すらある。だが、その層の広さゆえに、初心者には優しいが上級者には手応えがなかったり、上級者向けゆえに初心者には取っ付きにくいなど、プレーヤーにとって難易度やプレイモードが「どんぴしゃり」なチューニングであるタイトルを見つけるのに苦労させられることもしばしば。なかなか、麻雀ソフトの決定版! というわけにはいかないようだ。

 このレビューで取り上げる「麻雀格闘倶楽部」も、基本的には中級者~上級者向けにチューニングされているタイトルだが、プレーヤーの腕に応じたランクのCPUと対戦できることに加え、点数計算などの麻雀の基礎を勉強できる「クイズモード」が搭載されたことによって、初心者から上級者までが楽しめるタイトルとなっている。PSPの初期タイトルでありながら、麻雀ゲームのスタンダードと呼べるほどの完成度を誇る本作だが、通信対戦ゲームとしての完成度も秀逸。PSPが発売されて半年以上が経過した「今」の視点で、本作の完成度を再検証していきたいと思う。


■ 満貫以上が乱れ飛ぶ、豪快な麻雀を堪能できる

ドラの多さは「四神指数」と呼ばれるプレーヤーの傾向を示すグラフでもはっきりと確認できる。ついつい赤ドラにこだわって本来の打ち筋から外れ、結果的に失敗してしまうタイプのプレーヤーにとっては、手作りとドラのバランスについて考えさせられることもしばしば。
 「麻雀格闘倶楽部」の基本ルールは実に豪快。喰いタンあり、二翻縛りなし、三家和流局なし(トリプルロンあり)、カン裏あり、赤5ピン2枚、赤5萬1枚、赤5ソウ1枚がそれぞれ入っていて、ハコ割れトビあり、である。すなわち超高確率でドラが使用されるために手役の点数が上がりやすく、そんなこんなで満貫だの跳満だのが飛び交っているうちに、誰かがハコ割れに陥ってトビで終了という豪快な展開になりやすい。当時の業務用は東風戦が主流であったために、本作の「格闘倶楽部モード」のトップメニューが東風戦であるのもまた恐ろしい。東風戦にありがちなスピード重視で軽い役の応酬かと思いきや、「格闘倶楽部モード」は基本ルールで行なわれるため、喰いタンドラ3といったお手軽満貫が飛び交う、まるでノーガードで殴り合うかのような緊張感の東風戦となるわけだ。

 おそらく、ここまで読んだ時点で「このルールは肌に合わない」と感じるプレーヤーもいることだろう。何を隠そう、書いている僕もその1人だ。手役の美しさ重視で、少なくてもピンフかタンヤオ、あわよくば三色や一盃口や一気通貫に手を伸ばしていきたい僕のようなタイプにとって、赤ドラ含みの食いタンドラ3だの、リーチドラ3だので手軽に満貫を仕上げられてしまうのは我慢がならない。だが、そこは気の持ちようというか考えようで、「格闘倶楽部モード」の激しさについていけないときは、自由にルールを設定できる「自由ルール対局」というモードで遊べばいいのだと納得している。なお、「自由ルール対局」で設定したルールはメモリースティックデュオにセーブすることができるので、プレイのたびにいちいちルールを設定し直す手間がない。小さなことではあるが、プレーヤーの遊びやすさに配慮した親切な仕様が嬉しい。

■ 宝珠の奪い合いが熱い「格闘倶楽部モード」

 さて、本作のメインモードは「格闘倶楽部モード」である。このモードは勝敗によってプレーヤーの級や段位が変動していくシステムになっていて、級のうちは対局終了時の得点が多いほど昇級しやすく、段持ちになると対局終了時の順位に応じて対局者と「宝珠(ファイトオーブ)」を奪い合い、段位に応じて異なる個数の宝珠を獲得することで次の段位に昇格できる。東風戦では1位が4位から宝珠を1個奪うことができ、半荘戦では1位が4位から2個、2位が3位から1個の宝珠を奪うことができる。素早い手作りに自信があるなら東風戦、攻守のバランスを取りつつ2位以上を狙っていくのが得意であるなら半荘戦といった具合に、自分の打ち方に合わせて東風戦と半荘戦を選択できるのはありがたい。ポイントとしては、半荘戦ではどの順位でも宝珠の増減があることに対し、東風戦では2位または3位で終了すると宝珠の増減がないということ。1位を取る自信はないが、4位にならない自信はあるという防御力に優れたプレーヤーの場合、東風戦を選んでおけば段位の低下が起こりにくいということになる。ただし……。

 対局開始時、ごくまれに「オーブ総取り戦」という文字が表示されることがある。これはその名の通り1位がオーブ(宝珠)を総取りするというレアな強制ルールで、このルールが発動すると2位以下の対局者は確実に宝珠を失うことになる。東風戦の場合なら失う宝珠は1個ですむが、半荘戦になると2個の宝珠を「総取り」されてしまうのだからたまったものではない。「この対局だけは絶対に負けられない!」と気合いを入れるものの、そういうときに限って切り間違い、読み間違い、対局者のカンチャン、ペンチャン、単騎、シャボ待ち……などの(自分の中で)事故に遭遇して負けてしまうのが世の常。「なんでこんな強制ルールがあるんだ」という行き場のない怒りを覚えることも少なくないが、なにしろ勝てば宝珠総取りである。半荘戦で一気に6個の宝珠を獲得し、次の段に昇格したときには、「いやあ、やっぱり総取り戦は熱いね!」なんて思ったりもするものだから現金なものである。なお、強制ルールにはこの他にも「オーブ×2戦」や「地域貢献ポイント×2戦」などが存在する。

 予定調和よりも多少のハプニング。プレーヤーによって好みが分かれそうではあるが、ゲームを盛り上げるためのアイデアとしては悪くない。運に恵まれないこともあるだろうが、要は勝ちさえすれば宝珠総取りなのだから(あっさりまとめてみましたが、狙って勝てるようならそれもそれで「ゲーム」としての楽しさに欠けますね)。

獲得した宝珠の数がプレーヤーの強さの証。上位称号である「黄龍」を目指し、日々精進あるのみ。


「黄龍」の称号を手にした瞬間。これより先は「黄龍」同士で1位&4位や2位&3位で「黄龍オーブ」を奪い合う戦いに突入する。


■ 遊び方の工夫で初心者も安心

 序文で「基本的には中級者~上級者向けにチューニングされている」と書いたが、これは「格闘倶楽部モード」を中心に遊んだ場合の話である。というのも、「格闘倶楽部モード」は業務用の「麻雀格闘倶楽部」の仕様を踏襲しているため、打牌は5秒以内という時間制限が設けられているのだ。中級者ですら「どっちかな、やっぱりこっちかな?」と打牌に迷うことがしばしばあるのに、初心者に毎回5秒以内の打牌を求めるのはスパルタすぎる。

 よって、初心者は最初に「格闘倶楽部モード」ではなく、「自由ルール対局」を選び、ルール設定で打牌の制限時間を変更してプレイすることをおすすめしたい。麻雀の右も左もわからないほどの初心者であるなら、「クイズモード」で役の種類や点数計算の基礎をマスターしてから「自由ルール対局」に臨むという手もある。ちなみにこの「クイズモード」はテーマごとに10問のクイズが出題されるのだが、クイズの最初で各テーマのルールを親切に説明してくれて、その後に10問のクイズに答えていくという形式なので、算数ドリルのような反復方式で、麻雀のさまざまな基本を覚えることができる。非常にシンプルなシステムだが、反復ドリルの効果はやはり絶大。点数計算があいまいだった僕も、このクイズのおかげでずいぶんと知識が正確になった。

 なお、「格闘倶楽部モード」でも「自由ルール対局」でも、CPUが対局者の場合はプレーヤーのレベルに応じたCPU雀士が選ばれる。この「プレーヤーのレベル」とは、「格闘倶楽部モード」での級や段位のこと。「格闘倶楽部モード」をまったくプレイしていない状態で「自由ルール対局」を選択すれば、自動的に最弱クラスのCPUプレーヤーと対局できるわけだ。弱すぎて手応えがないな、と感じたなら、「格闘倶楽部モード」に挑戦し、自分の級や段位を上げていけば「自由ルール対局」で対局するCPU雀士のレベルも上がる。

■ 自分や対局者の打ち方の目安となる「四神属性」

 「格闘倶楽部モード」で段位を獲得すると同時に与えられるのが、朱雀、白虎、玄武、青龍といった「四神属性」。これはプレーヤーの打ち筋や上がり方の目安となるもので、上がり率が高ければ朱雀の属性となり、平均上がり翻が高ければ白虎、振り込み率が低ければ玄武、ドラの使用率が高ければ青龍といった具合に決定される。CPU雀士もこの属性を持って登場するので、対局時に守りの堅い玄武が多い→相手の振り込みは期待薄→ダマテンやツモ上がりを中心に戦う、などといった戦略の組み立ても必要になってくる。

 たかだか4種類のキャラクタ付けでありながら、実際に対局すれば「リーチをかけたこいつは白虎だから、振り込むと怖いな……」などとしっかり身構えてしまうからおもしろい。よくある「鳴き中心」や「ダマテン中心」といったハッキリしたキャラクタ付けよりも、白虎だからなんとなく高そう、青龍だからドラ重視の役なしリーチかも、などといった漠然としたイメージの方が、想像力を働かせることができて僕は楽しい。

■ 復習と同時にモチベーションが高まる「記録閲覧」

「記録閲覧」モードでは、自分のタイプを明確な数値データで確認することができる。感動的な勝利など、印象的な対局の牌譜を記録し、何度でも閲覧できる機能も嬉しい
 「記録閲覧」のモードでは、ゲーム開始時からのプレーヤーのデータをさまざまな項目に分けて確認することができるほか、通信対戦機能で対局した相手の履歴や、保存した牌譜の再生や削除を行なうことができる。プレーヤーのデータを項目分けして見せてくれる「個人資料」では、上がりはリーチ主体か、鳴き中心か、最高でどれだけ連勝したのか、上がり翻はどのあたりが多いのか、四神指数はどんな感じなのか、過去にどんな役を上がってきたのかなどを確認することができ、嘘偽りのないデータで自分がどんな打ち手なのかを把握することができる。対局中にはとても客観的になれない自分という打ち手を、冷静な目で分析し、打ち筋の欠点などを復習するには非常に便利な資料となる。

 また、「個人資料」では「全国ランキング」や「地域貢献率」といった項目も参照することができるのだが、これは業務用の「麻雀格闘倶楽部」に蓄積されたデータをもとにしたデータベースから算出されるもの。デフォルトでは2004年9月10日のデータベースがUMDからロードされてメモリースティックDUOに保存されるが、このデータベースはPCで「麻雀格闘倶楽部」のサイトからダウンロードし、PSPのメモリースティックデュオにアップデートすることが可能で、現在では2005年7月25日のデータベースが用意されている。リアルタイムで全国ランキングに参加しているわけではないが、最新の全国ランキングに照らし合わせた自分の実力を確認できるというのは嬉しいし、モチベーションも高まる。麻雀の上級者だと自負するプレーヤーには、ぜひとも積極的に利用してもらいたいアップデートサービスだ。

 なお、牌譜の記録は対局終了時と各局終了時に行なうことができ、東風戦だろうと半荘戦だろうと、対局の一部始終をまるごと記録し、ファイル名に用意された語句を組み合わせて「ありえない 逆転」「せちがらい 勝利」などといった名前とともにメモリースティックデュオに保存しておくことができる。「記録閲覧」→「牌譜記録」でいつでも再生することができるので、劇的な大逆転などを達成したらすかさず牌譜を保存しておき、友達に見せびらかして悦に入るのも一興だろう。

■ これぞ通信対戦のスタンダード! と思わせる通信対戦の仕様

いまだにこの画面にお目にかかれないプレーヤーもいるのではなかろうか。電車の中で気楽に対戦……というわけにはいかないものだが、時間があるときに通信対戦モードでプレイして、対人戦が成立するためのチャンスを作りたい
 さてさて、PSPといえばアドホックモードによる無線通信機能、麻雀といえば対戦である。もともと業務用の「麻雀格闘倶楽部シリーズ」をベースに作られている本作だけに、通信対戦機能ももちろん装備。「麻雀格闘倶楽部」のUMDがセットされた2~4台のPSPで、アドホックモードによるによる対戦を行なうことができる。

 通信対戦では「格闘倶楽部モード」と「自由ルール対局」のどちらを選ぶこともでき、「格闘倶楽部モード」であれば、対局終了時の順位や対局者の段数に応じて、宝珠の移動による昇段や降格、ポイントの獲得による昇級などが行なわれる。ガチンコで勝負したいなら「格闘倶楽部モード」、まったり対戦なら「自由ルール対局」で好みのルールに変更して対戦すればいいだろう。

 特筆すべきは、仲間内で示し合わせての対戦ではなく、見知らぬ誰かとのアトランダムな対戦を希望する場合に、対戦者が現われるまではCPUとの対局を楽しめるということ。対戦者がいない状態で対戦モードを始めるとCPU雀士との対局になり、その間もアドホックモードによる通信は行なわれ、対戦者の存在をサーチし続ける。対戦者が現われて対局を申し込まれると、CPUとの対局が終了して対戦者(メンツの不足分はCPU雀士が担当)との対局が始まるわけだ。対戦者がいなければ1人用のプレイを普通に楽しむことができ、対戦者が現われればそこで対戦モードに突入というフレキシブルな仕様は、ユーザーフレンドリーであることこの上ない。考えようによっては至極当たり前の発想のようだが、他に似た仕様のPSPソフトは少なく、アトランダムな対戦相手を気軽に探せないという事実に気づく人も多いのでは?

 ストイックに1人用を遊びつつ、気が向いたときには対戦相手も探しつつ、またあるときには暇つぶしと勉強を兼ねてクイズを楽しみつつと、本作は携帯ハードの麻雀ソフトとして、かなり優秀である。初心者にはややハードルが高いという難点もあるが、それも工夫次第でカバーできるといった印象だ。

 安心して遊べる麻雀ソフトを探しているなら、ぜひとも本作に注目していただきたい。そしてすでに本作を購入していてこれを読んでいる人がいたら、「格闘倶楽部モード」をプレイするときには、ぜひとも「通信対戦」を選んでいただきたい。これだけフレキシブルな通信対戦機能でありながら、僕はただの一度も、見知らぬプレーヤーと対局できたことがないのだ。たとえ東風戦をプレイしてても、電車に乗っている数十分の暇つぶしの間に誰かと対局が始まって、電車を降りるまでに対局終了、なんて都合良くいくわけがないから、誰も「通信対戦」を選ばないという気持ちもよくわかる。なので、どこかで落ち着いてプレイするときだけでもいいですから。もちろん、僕はいつでも「通信対戦」を選んでます。

(C)2002 2004 KONAMI

□コナミのホームページ
http://www.konami.co.jp/
□「麻雀格闘倶楽部」の公式サイト
http://www.konami.jp/gs/game/mfc/
□関連情報
【8月29日】コナミと「MONDO21」、「第2回 麻雀格闘倶楽部 MONDO21特別杯」
「麻雀格闘倶楽部4」成績優秀者が選考会に挑む
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20050829/konami.htm
【3月12日】コナミ、PSP「麻雀格闘倶楽部」マスコミ対抗麻雀大会を開催
日本プロ麻雀連盟の女性雀士4名参戦!!
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20050312/mfc.htm
【2月18日】コナミ、PSP「麻雀格闘倶楽部」
最新版ランキングデータのダウンロードを開始
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20050218/mfc.htm
【2004年12月11日】プレイステーション・ポータブル特集「麻雀格闘倶楽部」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20041211/p_mfc.htm

(2005年10月21日)

[Reported by 平田 洋]



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