★PCゲームパーツレビュー★
ロジクールとRazerの両雄が今秋激突
2,000dpiの次世代ゲーミングマウスをチェック!!
ロジクール G5 Laser Mouse
G7 Laser Cordless Mouse
Razer Copperhead
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ロジクール G5 Laser Mouse / G7 Laser Cordless Mouse
- ジャンル:ゲーミングマウス
- 発売元:ロジクール
- 価格:オープンプライス
- 対応OS:Windows 98/Me/2000/XP
- 発売日:10月28日
Razer Copperhead
- ジャンル:ゲーミングマウス
- 発売元:Razer
- 価格:9,980円(直販価格)
- 対応OS:Windows 98/Me/2000/XP
- 発売日:9月30日(発売中)
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2000DPIを実現した最新世代ゲーミングマウス。右から「G-7」「G-5」「Copperhead」
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この秋、2,000dpiの高解像度を達成した新世代のゲーミングマウスが相次いで登場する。Razerの「Copperhead」と、ロジクールの「G5 Laser Mouse」および「G7 Laser Cordless Mouse」だ。
「Copperhead」は既に国内での流通が始まっており、既に手にしている方も多いだろう。ロジクールの「G」シリーズは正式な発売日が10月28日に迫っており、高機能なゲーミングマウスとしてどれを選ぶべきか、ゲーマーにとっては難しい判断になるかもしれない。
ゲーマーがマウスに求める本質はただひとつ、自分の意思をゲームへの操作として正確に伝えられるかどうか、ということだろう。そのためには、マウスの搭載チップはもちろん、重さ、形状など、ゲーマーの肉体の延長としての使いやすさが要求されることになる。本稿ではこれを踏まえ、Razer、ロジクールから相次いで発売される新世代のゲーミングマウスをゲーマーの立場から詳しく紹介してみたい。
■ 業界最高水準の2,000dpi、毎秒1,000レポートを実現したRazer「Copperhead」
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スラリとしたフォルムが特徴の「Copperhead」。海外メーカのマウスとしては小ぶりで、日本人の小さめの手にもなじみやすい
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実際の使用時は、このようにLEDが煌々と光る。これは好みが分かれそうだ
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「eスポーツ」とカテゴライズされるようになったPCゲームのハードなプレイシーンをメインターゲットとして、ゲーマーによるゲーマーのためのマウスをリリースし続けるRazerは、旧製品「Diamondback」の後継として「Copperhead」を発売した。日本国内の販売は株式会社アスク。
この新しい「Copperhead」のおもな特徴は3つ。最大解像度2,000dpi、最大毎秒1,000レポート、そしてドライバの設定をワンボタンで切り替えることを可能にした32kbのフラッシュメモリ(Razer Synapse)を内蔵、といったところだろう。
のっけから「DPI」、「レポート」といった専門用語を連発してしまったが、マウスのスペックを表すこれらの用語について念のため簡単に確認しておこう。
・DPI
Dot Per Inchの略。マウスを物理的に1インチ(2.54センチメートル)動かしたときに、コンピュータ上のカーソルの動きとしていくつのドット数に分解されるかを示す値。DPIが高いことはマウスの動きが精密にコンピュータに伝わることを意味し、十分に高いDPIでコンピュータ側の感度を絞れば、画面上の1ドット以下の精度を得られる。従来の標準的なマウスは400dpi~800dpi。
・レポートレート
マウスがコンピュータに対して、動きを報告する秒あたりの速度。ポーリングレートとも言う。この値が高いことは、マウスを動かしたりボタンを押した結果が、より素早くコンピュータに伝わることを意味する。従来の標準的なUSBマウスでは毎秒125回(Hz)が標準。
上記用語の意味をふまえた上で「Copperhead」の特徴的なスペックを見てみよう。
【Razer Copperhead】
・DPI 400DPI、800DPI、1600DPI、2000DPIをオンザフライで切り替え可能
・レポートレート 125Hz、500Hz、1000Hzをオンザフライで切り替え可能
・データバンド 16bit/軸
・ボタン数 7(左右クリックボタン、ホイールボタン、本体左右側面に2個づつ)
・本体サイズ 約128×63.5×39.1mm(奥行き×幅×高さ)
・重量 約90g
・底面ソール テフロン樹脂
・ドライバ機能 「ON-THE-FLY SENSITIVITY」、「ALWAYS-ON / INSTANT RESPONSE」
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デザインと機能ともに向上した設定パネル。感度設定に三つのパネルを用意するなど、細かいカスタマイズ製を重視する
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「ON-THE-FLY SENSITIVITY」は、「Copperhead」専用ドライバが持つ機能。マウス本体に搭載されている32kbのフラッシュメモリ(Razer Synapse)に5個までのマウス設定(プロファイル)が記録され、これらを本体底面にあるボタンを押すことにより順次切り替えることができる。設定はマウス側に記憶されているので、異なるPCでも即座に同じ設定でマウスを使うことが可能になっている。LANパーティやゲーム大会で、マウス設定をいつもと同じにするため時間をかける必要がなくなったわけだ。まさにハードコアゲーマー向けの機能といえる。
さらにデフォルトでは、本体右側面のボタンを押すことでDPIを2,000、1,600、800、400の中で切り替えることが可能。これにより、ゲーム中であってもマウスの感度などをその場の状況に即座に対応させることができるわけだ。
「ALWAYS-ON / INSTANT RESPONSE」機能は、無操作時であっても常にセンサーをフル稼働させて最大のレスポンスを維持する機能だ。標準的なマウスでは無操作時にスリープ状態となりスキャン性能が低下することがあるので、この機能は敵の出現をじっと待つようなプレイの時に効果を発揮する。
設定パネルは前製品「Diamondback」のものから大幅に改良され、使いやすくなった。ボタンへの機能割り当てが充実しており、複数のキー操作からなるマクロを登録することも可能だ。
ここで行った設定は、5つの「プロファイル」としてマウス本体に記録することが可能なほか、ファイルへの書き出しと読み込みも可能になっている。「マウスの設定をほかのPCに持ち込む」ことを徹底して追及した仕様であり、少なからざるゲーマーがこの機能を重宝することだろう。
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「Copperhead」本体は全体的にスリム。全高が特に低いため、手首に負担をかけずにホールドすることができる
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■ ロジクールの新シリーズは2000dpi、毎秒500レポートを達成
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重量調整のためのウェイトを標準添付する「G-5」
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最新の2.4GHz帯無線を使用し、コンパクトな設計の「G-7」
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対するロジクールの新製品「G5 Laser Mouse」、「G7 Laser Cordless Mouse」。これらの製品はゲーマー向けマウス「MX-518」の後継となるシリーズで、DPIとレポートレートという基本性能が向上した。「G-5」「G-7」の製品名に使われている「G」は、「ゲーミング・グレード」の頭文字に由来するという。
ゲーマーを狙い撃ちして作られた製品であるだけに、改良点は従来製品より基本性能が向上しただけにとどまらない。
「G-5」には重量バランスを調整できるウェイトを搭載し、また両製品にDPIをハードウェア的にいつでも切り替えられる機能と、現在のDPIをLEDで表示するDPIインジケータを搭載と、ユニークな進化を遂げている。
「G-5」「G-7」どちらも内部的には同等のセンサーとチップを搭載したもののようで、基本的なスペックは同じとなっている。フォルムも共通となっており、外装の素材は違っているものの手のフィット感に大きな違いはない。
両製品の基本スペックは以下の通り。
【G5 Laser Mouse、G7 Laser Cordless Mouse】
・DPI 400DPI、800DPI、2000DPIをハードウェア的に切り替え可能
さらに「SetPoint 2.4」ドライバ上で、50DPI単位の調整が可能
・レポートレート 500Hz
・データバンド 16bit/軸
・ボタン数 8(左右クリック、チルトホイール、中央2ボタン、左側面1ボタン)
・本体サイズ 約130.3×72.2×43.6mm(奥行き×幅×高さ)
・重量
G-5: 最小約145g 最大約186g(ウェイトで調整可能)
G-7: 約133g(バッテリーパック含む)
・底面ソール 大型テフロン樹脂(ポリテトラフルオロエチレン)
・ドライバ機能 「SetPoint 2.4」
・ウェイトカスタマイズ、特徴的な外装ペイントを備える「G-5」
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ウェイトカートリッジは背面スロットに挿入する。扱いは簡単だが、小さい部品なのでなくさないように気をつけたい
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「G-5」はロジクールのゲーマー用マウスとしてメインストリームとなることを意識して作られた印象のあるマウスだ。ひとつひとつが手作業によって作られるという特徴的な外装テクスチャが印象的であるが、最大の特徴はなんと言っても「ウェイトカスタマイズ」機能だ。
「G-5」の背面にはスロットが開いており、ここに付属のウェイトカートリッジを挿入できる。ウェイトカートリッジには4.5gまたは1.7gのウェイトを8個まで取り付けることができ、組み合わせはおよそ6,500通り、マウス本体に最大36gのウェイトを追加することが可能だ。
照準操作に対するマウスと重量の関係、というのはこれまであまり研究されてこなかった分野であると思うが、基本的な傾向として「重いと照準が安定する」、「軽いと素早い操作ができる」といった認識があると思われる。当然このあたりはゲーマーひとりひとりのクセや好みによるところが大きいのだが、それぞれに異なる好みにカスタマイズして使用できるという点で、「G-5」のウェイトカスタマイズ機能は面白い。
・コードレスでありながら、FPSで実用可能な反応速度を実現した「G-7」
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2個添付されるリチウムイオンバッテリーの寿命は通常の使用なら軽く3日は持つ容量。カチリと押し込むスロットインはまるで銃のマガジン交換の手触りだ
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従来、ゲーマーにとって「無線マウス」は悪夢のひとつだった。というのも、無線マウスはケーブルのくびきから開放される代わりに、無線通信の低速さから来る「反応速度の低下」という致命的な代償を否応なく払わされる代物だったからである。筆者などはテクノロジーの進化を信じて、新しい無線マウスが発売されるたびに買って試してみては、ものの数分で反応速度の遅さに幻滅してゴミ箱に放り投げるという経験を幾度となく繰り返してきた。もはやトラウマである。
しかし、「G-7」はこの無線マウスの悪夢を完全に払拭する製品だ。2.4GHz帯の高速なデジタル無線システムを搭載した本製品は、有線マウスに匹敵するクイックな反応速度を実現している。筆者の知る限り、「G-7」は世界初の「ゲームで実用に耐えうるコードレスマウス」だ。
半信半疑でも是非試していただきたいものだが、「G-7」を実際に「Quake III: Arena」や「Counter-Strike」あるいは「Battlefield 2」といったFPSゲームで使ってみると、有線マウスとの違いがわからないくらい俊敏な反応性を示してくれる。これはものすごく画期的なことである。「G-7」の登場によって、ついにゲーマーはマウスケーブルのとりまわしのめんどくささから開放されるわけである。すばらしい!!
・ドライバは「SetPoint 2.4」を搭載。DPIの詳細設定などゲーム用機能を搭載
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ロジクールマウスの設定画面。極めてシンプルな作りだ
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「G-5」「G-7」のドライバは従来製品の後継となる「SetPoint」最新版を使用する。一世代前の製品にも搭載されている「ゲーム検出機能」は健在で、DirectInputやOpenGLを使用するゲームを自動検出し、マウス感度をゲームに合わせた設定に自動調整してくれるほか、OS上での設定を維持することも可能。これにより、ゲームとOSの組み合わせによってマウス感度がコロコロ変わってしまうような現象を回避してくれる。
今回ゲーマー向けに搭載された設定パネルが「SetPoint 詳細ゲーム設定」だ。このパネルでは、マウスのDPI選択ボタンで切り替え可能な感度項目を50DPI刻みで設定、保存することができる。
この設定をうまく使えば、FPSゲームでサブマシンガンを使うときの感度、スナイパーライフルを使うときの感度、などを自由に登録し、ゲーム中で自在に切り替え、状況にあわせた感度設定を使用することが可能になる。ゲームだけでなく、画像処理やウェブサイト製作などで、ドット単位の精密な操作が必要なときだけDPIを下げるなどの使用方法も考えられるだろう。
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「G-5」(上)と「G-7」(下)のフォルムは共通で、カラーと大きさのみが異なる。フォルムは「MX-510」、「MX-518」など従来製品と大きな違いはない。「G-5」のペイントは全て手作業で作られる特殊な表面素材となっており、手触りはザラザラした感触だ。2つとして同じペイントのものはないという
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■ DPIとレポートレートはゲームプレイにどう貢献するのか?
Razer「Copperhead」、ロジクール「G-5」、「G-7」の双方のスペックを比較してみると、カタログ上の情報ではおよそ大差ないことがおわかりいただけるだろう。
双方とも最大2,000DPIの高解像度を実現しており、16ビットデータバンドを持ち、FPSのゲームプレイに必要な素早い操作にも十分対応しうる。ハードウェア的な性能では「Copperhead」の毎秒1,000レポートという点がやや上回っているが、ロジクールも毎秒500レポートを達成しており、いずれも従来の標準的なマウスに比べて過剰なまでの性能を備えていることに変わりはない。
しかしここで根本的な疑問がわくかもしれない。果たして、高いDPIと高速なレポートレートは、どういうふうにゲーマーの利益になるのだろう? 本当に体感できるの? と。
・DPI=ポインティング操作の正確性
DPIの高さは、ゲーマーの操作がどれだけ正確にゲームに伝わるか、を示すと考えていいだろう。1,600~2,000DPIが当たり前になった今では、旧来の400DPIマウスでは不可能であった「素早さ」と「正確さ」の両立が可能になった。
しかし現実的には1,000DPIを超えるあたりで体感可能な差はなくなってきている。実用的な感度で操作する限り、800DPI程度で既に1ピクセル以下の精度を獲得できている。実際のところ、それ以上のDPIは「同じ量だけマウスを動かしたときに、同じ量だけカーソルが動く」ことを保証する方向に働く。つまり、複数回のレポートによる誤差の蓄積が、DPIが低いと多く、DPIが高いと少なくなるわけだ。これはマウスを大きく動かすときの正確性に確実に影響する。
1,000DPI以上の精度では違いを体感することは難しいのだが、マウスを動かした量と実際にゲーム内で操作が反映される量が「敵の頭ひとつ分」くらいの精度で一致することはゲーマーにとって重要だ。より高いDPIは、肉体的感覚として照準操作を会得したときの、最終的な命中率に影響するものと考えていいだろう。有る程度「極めた」状態になったゲーマーにはこの違いがわかるはずである。
・レポートレート=ワンフレームのタイミングを競う
レポートレートの高速さは、マウスを動かして照準したり、ボタンを押して射撃するといった、マウスからコンピュータへ操作内容が伝わる速度を規定するものだ。
思考実験として、秒間10回のレポートを行なうマウスを考えてみよう。このマウスは、0.1秒ごとにマウスの移動や押されたボタンの情報をコンピュータに送る。プレーヤーがボタンを押しても、即座にその情報がコンピュータに送られるとは限らない。1秒に10回だけやってくる送信タイミングを待つハメになるのだ。したがって、このマウスが生む操作の遅延は、最大で0.1秒ということになる。
つまり、レポートレートは、マウスがコンピュータへ操作内容を伝える遅延を決める重要なパラメータだ。一般的なUSBマウスでは125Hzのレポートレートを持つので、最大遅延は8ミリ秒となる。Razer「Copperhead」は1,000Hzなので、最大遅延は1ミリ秒だ。
「Counter-Strike」や「Battlefield」のようなオンラインアクションゲームは、内部的に秒間に20回から60回程度の情報更新を行っている。操作情報は情報更新のたびにゲームに入力されるのだが、より少ない遅延で入力を与えることができれば、「ゲームのフレームが切り替わる一瞬」の前に入力を送信し、相手よりも1フレーム速く射撃できる確率がアップする。つまり、マウス入力の1ミリ秒の差が、ゲームでの20分の1秒(50ミリ秒)の差を生むことがあるのだ。
単純に、マウスの入力における遅延がネットワークの遅延に上乗せされると考えてもいいだろう。したがって結果として体感することは至難だが、一瞬の反応が勝敗を決めるほど高度なゲーム内容になってくると、マウスのレポートレートはプレーヤーの実力に大きく影響してくる可能性がある。
以上の点を考慮すると、DPIとレポートレートは「体感は難しいが、高いに越したことはない」という性質のものであることがわかる。その違いがわかるかどうかは、ゲームをプレイする内容の高度さ、操作をどれだけ極めているかに依存する。
こうして考えると、Razerの「Copperhead」、ロジクールの「G-5」「G-7」は、勝つためにプレイするゲーマーのためのスペックを実際に備え、旧来の標準的なマウスとは一段上の勝負性を提供してくれるものであると考えることができるわけだ。決して無意味な投資にはならないはずである。
■ カタログスペックに現れない使い勝手の大きな違い
・問題の多い「Copperhead」ドライバ。1600DPI以上で重大な遅延が発生
「Copperhead」を使い始めてものの数分で大変な問題が明らかになった。ドライバ上で1,600DPI以上の感度を選択すると、高速にマウスを操作したときに、カーソルが即座に追従せず、もっさりと後からついてくるような挙動を示すのである。
ゲーム内で振り向き動作などを行なうときにも同様で、マウスをサッと動かすと一定の速度でニュル~っと振り向くような挙動を見せるのである。手首を端まで使って一気にマウスを動かすと0.5秒近い遅延となり、これでは実用にならない。
したがって、現状、「Copperhead」を実用するためには遅延の発生しない800DPI以下の解像度で使用する必要がある。これによって実質的に1600DPI以上の設定はゲーム的に無意味なものとなってしまい、非常に残念である。将来改善されることを願うばかりだ。
また、「Copperhead」設定パネル上の感度設定で「SENSITIVITY OPTIONS」「MASTER SENSITIVITY」を低く設定すると、マウスからレポートされるカウント自体の解像度が低下することがわかった。
解像度を400DPIに設定して、「SENSITIVITY OPTIONS」を1.0あたりに設定し、実用になるカーソル速度になるよう「WINDOWS POINTER SPEED」高めに設定するとこの現象がよくわかる。マウスを動かすたびに、カーソルが数ドット単位で飛び飛びにしか移動できなくなるのである。これでは精密な照準など不可能だ。
したがって実用するには「SENSITIVITY OPTIONS」、「MASTER SENSITIVITY」を最大に設定し、実際の感度は「WINDOWS POINTER SPEED」(OS側感度)で調整しなければならない。さもなくば実質的なDPIが失われてしまう。
このあたりの問題はロジクール「G5」、「G7」では当然ながら発生せず、2000DPIでの実用があたりまえに可能である。ハードウェア的あるいはドライバ的な基本機能では「G5」、「G7」に軍配が上がる。
・「Copperhead」の不安定なレポートレートと「G-5」「G-7」の安定性
秒間1000レポートを謡う「Copperhead」だが、これを実際に「Mouse Rate Checker」というアプリケーションで確認してみた。
設定パネル上で秒間1,000レポートにしてチェックしてみたところ、実際のレポートレートは非常に不安定で、1,000hz前後から250Hz前後の数値がばらばらに現れる状態となる。平均はおよそ500Hz未満となり、実際のパフォーマンスが出ていない感じだ。おそらくドライバは1,000Hzの達成を目指してがんばっているように見えるのだが、何らかの原因でそれが実際には実現されていない。OSやUSBポートなど筆者の環境に依存する原因がある可能性もあるが、そこまでつきとめることはできなかった。少なくとも私の環境ではそうだった。
同じチェックを「G-5」、「G-7」に対しても行なってみたところ、こちらは非常に安定して500Hz前後の数値を出してくれる。カタログスペックでは「Copperhead」のほうが高い数値をうたってはいるが、実際のレポートレートはよくて互角、あるいは「G-5」、「G-7」のほうが高いパフォーマンスを出しているといえるかもしれない。この点においても、ハードウェア的、ドライバ的な完成度は「G-5」「G-7」に軍配が上がる。
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「Copperhead」のマウスレート。ドライバでは1000Hzを設定しているのだが、出てくる数値は不安定で平均は低い |
「G-5」でのマウスレートは非常に安定して500Hz近辺の数値を示す |
・照準微調整をしやすい「Copperhead」、フィット感の高い「G-5」「G-7」
「Copperhead」のスリムな形状は、指先でのホールドしやすさを優先したデザインといえるだろう。実際にゲームで使ってみると、手首の動きだけでなく、指先の微妙な力加減を使っての微調整が非常に自然に行なえることに気がつく。このおかげで、「Counter-Strike」のような、超精密な照準操作を素早く行なう必要があるゲーム(単に弾を当てるだけでなく、頭部にピンポイントで命中させることが重要)では実際にゲーム成績が向上しやすい。
この点に関してはゲーマーそれぞれのマウスのホールドの仕方、マウス動かすときの腕、手首、指の力の加減などによるところが多いと思われるが、少なくとも筆者にとって、照準の微調整のしやすさに関しては「Copperhead」の形状に軍配が上がる。
丸みを帯び厚みのあるフォルムの「G-5」、「G-7」は、どちらかというと指先だけでなく手のひら全体に一様なフィット感が得られるタイプだ。この場合、指先だけでなく手首を使ってマウスを動かす動作がやりやすい。素早く大きな照準操作(振り向いて撃つなど)については満足のいく操作感覚を得られ、また、長時間のプレイにも耐えられる。これはプレイスタイルに応じて評価が分かれるところだろう。
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「Copperhead」(左側)と「G-5」(右側)の形状を比較。全体のサイズはそう変わらないが、全体的にスリムな「Copperhead」と丸みを帯びた「G-5」の違いがおわかりになるだろう
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・ウェイトカスタマイズ機能の真価は、簡単には見出せず
「G-5」のウェイトカスタマイズ機能を試してみたが、そもそもマウスは軽ければ軽いほど良いと考える筆者には不向きなようだ。そもそも「Copperhead」の本体重量90gに比べ、「G-5」はウェイトカートリッジを搭載しなくても145gの重量があり、それより重くする選択肢はあっても、軽くする選択肢はないのだ。
確かに重量を増すと照準のブレが減る(マウス停止時にピタっと止まる)ことは事実。これにより「Counter-Strike」のようなゲームで、遠距離におけるヘッドショットを綺麗に決めたシーンもあった。しかしながら、重すぎると望む位置に照準を持っていくまでの初動に抵抗を感じてしまい、この疲労感は無視できない。
これは、筆者に指先での微調整を多用するクセがあるせいでもある。この点については個人的好みによるところが大きいと思われ、筆者と異なるマウス操作をするゲーマーにとっては、「G-5」のウェイトカスタマイズはまた違った印象を与えるものになるかもしれない。
■ ここまできたゲーミングマウスの未来はどっちだ?
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今回検証した3マウスの底面ソールに注目。右から「G-7」、「G-5」、「Copperhead」で、「G」シリーズのソールの大きさが印象的だが、実際のすべりは「Copperhead」のほうがなめらかだ
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ゲーマー用マウスの選択肢が広がってきた今、真に求められるものは何だろうか、ということを考えるとき、今回検証したRazer「Copperhead」とロジクール「G5」、「G7」は面白い示唆を与えてくれる。
「Copperhead」と「G5」「G7」とも、ハードウェア的な性能ではおよそ拮抗しており、DPIであるとかレポートレートであるとか、あるいは読み取り方式がどうであるとかのハードウェア的な要素は、一定の基準を満たしさえしていれば、マウスを選択する決定的な要因にはならないと思えた。
今回筆者が実際に使ってみて、ドライバ的には問題の少なくない「Copperhead」のほうが手になじみやすい形であり、操作上のクセに合ったプレイを可能にしてくれるため好ましい印象を受けたことと同時に、今後のゲーミングマウスはその「形状」や「質感」が、ゲーマーそれぞれの好みにフィットするかどうか、ということが選択上の決定的な要因になるのだと思った。
ロジクールの「G5」、「G7」もまた、従来の「MX510」、「MX518」のシリーズから完成度の高いフォルムを継承しており、それに手をなじませてきたゲーマーにとっては唯一無二の選択肢になるだろう。特に「質感」の点については、「G-5」の独特のペイントとざらざらとしたマテリアルは、手にフィットするマウスとして非常に完成度が高い。これは多くのゲーマーが気に入るはずだ。
結局のところ、ゲーマーの肉体の延長線上にあるデバイスとしてマウスを考えると、「形状」「質感」にまさる選択上の要因はない、という結論に至ったわけである。願わくば、1人1人異なるマウス操作のクセを持つゲーマーのため、もっと多種多様な形状を持つマウスに登場して欲しいものだ。
□製品情報
ロジクール「G5 Laser Mouse」
http://www.logicool.co.jp/index.cfm/products/details/JP/JA,CRID=2142,CONTENTID=10715
ロジクール「G7 Laser Cordless Mouse」
http://www.logicool.co.jp/index.cfm/products/details/JP/JA,CRID=2135,CONTENTID=10716
Razer「Copperhead」
http://www.msyshopping.com/cart_hal_pro_A8++/shohinpage/other_razer_chead.html
(2005年11月18日)
[Reported by kaf@ukeru.jp]
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