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★GBAゲームレビュー★
メガドライブ(MD)の代表的アクションゲームとして名高い「ガンスターヒーローズ」。その続編タイトルであるGBA「ガンスタースーパーヒーローズ(以降GSH)」が発売された。開発元は元祖「ガンスターヒーローズ」を手がけた技術力の高さに定評のあるゲーム職人集団「トレジャー」。「GSH」には「ガンスターヒーローズ」を手がけたスタッフが多数参加している。
多間接オブジェクトで動く伝統美あふれるボス、アイディア溢れるステージ、敵をなぎ倒す爽快感、前作から継承された郷愁を誘うエネミーやステージ……「GSH」の魅力は枚挙にいとまがないが、最大の面白さは「キャラを操作し、攻撃することが純粋に楽しい」というアクションゲームの基本とも言うべき点に集約されると筆者は考える。 長距離を滑り込むスライディング(威力も超強力)や上空にカッ飛んでいくアッパーといった高速アクション、そして画面中の敵機を灰燼と化すショットでステージを切り抜けていくことが純粋に楽しいのだ。スライディング1つ放つだけで脳髄に走るエクスタシー、キャラを無心に動かすことに没頭できるアクションゲームが久々に来た、という感じだ。
■ 射撃と体術で敵を殲滅~あなたもスライディング中毒に~ キャラクタの操作体系、攻撃まわりは実にスムーズ。今回はGBASPでこのゲームをプレイしてみたが、キーレスポンスは上々で快適な操作ができた。「斜め方向キー入力の空中ドリルキックが稀に別の技に化けるかな~」と感じたのも数回程度。ジャンプの方向制御も含め、プレーヤーが思い描いた通りのアクションをキャラクタに実行させることが可能と思って間違いない。 このゲームが生み出すスーパーな爽快感の要因の1つに、スピード感のあるプレーヤーキャラクタの体術が挙げられる。先ほども例に出したばかりだが、体術の最たるものがスライディング。コマンドを入力すると、キャラはスライディングの範疇を超えた長距離を超高速で滑走していく。スライディングが敵に当たると雑魚なら一撃、耐久力のある敵には「ガッ、ガッ、ガッ」と連続ヒット。この撃ち込み(当たり込み?)の感覚は、プレーヤーの脳の快楽神経を刺激する。
次はショットによる攻撃。このゲームのショットは強力で、一度ショットを撃ち出せば並み居る雑魚兵士を一掃できる。撃ちまくりの楽しさが感じることができる火力だ。そんな痛快な通常ショットは、3種類のタイプを武器チェンジボタンで状況によって切り替えるスタイル。MD「ガンスターヒーローズ」のようにショット切り替えアイテムを取るのではなく、どこでもショットタイプを変更できるようになった。 ショットタイプは、1方向に弾丸を連続して撃つ「バルカン(ブルーは「暴れん坊レーザー」が「バルカン」に相当)」、自動で敵にレーザーが向かう「シャチョーレーザー」、弾丸が炸裂する「バクレツファイアー」の3種類。各タイプとも弾数制限はなく好きなだけ弾をばらまくことができる。
各ショットで攻撃していくと武器エネルギーが貯まっていき、このエネルギーを消費して「バズーカ」という特殊武器を使用できる。前作の合体武器「ロンリーソウルファイヤー」などを連想させる「バズーカ」もあるのが往年のファンにはたまらない。 キャラを移動させずにショットを撃つ場合の「位置固定ショット」と、ショット使用時の「方向固定ショット」はRボタンを併用して使用する。MD「ガンスターヒーローズ」のようにゲーム開始時に方向固定ショットか位置固定ショットかを選ぶのではなく、ゲーム中いつでも通常ショット、方向固定ショット、位置固定ショットを切り替えられるようになったわけだ。 なお、ショットの操作タイプはオプションで「NORMAL-A」、「NORMAL-B」、「SIMPLE-A」、「SIMPLE-B」の中から選ぶことができる。一般的なキーコンフィグのようにカスタマイズタイプではないが、考えられる操作スタイルはこの4種類でカバーされているといえるだろう。 このゲームは昨今のゲームの風潮に反して、操作系のチュートリアルが一切無い。初心者でもやっている内に自然に覚えていくとは思うが、マニュアルを読まずに始めると「下+Bでアイテムを拾う」こともできないはず。できることならイージーモードにはチュートリアルデモを実装してほしかった。
■ エネミーが高速アクションを引き立てる 爽快感溢れるアクションは、敵役がしっかりとやられてくれなければ成り立たない。「GSH」はその敵のやられぶりが秀逸で画面には雑魚兵士が次から次へと出現し、ショットに撃たれると「ウワァー」と吹っ飛んでいく。エネミーをバッタバッタとなぎ倒していける主人公たちの無敵感、少々アブノーマルな快楽かもしれないがぜひ一度は体験してほしい。
サクサクと進む道中とは異なり、LIFEの高いボスとの決戦は長期戦となり、難易度は跳ね上がる。被ダメージも高く多彩な攻撃手段を持つボスたちには、弱点を探し攻略パターンを考えない限りクリアは難しいだろう。一瞬のミスも許されないボスとの一騎打ちは嫌が応にも心拍数が上昇する。このボス戦と道中の温度差がゲームの展開をさらに盛り上げてくれる。
今作の「セブンフォース」はグラフィックスや攻撃方法の一部は刷新されているが、形態の種類はほぼMD「ガンスターヒーローズ」と同様だ。そのため、当時を知る者には出会った頃の「巨大ロボが全力疾走で追いかけてくる!」という新鮮な衝撃は希薄かもしれない。それはそれで、「セブンフォース」がGBAというハードでどれだけの進化を遂げたのか確かめる義務はあるだろう。
■ 特殊ステージはオールドセガゲーム濃度高し 本編の途中では通常とは操作方法が異なる特殊ステージがエリア単位で存在する。その中でもセガの名作「サンダーブレード」、「フリッキー」、「アフターバーナー」、「ギャラクシーフォース」をフューチャーしたステージは、レトロゲームファンの帰巣本能(?)を刺激したような作りとなっている。 ●MOON1エリア01-「アフターバーナー」ステージ
●MOON1エリア03-「フリッキー」ステージ
●MOON2エリア02-「サンダーブレード」ステージ
●MOON5エリア03-「ギャラクシーフォース」ステージ
上手くは言えないが、特殊ステージの映像はクレイアニメを見た時の「奇妙な温かみ」の感覚に似ている。筆者もネタを楽しむ感覚で特殊ステージを遊ぶことができた。
■ 難易度によって変化するストーリーにも注目 ゲームの難易度はイージー、ノーマル、ハードの3種類。各モードによって、ステージ開始時のライフの量、被ダメージ量、ボスの攻撃方法が異なる。このゲームではステージのエリア単位でデータがセーブされ、好きな時間に中断データを読み込める。コンティニューも無限なので、3段階の難易度のうちイージー、ノーマルは比較的簡単にクリアできるだろう。筆者の場合、総プレイ時間10時間程度のプレイでレッドとブルーの「イージー」と「ノーマル」をクリアできた。 難易度に関してもう1つ、ゲーム中で語られる物語は使用キャラや難易度によって変化するという点だ。試しにイージー、ノーマルをレッド、ブルーのそれぞれでクリアしたが(それぞれの話に分岐はない)、それでもまだストーリーの謎はすべては語られない。どうやら、すべての謎を解き明かすにはハードモードをクリアしないといけないようだ。 やり込み要素は各ステージのエリアごとに記録されるハイスコアとクリアタイム。ひたすらハイスコアを伸ばし、クリアタイムを短縮するというオールドゲーム的なシンプルなやり込み要素だが、遊び方が散漫にならずに腕を磨くことに集中できるストイックな面白さがあるといえる。 前作にあった投げ技の削除や、人によっては多少セガゲームファンへのアピールが前面に出すぎて鼻につくかもしれないといった気になるところはあるが、ゲーム性を損なうものでは決してない。オールドゲームファンは素直に歓喜し、元ネタに触れていない世代は知らなくても構わずに楽しめる作り。本当の意味ですべてのユーザー層を大事にしたゲームといえるのではないだろうか。芸術の秋、セガとトレジャーが生み出すアクションゲームの美学を堪能してほしい。 また、セガの名作を復刻する「SEGA AGES 2500」シリーズで「ガンスターヒーローズ ~トレジャーボックス~」がリリースされる予定(発売日は未定)だ。「GSH」を遊んで前作に興味の沸いたユーザーは、こちらもチェックしてほしい。
(C)SEGA,2005
□セガのホームページ (2005年10月7日) [Reported by 福田柵太郎]
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