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2005年度下期タイトルラインナップについては、16日から開催される東京ゲームショウ2005において出展されるタイトルが数多く用意され、報道陣に一足早く公開された。一方、パートナーシップ戦略については、常務取締役コンシューマ統括本部長の岡村秀樹氏が「将来にわたって積極的に行なっていく」と語り、執行役員コンシューマ事業部副事業部長の宮崎浩幸氏も「おとなしくなったセガが、元気になって帰ってきた」とコメント。
この記事においては、そうしたセガの攻めの姿勢を表わしたともいえるパートナーシップ戦略と、次世代機についてお伝えする。
■ 中村光一氏、「まず発売する4タイトルはご挨拶がてら」あのタイトルも発売予定? コンシューマ事業部副事業部長の宮崎浩幸氏により「まずは映像から」と紹介された映像には「弟切草」、「かまいたちの夜」、「風来のシレン」といったタイトルが登場。宮崎氏は「チュンソフトさんとは、サターンで『街』、ドリームキャストで『不思議のダンジョン 風来のシレン外伝 女剣士アスカ見参!』とやってきた。熱狂的なファンもいて、『もう一度やらないか?』とラブコールを送ってきた」と続けた。 チュンソフトの代表取締役社長の中村光一氏はセガについて「セガはアーケード時代からやっており、昔からコアユーザーを掴んでいた。我々もゲームの大好きな人向けのゲームが多く、ユーザーから見ても相性がいいのでは」と感想を述べた。 今回のチュンソフトとの業務提携については、ただ単にセガがソフトの販売を行なうだけではないという。前田氏は「“信者”をいかに増やしていくかがセガの使命」と力強く言い切った。一方、中村氏は「(セガは) 世界的に展開しているし、開発陣もたくさんいる。次世代機の基礎的な技術開発など難しいところは任せておいて、我々はゲームの本質を汲み上げていくようにしたい」とゲーム性の向上を目指すところに注力していく方針を説明した。 ここで、現在上がっているラインナップに関する説明に移行。2006年のラインナップについて、「他にもいろいろあるが……」と前置きしながら4タイトルを紹介した。紹介されたのは以下の4タイトル。
そしてここからは全くの新作となるが、「かまいたちの夜シリーズ 新作 (仮)」については、舞台は2作目と同じ“監獄島”前回の事件の1年後で事件は終わっておらず、メンバーが再び集まり怖い夜がまたやってくることになるのだという。そして、待ちわびているファンも多い「不思議のダンジョン 風来のシレンDS (仮)」だが、「ニンテンドーDSは魅力的。2画面やタッチペンなども当然だが、これまでパスワードなどによって行なってきた“救助”を、標準的に行なうことができる。より面白いことができる」とコメント。中村氏によれば「DSが出たときからいつ出るのかとの問い合わせがあった」ということで、ファンにとっても注目度の高い1作だ。
さて、具体的なタイトル名が上がったのはここまでの4タイトルだが、中村氏は「これ以外にもけっこう動いている。4タイトルはご挨拶がてら。あれをやらなきゃいけないでしょ?」とコメント。セガの前田氏も「あれをやりますので楽しみに」ということで、ビッグタイトルも控えている様子。中村氏はファンへのメッセージとして「セガと組むことで技術的な面も含めてより面白いことを考えることができる」と語り締めくくった。
□ニュースリリース (PDF形式) http://sega.jp/release/nr050909_2.pdf
■ 音声合成の技術にさらに磨きをかけて「シーマン2」が現われる! 続いて登場したのは、株式会社ビバリウムの斎藤由多加氏。ビバリウムとセガといえばしゃべる人面魚「シーマン」だが、プレイステーション 2用ソフトとして「シーマン2」を制作していくことが決定した。 前述の通り「シーマン」といえば、そのふてぶてしいまでのオッサン面した人面魚が印象深いが、斎藤氏によれば「ビバリウムでは『シーマン』はAIの名前。だから『シーマン2』ではキャラクタも世界観もがらっと変える」という。しかし、進化した音声認識技術とAIは搭載され、インターフェイスも音声が中心となる。 セガと再度組んだ理由について斎藤氏は「『シーマン』を販売する姿を隣で見ていて、セガの流通のすごさをまざまざと見せつけられた。変なソフトで、そもそもテレビに向かって人はしゃべるのか?といった状況の中、発売前に24,000だった受注が、3カ月で55万本にまでなり、品薄になった」と当時を振り返った。 さらに斎藤氏は「最近ゲームは売れないということで、寂しい。なぜかを考えてみたが、コントローラがこれまでまったく変わっていない。このコントローラで展開するのは飽きたのではないだろうか。ガツンと売れているソフトは太鼓だとかガンを撃つものとか入力がユニーク」と分析し、「これから音声入力は重要になっていくのでは」との考え方を示し、今回も音声認識を採用することに至ったのだという。 音声認識技術はもちろん進化しており、前作が単語単位での認識だったのに対して、今回は複数語認識が可能になったという。複数語認識するためには裏でAIが推論していかなければならず、技術的にかなり難しくなるのだという。会場では音声によるデモが行なわれ、入力された音声に対し認識し、語順が変わってもきちんと認識してオウム返しにすることが示された。また、斎藤氏によれば、エンターテインメントと言うことで、なめらかにしゃべらなければならないということから、なめらかにしゃべるという点にはかなりこだわったという。
斎藤氏は「プレイステーション 2版が発売されたときに、シーマイクコントローラがあったのだが、これを再度押し入れの奥から出して『シーマン2』に備えていただくために、シーマイクコントローラ用のWindows用ドライバを無料ダウンロードできるようにした。Windows上で使っていただきたい」とアピールした。
□ビバリウムのホームページ http://www.vivarium.co.jp/ □「シーマン」のホームページ http://www.seaman.tv/ □「シーマイクコントローラ」のページ (ダウンロードページへとリンク) http://www.seaman.tv/05/05_win02.html ■ THQと本格的に業務提携 セガは米国のパブリッシャーであるTHQと本格的に業務提携を行なうと発表した。同社はこれまでにも海外においてゲームボーイアドバンス用ソフトの販売において提携してきたが、THQのソフトを日本においてセガが販売していくこととなった。 前田氏は「THQは、Pixar Studio (「トイストーリー」等で有名なCGアニメを制作するスタジオ) などと長期的に契約しゲームを出すなど優秀なパブリッシャー。中長期的なスパンで日本で (THQのソフトを) 販売していくことになる」とより関係が深化したことを強調。2006年春までに6タイトル (プラットフォーム別にすると10本) を販売するところまで決定しているという。詳しいタイトル名については東京ゲームショウ2005に出展される2タイトルを除き「別の機会に(宮崎氏)」と発表されなかった。
東京ゲームショウ2005にも出展されるのは、PS2用カーレースゲーム「JUCED (仮称)」と、同じくPS2用のアクションアドベンチャー「DESTROY ALL HUMANS (仮称)」。特にプレーヤーが宇宙人となって人類を逆に倒していく「DESTROY ALL HUMANS (仮称)」は、米国では全年齢対象であるにもかかわらず、かなりあくの強い作品。このおもしろさを理解できる人には、この怪作の発売を是非とも心待ちにしていただきたい。
□ニュースリリース (PDF形式) http://sega.jp/release/nr050909_3.pdf
パートナーシップ戦略の発表のあとは、次世代機への取り組みについての話題に移った。岡村氏は「昨年末の携帯ゲーム機の登場に続き、いよいよコンソールの次世代機が続々と登場する。10年単位で見てもそうはない激動期」と重要なタイミングと位置づけている。上席執行役員コンシューマ統括副本部長の前田雅尚氏も「現在の次世代機が発売された当初は、セガはまだハード (ドリームキャスト) を扱っていた。そういった意味では次世代機と同時に立ち上げるのはセガにとって初めてのこと」と気合いが入っていることを強調。発表されたタイトルラインナップにも、それが現われていると言っていいだろう。 さらにセガは次世代機に向けての開発体制も徐々に変化させている。前田氏は「次世代機への取り組み如何でパワーバランスに関わってくる。前回はドリームキャストをやっていたが、今回次世代機の発売と同時に立ち上げるのは初めてで、大きなチャンスだと思っている。次世代機ではCGの制作が重要。開発が日本だけで1,000人いるのだが、2年前から海外での開発に注力してきた。すでに30%は海外を舞台にしている」としており、制作の体制も大きな変化を遂げているようだ。
■「SONIC THE HEDGEHOG」原点に立ち返り、PS3 & Xbox 360でリリース 次世代機の取り組みについてはセガは、すでにPS3用ソフト「Fifth Phantom Saga」の制作などを明らかにしているが、このほど正式に「SONIC THE HEDGEHOG」の投入を決定した。対応プラットフォームはプレイステーション 3とXbox 360。 登壇した中 裕司氏は2006年が生誕15年であるとし、「1作目とタイトルは同じ」と原点に返り、次世代機で心機一転、新技術で何ができるのかを見つめ直していく気迫が感じられた。発売は2006年を予定しており、発表会場で公開された映像はすでに実機を想定した環境でのリアルタイム映像だった。
中氏は「ハリウッド並みのCGできれいなだけでなく、ソニックが現実にいるかのような空気感まで表現したい。心の底から楽しいと感じられるような者を目指す」と意気込みを語った。東京ゲームショウ2005のステージでは中氏のステージが予定されているが、ステージ上で、実機を想定した環境下でプレイアブル映像を公開し、ファンに直接説明していきたいという。中氏は最後に「さすがセガ、さすがソニックといわれるような作品にしていく」と語り締めくくった。
□ニュースリリース (PDF形式) http://sega.jp/release/nr050909_1.pdf
■ フロムソフトウェアと共に作り上げるXbox 360「CHROMEHOUNDS (仮称)」 今回発表されたもうひとつのタイトルが、フロムソフトウェアと組んで制作が進められている「CHROMEHOUNDS(仮称)」。戦場を舞台に重量感あふれるロボットの戦いが描かれた映像が流された。ネットワーク対応と言うことで、映像では陽動作戦のシーンが描かれ、チームで戦う事の重要性が強調されていた。 登壇したフロムソフトウェアの神 直利氏は「見た目はミリタリー寄りになった『アーマードコア』というように見えるがそうではなく、ゲームとして違ったもの」とコメント。その重要な要素がネットワークだという。神氏は「知らない人とのコミュニケーションではなく、戦友と作戦をたて、遊ぶという感覚」と説明。 グラフィックについては公開されたグラフィックに対して「あたらしいハードなので、もっともっとよくなると思う」としながらも、「ハードの能力が上がって、きれいになったり、高度な物理シミュレーションが可能になるといった点よりも、地味な空気感を表現できればと思う」と語った。
発売に関しては「来年の早い時期に」と答えるにとどまった。神氏によれば「構想自体は長くて、本当の意味で作れるようになった」ということで、こちらも完成が楽しみだ。なお、東京ゲームショウ2005のステージではフロムソフトウェアの鍋島氏のプレゼンテーションが予定されている。こちらも是非ともチェックしていただきたい。 (C)SEGA Corporation /FromNetworks, Inc./FromSoftware, Inc.
□セガのホームページ (2005年9月9日) [Reported by 船津稔]
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