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China Digital Entertainment Expo現地レポート

中国でその存在を主張する韓国メーカー
新タイトルをさまざまな形でアピール

7月21日~23日開催(現地時間)

会場:Shanhai New International Expo Center



■ NC Soft SINA、「Guild Wars」にオリエンタル要素の追加を発表

 中国のポータルサイトSINAと韓国NC Softの合弁会社であり「LineageII」や「Lineage」を中国国内で展開するNC Soft SINA。今回は、大きなブースに、このふたつのタイトルの試遊台を多数設置し、来場者にアピールしていた。中国では韓国同様「Lineage」の人気もまだまだ高く、試遊台ではプレーヤー達が画面をみて話をしながらゲームをプレイしていた。

大きなイラストを多数配し、ゲームの世界観をアピールするNC Soft SINAブース。中央はシアターが設置され、「Guild Wars」のデモプレイが行なわれた
「Guild Wars」の制作者を招いての発表会
 「LineageII」は実装されたばかりの「クロニクル3」の各要素を試遊台や、ステージのムービーで紹介。プレーヤー達は現在でもなかなか入手できないAグレードの新しい装備に興味があるようで、キャラクタの装備画面を開きアイテムを確認するプレーヤーが多かった。ステージではコスプレをした戦士や魔術師が登場、ファン達は並んで撮影をしていた。中には騎乗用のドラゴンの模型によじ登る人もいて、壊してしまわないかと少し心配になった。

 今回のNC Soft SINAはもうひとつタイトルを出展している。米国で60万本の売り上げを記録した「Guild Wars」である。「WAR CRAFT」や「DIABLO」などを手がけたBlizzard Entertainmentの元スタッフが興した開発会社Arena Netにより制作された新しいMMORPGで、米国では特にPvP要素に関する評価が高い。韓国ではダウンロードが2万弱というところで、韓国ユーザーの間ではまだそれほど受け入れられていないというのが現状のようだ。

 NC Soft SINAは、ブース中央に20人以上を収容できるシアターを用意、ここで映像とデモプレイによる「Guild Wars」のデモンストレーションを行なった。21日には制作者を招いてのイベントも開催された。

 今回発表されたのは、「Guild Wars」にアジア市場を意識したオリエンタルの要素が追加されることである。画面に最初に映し出されたのは古代中国風の鎧を着込んだ戦士。カメラがひいていくと、山水画を思わせる切り立った岩山。そして万里の長城のような城壁、さらに中国風の建物などが確認できた。

 また、男性以外にも、薄物を身にまとった女性キャラクタが登場。髪を中国風に結い上げた彼女はくるくると拳法の演舞を披露した。デモプレイで使用されていたものはすでにメッセージやインターフェイスなども中国語版になっており、すぐにでもβテストが始められそうな雰囲気だ。

 制作者によるとこういったオリジナルのオリエンタル要素はβテストを通じてユーザーの意見を集め、様子を見ていくという。中国でのβテストの時期はまだ未定であるが、「まもなく」である、ということを強調していた。

 海外で展開しているゲームを市場に合わせて追加要素を盛り込むというのは、「EQII東方版」でも行なわれているアプローチであるが、「Guild Wars」では、古代中国の要素というより中国市場を意識したカルチャライズが行なわれるようだ。これらの要素は「Guild Wars」が日本で展開する際にはどうなるかというのは興味深い。

多数の試遊台、グッズ展示、さらにステージでのイベントや撮影会など、ブース、イベント共には非常に機能的でNC Softのイベントに関するノウハウの蓄積を感じさせられた

【Guild Wars】
追加されるオリエンタル要素として紹介された映像。中国風の建物や、水墨画を思わせる地形、古代中国の鎧や、拳法着などが確認できた
新要素の紹介の後そのままデモプレイに。新しい装備をつけたキャラクタがボスとの戦いを繰り広げる。βテストの開始時期はまだ発表されていないが、すでにプレイアブルな状態であり、テスト実施まではそれほど待たされないようだ


■ Webzen、新しい試みを取り入れたMMORPG「SUN」と「一騎当千」を出展

 「ゼルダの伝説 風のタクト」にそっくりなキャラクタが登場するMMORPG「Wiki」を制作したことで話題を集めたこともある韓国のゲームメーカーWebzen。China Digital Entertainment Expoでは「SUN」と「一騎当千」というふたつのタイトルを多くの試遊台を設置してアピールしていた。

「SUN」と「一騎当千」の試遊台を多数設置、イベントよりも来場者にゲームに触れてもらう、という姿勢を明確に打ち出していたWebzen
 「SUN」は「アクションMMORPG」として制作された作品で、現在オープンβテスト中。通常の韓国産MMORPGとは違い、Wで前進、Sで後退というFPS方式のキー配列でキャラクタを移動させることができる。欧米のアクションゲームをプレイしたことのあるユーザーならばすんなりとプレイできる。マウスでは視点移動やキャラクタのターゲットを行ない、ダブルクリックで敵を攻撃する。

 試遊台で遊んでみてすぐに気がついたのは「移動の快適さ」である。従来の韓国産MMORPGは筆者にとって、長距離を移動するのにいちいち地面をクリックし直さねばならず、敵がカメラに近寄ってきた場合など間違ってクリックしたりしてしまうことがとても多く不満を感じていたのだが、本作ではコンシューマーのアクションゲームに近い感覚で移動が行なう事ができる。

 攻撃のモーションは非常に早く、ここもアクションゲームに近い。試遊台で遊べるキャラクタの中には両手にボウガンを構える女性キャラクタがいて、敵をクリックすると矢をマシンガンのように連射して敵を倒す。モンスターはキャラクタに近づく前に絶命してしまい、ゲームのリズムにもアクションゲーム的な要素があり、非常に爽快だった。

 しかし、だからこそ「変わっていない点」に不満を感じた。攻撃をする時にキャラクタの足が止まってしまい、「操作で敵の攻撃をかわす」という要素がまったくないのである。戦闘は結局体力が0になる前に薬ボタンを連打するという「Diablo」タイプそのままで、敵と距離を考えて戦い方を工夫したり、ジャンプボタンなどで敵の攻撃を避けるなど、アクション要素を取り入れることができれば、ずいぶんゲームの感触も変わったのに、という感想を持った。

 「一騎当千」は三国志をテーマにしたMMORPGで、2006年上半期の完成を目指して制作されている作品である。見下ろし型の画面にサイズの小さなキャラクタが登場する、RTSのような雰囲気を持った画面構成だ。この小さなキャラクタは敵の「多さ」を表現するのに非常に効果的だ。わらわらと集まってくる敵キャラクタをプレーヤーはなぎ払っていくのである。

 操作方法はクリックによる移動と攻撃というおなじみのもので、キャラクタの小ささから「UO」や「Lineage」も彷彿とさせる。面白いのが敵キャラクタはコンボ攻撃で簡単に倒されてしまうところ。さらにF1キーで前方に範囲の広い衝撃波をとばし、F2キーを押すことでキャラクタがコマのように回転、ばんばんと敵をはじき飛ばしていく。多数の敵をなぎ倒すこの爽快感は「真・三国無双」を参考にしたものだろう。

 フィギュアスケートの選手か、バレリーナのように回転するキャラクタを敵の集団につっこませ蹴散らしていくのは見ているだけでも気持ちがいい。試遊台の前を通った人が、このキャラクタの動きを見て、試遊台のプレイヤー越しに画面をのぞき込み、そのまま後ろに並ぶという風景がそこかしこに見られた。

 筆者もプレイしてみたのだが、確かに敵キャラクタがどんどん吹っ飛んでいくのは爽快だったのだが、実際にプレイしてみると、キャラクタを移動させ2つのキーを押すことがゲームのすべてなのだ。例えば「真・三国無双」ならばステージならではの仕掛けがあり、戦いながらフラグを立てていくことでゲームが進行するが、現状本作にはこれ以上の展開はない。この派手な攻撃モーションをどうゲーム性に活かすか、期待したいところである。 

Webzenでは、ふたつのタイトルの他、「Wiki」、多人数参加型のFPS「Huxley」、アメリカの犯罪社会をテーマにしたMMORPG「APB」といったタイトルの映像出展を行なっていた

【SUN】
3Dのアクションゲームの操作系を取り入れたMMORPG。重厚な世界観も魅力である。欧米や日本の3Dアクションゲームに見られる技術力に、韓国メーカーがどこまで迫ることができるのか、今後も注目していきたいタイトルだ
※画面は韓国語版のものです。

【一騎当千】
RTSのような多数のキャラクタの表示を可能にするMMORPG。こちらもアクション要素が取り入れられており、新しい作品を生み出そうという制作者の気合いを感じさせられる。アクション要素とそれが持つゲーム性をどんなアプローチで実現させるのか、こちらも方向性が気になる
※画面は韓国語版のものです。


■ 「Mabinogi」ならではの世界観をブースで忠実に再現した世紀天成

 韓国NEXONの「Mabinogi」を中国で展開する世紀天成。中国では7月24日よりアイテム課金による正式サービスが開始される。世紀天成のブースはゲーム内に登場する街「ダンバートン」の雰囲気を忠実に再現。石造りの建物を思わせる外壁、柱には木を使用し、ゲームの中に登場するアーチ型の橋を設置して、まるでゲームの世界をそのまま表現した凝った作りになっている。

ゲーム世界をそのまま再現したような世紀天成ブース。そのブースへのこだわりはファンにはとてもうれしい要素である
 試遊台の上には動物たちとふれあったり、パンを作ったりするゲームの資料で使われたイラストを多数展示し、本作ならではの要素をわかりやすくアピールしていた。さらにコンパニオンはすべてゲームでナビゲーターを務めるキャラクタ「ナオ」の恰好をしていた今回China Digital Entertainment Expoで出展したメーカーの中ではもっとも作品世界に忠実なブースを作り上げたメーカーだといえるのではないだろうか。試遊台をプレイしているユーザーに女性の姿が多かったのも印象に残った。

 しかし、この世紀天成は今回のイベントでもっとも「音が大きい」ブースであった。ブースでは「Mabinogi」の試遊台をを出展しているスペースと背中合わせに大きなステージを設置し、ここでゲームの音楽に合わせたダンスショウなどのイベントをひっきりなしに行なっていたのだが、向かいの中青創先と常に「音量」で張り合い続けていたのである。

 その音量合戦はステージで演奏している奏者が思わず顔を見合わせて苦笑いをしてしまうほど。音の大きさは来場者を引きつける効果もあったが、耳をふさいで足早に通り過ぎる人もまた多かった。今回のイベントはすべてのブースで音が大きい傾向があったのだが、このふたつのブースはその中でも飛び抜けて大きかった。中国ならではの熱気に触れた体験だったとも言えるが、「Mabinogi」の雰囲気を忠実に再現していたこのブースが、一方では来場者の事を考えず、ひたすら音量の競争を繰り広げてしまったのは、すこし残念だった。

木の柱を配置したり、ランプの形を工夫したりと細かいところに強いこだわりが感じられる。他のブースと比べて女性の来場者が多かった
一方、試遊台と壁を挟んだステージでは向かいにある中青創先のステージとの熾烈なアピール合戦が展開されていた。フォーマルなダンスや、中国楽器の演奏など比較的まったりとした演目が多かったのだが、競争意識が強く出た、殺伐とした雰囲気になってしまっていた

□China Joyのページ
http://www.chinajoy.net/

(2005年7月23日)

[Reported by 勝田哲也]



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