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8月15日まで 実施中 日本科学未来館 1階 催事ゾーン
入場料:900円 (大人) 、350円 (18歳以下) 「恋愛物語展-どうして一人ではいられないの?」は、“恋愛”を科学的な視点からとらえた特別企画展。章立てで構成されており、生物学的な“性”の神秘に始まり、“心を伝える「恋する人の物語」”といった“感情”といった部分にも踏み込んでいく。さらに多方面から“恋愛”について迫るためにトークショウが企画されている。今回の吉永匠氏のトークショウもその一環として企画された。 「ゲームと恋愛:指先から芽生える愛情」と題されたトークイベントで吉永氏は、聴講者がゲームユーザーばかりでないという状況から、ゲームの制作現場におけるディレクタの立場の説明から始め、「きみのためなら死ねる」の制作に至る解説などを行なった。「きみのためなら死ねる」はニンテンドーDSの第1弾タイトルとなったわけだが、吉永氏にとってDSは“触ることができる”という点で衝撃的だったという。そこからスタートし、「触ると言えば女の子に触るのが楽しいけど、エロティックにならないようにしなくてはいけない。ふれあうという人間の根源的な部分をゲームに入れることができればと考えた」のだという。 タッチペンをはじめとしたニンテンドーDSのインターフェイス面から企画はスタートし、誰でもない誰かとのふれあいのコミュニケーションを「恋愛ごっこ」のような形でゲームに落とし込むこととなった。吉永氏は現在の恋愛について「女の子とふれあってつきあうということへのハードルが高く感じるようになったが、“朝食を食べる”のと同じレベルでふつうのこと。『きみのためなら死ねる』をプレイすることで、“恋愛すること”といった現実に帰って行けるようなゲームにしたかった。プレイすることで人を好きになる衝動を持つというところに引き戻さないといけないと思った」と解説した。 ゲームの制作での苦労話としては、一つは前述の通り、あまりエロティックにならないようにすることで、もう一つは情報を制限することだったという。エロティックにならないようにという点については、「このゲームは男の子のためのゲームという風に思われがちだが、実は女性でも楽しめるようなユニセックスなゲームに仕上がっている。それは制作に女性が多数絡んでいるということもあると思う」と説明。もう一つの情報を制限するという点については「それぞれのプレーヤーがどこかの誰かを思い浮かべるためには、きちんとグラフィックス化するのではなくシルエットにするなど情報を制限することで、謎めいた女性をイメージでき、ユーザーの想像力で補えるようにした」のだという。制作中はこの情報量の制限には気を遣ったという。 トークショウではこのほかにも、「きみのためなら死ねる」のタイトル決定に至るまでの苦労 (300くらいの候補の中から30人くらいによる30回もの会議を経て決定したとか) など裏話も披露。ユーザーがプレイして幸せになるようなゲームを作るためには、「まず自分たちが制作してよかったと思うような、作って幸せになるようなゲームにしなければならない」と振り返るように語り、今後については具体的な話は出なかったが、「気分転換できるような……気分を底上げできるようなゲームを作りたい。どういったものになるかわからないが、“きみしねワールド”といえるような世界を広げるようなゲームも作れたらと考えています」と抱負を語った。最後に来場者から質問を受け付けいくつか答えてイベントは終了した。 この後会場を変えて行なわれた囲み取材で、もう少しゲームシステムの制作の裏側について伺ってみた。恋愛をテーマにしたとき、ゲームのシステム的にはアドベンチャーゲームなどいくつか選択肢があると思われるが、ミニゲーム集を選択した理由については、「DSのインターフェイスがタッチペンというインターフェイスによるため、選択するとき一瞬でできてしまう (これまではキーで選択してボタンで決定だったが、タッチペンで一瞬で決定できてしまう)。アドベンチャーゲームのようじっくりプレイしていくより、ミニゲームなどでテンポよくやっていく方がいいと思ったため」だという。 また、比較的オーソドックスな恋愛観といった印象もある同作品だが、このゲームに対して中学生などはどのような反応だったのかという質問には「(ネタバレになるのであまり詳しく書けないが) 恋愛は『きみのために!』という一方的な方向に行くだけではないというこのゲームの内容に、新しい発見があったと言う小中学生のユーザーもいたようだ」とコメントしてくれた。そういった意味ではまさしく全年齢、性別問わずイメージを喚起させるゲームといえるかもしれない。
「恋愛物語展」は、俗っぽくもなく、といって難しく考えるものでもない展示内容になっている。これは中途半端ではなく、たとえば二人で見に行っていろいろと話し合い、考えることができる内容という意味で、おもしろい展示内容となっている。 □日本科学博物館のホームページ http://www.miraikan.jst.go.jp/ □「恋愛物語展 - どうして一人ではいられないの?」のページ http://www.miraikan.jst.go.jp/j/event/2005/0815_plan_01.html □セガのホームページ http://sega.jp/ □「きみのためなら死ねる」のページ http://kimishine.sega.jp/ □関連情報 【2004年12月2日】DSゲームレビュー「きみのためなら死ねる」 http://game.watch.impress.co.jp/docs/20041202/kimi.htm 【2004年12月3日】セガ、「きみのためなら死ねる」発売記念イベント 「きみのためなら死ねるLiveiT!!」開催 http://game.watch.impress.co.jp/docs/20041203/love.htm 【1月19日】セガ、NDS「きみのためなら死ねる」 Web体験版第2弾「アバレウシ」を公開 http://game.watch.impress.co.jp/docs/20050119/kimi.htm (2005年6月27日) [Reported by 船津稔]
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