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■ サービス開始当日の盛り上がりは上々。インスタンスの効果も相まって順調な滑り出し
まずは、サーバーオープン直後の世界の様子について触れたい。すべての冒険者が最初に訪れる「難民の島」では、インスタンスゾーンが8個まで出来上がっていたのを確認することができた。インスタンスとは、ひとつのゾーンにある程度以上のプレーヤーがいる場合に、まったく同じゾーンが自動的に用意される、というシステムのことだ。 それが8個ともなると、相当数のプレーヤーが製品版でのプレイを始めているのだということを感じることができる。あとで聞いたところによると、インスタンスは最大で10できあがった時もあったそうだ。インスタンスの数からもわかるとおり、実際に画面上でも多くのプレーヤーの姿が目に入った。 正式サービスの開始というと、大きなタイトルになればなるほど初日の混雑と、それについて回るトラブルや、メンテナンスが発生するというのはよくある話であり、本来回避が難しいものなのだ。だが、このインスタンスというシステムによってプレーヤーが活動するエリアが分散されるため、サーバーサイドには主だったトラブルは無かったようだ。登録の手順などに関しては、若干わかりにくいところがあったようで、実際、筆者も少々困惑した場面があった。現在は特設サイトにて、登録の手順等に関してお知らせが掲載されているので、わからない場合は参照するといいだろう。 次に、製品版とほぼ同時に行なわれた6月16日のバージョンアップのパート1とパート2を見ていこう。毎回のバージョンアップには多岐に渡る内容が含まれているうえに、今回はそれがパート1と2というように、2回分もやってきた。その内容たるや非常に膨大である。まずは、毎回バージョンアップの内容に記載されているヘッドライン項目を見てみよう。
6月16日のバージョンアップ パート1
6月16日のバージョンアップ パート2 この中でまず目を引くのは、「クエストジャーナルで簡単にコレクションクエストの進行を確認できるようになった」というものだろう。コレクションクエストとは、例えば、「ドワーフの骨」というアイテムを拾った際に、文字通りそれを一つ目のコレクションに加え、他のアイテムと組み合わせてコレクションのセットとして完成させるというクエストだ。このコレクションは異なるセットが豊富に用意されており、必要となるアイテムも種類が豊富。それだけにクエストの完了にも時間がかかる。 これまでのように他のクエストと一緒くたにクエストジャーナルに記載されてしまうと、コレクションクエストだけでクエストジャーナルがいっぱいになってしまい、他のクエストが見づらいだけでなく、コレクションクエスト自体の全体像も把握しづらかった。今回のバージョンアップでは、コレクションクエストはジャーナル内の別のタブに記載されるようになり、他のクエストとは別の枠としてカウントされるようになった。この改善は非常に嬉しい。 コレクションクエストの改善も相当に大きなポイントだが、今回行なわれたバージョンアップの中で、最も多くのプレーヤーの心を動かしているのは「フロッグロック救出クエストの実装」ではないだろうか。 フロッグロックは、プレーヤーが使用できる16番目の種族だ。だが、スタート開始時点では、ロックがかけられており、最初から選択することはできないようになっている。日本語版でロックを解除するクエストが、どのぐらいの時期に実装されるのかも定かではなかった。ところが、製品版の開始と共に実施されたアップデートの中で、そのフロッグロックのロックを解除するクエストが突如として実装されたのである。
フロッグロックのロックを解除するクエストには2種類ある。ひとつがアドベンチャーレベル25程度のクエストを完了させてアカウント単位でロックを解く方法、そしてもうひとつが大規模なクエストを完了してサーバーごとロックを解除するというものだ。いずれサーバー単位でロックが解除される日が来るというわけである。 ■ 製品版の完成度はあともう一歩という印象。期待の翻訳エンジン「T4」は動作を確認! 製品版での完成度を見て行くと、βの最終的な状態からは、飛躍的に完成度が上がったなと感じることができる。英語と日本語が混在していたアイテム名は、そのほとんどが日本語になっているし、ユーザーインターフェイス(以下、UI)の表示がおかしかったところも多くが修正されている。β版のクライアントを操作していて気になった部分は、そのほとんどが直っていると考えていいだろう。ただし、一部のUIに関しては、日本語を使用して入力すると、文字化けしてしまうものがあるようだ。筆者が確認できている部分ではギルドウィンドウに文字化けが見られた。 翻訳に関しては、アイテム名やアイテムの詳細説明などが日本語になっている。若干気になるのは、翻訳作業の大部分を占めているであろうNPCとの会話部分だろう。β時点のものより未翻訳部分がかなり減ったのは間違いないのだが、未翻訳のテキストなどが出てくるところがあった。また、翻訳済みではあるものの、漢字が誤変換されているような部分も発見してしまったのは残念なところ。βの最終時点から総合的に考えてみると、UIの修正やアイテム名の翻訳、各種詳細情報など、大きく翻訳が進んだ部分が加わったことで非常に遊びやすくなった印象を受ける。あとは日々のメンテナンスや今後のバージョンアップでさらなる向上に期待するばかりだ。
最後に製品版でいよいよ導入された翻訳エンジン「T4」を見ていこう。T4エンジンとは、EQ2でのアイテム名や地名、NPCの名前などを、プレーヤー側で英語と日本語を切り替えることができるというものだ。それがいよいよ導入されたということで早速試してみた。オプションの翻訳というタブで、英語と日本語のチェックを切り替える。すると瞬時にチェックした項目の言語が切り替わった。筆者が予想していたものよりも、切り替え速度は速い。というよりも一瞬である。人それぞれに異なってくる「地名は英語のほうがいい」といったような好み的な要求に一瞬で答えてくれるのは素晴らしいと感じる。少々残念なのは、一部アイテム名に関しては、チェックを切り替えても変化しないものがあったことだろうか。これは日を追うごとに追いついてくるのではないだろうか、と期待したい。
■ キャラクタメイキング前に知っておきたい、ノーラスという世界とGoodとEvilの属性
特にサブクラスは、プレイ開始当初には関係がないのだが、アドベンチャーレベルが20付近になったときに選択することになる。そしてその時になって、属性によって選択できるサブクラスが存在することを知っても、諦めるという選択肢を選択するほかなくなってしまうのだ。そのため、キャラクタメイキング時に最終目標としているサブクラスがあるのならば、慎重に考えなければいけない、というわけだ。
・ノーラスという世界 ノーラスという世界は、エバークエスト(以下、EQ)での舞台でもあった。ここでは旧作でのことは多く触れないが、基本的にEQ2のノーラスとは世界の形が異なっていたのだ。世界の形を変え、ノーラスで暮らす人々の生活を破壊し、結果的にGoodとEvilという2つの都市に世界を分断してしまったものがある。それは「天変地異」だ。 EQの世界は、気象変動により海は航海不能となり、大きな戦乱が大陸を揺るがし、それに呼応するかのように起こった大地震によって、大地は引き裂かれた。最後にはラクリンと呼ばれていた月が大爆発を起こし、その破片がノーラスに降り注いだ。この、まさしく天変地異としか言いようのない災厄の数々によって、ヒューマンが住む「ケイノス」と「フリーポート」以外は全滅してしまったのだ。 スクウェア・エニックスの特設サイトでは、この天変地異の時代を描く物語「運命の書」全12章が公開されている。最近、もしくは製品版パッケージを店頭で見かけてEQ2というタイトルに興味を持った、というかたも、読んでみることをオススメしたい。
・GoodとEvilという2つの属性 500年経ったEQ2の世界でも、この状態は同様。Goodの属性を持つ人々が住むこととなった「ケイノス」は女王アントニア・ベイルに統治され、緑に囲まれた穏やかな暮らしを得ている。 また、Evilの属性を持つ人々が住まう「フリーポート」は、覇王ルーカン・ドレール卿によって、ある種の恐怖政治のような統治がされており、荒廃した大地の中でシビアな暮らしをしているというわけだ。
・属性によって選択が可能な種族とサブクラス
・ケイノスのみ
・両方を選択可能
・フリーポートのみ ほとんどは、私たちが親しむ多くのファンタジーの世界におけるイメージと同様の属性だと思われる。EQ2においては特にイクサー、オーガ、ラトンガ、トロルなど亜人種が多く、それらがEvilの属性になっていることが特徴的だ。 種族と同様に重要なのは、クラス(職業)だ。EQ2では、スタート直後に選択するアーキタイプ選択のほかに、1度目のクラス選択をアドベンチャーレベル10付近で、サブクラスの選択をアドベンチャーレベル20付近で行なうことになる。この中で2度目に選択するサブクラスでは、キャラクタの拠点となっている都市によっては選択できないものがあるのだ。
例えば、ファイターのアーキタイプから選択できるクラス「クルセイダー」、そこからさらに派生するサブクラス「パラディン」は、ケイノスでしかなれない。逆に「シャドウナイト」はフリーポートでしかなることができないのだ。同様に、メイジ、プリースト、スカウトといったアーキタイプの成長後にあるサブクラスにも、どちらかの都市でしか選択できないものがある。これはパッケージに同梱されているマニュアルでも解説されているので、製品版の購入後は、一息入れて、マニュアルに目を通して考えるのをオススメしたい。 ■ 『冒険記第一回』 大都市に渡る価値があるか試される場所「難民の島」 それではいよいよ、この連載の本来のスタイルである、私のノーラス冒険記を綴っていこう。まずは冒険の前にキャラクタメイキングである。
キャラクタメイキングが終わると、物語はファーシーズ号という船の甲板から始まる。プレーヤーはみな漂流しているところを発見された難民なのである。ファーシーズ号を降りると、いよいよ、冒険のスタート地点である「難民の島」に降り立つ。難民の島に降り立つとまず、目の前にいるNPCに話しかけられる。実際には、話しかけられるというよりも、向こうから「こっちに来い!」と呼ばれるというほうが正しい。 この「いきなりNPCに呼びつけられる」というのはEQ2の特徴のひとつだ。EQ2に登場するNPCは全てフルボイスで話しかけてくる。さすがに言語は英語なのだが、フルボイスの音声が流れるのと同時に、ログウィンドウにNPCの言葉が表示され、NPC自身は手招きをしてくる。今までのMMORPGにはない凝った演出だ。 自分を呼ぶNPC Garven Tralkに話しかけると、名前と職業を聞かれる。その上、「時間が無いので手短に行くぜ」という前置き付きだ。この難民の島は文字通り、どこからともなく拾われてきた難民が次から次へと押し寄せてくるようだ。ここで言う「難民」は、EQ2をプレイし始めたプレーヤー全員だ。時間が無いという言葉通り、先ほど自分が降り立った地点を見ると、次々と新たなプレーヤーが現れている。EQ2をプレイしはじめたばかりの、右も左もわからないプレーヤーは、言わば本物の難民なのである。そんなプレーヤーたちを一人ひとりを呼びとめて、名前と職業を聞いているのだから大変だろう。そんな苦労を想像させられる演出である。 さて、このNPC Garvenとの会話では、そのキャラクタにとって非常に大事な「アーキタイプ」の選択を行なうこととなる。アーキタイプとは職業のことであり、戦闘のスタイルだ。選択できるのは「ファイター」、「メイジ」、「プリースト」、「スカウト」の4種類のアーキタイプだ。 私が選んだアーキタイプは「ファイター」だ。ファイターのスタイルは重量級の武器や防具を装備して、敵と正面から立ち向かう。グループでは、俗にメインタンク(MT)と呼ばれている役回りをこなすことになる。なぜ、ファイターを選んだのか? グループ戦闘ではメインタンクのHPは敵にどんどん減らされていく。その後ろではプリースト系のクラスについている仲間が、メインタンクのHPを必死に回復し、支えてくれている。メインタンクとはこのバランスが崩れてしまったりグループとの呼吸や意思の疎通がかみ合っていない場合は、真っ先に死んでしまうクラスなのだ。それだけにうまく仲間の協力が機能していることを肌で感じ取りやすい。そういうところに惹かれて、まずはファイターを選んでみた。 アーキタイプを決定し、その旨をGarvenに伝えると、食料と水、立てかけてあった武器、そしてチュニックをくれた。粗雑な言い回しから感じた印象にしては、なんとも親切だ。ところが、そう思ったのもつかの間。Garvenは難民キャンプを襲撃してくるゴブリンを1匹倒して来いと私に告げた。なるほどそういうことだったのか! どんな世界でも美味い話には裏があるものだなぁ、などと思いつつも、難民キャンプを通り抜けると、次々と難民キャンプに向かってくるゴブリンの姿が確認できた。早速ゴブリンをターゲットして戦闘を開始。 戦闘を開始すると、さしたる危機もなく本当にあっけなくゴブリンは倒れた。ちなみに難民キャンプの入り口を見ていると、門の前で難民キャンプを守っているガードが次から次へと近づいてくるゴブリンを一刀に伏している。その光景を見ると、ゴブリンの襲撃による被害など心配無用にも思える。Garvenが持ちかけてきた、襲撃を食い止めて欲しいという話は、実は表向きのもので、本当は私の力を試そうとしていたようにも感じる。 拍子抜けするほどあっけなくゴブリンを1匹退治した私は、早速それをGarvenに報告した。すると報酬として手に装備するグラブをくれた上に、この島には職業ごとに教官がいること、教官の指示のもと頑張れば、遠からずもっと大きな街に行くことができることを教えてくれた。やはり私は教官に直に指導を受けるほどの素養があるかを試されていたようだ。 実はこの時点で島を出てGood属性ならばケイノス、Evil属性ならばフリーポートに進むことになる。Garvenの言う教官の指導は省略できるのである。先を急いでいる場合は、教官の指導を受けずに難民キャンプの北東側にある桟橋にいるファーシーズ号の船長たちと話すことで、それぞれの都市に移動することができる。ただ、教官からもらえる数回のクエストを完了すると、一揃いの防具をもらうことができる。それ以外にも島内を探検していると様々なクエストが発生するのだ。クエストの中にはゴブリン語を習得してゴブリンの言葉を理解できるようになるといったものもあるので、特に初回の場合は島の中をゆっくりと見て周ることをオススメしたい。 それぞれ職業に見合った教官と話すとクエストが受けられる。ここで受けることができる仕事は、クラスごとに内容が若干異なるものの、基本的には島を見て周りながら、指定されたモンスターを倒してアイテムを集めるといったものになる。レベルに見合った相手を選んでいれば、どれもソロで達成可能なものだ。ただし、名前の縁取りが赤く取られているアクティブな敵に襲われることと、グループを組んでいる敵には注意しよう。
教官からの仕事を順調にこなしていくと最後に請けおうことになるのが「オークの洞窟を探し出してオークリーダーを倒す」というものだ。このクエストは、3匹、4匹といったお供のゴブリンが同時に襲い掛かってくるので、通常はグループを組んで挑むのが望ましい。Looking For Group(LFG)という、グループを探していますよという意思をサーチに反映させる機能や、同エリアのプレーヤー全てに伝わるOut of Character(OOC)チャットでアピールして、オークリーダーを倒したいと考えているグループを作成、もしくはすでにあるグループに参加しよう。 私の場合は、OOCで同じ目的を持っている冒険者に呼びかけてグループを作成した。EQ2全般に言えることだが、クエストの完了や進行を中心に考えたグループ作成というものは非常に多い。特に難民の島でグループを組む必要性を感じるクエストは、オークリーダーの討伐を含めてもあまり多くないので、呼びかければすぐに参加希望者から反応をもらえるだろう。スムーズに初めてのグループプレイを体験できるのは非常にありがたい。
難民の島でやり残したことが無くなると、いよいよ中心都市への移住となる。桟橋にいるファーシーズ号の船長に話しかけると、この島がどういう島なのか、その背景や事情を聞くことができる。難民が集まる島で、なぜ力を試されるのか、職業別の教官がいるのか、その辺りの謎は船長との話でわかるはずだ。難民の島が持つ役割を聞いたのちは、それぞれの都市から派遣されている特使と話すことになる。特使にケイノス、またはフリーポートに移住したい! と返答して話を進めることで、いよいよ旅立つことができるようになるのだ。
今後、何度も使うことになるだろう「マリナーズ・ベル」を操作すると、いよいよ難民の島とお別れをすることとなる。ちなみに、一度ケイノスやフリーポートに移動してしまうと、難民の島には戻ることができないので注意しよう。問題がなければ、カンカーン! とマリナーズ・ベルを鳴らそう! その高らかな音と共に、いよいよ本土での冒険が始まるのだ!
今回の冒険記は、言わば序章とも言える「難民の島」での冒険をお届けした。難民の島での内容は属性に関わらずほとんど共通なため、それぞれの属性ならではという部分もまだ出てきてはいない。次回からはいよいよ、Good属性の中心都市「ケイノス」とEvil属性の中心都市「フリーポート」に上陸してからの本当の冒険が始まるというわけだ。それでは、次回またお会いしましょう。
□スクウェア・エニックスのホームページ (2005年6月22日) [Reported by 山村智美/Pomm]
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