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【Electronic Entertainment Expo 2005 現地レポート】

Microsoftブースレポート Xbox 360特別編
会期中に行なわれたデモプレイ、ミニインタビューを総まとめ

会期:5月18日~20日(現地時間)

会場:Los Angeles Convention Center

 E3 2005期間中に、Microsoft Game StudioのXbox 360関連イベント、そしてインタビューがいくつか行なわれた。Xbox 360の新規タイトル、そしてXboxからXbox 360へとシフトしたタイトルなどのデモプレイ、また、Micorsoft Game Studiosで指揮を取るシェーン・S・キム氏のインタビューなどをまとめてご紹介しよう。


■ RAREのXbox 360用新作FPS「Perfect Dark Zero」

 現地時間19日、マイクロソフトブースにてRAREのXbox 360用タイトル「Perfect Dark Zero(以下、PDZ)」の開発者デモプレイイベントが開かれた。RARE側からはプログラムマネージャーのRichard Cousins氏が出席し、「Perfect Dark Zero」のデモプレイを行ないながら開発状況やゲームの特色などを語った。

主人公のジョアンナ・ダーク。「PDZ」は『パーフェクト・ダーク』のコードネームを得る前という設定だ
 「PDZ」は、ニンテンドウ64で人気を博した一人称視点のSFシューティング「Perfect Dark(パーフェクトダーク)」の続編的タイトル。舞台は「Perfect Dark」よりも前の2020年。主人公のジョアンナ・ダークが完全無欠のエージェントとなっていくまでの過程を描いたストーリーだ。開発者によると、「PDZ」はXbox用に用意されたタイトルだが、数週間でXbox 360用に移植したという。

 「PDZ」はXbox 360の通信機能を介し50人もの、プレーヤーが参加可能なマルチプレイモードが楽しめる。だが、取材でデモプレイが行なわれたバージョンは開発度30%のα版。今回はデスマッチモードの2人対戦を取材陣の前でプレイしてくれた。画面撮影は禁止のためスクリーンショットは公開できないのだが、フレームレートも荒く画面も綺麗とは言い難い状態であった。とりあえずは遊べる、という段階だったため取材した内容は今後変更になる可能性はある。

 マルチプレイはブリーフィングルームからスタート。ここから戦場に所持していく装備を変更する。武器スロットは最大で4つ、マシンガンは2スロットだがセンサー爆弾付きのドラゴンなどの強力な武装はスロットをまるまる4つ使用するという。「PDZ」のマルチプレイは参加者は必ず赤と緑のチームに分かれ、レーダーではプレーヤーの味方チームが緑、敵対勢力は赤く表示される。ゲーム中に登場する車両についても例外ではなく、敵のビークルを奪った場合はレーダー色が赤から緑に変わる。

 いざ戦場に赴くと、マップがあり得ないほどに広いことがわかる。さすがは50人のプレーヤーをサポートする戦場だ。あまりに広すぎるためか開発者の操るジョアンナは走るのを止め、背中のジェットパックで飛行。一気に市街地へと降り立つ。

 ここで敵対チームと遭遇。射撃方法や壁の張り付き効果(一人称の視点が壁に張り付くと三人称視点に切り替わる)や前転による回避方法など、様々なアクションをレクチャーしてもらう。キャラクタが被るダメージは、ショックダメージとリーサルダメージがある。高所から飛び降りた時などに受けるショックダメージは時間が立てば回復するが、身体の急所に被弾した場合のリーサルダメージは回復不能となる。

 α版ということで簡単に評価はできないが、主人公がエージェントという設定がゲーム内に上手く活かされていると感じた。アクションの多さと軽快な移動速度から、ストレスの無い操作を行なえるFPSという印象を受ける。FPSが苦手というプレーヤーは、Xbox 360と共に「PDF」を購入してはいかがだろうか。

 デモプレイが終わると、会見の時間の終了が差し迫っていた。そのわずかな時間で、取材陣はふたつの質問をRichard氏に投げかけてみた。

――開発状況は30%というが、残りはどの部分が完成していないのでしょうか?

 一部のグラフィックと、そしてマルチプレイ時のゲームスピードの調整ができていない。発売予定の6カ月後までに、その辺りを中心に開発を進めていきたい。

――プラットフォームがXboxからXbox 360となり、開発的に何か変わった部分はありますか?

 Xboxではマルチプレイの参加人数に限界を感じていたが、Xbox 360になり50人のマルチプレイをサポートできるようになった。それが一番大きな変更点だ。

「PDZ」のβキットを期待して待ってください、と語るRichard氏 最後は「Perfect Dark Zero」の販促用コミック(英語)をいただいた


 何は無くとも、ひとまずは「Perfect Dark Zero」が6カ月先のXbox 360の発売日に同時発売されることを祈るばかりだ。


■ RAREのXbox 360用新作アクションゲーム「KAMEO ELEMENTS OF POWER」

George Andreas氏はRAREに勤続10年以上というナイスガイ。「ドンキーコング64」などの開発にも携わったという
 E3も閉幕間近の20日16時、マイクロソフトブースにてRAREのシニアデザイナーGeorge Andreas氏から、Xbox 360で発売予定のアクションゲーム「KAMEO ELEMENTS OF POWER(以下、KAMEO)」のデモプレイを見せていただいた。

 プレビューレポートの予備知識として「KAMEO ELEMENTS OF POWER」のゲームについて軽く説明しておこう。このゲームはカメオという妖精の王女を操り、ダークトロルキングを倒すというファンタジックな3Dアクションゲーム(ジャンルはマジカルアドベンチャー)。カメオは10種類のモンスターに変身できる能力を持ち、その能力で敵を倒していく。

このゲームは元来Xbox用に開発されていたタイトル。George氏によるとそれをXbox 360用のタイトルとして、グラフィックを中心に修正したそうだ。今回のトークイベントが開催された部屋ではXbox版とXbox 360版の2種類の「KAMEO」が用意されており、ふたつを対比させるというスタイルでデモプレイは進行した。次世代機の導入で同じ内容のゲームがどれだけ進化するのか? それを知る数少ない機会ということで、とても興味のそそられる内容であった。

「Perfect Dark Zero」と同じくコミック(絵は「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」などの作画で著名な北爪宏幸氏)をいただいた。この小冊子は、残念ながらE3でプレスにのみ配られた限定品……
 まずGeorge氏はXbox版「KAMEO」を起動した。場面は町の風景。ここでGeorge氏は「王女KAMEOの足元の道のタイルに注目してほしい」と取材陣に語りかけた。足元の道はタイルの表面に石畳のテクスチャを張っているあるものの、1枚の平らな板に見えてしまう。「今度はXbox 360版の同じシーンを起動してみよう。隣のモニタの同じ部分に注目してくれ」とGeorge氏。言われるがままにXbox 360版の画面の道を確認してみると、タイルのひとつひとつが影までくっきりと表示されていて、でこぼこした道の表現力が格段に増していた。

 「この足元のテクスチャに使われている技術はパララクス・マッピング(テクスチャ座標を高さに比例させ、視線方向にずらして他のテクスチャをサンプリングする手法)という技術で、Xbox 360だから実現できた物だ」とGeorge氏。比較画面が無いので読者諸君には申し訳ないのだが、たしかに同じゲームのシーンでもXbox 360版の方が生き生きとした表現が可能になっていることがわかる。

 その後、王女KAMEOの故郷のシーンをいくつか比較したが、一番はっきりとした違いが確認できたのは水面の表現。Xbox 360版では水の反射を算出して表現できるとのことで、「事実上、本物の水の動きを再現している」と言う。水面の波紋の動きまで完全に表現できるようになったXbox 360のハードパワーと、RAREの技術力の高さを知ることができた。

 グラフィックの向上を含めた「KAMEO」Xbox版からXbox 360版への移植作業はわずか6週間で完了したという。これはXbox 360が快適な開発環境、そして高い表現技術の実現を可能にするだけの力を有しているということの紛れも無い証明だろう。最後にGeorge氏は「この『KAMEO』は長い年月をかけて作られたタイトル。奥深い内容になっているのでぜひ遊んでみてください」と日本のXboxファンにコメントし、イベントは無事終了した。

□RAREのページ
http://www.rareware.com/welcome/welcome_all.html


■ Epic Games開発の新作アクションシューティング「Gears of War」

映像の美しさは言うに及ばず。まだ開発中でフレームレートは低めだったが、十分にXbox 360のパワーが感じられる
 MicrosoftとEpic Gamesが協力して制作している、SF世界で繰り広げられる三人称視点のアクションシューティング。Epic GamesのRay Davis氏が、2種類の異なるマップで行なわれたデモプレイを見ながら、ゲームの見所を解説した。

 本作の注目点として語られたのは、「さまざまなオブジェクトを盾にできる」ということ。デモで見られたシーンでは、巨大な建物の柱を砲撃して破壊し、それにより倒れた柱の影に隠れ、敵からの銃撃をやり過ごすというものがあった。

 このような仕掛け自体は今までのゲームにもあるものだが、本作の凄いところは、出現するほとんどのオブジェクトを破壊できるという点にある。破壊されたオブジェクトはそのままその場に残るため、倒れた柱などが消えたりせず、そのまま壁として流用できる。従来のアクションゲームでは「今あるマップでどう対応するか」と考えたものだが、本作では「マップにあるものをどう活用すれば攻略できるか」という思考が必要になる。

 これは攻略上だけでなく、ゲームのリアリティにも直結する。バズーカを撃ち込んでも傷ひとつつかない木など、現実に即して考えればありえない。これらの処理を行なうためには、より高度な物理演算能力や、より多量のデータが必要になる。このようは表現ができるのは、Xbox 360のパワーのたまものというわけだ。

 オブジェクトが破壊される際の動きも理にかなったもので、見ていて違和感がない。プレスブリーフィングなどで公開されている映像(Xboxのホームページで公開中)などでは、グラフィックスの美しさに目が行きがちになると思うが、オブジェクトが動いたり壊れたりする様子にも注目していただきたい。

 そのほか、三人称視点で見えるプレーヤーキャラクタの動きもなかなか秀逸。壁際から肩越しに銃だけを出して撃つなど、状況に応じて可能な限り体を隠して攻撃していた。詳しい操作方法まではわからなかったが、この辺りにも面白いフィーチャーが隠されていそうだ。

□「Gears of War」のページ
http://www.xbox.com/en-us/gearsofwar/


■ シェーン・S・キム氏インタビュー

Microsoft Game Studiosのジェネラルマネージャーであるシェーン・S・キム氏
 Microsoft Game Studiosのジェネラルマネージャーとして、同ブランドを束ねるキーマン・シェーン・S・キム氏にもインタビューの機会が与えられた。XboxからXbox 360への体制移行はいつから行なわれたのかなどを中心に話をうかがった。

――「KAMEO」がXboxからXbox 360へ移行したのはいつからでしょう? 昨年の段階では北米で7月発売と告知されていましたが?

 E3 2004を終えた後に、すぐXbox 360への移行を考えました。日本での次世代機であるXbox 360での成功のためにはコアゲームプレーヤーだけでなく、もっと幅広い他のゲームプレーヤーに訴求する必要があると考えます。なぜ、「KAMEO」を移行させたかというと、幅広い層のプレーヤーの方々に、Xbox 360ですばらしいゲームを実現できるということを証明しようとしたからです。

――現状、Micorsoft Game Studiosで手がけられているタイトルは、すべてXbox 360へ移行しているのでしょうか?

 かなり多数がXbox 360に移行しています。明らかにできるのは現状発表されているものですが。現状、この7つのタイトルで充分だと考えています。

――Xboxで発売されたタイトルの続編も、Xbox 360でのリリース予定はあるのでしょうか? 例えば「HALO 2」などは?

 今日は何も言えませんが(笑)。続編を期待しているユーザーの方には、期待してほしいと言っておきます。

――Xbox 360ではMicrosoft Game Studiosのタイトルラインナップの変化などが予定されているのでしょうか?

 ジャンルに変化はありません。私たちが作りたいのは、最大のインパクトを与えるゲームです。Xboxには日本向けにRPGを用意できなかったので、坂口さんたちの力を借りたことは非常に重要だといえるでしょう。

――スクウェア・エニックスさんが「FFXI」でXbox 360に参入されましたが、PCなどの他のプラットフォームとの連携は考えていらっしゃいますか?

 将来的に、Xbox 360とWindowsをXbox Liveを介して連携させていきたいと思いますが、今ははっきりとしたことはお伝えできません。

――ありがとうございました。


(C)2005 Microsoft Corporation. All Rights Reserved.

□Xboxのホームページ
http://www.xbox.com/ja-jp/
□Xbox 360のページ
http://www.xbox360.com/
□関連情報
Electronic Entertainment Expo 2005 記事リンク集
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20050520/e3link.htm

(2005年5月22日)

[Reported by 福田柵太郎/石田賀津男/佐伯憲司]


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