【Watch記事検索】
最新ニュース
【11月30日】
【11月29日】
【11月28日】
【11月27日】
【11月26日】

Electronic Entertainment Expo 2005現地レポート

EIDOSブースレビュー

EIDOSブース。今年は展示ホールでの出展から撤退。ミーティングルームでのプライベートブースでの参加となった
5月18日~20日開催(現地時間)

会場:Los Angeles Convention Center

中に入れば、TOMB RAIDERシリーズでお馴染みのララ・クロフトがお出迎え。これぞほんとの看板娘!?
 2005年5月18日付けでEIDOSは同じイギリスのゲームパブリッシャであるSCI GAMESに買収されたことを発表した。今後のEIDOSブランドがどうなるのか、日本のEIDOSがどうなるのかは未定だが、とりあえず、今回のE3で展示された作品群は無事に発売される事になる模様。

 今年の注目作を中心にレポートをお届けしたい。


■ Lara Croft Tomb Raider Legend~今回、「聖域なき構造改革」しちゃいました

 前作「TOMB RAIDER:美しき逃亡者」(以下TR6:TOMBRAIDER6)はグラフィックスや世界観こそ先進的だったが、ゲームそのものへの作り込み不足が目立ち、ファンの間でもその出来映えについてはかなりの物議を醸した。

 しかし、ファンの「TOMB RAIDER」シリーズへの愛着は変わることがなく、シリーズの続行は叫ばれ続け、これを受けて、再び、「TOMB RAIDER」シリーズの開発が始まることとなったのである。

 今作は、再び同じ失敗を繰り返すことができないこともあって、「TOMB RAIDER」シリーズにはかなり大胆なメスが入れられることとなった。まさに「TOMB RAIDER構造改革」といったところ。

 まず、開発スタジオがついに変更。オリジナル、「TOMB RADIER」1作目から制作を行なってきたCoreDesignからCrystal Dynamicsへと変更。Crystal Dynamicsは欧米では大ヒットを記録した3人称アクションゲーム「Soul Reaver」シリーズを開発した事で知られる実力派スタジオだ。

 開発元が変わったこともあって、ララ・クロフトの造型もリニューアル、彼女の衣装や武装も大胆な変更が施されている。

 厚ぼったい唇はそのままに、なんとなくアメコミ系ヒロインのイメージを感じさせる力強い顔立ちとなり、若干年を取った成熟した女性のイメージに変更。欧米では力強い中年ヒーロー(ヒロイン)に人気があるので、これを受けた大改革が行なわれたようだ。この美中年化されたララ・クロフトは、日本でどう受け止められるか、興味のあるところである。

 肌のライティングは、疑似的な表面下散乱を活用した簡易スキンシェーダにより行なわれ、透明感のある質感を実現。いかにもゲームキャラという感じだったララもついに人間らしく描き出されるように。

成熟した大人の女の魅力をふりまく新生ララ・クロフト。ちょっと怖いけど。肌の質感に注目

 前作までは様々な小道具がどこから飛び出してきたかわからない四次元ポケット的な表現を廃止。二丁拳銃、手榴弾、小型モーター付きワイヤーフック、双眼鏡……といったさまざまな小道具が彼女の衣装に取り付けられ、これを実際に掴んで使うようなリアルなアクションに変更された。

なお、あの象徴的な背中のバックパックは今作でも健在 なんか動き出しそうな気配。ボス戦の予感


■ じっくりと遺跡と向き合う新生ララ・クロフト

 入れられたメスの中で一番大きかったのは、ゲームストーリーについて。

 「現時点では」という条件付きながらも、ストーリーは基本的にTR6とは無関係なものになる。TR6に残された数々の謎は永久に謎のままとなりそうだ。前作をプレイしてクリアした人が気になるのは、TR6から登場したもう1人の主人公「カーティス・トレント」の行方だ。これも基本的には消息不明と言うことになるようだ。

 EIDOSスタッフによれば「あれはパラレルワールドでの出来事だったんだ」と明るく笑うほどで、既に「TR6はなかったことにしてください」という事になった模様。

 さて、今作の開発にあたり、スタッフは「TOMB RAIDERシリーズの面白さはなんだったのか」を念入りに振り返ったのだという。さまざまな調査や考察から導き出されたのは「TOMB RADIERシリーズの面白さ=広大な遺跡を冒険するスリル」というごくごく基本的なエレメントだったとのこと。

 そこで、今作の冒険の舞台は遺跡、ジャングル、雪山……など。このロケーションは「TOMB RAIDER1」を連想させるが、その通り。今作は伝説的(Legendary)名作である「TOMB RAIDER1(TR1)」の再来を目指しているのだそうだ。

「“TOMB”RAIDERなのでやっぱり遺跡が舞台がいいよね」とEIDOSスタッフ 垂れ下がっているロープ。飛びついてスイングせよ

 しかし、21世紀のコンピュータゲームで、TR1のようないまだにブロック押したり、スイッチの上げ下げパズルを仕込んだのでは物足りない。

 そこで、遺跡の中に仕組まれた罠やパズルには「機械的な仕掛け」を盛り込んだ「リアル系なパズル」としたのだという。

行く手を阻むトラップ。回転するように見える石版に石柱が寄りかかっているために動かない。石柱をどうどけるか?
 川の流れを利用して物を押したり、引っかかっている物を外し、動くようにしたり……とパズルやトラップの仕組みは実に多様。しかも、多くのトラップやパズルは、物理エンジンの働きの上で成立しており、トラップの解法が必ずしも1つではないというのだ。たとえば、岩が引っかかってその仕掛けが作動できないというパズルにおいて、この岩を押してどけてもいいが、爆発物を使ってこの岩を吹き飛ばして排除することでもクリアできる。今作のパズルでは解法が何通りもあるというのだ。

 プレイ中、あらゆる局面で物理エンジンの介入を感じるゲームデザインは、確かにこれまでの「TOMB RAIDER」シリーズとは違う。違うのだが、違和感はない。むしろ、遺跡にいるという臨場感を強く引き出すことに成功している印象を受ける。なお、物理エンジンは内製のものだそうだ。


■ 遊びやすさと派手なアクションの両立に向けて

 「TOMB RAIDER」シリーズといえば、ララ・クロフトの多彩なアクションが魅力であった。しかし、そのアクション操作に正確性が求められすぎて難易度が高くなってしまっていたのも事実。そこで今作では「遊びやすいこと」と「それでいて派手なアクションが楽しめること」の両立を心がけたのだそうだ。

 遊びやすさの工夫は至る所で見られる。

 1つは崖っぷちで移動操作。仮に操作を誤ったとしても転落はせず、崖っぷちに掴まる動作を自動的に行なってくれる。

 前作まであった、よく意図の分からないシステム側からの強制的な視点の固定化というのも排除された。視点は常時プレーヤーが制御可能で、その視点の移動範囲も広く設定されており、ここで示した画面ショットのように、ララを正面から捉えることもできる。操作イメージは「Splinter Cell」(Ubi Soft)シリーズに似ているかもしれない。

視点を自在に変更可能! ファンはこれをまっていた

 また、敵を攻撃する仕組みも大幅に改善された。敵に銃を向ける動作は同じだが、どの敵をどのボタンで攻撃するかをリアルタイムにアサインすることができる。たとえば、高台に乗っている岩へのロックオンを△ボタンに割り当て、敵を別ボタンで攻撃しつつ、そちらへ誘導し、ここぞというタイミングで△ボタンを押して岩を撃ち落とし、敵をまとめて岩の下敷きにさせたりできる。ララがついにシリーズ7作目にして二丁拳銃の二丁拳銃たる使い方をマスターした……といったところだろうか。

戦闘中もバリバリド派手なアクションを決めるララ。その超人的な動きは「デビル・メイ・クライ」を連想させる


■ ララがプリンス・オブ・ペルシャとインディー・ジョーンズに恋をした!

 「遊びやすさ」に並んで重要視されたのがそのアクション性の部分だ。

 「TOMB RAIDER」といえば主人公ララ・クロフトのアクロバティックなアクションが最大の魅力だといえる。

 本作には障害キャラとして動物や悪人が登場するが、彼らとの戦闘は本作においてはサブ要素でしかない。本作のメインとなる敵は、遺跡としての地形トラップの方なのだ。

 今回はゲーム中、そうした地形トラップをクリアしていくうえで必然的にアクロバット行動が必要になるようなデザインになっているのである。

 岩壁から岩壁に飛び移ったり、段違いに石壁に突き刺さった棒を体操選手のように大車輪で回りながらジャンプして飛び移っていったり……と、リズミカルにアクションを紡いでいかなければならない局面が多い。

 このプレイ感覚には見覚えがある……と思ってよく考えてみると、そう、Ubi Soft版の「プリンス・オブ・ペルシャ」だ。今作の「TOMB RAIDER」は「プリンス・オブ・ペルシャ」に似ているといえる。

走って、掴まって、スイング。ド派手なアクションを踊るように紡いでいく様はプリンス・オブ・ペルシャを彷彿とさせる

 今作のララ・クロフトは鞭(ムチ)を持っていて、これを離れた場所にある小道具に巻き付けて引き寄せたり、高いところに巻き付けてスイングして移動したりすることもできる。これは敵を引き寄せる動作にも使え、このアクションは映画「インディー・ジョーンズ」の主役、インディーによく似ている。

 また、敵を蹴り上げて、うち上がったところをさらに追い打ちしたりするアクションは「デビル・メイ・クライ」チックだ。

 なんだか節操のないオマージュ(ということにしておこう)が多い今作のララだが、確かに、その分、「アクションスター」としては一段階垢抜けた印象がある。

 前作まで隠れアクションとして設定されていた倒立着地も健在。さらに棒を掴んでの大車輪中にはトカチェフのようなC難度の鉄棒技を出しちゃったりもする。

 発売時期は2005年冬以降。プラットフォームはPS2、Xbox、そしてPC。次世代機への移植の予定は現時点ではなし。日本版の発売はEIDOSの買収問題も関連して全くの未定。

今作で追加された鉄棒アクション。君はトカチェフをだせるか


■ HITMAN-BLOOD MONEY~AGENT47への新たなる殺しの依頼

 あの「ヒットマン」に待望の続編が登場した。その名も「HITMAN BLOOD MONEY」。

 これまでヒットマンシリーズは「HITMAN CODENAME47」、「HITMAN SILENT ASSASIN」、「HITMAN CONTRACT」の3作品が登場している。「CONTRACT」は「ASSASIN」の外伝(番外編)に相当する作品なので、「CODENAME47」を“1”、「ASSASSIN」を“2”とすれば、今作「BLOODY MONEY」は“3”に相当することになる。しかし、今作は、ゲームエンジンを完全リニューアルとしたこと、シリーズ構成が複雑になってきたことを踏まえて、あえて“3”のナンバリングを排除。独立した新作として提供し、新しいユーザーの獲得も狙う。

 今作もプレーヤー扮する主人公はHITMANこと、AGENT47。さまざまなシチュエーションの殺しの依頼を受けることになる。今作では、AGENT47に敵対する2人の同業者が登場。依頼される殺しのミッションに、この2人のライバル達が妨害工作を仕掛けてくることがあり、静かな殺しのドラマに戦慄のスリルがオーバーラップする。

 今作でも、ただ殺しを成功させるだけではだめ。なるべく大げさにならないように、できれば、「殺人」でなく、「事故」であった、というふうに見なされるような“殺し”を心がけなければならないのだ。ベランダから突き落としての「偽装自殺」なんてのはまさに理想。

 ユニークなのはプレーヤーの行動の評価システムで、あまりにも派手なドンパチをやると、ゲーム内社会の翌日の新聞にドカドカと報じられ、依頼者からの反感を買って報酬(BLOOD MONEY)に響くことになる。逆に自殺に見せかけられれば依頼者は大喜びで報酬をはずんでくれることになる。なお、得た金は武器の購入に充てたり、あるいはマスコミや関係者への賄賂にも活用できる。今作はサブタイトルにある「BLOOD MONEY」がゲームを進めていく上でのキーポイントとなっているのだ。

こんな感じに警官隊と撃ち合ったら翌日の新聞は!? まぁ、ドンパチが必然となるシーンも多いようだが。同業者の行動にも注意
殺し方はあなたのセンス次第


■ グラフィックスエンジンを一新、卓越した影生成はゲーム性にも貢献

 AGENT47の殺しの現場への潜入の鍵となるのは変装。変装するためにはその場を騒がせることなく、関係者を排除、その服を奪って変装する必要が出てくる。そう、今作でもステルス行動がゲーム進行のキモとなるのだが、ステルス行動には影を味方に付けなければならない。

 冒頭でも触れたようにゲームエンジンが一新されており、テクスチャ主体の明暗表現から、ついにリアルタイムライティングによる光と影の生成へとステップアップ。

女性の手の影が自身の服に投射されている点に注目。今作は影の生成に気合いが入っている
 ちなみに影生成の技法は、SplinterCellシリーズなどとおなじ、シャドウマップ技法(デプスシャドウ技法)を採用。当然、セルフシャドウや相互等射影も再現される。

 いうまでもないだろうが、このリアルタイム生成された影に潜めば、敵から見つかりにくくなる。ややコントラスト感の強い光と影の表現は、どこに身を潜めばよいかを、自ずとプレーヤーに訴えかけてくる。シーンを見回すだけで、自分なりのステルス戦略がプレーヤーの脳裏に浮かんでくることだろう。

 顔の表現や服のシワなどは法線マップで表現されるようになり、影生成以外のグラフィックスディテール表現にもトレンド技術を導入。ビジュアルクオリティはこれまでの作品と比較してだいぶレベルアップしている。

 エンジン名はGlacier Engineで、開発はIO Interactive。北米での発売時期は2005年秋。プラットフォームはPC、Xbox、PS2。

敵に近づき、これを排除して、変装する。この三段活用で目標への「殺し」に近づいていく


■ COMMANDOS STRIKE FORCE~あのCOMMANDOSがFPSになっちゃいました!

 あのトップビューのストラテジックステルスアクションの金字塔「COMMANDOS」がFPSに大変身して登場。

 とはいってもゲームコンセプトはちゃんとCOMMANDOSしていて、無敵の弾薬男「グリーンベレー」、狙撃の名手の「スナイパー」、変装の達人「スパイ」の3種類のキャラクタを使い分けて、第2次世界大戦下、ナチスドイツの野望を阻むというゴールコンセプトは同じだ。

 能力の異なる3種類の自キャラを状況に応じて切り替えて使いミッションのゴールを目指す。使い分けるといっても実体として3人いるので、使っていないときは、そこで待機することとなり、上手い場所に待機させないと見つかって殺されてしまう。

 自分だけのステルス行動だけでなく、一時的に置いてきた仲間の心配もしないといけないというのがちょっと新しいゲーム要素だ。なお、その仲間が敵に見つかった場合など、重大なイベントが発生すると、ピクチャーインピクチャー機能でゲーム画面にその状況が描画される。

 ゲームはこんな感じで進めていく。たとえば敵基地施設への入り口をゲートが遮断していてこれを見張り番が監視しているとする。スナイパーでこの見張りを狙撃。スパイに切り替えてこの死体の服を奪って敵兵に変装。変装後は、敵側の詰め所にいって何食わぬ顔してゲートの開閉スイッチを入れる……。

 そう、こうして考えるとゲームの進行は歴代のCOMMANDOSと同じなのだ。しかし、視点が各キャラクタの目線に移った関係で、神の視点でプレイできた前作と違い、没入度が高い。

かなり装いが変わってしまったCOMMANDOSだが、開発元はシリーズ全てを手がけてきたスペインのPYRO STUDIOSが担当する。発売時期は北米で2005年内。プラットフォームはPC、PS2、Xbox


■ 25 to Life~警察とギャングに分かれて大戦争

 警察組織とストリートギャングの構想を描いた三人称視点のアクションシューティングゲーム。プレーヤーは警察サイドのLester Williams警部かストリートギャングのリーダーAndre Francisの双方でプレイすることになる。

 物語を進めていく段階で操作キャラが切り替わり、それぞれの視点で警察対ギャングの構想を戦い抜いていく。

 オンラインプレイは最大16人で可能。サウンドトラックには2Pac、Xzibit、Public Enemy、DMXなどの有名ミュージシャンの曲を採用。

プラットフォームはPS2、Xbox、PC。発売時期は2005年夏を予定


■ Just Cause~次世代ゲームエンジンによる次世代ゲームミング

 南米の架空の島にある小国San Esperitoが大量破壊兵器を所有していることが判明。この疑惑について調査するためにCIAエージェントRico Rodriguezが派遣された……というオープニングで始まるこの作品は、島丸ごとをコンピュータ上で再現してしまったGTAタイプのフリー・エンバイロンメント・ゲーム。

 島にはさまざまな人がさまざまな思いで暮らしており、彼らにインタラクトして様々なミッションを請け負い、最終的にはSan Esperito政府の転覆を目指す。この島の政府に癒着している犯罪組織や政府反乱軍の双方に協力し、パワーバランスを操作することでシナリオを進めていくというゲームコンセプトも新しい。

 開発はスウェーデンの新鋭、Avalanche Studios。まだゲームの内容はあまりできてはおらず、エンジンの作り込みに明け暮れている様子。地球シミュレータ的なコンセプトのゲームエンジンがまたひとつ新しく誕生した。

プラットフォームはPS2、Xbox、PCを予定。発売時期は未定

【「Just Cause」ムービー】
下の画像をクリックするとダウンロードが始まります。ZIP形式で圧縮していあります

【MPEG2形式 ZIP圧縮 60.6MB】
エンジンのテクノロジームービー。人々が生活し、自動車が走り、飛行機が飛んで、日が昇って月が出る。日常の全てを再現するゲームエンジン


□EIDOSのホームページ(英語)
http://www.eidos.com/
□アイドスのホームページ
http://www.eidos.co.jp/

(2005年5月22日)

[Reported by トライゼット西川善司]


Q&A、ゲームの攻略などに関する質問はお受けしておりません
また、弊誌に掲載された写真、文章の転載、使用に関しましては一切お断わりいたします

ウォッチ編集部内GAME Watch担当game-watch@impress.co.jp

Copyright (c)2005 Impress Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.