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会場:Los Angeles Convention Center
■ 両社協力の元、映画制作と完全にリンクしたゲーム開発を実現
Peter Jackson監督自らがゲームの制作に携わっているだけでなく、Univeral Studiosの全面バックアップのもと、制作現場と完全にリンクした形で開発が進められている。たとえば、セットや模型、小道具類などの情報は完全に共有されている。同時開発でなければできない芸当だ。 Ubisoft側も、プロデューサーは同社の切り札と言われるMichel Ancel氏、開発チームは同氏が率いるUbisoft Montpellier(フランス)が担当。開発はXboxベースとなっているが、今回新たにラインナップに加えられたXbox 360版ではその性能をフルに活かすべく、ハイクオリティバージョンの制作も同時並行して進められている。こちらの開発元はUbisoft Montreal(カナダ)が担当。まさにUbisoftの中でも最高の環境が整えられている。 グラフィックスエンジンについては、Ubisoftブースレポートで「Prince of Persia: Warrior with in」のエンジンと書いたが、正しくは「Prince of Persia」シリーズのエンジン(ニュアンスとしては3まで含む)と、Ubisoft Montpellierの代表作である「Rayman」シリーズのJadeエンジンを掛け合わせたカスタムエンジンが使われている。 発売時期については流動的で、今冬に予定されている映画公開の1、2週間前になるという。日本でも公開の数週間前に発売する方針だということだ。「Peter Jackson's King Kong」に関しては、現在厳しい情報規制が行なわれており、実はE3での公開が、映画、ゲーム合わせて初の情報公開になるという。 映画は、'33年に公開された原作をベースに、Peter Jackson監督ならではの新しいエピソードも追加し、180分の大作映画になるという。スカルアイランド(キングコングの棲む島)でのフィルム撮影に始まり、紆余曲折を経てキングコングを捕獲、そしてニューヨークでキングコングが覚醒し、大暴れするという基本的なプロットは変わらない。
一方、ゲームは映画をベースに、壮大なインタラクティブエンターテインメントに作り直される。前半は撮影隊の一員として、スカルアイランドにおいてキングコング捜索を体験し、中盤あたりから徐々にキングコングの操作が可能になり、終盤は完全にキングコングの豪快なアクションが堪能できるようだ。
■ キングコングのしなやかな動きとパワーに圧倒される
ムービー前半は、言わばチュートリアルで、「King Kong」の前半シーンで有名なシーンばかりが流された。画面を覆わんばかりに巨大なキングコングの咆吼そして激しく両胸を連打するドラミングシーンで幕を開け、原住民がキングコングに贈るために高台に貼り付けにした金髪美女をひったくっていく。 一方、撮影隊は、キングコングどころではなく、原住民の襲撃を受け、火矢が雨あられと振りそそいでくる中、ジャングルの奥地奥地へと進んでいく。奥には古代遺跡のようなものがあり、その先にはキングコングが奥へ進んでいくのがうっすら見える。 遺跡に踏み込んだ撮影隊を待ち受けていたのが、人間の背丈の3倍ほどはありそうな恐竜で、撮影隊一行は、原住民によって投げ込まれた火矢を掴み、恐竜を撃退していくことになる。しかし、恐竜は、こちらの攻撃をものともせず、食いちぎろうとしてくる。何度も攻撃を食らう主人公、心臓の鼓動が早くなり、ぜえぜえ息を切らしつつ、遺跡の奥まったところに隠れて攻撃をしのごうとする。すると今度は巨大なムカデがするすると侵入し、撮影隊に襲いかかってくる。一時も休む暇を与えない展開だ。
攻撃を受けるたびにブラーがかかり、意識が遠のいていく感覚がうまく表現されている。矢を何本も投げつけて巨大生物たちを撃退した撮影隊一行は、いよいよ門を開け、キングコングのいる遺跡の奥へと侵入していくことになる。
ここでシーンが変わり、激しい雨と雷が降り注ぐジャングル奥地が舞台となる。しかしここでも恐竜に襲われてしまう。今度の恐竜は人の背丈の10倍ほどはあろうかという巨大恐竜で、撮影隊の一員をひと呑みにしてしまう。咆吼しつつ襲いかかってくる恐竜に対して主人公は銃や矢をもって対抗するが効いている気配がない。やむを得ず地形を利用して逃げようとするが、恐竜は手前の岩壁をぶち倒して突っ込んでくる。このシーンはここで終わりなのだが、撮影隊の運命やいかに!? といった感じである。 次のシーンは、いかだを使って急流を下るシーン。みたび恐竜に襲われ、今度は2匹が交互に襲いかかって来て、近づくたびに、画面がずしりずしりと大きく揺れる。撮影隊は、一丁のピストルで威嚇し、なんとか逃げようとする。 もはや逃げ疲れたといったそんなシチュエーションの中、恐竜と撮影隊の間に割って入るように、突如としてキングコングがずしーんと現れる。キングコングをじっくり確認できるのはこれが初めてで、撮影隊は目の前の危機も忘れてカメラを回し始める。キングコングは全身がふさふさとした黒毛で覆われており、片手は地面、片手は胸あたりに置いて金髪美女を大事そうに抱えている。 金髪美女を遺跡の物陰にそっと置き、いきなり恐竜に向けて豪快なワンツーパンチを食らわせる、続いて全体重を載せて体当たりをかまし、倒れた恐竜にトドメの両手振り下ろしの一撃を食らわせる。なぜキングコングが恐竜と戦っているのかはわからないのだが、キングコングのしなやかな動きと圧倒的なパワーに、撮影隊気分で見ている我々からすると気分がスカッとするシーンだ。 実はここは実際にプレーヤーがキングコングを操作するシーンということで、そうなると、大事な美女を守るためという歴とした戦う理由が生まれる。しかし、目が覚めた金髪美女はその足で遺跡から逃げ出してしまう。その後も、多くの恐竜たちと対峙するシーンなどが描かれ、序盤の逃げ回りプレイとはうって変わって、巨大生物のダイナミズムに溢れた手に汗握る格闘シーンが続く。それにしてもこれほど温度差の異なるゲームプレイを1つのゲームの中に包含したタイトルというのも珍しい。
原作によれば、最終的にキングコングはガス銃を撃ち込まれて捕獲され、金髪美女も失ってしまう。舞台はニューヨークに移り、キングコングは劇場で見せ物として晒されるが、金髪美女を我が元に取り戻すために大暴れ……そして最後には大変悲劇的な結末を迎える……といった展開になる。撮影隊とキングコングという2種類の主人公を用意することにより、最終的にどのようなインタラクティブストーリーが紡がれるのか、話の筋はとてつもなく良くできているだけに、映画ともども完成の楽しみなゲームだ。
□Ubisoft Entertainmentのホームページ (2005年5月22日) [Reported by 中村聖司]
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