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会場:Los Angeles Convention Center 今回のVivendi は盛りだくさんのタイトルで来場者にアピールする戦略よりも、6本のタイトルそれぞれをじっくりと紹介する戦略をとったようだ。出展されたタイトルはどれも個性的なものばかりである。
●“何か”がじわじわと現実を侵略してくる「FEAR」
「FEAR」の主人公はSWATの隊員である。建物を占拠したテロリストに対抗するために仲間とともに突入した。テロリストを倒しつつ、前に進む主人公、しかし、自分が真に恐怖すべきものはこの建物に巣くう“何か”であることがわかってくる。 最初はSWAT vs. テロリストという図式なのだが、突然テロリストが見えない巨大な手に突き飛ばされてぼろくずのような死体になって目の前に落ちてきたり、壁に押しつけられ、その体の血で文字を書くように引きずられて行ったり、どこか不自然な空気の揺らぎが目の前を横切ったり……。 ゾンビや怪物を大写しに写すのではなく、「ポルターガイスト現象」的な、目に見えない恐怖の存在を、最新のグラフィックスエンジンにより描写しているのである。怪物が目に見えるならば銃を撃ち込めばいいのだが、この見えない何かに取り囲まれていくような恐怖と不安感は、今までのゲームにはないテイストではないだろうか。 試遊台の作りからしてその恐怖を表現するために配置を工夫しているのが面白かった。試遊台をただ横に並べるのではなく、柱のように何カ所かに向き合うように設置する。プレーヤーは周りに人のいないところで、恐怖の源泉であるモニターと向き合うことになる。テロリストだけでなく、仲間さえも理不尽な力に消されていき、孤独になっていく主人公を体感できるようにしているのである。 プレス向けの試遊台はさらに真っ黒な覆いでプレーヤーを取り囲んでいる、恐怖感は倍増である。どこに潜んでいるか分からないテロリストとの戦いは緊張感を呼ぶが、それとは異質の恐怖が進入して来るというのは非常に面白い。家庭では部屋を暗くし、ヘッドホンをつけてプレイしてもらいたい。 “何か”は小さな少女のような姿をとってプレーヤーの前に姿を現わすこともある。爆炎の中にふっと見えたり、血の足跡をべたべたと残して横切っていったり……はかなげに見えるはずの女の子の姿から浮かび上がる「邪悪さ」。醜い怪物におそわれるのだけがホラーではないという制作者のこだわりがしっかりと伝わってくる作品である。
●名作ギャング映画のその後を描く「Scarface:The World is Yours」
映画ではトニーは最後に殺されてしまうのだが、実は生きていて、再びギャングとしてかつて手に入れた栄光を目指すという展開になる。プレーヤーは3Dグラフィックで表現されたマイアミの街でどんどんのしあがり、舞台に、よみがえったトニーとなってさまざまな悪事に手を染めていく。 ここで思い起こされるのがEAが制作している「ゴッドファーザー」と、Rockstar Games の「グランド・セフト・オート・バイスシティ」である。EAの「ゴッドファーザー」を見たとき、Illusion Softworksの「MAFIA」に似ているなあと思わされたのだが、この「Scarface 」は「バイスシティ」の影響を強く受けていると思わされた。「MAFIA」と「バイスシティ」がそれぞれ映画の「ゴッドファーザー」と「スカーフェイス」に触発されて制作されたのは明らかである。その二つの映画を原作としたゲームが奇しくも同じ年のE3で大きく紹介されるというのは、ちょっと面白い。 映画「スカーフェイス」のトニーは非常に魅力的な人物として描かれている。犯罪に手を染める人物でありながら、「女、子供には手を出さない」といった己の中での誓いがあり、それを守る「男」としての強さが彼にあこがれを感じさせていたのである。ゲームではこれをゲージで再現、トニーのポリシーに沿った行動をしていくことでこの数値が上昇していき、暗黒街での地位が向上していくのだ。 キャストにはアル・パチーノは声を当てていないものの、脇を固める人物などには映画と同じキャストを起用、また、原作同様麻薬が重要な意味を持つ。麻薬を売って作った「汚い金」は、知り合いの銀行員と取り引きをし、「きれいな金」に変換しなくては使うところができないなど、映画の要素をゲーム的に解釈したルールが多数取り入れられており、映画を知っていればより楽しめる作品となりそうだ。
●殺伐とした世界の中で女主人公Novaの魅力が輝く「StarCraft: Ghost」
Novaのボディースーツには攻殻機動隊やプレデターを思わせる光学迷彩機能が装備されており、敵の目を欺くことができる。武器を構えることでFPS風の画面構成となり、武器を納めることで後方視点のアクションゲーム的な画面となる。 画面構成としては「スプリンターセル」シリーズの影響を思わせるが、Novaアクションは超人的な身体機能を活かしたジャンプを可能とし、また武器の威力も高く、ばりばりと戦っていくタイプのゲームの印象を持った。 FPS画面ではNovaの後頭部がアップになるのだが、彼女の体の動きに合わせて金髪のポニーテールが揺れるのがかわいい。アクションシーンでの全身像もおしりのラインがくっきりと出ていて、ジャンプする姿も、走る姿も色っぽい。登場するメカ群が醸し出す世界観自体は「StarCraft」を踏襲した非常に殺伐としたものであり、だからこそ一層Novaの魅力が増している。制作者の思い入れを強く感じさせるものがある。
●怪獣映画そのままの大暴れが可能な「The Incredible Hulk: Ultimate Destuction」
コミックス内でもかなり大きさがまちまちのハルクだが、今作では身長5メートル近く、片手で易々と人間をつかんでしまう大きめの解釈になっている。ジャンプをすれば数十メートルのビルのてっぺんまで易々とたどり着き、足りなければビルの壁面を垂直に駆け上る。ビル街がなんの障害物にもならず、ジャングルの木の上をを飛び回るターザンのような爽快な浮遊観を体験できる。 道を走っている車は上に乗ってつぶすことはもちろん、つかめば易々と引きちぎることができる。つかんだ車は軍隊とのトラブルがあったときには有効な盾になる。さらにバスはつぶすことでスケードボードのように利用でき、触れたものは人であろうがものであろうが何でもかんでもはじき飛ばすことができる。 ビルすらもハルクは破壊することができる。ビルはわざと多少耐久力が高めに設定されており、ボタン連打でムキになって殴らないと破壊できない。耐久力がなくなると爆発解体作業をしたかのようにがらがらと崩れていく。 感心させられたのはカメラワークである。ハルクが宙を跳ね、時にはビルを駆け上る、彼の行動は非常に素早く、かつダイナミックにも関わらず、カメラは的確に追いかけてくれる。ビルが崩れる画面などにはきちんと上を見上げるのだ。ハルクの縦横無尽の活躍をうまく表現する技術の高さを感じさせられた。
□Vivendi Universal Gamesのホームページ (2005年5月20日) [Reported by 勝田哲也]
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