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会場:Los Angeles Convention Center 今回のSOEブースの最大の目玉はなんといっても「Ever Quest II」の初の拡張パックとなる「Desert of Flames」の情報と、公式RMTシステム「Station Exchange」だろう。ブースレポートではこの2つに焦点を絞って紹介したい。
●アラビアンナイトをテーマにした拡張パック「Desert of Flames」
ムービーは沼から這い出てくるワニの姿から始まる。笠をかぶった女戦士に迫ろうとするワニ。女戦士は崖をよじ登り彼らから逃れることができたのだった。 続いて画面に映ったのは荒涼とした砂漠地帯。そこで女戦士は倒れているパーティーを発見する。近づくとふわふわと浮いている絨毯が。その絨毯にさわろうとした女戦士の前に黒い影、見上げるとそこには巨人の姿が! 巨人の足から逃れた女戦士は絨毯の上に。すると絨毯は戦士の意志に従って空に舞い上がる。 カメラは馬に乗るダークエルフに。彼女の後ろから、銀色の鱗を持つドラゴンが追いすがってくる。ダークエルフは弓をつがえ、ドラゴンに強力な一撃を与えるドラゴンは傷を負って退散した。 場面は砂漠の街Maj'Dulへ。炎を吹くターバンを巻いた男と、拍手をする旅人達。通りには色とりどりのテントが並び、中東のような雰囲気を醸し出している。緑色の鎧を着たノームは意地の悪そうな顔をしたトロールとイクサーに追いかけ回される。ここに登場する笠をかぶった女戦士とダークエルフ。ノームと2人は力を合わせてトロールに立ち向かう。 闘技場を思わせるフィールドへと変わる。ここでは3人の主人公達はトロール達と戦うことになる。光とともに変わる各パーティーの姿、エルフは炎の精霊に、女戦士は斧を持つリザードマンに、トロール達もそれぞれ屈強な姿を持ったモンスタ-に変わるのだが、ただ1人ノームだけは“鴨”に変身する。 鴨と激しく戦うパーティー達、突然鴨が輝き怪物に変身、土の精霊に変身した敵を粉々にうち砕いた。他のメンバーもそれぞれ相手をうち負かし、パーティーは勝利を得た。 意気揚々と闘技場から出て、街の住人達にたたえられる3人の前に突然現れるまがまがしい人物、彼は一瞬で銀色のドラゴンに変身する。3人は力を合わせて立ち向かい、互角以上の戦いを見せるが、空からもう1匹、金色のドラゴンが! 挟み撃ちにされてしまうパーティー。ドラゴンの口が開き、そこから炎が……というところでムービーが終わる。 多くの情報量が詰め込まれたムービーである。インタビューに応じてくれたシニアプロデューサーのScott Hatsman氏のコメントともに各要素を紹介していこう。まず、この拡張パックは「アラビアンナイト」をテーマにした作品である。Scott氏によれば、現実の我々の世界にあるアラビアンナイトではなく、その意匠を多く取り入れた「EQII」ならではの世界を表現させたとのこと。 この世界観を紹介するために最初に出てきた巨人は、EQ1のプレーヤーならばニヤリとさせられるに違いない。フリーポート近くの砂漠地帯を闊歩していた「サンドジャイアント」そのままの姿なのだ。「Desert of Flames」では、EQ1で砂漠で生活をしていた民「カットスロート」と彼らの住んでいたエリア「デザート ロー」の500年後の世界が描かれるのである。追加される40の種族の中には前作のファンなら見覚えのあるモンスターも登場するという。ミイラやスフィンクス、ハルピュイア、ワニ、亡霊といった存在がアナウンスされている。 アラビアンナイトをテーマにしたのは、「デザート ロー」がその中東風のにおいを色濃く残している部分をより強調するために選択したテーマとのことである。新拡張パックでは多くのクエストが追加される。今回追加されるMaj'Dul関連のもの以外にも多数追加され、その多くがソロプレイや小グループ用である。もちらん、大人数で楽しめるダンジョンやゾーンも追加されるとのことだ。また、ムービーで登場した金銀のドラゴンが登場するレイド「ドラゴンチェイス」も登場するという。 今回の拡張パックではレベルキャップが60に引き上げられる。Maj'Dulの外のエリアやダンジョンは高レベル向けの場所が多いが、街の中のクエストは比較的低レベルのプレーヤーでも挑戦可能だという。 街は3つの勢力が争っている。プレーヤーが彼らを後押しすることで街の勢力図が塗り替えられる。プレーヤーによってはある勢力から嫌われ、街中でもおそわれることがある。街では例えば1つの法律が提案され、これに対し2つの勢力が可決をするかを解決するために闘技場を使うということもあるという。 この街の勢力とも強い関係があるのがムービーのパーティーが行なっていた闘技場でのPvPである。ここでプレーヤーはモンスターの姿に変身して戦うことができる。変身には2種類あり、ゴブリンやリザードマンなどポピュラーなモンスターに変身する以外に、ダンジョンやクエストでゲットできるレアモンスターに変身することができる。各モンスターには相性も設定されており、ノームが選択した鴨は相手の姿を見てから再変身できる能力があるようだ。 このPvPでは変身をしなくても戦うことができる。低レベルのプレーヤーも楽しめるように作っていくという。勝負に勝つことで得られる特典については検討中で、街に影響する名誉や名声、良いアイテムが購入できるステイタス、さらに名前の前に何らかのタイトルがつけられる、といったアイデアが出されている。 この他にも、新しいアイテムや魔法などがたくさん追加される。最後にScott氏は「『EQII』が他の国でも楽しめるようになってとてもうれしい。日本でも多くのプレーヤーがこのゲームを好きになってくれることを望んでいます」とコメントを結んだ。
●取り引きをサーバー内で完結、24時間のサポート対応などで安全な運営を目指す「Station Exchange」
「Station Exchange」は6月26日を目標に開発が進められているシステムで、プレーヤーはゲーム内のメールボックスから操作することでブラウザが立ち上がり、「Station Exchange」にアクセスできる。現在このシステムは「EQII」にカスタマイズされているが、将来的には基幹システムを元にした他のゲーム用のツールも開発していく予定だという。 このRMTは現在のところ新しく立ち上がる「EQII」の新しいサーバーのみが対象になる。 このサーバーでプレイするキャラクタ、アイテムだけが取り引きの材料となるのだ。SOEはこのサーバーでプレイするユーザーは「Station Exchange」に同意してくれているということを前提に運営していく。 実際の作業を説明していこう。ゲーム内からアイテムを売る作業ではプレーヤーはブラウザーの画面に移動した後、オークションを開始する価格、実際に販売する最低価格、そして即決で販売する価格を設定する。この販売価格は完全にプレーヤーに任されているという。オークションの期間は1日、3日、7日で設定できる。 出品するアイテムの説明はゲーム内で用意されたものを使用するので、プレーヤーがアイテムの説明をすることはできない。オークションの出品料金は物品やお金に関しては1ドル、キャラクタの出品に対しては10ドルの手数料がかかる。 使用するクレジットカードは基本的に「EQII」をプレイする際に使うカードを利用するが個別に設定も可能。お金はアメリカでは広く使われているweb決済システム「Pay Pal」 を使用する。個人の場合、「Pay Pal」のチャージから現金化する場合には手数料などはかからない。 アイテムやキャラクタの買い取りの場合は、「アイテムやキャラクタの“使用権”を買う」解釈になる。アイテムを検索すると、他のプレーヤーが出展したアイテムをソートして見ることができる。 キャラクタを購入する場合、スクリーンショットはシステム側で撮影されプレーヤーは干渉できない。また、キャラクタの細かいステータスや、装備しているアイテムなども情報として表示される。現在はまだ見実装だが、クリアしたクエストも表示されるようになるという。 アイテムを購入した場合は、アイテムをweb上の“ホールディングエリア”に送るか、直接自分のキャラクタに届けるかを選択することができる。ホールディングシステムに送った場合はこのままブラウザ上の操作で転売も可能だ。自分のキャラクタからアイテムを出展して、ホールディングエリアにおいたアイテムはそのキャラクタしか回収できない。 アイテムやキャラクタの出展者に関しては、売買が完了した時点で相手のキャラクタの名前が確認できるシステムになっており、出展者の履歴を確認することはできない。さらに2ドルくらいの費用を払えば相手に自分の名前を通知しないというオプションも選択可能だ。履歴に関しては通常のオークションでの郵送の方法などで生じるトラブルが多く、「Station Exchange」そういった問題が少ないと予想している。 オークションのトラブルが生じた場合にはそのシステムからすぐに24時間対応のカスタマーサービスに連絡することが可能だ。また、現在は詳細が決まっていないが、取り引き金額の上限などはSOE側で設定していくという。 SOEの広報によれば、オンラインアンケートで6割近くのプレーヤーがオンラインの取り引きに興味があるという反応を得て、改めてこの新しいサービスへの意欲を持ったという。ブースのアピールに加え、繰り返しメッセージとして主張されたことは「Station Exchange」でやりとりされるデータはすべてSOEのサーバー内でやりとりされ、取り引きや情報の安全性に細心の注意を払って行なうということだった。実際、ゲーム内の延長という形で立ち上がる「Station Exchange」システムは、まるでゲームの延長であるかのように手軽さを持ちながらも、さまざまなポイントで注意が払われ、可能な限りプレーヤーがゲーム内で完結する情報をやりとりできるシステムを目指している。開発側ができるだけトラブルを減らすべく労力を傾けている印象を受けた。 しかし、システム側の安全性の面だけではRMTを語ることができない点もある。RMTが行なわれるということは、プレーヤーが“仕事”として現実のお金儲けのためにゲームをプレイするということが可能になり、ゲームを楽しむユーザーとの軋轢が生じかねない。さらに、SOEの運営、パッチなどによってアイテムの価値は劇的に上下する場合がある。アイテムの価値を運営側がコントロールできるという現在の状況において、まだまだ多くの問題が発生してくることが予想される。 とはいえ、現状でもユーザー間では、運営の関知しない所でRMTは行なわれており、多くのMMORPGメーカーがRMTにからむトラブルに直面している。現在会社によって対応はさまざまであり、SOEのこの対応は、斬新なものであることは間違いない。今後の動向に注目したい。
□Sony Online Entertainmentのホームページ (2005年5月19日) [Reported by 勝田哲也]
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