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会場:Los Angeles Convention Center
特に秀逸なのがEAのロゴを表示させるためのムービーで、光がぐるりと360度モニターを巡る場面で始まるのだが、この光の軌跡は思わず目で追ってしまう。それまでは上のモニタの映像を気にしながらも、内面に設置された試遊台をのぞき込んでいた人々が皆顔を上げ光に合わせて頭を回してしまうのだ。光は始点と交わると激しく輝き、中からEAロゴとたくさんのタイトルが現れる。360度モニターを活かしたアピールである。 EAはこの360度モニターにひっきりなしにタイトルの映像を流し、このホールの中と外に多くの試遊台を設置。どのタイトルも人気が高く、試遊台があくのを待ち望み、プレイしている人の後ろから画面をのぞき込む人が多かった。 筆者が少し気になったのは、PC向けタイトルの少なさである。「バトルフィールド 2」と拡張パックの「ザ・シムズ ナイトライフ」の他は、マルチプラットフォーム戦略の1つとしてPC版の制作も発表されているという形のソフトが数本といったところで、EAの戦略はよりコンシューマ向けにシフトしているという印象を持った。次世代機の登場でEAのこの方向性は加速するのか、今後の動向に注目したい。
●次世代機のグラフィックスで注目を集めた
このリアルな夕闇の風景は、どこか不安な気分も盛り上げ、乱暴な運転をしたくなってしまう感覚が生まれ、自分でも面白かった。爽快感を求めてというよりも、何かから逃げるかのように前に進みたくなってしまうのである。 ゲームシステムで気になったのは、シフトチェンジである。ギアを上げずにアクセルを踏み込んでいるとあっという間にエンジンが焼き切れ走行不能になってしまう。また、シフトチェンジを的確に行なったり、早くしてしまったりするたびに細かくメッセージが表示される。かなりシフト操作が重要であることを感じさせられた。 ここ最近の「NEED FOR SPEED」シリーズはストリートレースとして、通常の街道をライバルと争いながら爆走するゲームシステムを採用していたが、今作では昔のように警察とのバトルが発生する。プレーヤーを追い回し、時には道すらもふさごうとするこのパトカーをどうかわすかもドライバーの腕の見せ所だ。
●映画の雰囲気を再現しながらも、異なる展開も可能
ゲームのシステムとしては「グランド・セフト・オートIII」に影響を受けたゲームである。当時のニューヨークを3Dグラフィックスで再現し、プレーヤーはマフィアの戦いに干渉していく。逆らう店や敵勢力を皆殺しにしても良いし、脅したり買収をして支配下におくのもいい。プレーヤーの決断で映画とは違う結論になることもある。街は特徴的な建物が数多く配置され、内部まで細かく作り込まれている。 ゲームはキャラクタを後方から見る3人称視点で展開する。「ブラックハンド システム」によってプレーヤーは射撃する部位を「ずらす」事ができる。通常では急所を貫いてしまうところを手足を撃つことで相手の戦意をくじくことができるのだ。こちらに敵意を持つ店の経営者などにこの攻撃は有効で、手足を撃ったり、格闘で痛めつけることで、敵を殺さず支配下に置くことができる。このとき画面に操り人形を操る手のマークが表示される、これこそが映画にも登場する“人を操る運命の手”ブラックハンドなのである。 本作は格闘に強くこだわりを持っており、Xboxの場合、右のアナログスティックを使ってパンチやキックを繰り出すことができるほか、左のスティックと組み合わせることで相手をホールドすることや壁際から突き落とすことが可能だ。パンチやキックのモーションも数多く用意されている。両方のアナログスティックを相手に向けて倒すとキャラクタは敵の首を絞める。敵の鼓動はスティックの振動によって伝えられる。相手が死ぬ寸前はコントローラが強く振動し、相手の断末魔の動きが手に伝わってくるのである。 全編を覆うのは映画の音楽。ゲームでの選択が映画に準じたものであれば映画の名場面が展開する。また、マーロン・ブランドなど映画に出演していた役者が新しく声を当てている。マーロン・ブランドの場合は亡くなる前に音声の収録を終えており、原作にはない展開でも映画さながらの臨場感を体験できる。
●爽快感を最優先、破壊しまくりのFPS「ブラック」 クローズドブースで映像出展のみを行なったFPS。「バーンアウト」シリーズを手がけたチームが開発を行なっており、過剰ともいえる演出が楽しめる、撃ちまくり、壊しまくりのゲームである。 映像紹介でも、通常こういったイベントではゲームのストーリーの紹介から始まるのが一般的なのに、そこをいっさい省き、いきなり戦闘場面を紹介し始めたのが面白かった。戦場は荒れ果てた東ヨーロッパの街。時代設定は現代のようで、キャラクタ達は現用兵器に身をかためている。 主人公はマシンガンやショットガン、さらにはロケットランチャーまで取り出して戦場を駆け回り、ひたすら撃つ、壊す。車は大きく爆発し、ビルに手榴弾を投げ込めば映画のビルの爆発シーンさながら窓という窓がガラスと煙をまき散らしながら炎が飛び出してくる。崩れそうなコンクリート塀は撃つことで巨大な破片が敵の頭上に落下してくる。爆発シーンの連続という感じで、気分を高揚させる。 ゲームエンジンを新しく開発するといったことよりも、既存の技術でハリウッドの映画的な演出と爽快感に的を絞ってゲームを開発した、と開発者が胸を張った姿が印象的だった。「ここを撃ったらどうなるかな?」という予想を何倍にもふくらましたレスポンスが返ってくるくる、非常に楽しくなりそうな作品である。
□Electronic Artsのホームページ (2005年5月19日) [Reported by 勝田哲也]
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