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会場:Paramount Theater
■ 和田社長「次世代機はプラットフォームとしての見極めが先決」
「しかしながら」と、和田氏は、スクウェア・エニックスとして注目しているのは、「マシンスペックよりむしろ、ネットワークへの対応も含めた環境としてのプラットフォームであり、プラットフォームレベルでどういう提言がなされるか」であるととした。 ここで和田氏は、ゲームコンソールのCPUパワーの変遷を示す図を提示し、この図に2つの示唆すべきポイントがあるとした。ひとつは据え置き型だけでなく、他のゲーム機の処理能力も格段に向上していること、もうひとつがすべての端末がネットワークに対応しているという事実を挙げた。 結論として和田氏は、「ネットワーク対応も含め、どのようなコンテンツプラットフォームになるのか見極めていきたい」と、現時点では特定のプラットフォームに肩入れするつもりはなく、当面はじっくり静観していく考えを明らかにした。2005年度の事業戦略のキーワードは、昨年に引き続き“ポリモーフィックコンテンツ”ということになるようだ。
■ 「ファイナルファンタジー XII」の発売時期を“2005年度”に修正
「Dragon Quest VIII」(PS2、2005年11月) ※時期はいずれも北米版の発売時期 中でも和田氏は、最初に紹介した「ドラゴンクエスト VIII」を、「日本でもっとも愛されているRPGの代表作、累計出荷本数4,000万本、イラストレーターはアメリカでもよく知られている『ドラゴンボール』の鳥山明さん」と、大いにプッシュ。日本同様に精力的に展開していく方針であることを示した。 今回和田氏が発表したタイトルのうち完全新規のタイトルが「The World of Mana」。今回公開されたのはイメージイラストのみで、発売時期やゲームジャンルはもちろん、提供プラットフォームすら未定のタイトルだが、和田氏は、ポリモーフィックコンテンツのひとつ「Mana」シリーズとして多面的な展開を考えているとコメント。イメージイラストは森の中に巨大な木がデザインされており、ファンタジーものであることを伺わせる。完全新規という点でも今後の展開が楽しみなタイトルだ。 もうひとつのポリモーフィックコンテンツが「CODE AGE」シリーズ。こちらはすでに月刊少年ガンガンで「コード・エイジ アーカイヴズ ~最後におちてきた少女~」の連載がスタートしているだけあって、その他の展開も具体的に決まっており、共に発売時期は未定ながら、PS2向けのアクションゲーム「CODE AGE COMMANDER」と、携帯向けゲーム「CODE AGE BRAWLS」の2つのコンテンツの発売が決定している。
そのほかでは「ドラクエ8」シリーズに並ぶフラッグシップタイトルである「ファイナルファンタジー XII」の北米での発売時期が2006年度と発表された。日本での発売時期についても“2005年春”から“2005年度”に後退。今年のE3では映像のみの出展ということで、その代わり、7月30、31日に日本で開催予定のプライベートショウで試遊台を公開するという。7月の時点で試遊レベルということは、発売はまだ先になることを示している。
■ PSP向けFF VIIコンピレーション作品「CRISIS CORE FINAL FANTASY VII」
まず最初に紹介された「FINAL FANTASY VII ADVENT CHILDREN」は、日本での発売日が9月14日に決定したことが報告された。北米でもそれに近い時期に発売することを検討しているという。発売メディアはDVDとUMDで、供給元はソニーピクチャーズ。 新規タイトルとしては「CRISIS CORE FANTASY VII」が初公開された。「CRISISCORE FINAL FANTASY VII」は、ジャンルはアクションRPGで、発売プラットフォームはPSP。今回上映されたのはわずか1分ほどのイメージ映像で、具体的なゲーム内容については公開されなかった。 ムービーは、青い空の映像とともに、「あの人は青空を流れる白い雲のような人でした……」という柔らかな女性の声のナレーションで始まる。そこから場面は突然変わり、1人の大きな剣を持った青年が走るシーンに。黒い服と金髪は「FF VII」の主人公・クラウドを思わせるが、どこか異なった雰囲気を持っている。顔の表情が厳しい顔が多いクラウドよりも柔和なのだ。 しかし現在、その青年は怒りに満ちた表情で前に立つ長髪の人物に叫ぶ。「答えろセフィロス! なぜ村人達を殺した?」 その声とともに飛びかかる青年、だが、セフィロスの剣は青年の体を無惨にも貫くのだった……。そして「3人の青年と1人の少女の物語」というテロップが出て映像が終わる。 「FINAL FANTASY VII」をプレイしたユーザーは、ザックスという戦士をご存じだろう。かつてセフィロスとともに戦い、クラウドの親友だった戦士である。「CRISISCORE FINAL FANTASY VII」ではこの人物に焦点が当てられるのだろうか? また、PS2向けのFF VIIコンピレーション作品「DIRGE of CERBERUS FF VII」は、新しいリアルタイム映像が公開された。同作はまだ日本でも発売プラットフォームがPS2としか決まっていないタイトルだが、大まかなゲームデザインを示す、ヴィンセント・バレンタインのガンシューティングシーンや吹き出し付きの会話によるイベントシーンを見ることができた。いよいよ、FF VIIコンピレーションも役者が揃ってきたという印象だ。 欧米からの参加者の反応が良かったのが「KINGDOM HEARTS II」。すでに前作が北米市場でヒットしていることに加え、やはり馴染みのあるディズニーキャラクターが総出演するということもあって注目度が高かったようだ。「パイレーツ・オブ・カリビアン」の 海賊ジャック・スパロウの登場シーンでは歓声もあがった。やはり「KINGDOM HEARTS」シリーズは、日本以上に手堅い印象だ。
最後に橋本氏は北米市場におけるマーチャンダイズ展開について紹介。第1弾として公開されたのは、「FINAL FANTASY VII ADVENT CHILDREN」のポスター、Tシャツ、指輪、ストラップ、フィギュア、「Dragon Quest VIII」のフィギュア、「FULLMETAL ALCHEMIST 2」のフィギュア、「KINGDOM HEARTS II」のフィギュアなど。本日5月16日より、オンライン販売サイトも正式オープンさせ、オリジナルグッズを販売していく方針だという。
今回のカンファレンスは、3社のハードベンダーの発表会の前に行なわれたということもあり、来場したプレスならびにゲームファンを驚かすような発表はなく、ある意味予想範囲内の内容に留まった。しかし、全体として眺めてみると、FF VIIコンピレーションの着実な進展、そして昨年のE3で発表された“ポリモーフィックコンテンツ”というビジネスモデルの具体的なプランの発表など、しっかり前年度の“公約”を踏まえた発表になっており、手堅さと安定感を感じさせる内容といえる。 また、今年は「Dragon Quest VIII」や「Romancing SaGa」など、日本のテイストにあった国民的RPGを積極的に北米展開していくという決して小さくないチャレンジを行なう一方で、「FINAL FANTASY VII ADVENT CHILDREN」や「FINALFANTASY XII」といった、旧スクウェアを彷彿とさせる圧倒的なCGパワーを秘めた欧米人好みの王道的コンテンツも揃えるなど、硬軟織り交ぜた、多面的、多角的な展開が見られそうだ。
ここ数年怒濤のように続いたオンライン戦略については、残念ながら今回は「FRONT MISSION Online」のみと比較的おとなしめだったが、和田氏は“ネットワーク対応”について全社的に取り組む姿勢を崩しておらず、E3期間中、次世代機に絡む形で大きな動きがあるのは間違いなさそうである。今後とも引き続き目が離せないメーカーといえそうだ。 (2005年5月17日) [Reported by 中村聖司]
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