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★特別インタビュー★

「リッジレーサーズ ダイレクト・オーディオ」
    【大久保 博氏】

    株式会社ナムコ サウンドチーム所属。「リッジレーサーズ」サウンドディレクター。「リッジレーサーレボリューション」から「リッジ」シリーズのBGMを手がける。



「リッジレーサーズ ダイレクト・オーディオ」
4月27日 発売
価格:3,150円
品番:KICA 1366~1367
 株式会社ナムコのPSP用レースゲーム「リッジレーサーズ」のサウンドトラックとなる「リッジレーサーズ ダイレクト・オーディオ」が4月27日、ついに発売された。そこで、同作のサウンドディレクターを務めた大久保 博氏に、このサウンドトラックについてお話を伺う機会を得た。

 「リッジレーサーズ」のゲーム本編で「AVプレーヤー」モードでもBGMを堪能できるが、CDを試聴させていただいたところ、ゲーム本編とは一味違うものに仕上がっていた。今回、このCDの聴きどころなどを中心にお話を伺った(文中敬称略)。


――今回、めでたく「リッジレーサーズ ダイレクト・オーディオ」が発売されました。待っていた方も多いと思うのですが、なぜこの時期、なんでしょうか?

 「すいません! 遅くなりました」という感じなんですが、今回、過去のタイトルの曲や外部のスタッフさんを起用して、“お祭り”感覚を演出したということもありまして、CD化するにあたって権利関連の整理とか……ゲーム制作時の契約の洗い直しだとかに時間がかかりました。

 「これだけお祭りになるんだからCD化もね」という話はゲーム制作中からしていたんですが、まずはゲーム優先ということになってしまいました。本当は同時発売とかしたかったんですが、ゲームをPSPローンチに間に合わせるのに必死だったんで、そういう状況ではなかったですね。

 実際、ゲーム制作の作業はマスターアップまでびっちり忙しくて、国内版が終わっても北米版、欧州版なんかの作業もありましたし。いろいろ落ち着いてきたところで、「やっぱりこれだけのものになったんだからCDも出したいよね」という話がまた盛り上がってきたんです。ナムコの自社レーベルも立ち上がりましたし、自社レーベルでのリリースで行こうってことで話を進めていきました。

 そこからまたリスタートということになったので、権利関係の整理で時間がかかってしまいました。本当にお待たせしました。

――CD化にあたっての作業というのは具体的にどのようなものなのでしょうか?

 音源的なものでいいますと、大きいところではCD用に曲順を決めたりだとか、CDの記録時間に収まるように、各曲の時間を洗い出して、どれぐらいの尺にするか、といったCD化にあたってのデータ整理と音質、音量をそろえるマスタリング作業です。

 ゲーム中は曲がループする仕様なので、曲の終わりがないんですけれども、もともとループをとる前の状態、楽曲制作している段階ではそれ以降の部分がある曲なんかもあって、そこを活かしたCDにしようということで、実際にゲーム中に収録されていない部分も含めて1曲の尺を洗い出しなおしました。

 ゲーム制作時にも、ゲーム用にマスタリングしているのですが、今回、CD用に新たに全曲マスタリングし直しています。それと、ゲームで使用されている曲は圧縮された音源なので、非圧縮で聞けるということになりますね。


■ 「Drive U 2 Dancing Remix」は最初から2バージョンあった!

――CDのウリとしては、やはりAVプレーヤーでは聞けない曲が収録されている、ということになるんでしょうか?

 まずはメニュー画面……CDでは2曲目です。あそこはインタラクティブな構成になっていて、メニューが進んでいくと曲が変わっていく仕掛けにしていました。フレーズのパターンがいくつもあるんですが、仕様的に鳴らせなかったところ……無線対戦のところなんですが、それも含めて全パターン聴けるようになっています。ほかにも「AVプレーヤー」で聞けなかったオープニングやエンディング、ワールドツアーのイントロダクションの曲も収録されています。

 とくに、DISC1の新曲に関しては、CD化するにあたって、ゲームに納めている部分より長く作られていたものに関しては――例えば「Synthetic Life」。本当は、ゲーム版より最後のフレーズが長かったんです。ループするためにカットした部分を復活させて原曲に近い状態で収録してあります。

――フェードアウトの処理も変わっていますよね。

 変わってますね。もっと長く1曲を収録してほしいという意見を良く聞くんですが、曲数が増えるとCDに収めるために1曲の尺が短くなってしまうのは仕方がなかったんです。今回は2枚組ですので、DISC1の収録時間を見てもらえればわかる(70分1秒)のですが、いっぱいいっぱいまで入れてみました。これだけ収録していれば満足していただけるんじゃないかな、と思います。新曲なので、できるだけ長く聴かせてあげよう、ということを念頭にまとめました。

――次はDISC2ですね。REMIX DISCと、CLASSIC DISCが納められてますね。

 DISC2ですが、まずは「Drive U 2 Dancing Remix」。今回、CDに収録したものにはボーカルが入ってるんですよね。実は、佐宗さんから最初にデータをいただいたときボーカル入りとないものと2バージョンをいただいてたんですよ。ゲームに収録する際、ディレクターやプロデューサーたちと話しあった結果、ゲームのDJなんかとの絡みを考えて、ボーカルなしバージョンを使用しました。

 「もし、サントラ作るときはこっちの(歌入り)バージョンにしましょう」という話はしていたんです。佐宗さんはゲーム中にもボーカル入りのほうを使ってほしかったのかも知れないんですが、電話で、「サントラのときはボーカルバージョンにしますので……(笑)」とお伝えしてありました。

 「ゲーム中とまったく同じじゃないと……」というユーザーさんがいらっしゃるかもしれませんが、あとから追加したということではなく、作者の意図を尊重した形になっている、ということでご理解いただければな……と。

 DISC2も、過去の曲も含めすべてリマスタリングしているので、ゲーム中に流れるものよりも聴きやすくなっているはずです。DISC2は18曲で、DISK1よりも多いのですが、がんばって詰め込みました。CLASSIC DISCに関しては、過去にサントラが発売されているものも多いので、REMIXを中心にまとめた感じです。「リッジレーサーズ」の曲は全て入ってますよ、ということにしたかったんです。

――実際に聴かせて頂いたんですが、ゲーム中に収録されているものと聞こえ方が違いますね? 音像の広がりも全然違う感じで。

 ゲームのバージョンでは、圧縮されたものになっているので、多少表現力が下がってしまうところはあります。ただ、ゲーム用にチューニングしてあるわけですから、BGMやDJボイスなどとうまく融合するように気を配った、“ゲームとしてのベストな形”ではあります。

 今回CD化するにあたってマスタリングエンジニアの方と作業させていただいた際に、CD化するときにはCDに適したものを、ということで、音域によってその伸びを変えてもらったりということをやってもらっています。“CDでの表現力を活かす”というか、さらにハイファイな音になりました。ゲームでも「キラキラ感」は出てたと思いますが、さらにキラキラになってるんじゃないでしょうか。

――PSPだと、このCDをMP3やATRAC3に変換して聴くことができるので、すぐにゲームでも音を確認できますよね。完全にではないにせよ、そこでマスタリングの差がはっきりすると思うんですよね。CDになって、確実に音がパワーアップしている感じがします。

 ゲームの音を直接PCなどに取り込んで録音して聞いていただいていたユーザーの方もいらっしゃると思うんですが、そういった方たちにもそれで満足しないで、このCDを買っていただきたいと思うんですよね。

――「マスタリング」の重要さに気づくというか。すごさがよくわかるCDですね。

 それができるマスタリングエンジニアさんなんで、同じ音源からさらに世界を広げてくれる耳を持った方なんです。ゲーム版のマスタリングも手がけてらっしゃるんですが、私もすごいな、と思います。

 ゲーム中では曲の順番はプレーヤーが選択できるんでバラバラなんですが、CDの場合は、シャッフルプレイしなければ、「この曲の次はこの曲になる」という流れになりますよね。そこで「前の曲の終わりがこうだったから、次の曲はこうしていこう」といった、全体の大きな流れをつかみつつ、まとめてくれるのがマスタリングエンジニアさんの凄いところなんです。おかげで、全部通して聴いても違和感がなかったり、全体が奇麗に流れるようになりました。

――「Drive U 2 Dancing Remix」をはじめ、楽曲が変わっているところも注目ですし。

 ゲーム中では、DJがしゃべっていたり効果音が鳴っていたりするので、BGMだけでなく環境音も含めて気に入っていただいている人も多いと思うのですが、BGMだけでまた聴き込んでもらいたいですね。自分のクルマの中でも聞いてもらいたいですし。

――今回、CD化にあたって、コンポーザーの方たちから要望などはあったりしましたか?

 CD化にあたってはとくになかったですね。どちらかというと私のほうから「こういった形で収録したいんですが」とお電話さしあげる、という形が多かったですね。だから、中身に入っている音に関しては、自分好みにやっちゃってます(笑)。

――CDのインナーも凝った作りになってますね。たとえば、CLASSIC DISCのトラックは、ナムコ在籍時代のクレジットになっていたり。

 そうなんですよ。「やっぱりその当時のものがいいよね」ということで、皆さんに確認をとりました。「リッジレーサーズ」のコンセプトはファンのツボをつくということですからね。


■ 「リッジ」のイメージは「かっこいい」だけじゃない

――このジャケットもインパクトありますよね。永瀬麗子の全身像があるのに、足の辺りだけがクローズアップされていて。

 最初はマシンのビジュアルだったんですよ。でも、私の「リッジレーサーズ」のジャケットに対するイメージは、そういった「かっこいい」だけじゃなかったんですよ。前の座談会のときにも少しお話しましたけれど、「リッジレーサー」のイメージって「かっこいい」や「オシャレ」では終わらない、“ちょっとハデ”で、ドリフトの動きとかもそうですが、“ちょっとイッちゃってる”感じというか。それで少し下世話な感じにしちゃいたかったんですよ(笑)。

 下世話といえば……「ちょっとエッチな感じがいいよね」という話から、デザイナーとのやりとりで「この辺をこういう感じで」と永瀬麗子のイメージを切り出したものを送ってみたら、デザイナーの方と気があっていたというか、「前に壁紙作るときに切り出した絵があるんだよね」と見せてもらったのがまったく同じ「永瀬麗子の足」の部分だったんですよ。

 「そうそうこれこれ!」と。自分で切り出した時はわからなかったんですが、元のデータを見て、その描き込み……スカートの布地や、手袋の質感とか、すごいなあ、って感心しました。

――なるほど。歴代の「リッジ」のサントラのジャケットもいろいろな試みが取り入れられてますよね。「V」のエグゾーストパイプがスピーカーになっていたり、「R4」も文字の中にマシンが並んでいたり……。

 そうですね。ただ“かっこいい”だけで納めたくなかった、というか。「DISCO BALL」の作曲コンセプトもそうだったんですが、「かっこいいとかは、もういいや……」という。

 「リッジレーサー」の全体的なイメージはいろいろ推移はしているんですが、初代の頃を考えると、細江さんたちが作り上げた「ちょっとイッちゃってる」感じというか。そのノリを少しでもサウンドの中でも取り入れたいなと。ハデになるというか、“落ち着かない”というか“落ち着いちゃわない”部分を目指していきたいなということが最初にありましたね。

 なので、CDのジャケットのときも最初に“かっこいい”ものが上がってきたので「違う違う」という話をさせていただいたというわけです(笑)。

――最初デザインを見せていたいただいたとき、「こう来るかー」という感じでしたね。

 ちょっと恥ずかしいぐらいですよね(笑)。結構気に入ってます。ディスクの盤面もREDとBLUEになっていたり、ゲームとうまく連動できているんじゃないかと思います。いろいろできあがるまでに大変なこともあったんですが、終わってみると「いいものができたかも」と思っています。

 このCDは「リッジレーサーズ」というお祭りの後夜祭というか(笑)。「リッジ」シリーズ自体、ユーザーの方もいろいろ思い出すことがあると思うんですよね。それをもう1回噛み締めてもらいたい。私もノスタルジーに浸るのが大好きなんで。“『リッジ』もあれば、『レイブ』や『レイジ』もあったなあ”みたいな思い出と一緒に、ぜひ楽しんでほしいですね。

――最後に、このCDを手にとった方に向けて何かコメントをいただければ。

 今までに「リッジレーサー」シリーズを何本か開発してきて、私の思い出もそうですが、きっと買っていただいた方の思い出がいっぱい甦るCDだと思います。それに、これから先の「リッジレーサー」を考える1つの区切りになる、そんなCDだと思います。そんな思い入れたっぷりのCDなので、ぜひ聴いてみてください。

――どうもありがとうございました。

【曲目リスト】
【DISC1】【DISC2】
01 Ignition/H. OKUBO01 Rotterdam Nation Remix/SamplingMasters MEGA
02 Departure Lounge/H. OKUBO02 Speedster Remix/SamplingMasters MEGA
03 World Touring/K.KOBAYASHI03 Drive U 2 Dancing Remix/SamplingMasters AYA
04 Highride/SamplingMasters MEGA04 Rareheros/sanodg
05 Warp Trooper/SamplingMasters AYA05 Blue Topaz Remix/J99
06 Bassrider/H. OKUBO06 Motor Species Remix/T. NAKANISHI
07 Pulse Phaze/MIYAKE07 Ridge Racer/Megaten
08 Chrome Drive/sanodg08 Grip/Sanodg
09 Synthetic Life/KOHTA09 Euphoria/Aya
10 Disco Ball/H. OKUBO10 Silver Stream/H. OKUBO
11 Night Stream/KOHTA11 Naked Glow/K.TAKAHASHI
12 Light Groove/ASUKA SAKAI12 Your Vibe/ASUKA SAKAI
13 Vanishing Horizon/J9913 Move Me/K.TAKAHASHI
14 Tunnel Visionary/T. NAKANISHI14 Movin' in Circles/H. OKUBO
15 Tek Trek/H. OKUBO + K. NAKAGAWA15 Eat'em Up!/H. OKUBO
16 Beyond/J.NAKATSURU16 TuiTui/Miyake
17 Samurai Rocket/K.TAKAHASHI
18 Daredevil/K.TAKAHASHI


■ 「リッジレーサーズ ダイレクト・オーディオ」と販促用ポスターをセットでプレゼント!

 ナムコ様より、「リッジレーサーズ ダイレクト・オーディオ」と販促用ポスターのセットをご提供いただきましたので、3名の方にプレゼントさせていただきます。

【応募方法】

応募締切  :5月8日 23:00 まで
当選発表  :発送を持って代えさせていただきます
応募方法  :下記のフォームに入力して、送信してください

※ 応募フォームの送信はSSL対応ブラウザをご利用ください。SSL非対応のブラウザではご応募できません。
※ ご回答いただいた内容(データ)は、当選者の選考および、プレゼントの発送にのみ使用し、その他の目的で使用することはありません。



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□ナムコのホームページ
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□プレスリリース
http://www.namco.co.jp/pr/release/51/51-006.pdf
□「リッジレーサーズ」製品情報
http://namco-ch.net/ridgeracers_psp/
□関連情報
【3月16日】4月27日、ついに登場! 「リッジレーサーズ ダイレクト・オーディオ」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20050316/rrs.htm
【2004年12月27日】ナムコ「リッジレーサーズ」サウンドチーム大集合! (後編)
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20041227/rrs2.htm
【2004年12月22日】ナムコ「リッジレーサーズ」サウンドチーム大集合! (前編)
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20041222/rrs.htm
【2004年12月6日】まさに全部入り! ナムコ、PSP用「リッジレーサーズ」
ワイヤレスバトルやサウンド、そして新マシンやコースも紹介
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20041206/rrs.htm

(2005年4月27日)

[Reported by 佐伯憲司]


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