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★PS2ゲームレビュー★
セガの新規タイトル、PS2「新選組群狼伝」は、幕末の京都を舞台に活躍した「新選組」を題材にした剣撃アクションゲーム。プレーヤーは新選組一番隊隊長の沖田総司となって、近藤勇ら仲間とともに京の治安を乱そうとする浪士たちを倒していく。剣を使ったアクションは、敵の攻撃を見切ることが基本となっていて、そこからコマンドによる連続攻撃を成功させることで、威力の高い攻撃が可能となり、それを成功させて「奥義」を発動させるなど、攻撃の幅が広がっていく。 ■ 見切ることが起点となるスピード感溢れる剣撃 主人公、沖田の攻撃で何と言っても気持ちいいのが「連撃」だ。「連撃」とは、敵の攻撃を見切って一定のタイミングで□ボタンを押すことで出せる連続攻撃のこと。攻撃ボタンを連打して行なう通常の連続攻撃よりもはるかに威力が高く、攻撃の要と言える。「連撃」を行なうには、敵の攻撃を見切ることが必要。 「見切り」の説明をする前に、沖田の基本攻撃に触れておく。基本攻撃は、□ボタンで通常攻撃(刀で斬る)、△ボタンで強攻撃(刀で突く)というシンプルなもの。そしてR1ボタンで防御を行ない、L1ボタンで敵をロックオンする。ロックオン状態では、沖田が敵と正対し、カメラは背後位置に固定される。
敵をロックオンして正対した状態でいると、敵が攻撃を仕掛ける直前、沖田の足下に赤と白に点滅する矢印が表示される。この矢印と同じ方向に、左スティックを倒しながら×ボタンを押すと、沖田が矢印の方向に素早く敵の攻撃をかわす、これが「見切り」だ。成功すると剣からオーラのような光が出て、この状態から、大ダメージを与える「連撃」につなげることができる。
敵の攻撃を見切ったあとに一定の受け付け時間があって、この時間内に□ボタンを特定のタイミングで押せば出すことができる。続けて4連続出すことができ、「連撃」のタイミングは全部で5種類ある。一番簡単に出せる連撃は、タン・タン・タン・タンと一定リズムで入力する「連撃・魁ノ一」や、タタタタと連打するだけの「連撃・朧成る弐」など。「連撃」のタイミングは状態確認画面でいつでも確認でき、このタイミングは身体で覚えなくてはならない。最初のうちはいろいろ取り混ぜて使っていると、覚えたタイミングがずれて出なくなってきたりするので、筆者の場合はひとつを確実に出せるようになってから、他のものを練習していった。 「連撃」がほぼ確実に出せるようになってくると、一気に気持ち良くなってくる。うまく4回入力できれば、ズシャッ、ズシャッ……と気持ちいい効果音が鳴り渡り、剣に軌跡が表示され、剣捌きによって4連続で敵に斬りつける。一太刀で与えるダメージが通常より大きいので、敵に大ダメージを与えることができ、序盤のザコ浪人なら連撃1回で倒せてしまう。
また、「連撃」の4回目のコマンドを□ボタンから△ボタンにすることで、さらに「連撃」をつなげて最大4セット、16撃まで出し続けることが可能。中盤以降はザコ敵の体力も上がってきて、連撃1回ごときでは倒せなくなってくるので、連撃をつないでいくことは重要だ。
奥義とは、敵に大ダメージを与えられる必殺技。「連撃」を1セットでも成功すれば、「奥義」ゲージが1/4溜まり、「奥義」を出す準備が整ったことになる。ここでR2ボタンを押せば、奥義コマンド待機状態(コマンド表示窓が現れて周囲の動きがすべて止まる)となり、リアルタイムで減っていく「奥義」ゲージがなくなるまでにコマンドを入力し終われば「奥義」が出せる。 ゲーム開始直後は「奥義」を1つしか覚えていないが、成長するにつれ使える「奥義」が増えていく。最初から覚えている「疾空破(しっくうは)」(コマンド□、○、△)は、前方に横斬りを出して大きい半円の範囲にダメージを与えるというもの。これには敵を転ばせる効果があるので、複数の敵に囲まれた状態でかなりの効果を発揮する。 また「奥義」は、「奥義」ゲージが無くなるまでなら何度でも出すことができるが、「連撃」1回(「奥義」ゲージ1/4)ではほぼ1チャンスしか無い。また、レベルが上がるとコマンド入力数の多い「奥義」を覚えるため、「連撃」を2セットくらいは余裕で繋げられるようになったほうがいい。筆者は最初、「連撃」を2セット以上繋げるというタイミングがわからなかったので、とりあえず1セット成功させては「疾空破」で周囲を転ばせて、体力の一番低い奴にロックオンし直してまた「連撃」、という繰り返しで進んでいた。
「連撃」を繋げるタイミングは、1度わかってしまえば簡単だ。4回の攻撃を終えたあと、通常なら剣を振り切ってしまう沖田が再び構えの姿勢になる。そこで入力をスタートすればいいだけだ。1セット分の攻撃が出たのを確認したあと、ひと呼吸おいてから次のコマンドを入れるという感じを意識すれば出やすく、慌てると失敗しやすい。
沖田が仲間の隊長と共に出せる「合体奥義」は、発動すれば無敵となり、周囲の敵に大ダメージを与える。ザコ敵なら即死してくれるので、いざというときの反撃の手段として有効だ。合体奥義ゲージは、敵にダメージを与えたりダメージを受けることで溜っていき、これが満タンになるとL2ボタンとR2ボタンの同時押しで「合体奥義」を発動できる。
また同伴している隊長によって異なる演出も見もの。発動すると2Dキャラクタのカットインの後、ゲーム中のモデルが技を繰り広げるムービーが流れる。空中で宙返りをしたと思ったら刀の上に乗って上空に舞い上がるなど、なかなか派手だ。それが終わると、周囲にいた敵は阿鼻叫喚、血しぶきを上げて絶命するという壮絶な光景が展開して終了する。
「剣聖モード」では、剣の攻撃範囲や威力が増したり、敵の出すアイテムが良いアイテムになるなど、補助的な効果が発動する。「連撃」を行なうと「奥義」ゲージが通常よりも多く溜まるなど「剣聖」ゲージは、「見切り」を成功させることで貯まっていき、満タンの状態でL2ボタンを押すと発動。「剣聖モード」中には△ボタンでダッシュ突きができたり、「連撃」を行なうと「奥義」ゲージが通常よりも多く溜まるという効果もある。
■ 京都の治安を守る流れ 章ごとに局長である近藤勇から任務が与えられ、6名の隊長の中から同伴する隊長を1名選んで任務をこなしていく。選択できるのは、新選組副長・土方歳三、二番隊隊長・永倉新八、三番隊隊長・斎藤一、四番隊隊長・藤堂平助、五番隊隊長・原田左之助、そして局長の近藤勇。選んだ隊長によって、沖田の攻撃力や防御力、体力に補正がかかり、それぞれの隊長が持つ特殊効果が反映される。 例えば永倉を選ぶと、特殊効果として防御が崩されなくなって防御値が上昇するが、体力値は下降する。土方を選ぶと、後方からの敵の攻撃を見きれるようになり、能力の変化は特にない。1番クセが強いのは斎藤で、「連撃」を続けるほど攻撃力が上がる特殊効果を持つが、全ての能力値が大幅に下がるので、沖田自身の段位(いわゆるレベル)が低いあいだはライフが少ないため、かなりきつい戦いを強いられる。 いろいろ使ってみた結果、仲間の隊長を同伴する意味は、ほぼ能力値の補正と特殊効果だけなので、筆者は体力が上がる近藤局長と永倉を使うようにしていた。 物語は、一章の「芹沢誅殺」から始まって、新選組の歴史的に有名なエピソードが展開し、章が進むごとにストーリーとは別の任意任務の項目が1つずつ増えていく。任意任務はゲーム中の舞台を使ってミッションをこなしていく形式になっていて、制限時間内に目的地に到達するものや、ボスを倒すもの、室内に配置された密書を発見するものなどがあり、ものにもよるが内容のボリュームは本編より短め。各章をの合間に、いつでも選べて何度でも繰り返せるので、段位を上げつつ操作の練習をするのに最適だ。
各章のボスを倒して任務を成功したり、任意任務を成功すると任務評価が表示され、評価によって能力値が上がり、得た経験値によって段位が上がっていく。また、隊長との信頼度数が上がっていくと、その隊長を同伴することで変動する能力値が補正されていく。
■ ステージの面白さ、ゲームのけれん味 ゲームならではの人物の見せ方、舞台の作り方は、史実の「新選組」を知っている人ほど笑って楽しめると思う。ストーリーは、史実の新選組の足跡を追って進んでいくが、キャラクタや舞台設定などは、割り切った表現がされている。例えば、第1章の芹沢鴨という有名な人物は、歴史の記録によるとかつて鉄扇で人に怪我を負わせたというエピソードがある。本作に登場する芹沢も鉄扇を持っているので殴るのかと思いきや、鉄扇をブーメランのように使って飛び道具攻撃をしてくる。その上芹沢が地面を打ちつけると畳に爆風が上がるなど、かなりゲームならではのけれん味あふれる表現だ。 人斬り以蔵の異名を取る岡田以蔵は、何度も復活して立ちはだかるライバルキャラとして登場し、何度も復活すると凄惨な様相を帯びてくるところが、見ていて可笑しかった。遠方に猛ダッシュで離れてこちらのロックオンを外してから飛び道具攻撃をしてくるので、自動で正対にならないため、飛び道具を「見切り」で避ける際の操作がシビアになる。最初は単に歴史上の人物の味付けとして可笑しく感じていた敵の攻撃や演出も、戦うとゲームとしての面白さがそれぞれにあって、ボス戦には楽しませてもらった。 そして同じことが舞台にも言える。歴史に有名な池田屋(第3章に登場)は、ダンジョンのようになっていて、掛け軸を斬ると裏に隠し部屋があったり、配置物を破壊すると地下道への入り口が見つかったりして、京都の一旅館なのにまるで迷宮かと思わせるような作りだ。 また、第4章「蛤御門の変」では、門に向かってくる敵を門前で食い止めるというシチュエーションで、かなりシビアな攻防が繰り広げられる。大砲で2箇所から狙われている上、複数の敵がプレーヤーを狙って攻撃してくる。そして、門を目掛けて走り込む特攻侍を相手にするのだ。敵の足の速さが沖田と同じなため、気付かないうちに背後に侵攻されるともう間に合わない。一番違和感があったのは、ここに登場する特攻侍は、斬っても無視して走っていくというところ。
それで、人対人と考えるとちょっと変な見た目になるが、特攻侍の前にもぐりこんで身体で止めながら斬りつけるだの、アイテムの使用や「合体奥義」発動のタイミングを計算し、敵の出現パターンを覚え、大砲の弾を実力で見切ってといった動作が、上達してくると徐々に防御していられる時間が延びていくところが楽しめた。
■ キャラクタは美形だがゲームは硬派 本作は、漫画「るろうに剣心」などの作者である和月伸宏氏をキャラクター原案に起用しており、章の冒頭ではキャラクタの2Dイラストと声の掛け合いで、各々の任務に対する心情が語られる。ここで、原田は陽気で暴れるのが大好きな体育会系キャラ、対比するように厭世的でささやくように喋る斎藤など、それぞれの個性が浮き出るようにしてある。そして「合体奥義」の発動で迫力あるアップのカットインが入るほか、セリフが入るなど、隊長達のキャラクタ付けがしっかりしてある。 実のところ、最初はそれが不安だった。沖田と土方との掛け合いや、2人でペアを組んで信頼度が上がっていくシステムなど、乙女ゲーユーザーにアプローチする要素がまぶしてある印象があって、アクション部分に不安を感じていた。 しかし実際に触ってみて、アクションゲーム部分がしっかり作られており、上達していくやり甲斐を感じられる内容なので、全く気にならなくなった。 ザコ敵は、浪人のほか、侍、忍者、山伏みたいな奴など様々なタイプの敵が登場する。ただ、ザコ敵については違和感を感じた点がいくつかあった。気絶した相手に通常の連続攻撃を入れると1斬りで気絶から回復するため、2斬り目以降の攻撃がいきなり防御されるので、結局見切って「連撃」という対応をすることになる。 また、通常は立っていて向かってくるのだが、中には腰を抜かしている敵がいる。通常は攻撃的なセリフを発しながら向かってくるのに対して、腰を抜かして後ずさりしながら「見逃してくれ」だの「命だけは……」などといったセリフを発しているため見逃すと、急に立ち上がって何事も無かったかのように攻撃的なセリフを吐き、斬りかかってくる。そこで、容赦なく斬り捨てようとすると、下段攻撃が無いため後ずさっている敵は切れず、素振りしているうちにやっぱり急に立ち上がって攻撃してくるので、これも結局は見切って「連撃」という、普段通りの対応をすることになる。 また、目的地に移動する中でザコ敵がこちらに気付くのは距離になっているようで、見渡しのいい場所である敵と戦闘が始まっても、遠くの敵は全く反応しないというのも、ゲームとして見ると攻略が立てやすいが、最初はちょっと違和感があった。 中盤では、通常の連続攻撃の意味が薄いのが気になった。「連撃」は慣れてくれば失敗しなくなっていくので、やり続けることにストレスがある訳ではなくむしろ爽快なのだが、ザコ戦も毎回見切って「連撃」して「奥義」を出して……とやって倒していくことに、ちょっとしんどさを感じる人もいるかもしれない。
しかし、筆者みたいに常に手を動かしているのが好きな人にはお勧めのゲームだ。先の章へ進むとボスクラスの見切りは早さも早く、矢印の方向も変化が激しく、かなりシビアになってくる。反応して「連撃」に持ち込むのは骨が折れる分、決まれば強い爽快感をもたらしてくれる。 ・「新選組群狼伝」のクリアファイルをプレゼント
応募締切 :3月4日 23:00 まで
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(C)SEGA,2005 CHARACTER DESIGN (C)REDキャラクター原案/和月伸宏 キャラクターデザイン/松原秀典 題字/雨宮慶太
□セガのホームページ (2005年2月28日) [Reported by 河本茉澄]
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