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★Xboxゲームレビュー★
海外では日本の「ガンダム」くらいなじみが深いであろうロボットモノ「MECH」シリーズ。Xboxとしては前作の「メック アサルト」から1年半ぶりとなる続編がこの「メック アサルト2:ローンウルフ」だ。「MECH」シリーズと言えば31世紀の未来、広大な銀河系を舞台に惑星間、氏族間での戦争を描いたSFスペースオペラであり、その戦争の主役となるのが、メックと呼ばれる巨大戦闘ロボットである。
かつて筆者はこの「MECH」シリーズが大好きで、Windows 95全盛期にはPCゲーム版を狂ったように遊びまくり、渋谷や横浜にあったアミューズメント施設に高いカネ出して通ったりしていたワケだが、そのボンクラぶりは前作のレビュー冒頭で無駄に書きまくってしまったので今回は省略させてもらう。とりあえず1作目「メック アサルト」を楽しく遊ばせて頂いた身としては、2作目も遊ばないわけにはいかないでしょ、というワケで今回のレビューとなりました。 ■ メック以外の乗り物も追加され、迫力を増したスケール感 初めに本作のシステム面から触れておくと、まず基本的なゲームシステムに関しては前作とまったく同じ。画面はサードパーソンビュー(自機を後方からみた視点)固定で、コントローラーの左アナログスティックでメックの移動(下半身)、右アナログスティックで照準(上半身)を動かす「Halo」タイプの操作だ。
武器の切り替えが左トリガー、発射は右トリガー。これだけわかっていれば十分にゲームを進められるシンプルさ。また、メックは基本的にエネルギー兵器、弾道兵器、ミサイル兵器と、最大でも3つの武装しか持っておらず、しかも装弾数は無制限。回復アイテムや各系列武器のパワーアップアイテム(弾数制限があるが強力)も、そのアイテムに触ればその場で即座に効果を発揮するという、まさに純粋に撃ちまくって先へ進んでいく単純明快なアクションゲームである。 戦闘やシステムなどの基本部分はまったく同じではあるが、続編である本作は新要素として、“マシンの乗り降り”が自由にできるようなった。これにより戦略やミッションに応じてメックを乗り換えられるようになり、傷ついたマイメックを捨てて格納庫の敵メックを奪い再出撃、なんて事もできたりする。前作では、最初に選んだメックで最後までミッションをやり遂げる必要があったが、今回は状況に応じてかなり好き勝手にメックや乗り物を変えられる。 とはいえ、マシンの乗り換え中はパイロットが生身で移動しなければいけないため、この時対メック用の強力武装で攻撃されればひとたまりもない。生身の状態でミサイルやレーザーが着弾すれば、爆風がかすった程度でも倒されてしまうので、攻撃を受けている最中に気楽に乗り降りできるわけではない。 つまりこの生身のすっぴん状態が最も緊張する瞬間であり、ミッションによってはうまく障害物を利用して隠れながら敵メックを奪ったり、またメックを降りないと入れない施設なんかもあったりして、シングルプレイは前作以上にバリエーションに富んだ展開になった。 また、これに伴って搭乗できる乗り物の種類も増えている。今回はメックだけではなく、戦車やVTOL(垂直離着陸機)、TURRET(固定砲台)も操作できて、また新型兵器としてバトルアーマーと呼ばれる人間サイズのパワードスーツも用意された。戦車はキャノン砲と機銃を搭載し、無痕跡システムによるステルスモードが可能。これによって透明化すると、車高の低さも手伝ってとても見えにくくなる。キャノン砲はズームインして長距離の精密射撃も可能だが、戦車はメックに比べると耐久力や機動性に劣り、役割的には戦場のスナイパー的存在だ。 VTOLは攻撃機というより輸送機に近い。武装はミサイルしか搭載していないが、ヘリのような機動性を誇り、複数のアイテム(回復、パワーアップ、自動砲台)を搭載して、戦場に投下できる。また戦車やバトルアーマーを運ぶ事も可能で、シングルプレイではほとんど出番はないものの、マルチプレイではかなり重要なサポートメカとなる。TURRETは固定砲台で、レーザーやミサイルが発射できる。ミサイルは手動で発射後も操作できる(ミサイル視点で動かせる)ため、長距離攻撃ができるのが特徴だ。 そしてなんといっても、特筆すべきはバトルアーマー。前作でも人間サイズのパワードスーツはエレメンタルという兵器が出てきており、本作でもそれは登場するのだが、このバトルアーマーはそれよりもはるかに強力で便利だ。エレメンタルは単にミサイルとレーザーを搭載した“機動性の良い超小型メック”でしかなく、正面からメックとやりあってもほとんど勝ち目はなかった。 しかし、バトルアーマーは敵メックに張り付けばニューロハックという一撃で敵メックを行動不能にする技を持っているため、接近戦、ゲリラ戦で非常に怖い存在となる。ニューロハック中は画面下に表示される通りにボタンを押すのだが、この時ハックする側とされる側で、早くボタンを押した方が勝つというシステム。激しい戦闘中にこれをやられると、メックパイロットは戦闘かニューロハックか、どちらかがおろそかになるため、まさに一撃必殺の攻撃手段になりえるわけだ。 バトルアーマーは他にもレーザーやモルタル砲(山なりに射撃される強烈な砲撃)、クロウ(壁に打ちこんで張り付く)も装備しており、機動性の高さから崖や壁を乗り越えた奇襲戦法も得意だ。メックは“重鈍なロボを操縦している”という感じだが、このバトルアーマーは“FPSで主人公を操っている”ような感覚で、強力な武装で正面から殴り合いをするメックとは扱い方が全く異なる。シングルでもマルチでも活躍の機会が多く、まさに新兵器と呼ぶにふさわしいマシンだった。 このバトルアーマーやエレメンタルに乗っている時や、メックの乗り換えでパイロットを操作している時に感じたのが、メックの巨大感だ。ゲームのグラフィックに関しては、コアなエンジン部分はだいたい前作と同じようで、第一印象から大きな違いは感じられなかった。しかし実際にプレイしてみると、かなりパワーアップしているのがわかる。特に“人間サイズになった場合のメックの巨大感”が秀逸で、作りこみがすごい。スケール感というのだろうか。 例えば前作では人間サイズのエレメンタルに乗ってメックと戦っている場合、メックがデカイというよりも、自分が小さいという感じの方が大きかった。いわば全体のスケール感がメックに合わせて作られていて、エレメンタルに乗ると地面のテクチャや地形のおおざっぱさが、逆に目だってしまっていたからだろう。
ところが今回は人間サイズ時のメックや建物の巨大さを随所で感じる。もう圧倒的と言っていい。生身の状態の時に、地響きを立てながらメックが迫ってくるシチュエーションでは、笑っちゃうくらいの大迫力。地形やテクスチャ、ポリゴンの細かさが人間サイズに合わせて丁寧に調整されていて、迫力とリアリティがかなり増している。これは“巨大ロボットゲーム”としてポイントが高いといえる。 ■ シチュエーションてんこもりのシングルプレイは前作同様ボリューム少なめ? シングルプレイのストーリーモードは前作でもそうだったが、かなりシチュエーションが豊富でプレーヤーを飽きさせないように丁寧に作られている。特に今回はメック以外のさまざまな乗り物が登場するため、それを活用したミッションも多く、より変化に富んでいる。戦車を奪ったかと思えば、バトルアーマーで敵メックを盗みに行ったり、生身で敵基地に潜入したり、砲台で施設を防衛したり……。前作にはなかったボスキャラっぽい超大型メカも出現したり、メリハリのある展開が続く。1ミッションもそれほど長くはないため、ついついダラダラと何時間も遊んでしまった。 ただ残念なのは全体のボリュームだ。難易度は中盤からやや高めになってくるが、それでもアクションゲームが得意な人なら、1日3~4時間のプレイで3日もあれば終わってしまうだろう。シングルプレイの各ミッションはルートもだいたい一本道で、困難だがやり遂げればボーナスが付くようなサブミッションやシークレット、分岐もないため、リプレイ性も低め。いろいろなメックに乗り換えて遊べる、という点を考慮しても1ミッション、2回もクリアすれば十分満足できてしまう。
そういった点も考慮して、正直もうちょっとシングルプレイにボリュームが欲しかったと思う。VTOLや砲台を使ったミッションも、あと2~3は追加して欲しかった(現状では1つしかない)し、ストーリー的にも盛り上がってきた所でブチッ、と切られたようなエンディングで消化不良だったりする。なまじ面白いゲーム展開が続いただけに、ちょっともったいないなぁ、と感じてしまう。せめて、現状に加えてあと3分の1程度のボリュームは追加して欲しかった。クリアした時は達成感よりも、「あーもっと遊びたい……」といった残念感の方が大きかった。いろいろなおいしいオカズをちょっぴりずつ味わうといった感じで、本作のシングルプレイはなんだか高級料亭の日本料理みたいな印象だった。 ■ 乗り物が追加されチームプレイや連携が強化されたマルチプレイ 今回、Xbox Liveを介したマルチプレイは大きく分けて2つある。1つは前作通りデスマッチやCTF(キャプチャーフラッグ=旗取り)、チーム戦などが楽しめる通常のマルチプレイ。そしてもう1つが新たに追加された“コンクエスト”と呼ばれるモードである。ちなみにどちらのモードも、1台のXboxにコントローラーを2つセットした状態でXbox Liveに接続し、友人と2人で同時にひとつのゲームに参加する事もできる(その際は分割画面で狭くなるが)。 このマルチプレイ、今回は期待していた以上に面白かった。前作での反省点というか、飽きやすい点をうまく改良してパワーアップしており、遊びごたえのある内容になっていた。その最大の理由が、上記でも述べたが新しい乗り物が増えたことにより、各プレーヤー同士、チーム連携の必要性が高まったからだ。 本作のマルチプレイは、ゲームが始まるとまずパイロットが生身の状態から一斉にスタートとなる。メックや乗り物はマップによってその種類や数が決められており、まずは全員で思い思いの乗り物に乗り込むシーンから始まる。 ちなみにこのスタートシーンがやけにかっこ良く、筆者お気に入りだったりする。ゲームがスタートすると大勢のパイロットたちがお目当てのメック目指して走っていく。目の前にそびえたつ巨大なメックに小さな人間たちがワラワラと乗り込み、次々にエンジンに火が入り、ひざを立てるメックたち。……いや、なんかロボットモノの王道的演出って言うんですか? こういうのに弱いんですよ! 今回は最初から用意されているメックや乗り物の数が決まっているので、それぞれの役割がより明確に、濃くなっているわけである。特に支援メカとして優秀なVTOLを担当すると、最前線のメックへのアイテム投下、要所要所への砲台設置、空からの援護射撃などやる事がとても多い。はっきり言って、VTOLを担当したプレーヤー次第でゲームの流れは大きく変わると言っても過言ではない。序盤は迅速にパワーアップアイテムをバラ巻き、味方ヘビー・アサルト級メックらをパワーアップさせ、中盤は最前線の味方に回復アイテムや砲台を投下させて前線を維持させる。戦車やバトルアーマーを運搬しつつ、敵陣地へ奇襲をかけたり、時には空からの支援攻撃も行なう。 こう書くと大変っぽいが、やってみるとこれが楽しく案外簡単にできたりする。もちろん重要なのはVTOLだけでなく、バトルアーマーならモルタル砲での牽制砲撃や混戦時のニューロハック、壁登りを利用した敵陣地への奇襲も強い。 戦車ならステルス機能を使った単独先行やキャノン砲ズームによる遠距離スナイプ。耐久力が低い戦車はあまり前に出ず、味方の後方から敵メックの足を狙って転ばせるように支援攻撃に徹する……などなど。それぞれが役割を理解して(なりきって)プレイしやすいシステムであり、メックでの正面殴り合いがメインだった前作よりもはるかに面白く仕上がっていると感じた。
このマルチプレイは、今回最大人数が12人までに増えている(前作は8人)。ただ相変わらずマップは狭いものが多く、ここがマルチプレイで唯一不満に思った部分だ。マルチプレイのゲームタイプはデスマッチ、チーム版デスマッチ、CTFの他に、サバイバルマッチ(一度破壊されれば終了でチーム戦もあり)、グラインダー(無限に襲ってくるCPUメック破壊数を競う)、ターゲット(ターゲットプレーヤーを破壊する鬼ごっこ)、チェックポイント防衛(拠点の奪取)、データコア入手(敵データコアをすべて奪う)、ベースウォー(敵基地の破壊)が遊べる。今回はチーム戦に特化されたゲームタイプが多いのがわかる。 ■ コンクエストは長期的に遊ぶマルチプレイキャンペーン 新たに加わった“コンクエスト”とは、5つの氏族に分かれてインナースフィアと呼ばれる銀河系の覇権を争うXbox Live専用モードである。これは要するに100ある惑星での陣取り合戦であり、プレーヤーは5つの氏族から好きな陣営を選んで参加する。ここで使う銀河系マップは全世界で共通のものであり、それぞれの惑星には独特のルール(サバイバルマッチやCTFなど)が設定され、そこで防衛側と進攻側が戦い勝った陣営の惑星支配率がアップしていくというものだ。 この5つの氏族はそれぞれ特徴があり、メック世界設定に詳しい人はもうおなじみらしいが、マニュアルにはそんな事まったく載っていないし筆者もよくわからなかったので必殺のネット検索。するとクリタが日系っぽい氏族。リャオが中華文化っぽい氏族。ダビオンはアングロサクソンっぽい氏族。シュタイナーは中世ドイツっぽい氏族、マリクはアメリカみたいな自由経済形態を持った氏族、などが判明。 これはもうクリタさんしかないでしょ! ねぇ山岡さん? と迷うことなくクリタ陣営に参戦。なんかメックの世界じゃクリタって悪役的な存在らしいが、少なくとも本作のシングルプレイではワードオブブレイク陣営に押されまくっていた上、ロクな戦力もメックも持っておらず主人公に助けられる始末。クリタ家のスペースシップ、キャプテン・チバが主人公に手を貸すも、なんかアッサリ惑星からの攻撃で撃沈したり。あんま良いイメージなかったわけだが、とりあえずクリタで銀河系征服だぜー! とか意気込んでコンクエスト初めてみたらビックリ! クリタ家、銀河系支配率が1%! ダントツの最下位で滅亡の危機です、とか表示されてるし! ちなみにこの銀河系の各氏族支配率はコンクエストのマップ画面でわかるのだが、PCからだとこちらのURLにアクセスすれば、現状がわかる。とりあえず筆者がコンクエストを始めた当時だと、クリタ家は本拠地の周囲まで敵に取られ、支配率1%と最悪な状態だった。リャオもマリクも30%超えてるのに……。 こっからクリタ大挽回! とか思ってしばらくコンクエストをプレイしてみたのだが、はっきりいってこれがかなり遊びづらい。まず人数があまり集まらずゲームがなかなかスタートしない上に、各ロビーに陣営で人数制限がないもんだから、片方の陣営に大量に固まっちゃう事も。また海外のプレーヤーと戦う事も多いせいか、ロビーにうまく接続できなかったり、接続不安定になったり。人が集まらない時間帯だと1時間以上待たされるし、逆に多い時はクリタばっかり1部屋に10人とか集まっちゃってダビオンが2人、とか。人数がそろうまでまた長時間待たされて、いざスタートとなったら回線不調で落とされたりと、かなり悲しい目にあう事も……。
どの惑星でどの陣営が何人仲間を募集しているか、ロビーに入ってみるまでわからないため、とにかくゲームを始めるまでがめんどくさく不便なのだ。コンクエストで世界中のプレーヤーと陣取り合戦、というのはせっかく面白い要素なんだから、ロビー機能をもう少し遊びやすくして欲しかった……。
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